Admiral of Roughneck~From black to white~ 作:八意 颯人
これが今年最後の投稿になります。
来年から18禁の方と同時進行に執筆しますので宜しくお願い致します。
それでは良いお年を……
場所は変わり、石川県 霊峰『白山』の山中にて……
「……此処ですね。貴女の力が封じ込められている祠は……」
人気が少なく、静寂な山中で『眼鏡を掛けた如何にも知的感溢れる若い男』が少し疲れた表情になりながら同行者であり、先程、勇人が柏木を救助する為にドイツで大暴れしている所を文字通り『高みの見物』をしていた『継ぎ接ぎだらけの痛々しい4つの大きな漆黒の翼を着けた銀髪の少女』に聞くと、少女は祠を見て『ある物』が手に入る事を歓喜するかの様に微笑みながら言った。
「ええ。あの忌々しい男『博霊飛龍』に……ゴホン、いえ此処では『上城勇人』でしたわね……あの男のせいで
少女は勇人の事を間違って『彼の"もう一つの名前"』であり『博霊一族としての本名』である『博霊飛龍』と読んだが、自身の言い間違いを取り消す様に、そして自身の昂りを抑える様に咳払いをし、今度は憎悪を込めて呟くと、同行している男は少女の
「……御気持ち察します。私も『あの男』に復讐をする為に、貴女の封印を解いたのですから……そして見せしめとして、あの男の友人である『柏木疾風』を抹殺しようとしたが……」
「あの男が『博霊の頭首としての
「分かりました……フン!!」
少女は男に祠もとい『祠の下に眠っている少女の能力』を開放する様、急かすと男は祠に貼られている札を剥がし、勢い良く祠を蹴り倒し、そのまま掘り起こすという非常に罰当たりな所業をすると、男は『赤みが掛かった半透明の結界が張られている骨壷』を見つけ出し、その事を少女に報告した。
「……見付けました。ですが結界が……」
「分かっていますわ……『パープル』そして『フリック』今すぐ結界を壊して」
少女は呆れながら『パープル』という人物を呼ぶと背後から『銀髪に両目に包帯を巻かれている所以外"八雲紫"に瓜二つの容姿の女性』こと『パープル』と『パープルと同じ銀髪だが露出度の高い服装で背中に
「……分かったわ……ハァッ!!」
「……フン!!」
2人は結界が張られている骨壷に念を送ると結界はガラスが砕け散ったか様にバラバラに崩れ落ちると男は2人に礼を言い、結界が解けた骨壷を少女に渡した。
「……わざわざスミマセン、パープルさんにフリックさん。非常に助かりました。では、これを納め下さい」
男は2人に一礼してから骨壷を少女に渡すと少女は「ありがとうございます」と微笑みながら受け取ると少女は骨壷を高く持ち上げ……
「……やぁ!!」
パリーン!
……そのまま地面に叩き付け、骨壷を破壊したのだ。
少女は地面に骨壷の破片が散らばっている中から現れた『禍々しく黒く光っている半透明の球体』を手に持ち、それを自身の胸に押し付ける様に身体に染み込ませ、球体を体内に全部入れると少女は、まるで
「ウッ♡ウウッ♡……あぁ〜♡この懐かしい
少女は高揚感に満ちた幸せな表情になりながら『謎の球体』を身体に取り込む事に成功すると男は安堵しながら言った。
「……無事に終わって何よりです」
男は少女の身体を気遣いながら言うと、少女は男の反応に困惑するかの様に苦笑しながら言った。
「相変わらず心配性ですね貴方は……ええ。これで私は『死の輪廻』から開放されました……御協力、感謝しますわ」
少女は男に礼を言うと、男もまた少女が『謎の球体』を取り込んだ御陰で『自身の計画』が飛躍的に進んだ事を喜ばしく思い、口角を少し上げながら答えた。
「いえいえ、これも『貴女の計画』でもあり『私の計画』が飛躍的に進む為に必要な事ですので……では、そろそろ『元の世界』にお戻りになって、貴女の計画の1つである『自身の戦力増加』に御努め下さい。私は『上城勇人』を『社会的に抹殺する』為の『下準備』を行いますので……では後ほど……」
「分かりましたわ。では、この世界の下準備を御願い致しますわ」
男は3人に一礼し、近くに停めていた黒塗りのワゴン車に乗り、その場を後にすると少女は男に対して絶対的な信頼を寄せており、男を快く見送る様に微笑みながらパープルとフリックに言った。
「……彼ほどの有能な
少女は男の事を大層気に入っており、高揚感に満ちた幸せそうな笑みを溢しながら言うとパープルは少女に異議を唱えた。
「……それをしたら貴女様の
パープルは少女に自身の訂正案を述べると少女は「ふむ……弱体化ねぇ……」とパープルの意見を取り入れりかの様に思考を巡らせ、パープルが言った『勇人が弱体化する方法』が思い付かず、顔を顰めながらフリックに聞いた。
「……ねぇフリック、上城勇人と似たような
少女は勇人と似たような
「……簡単な事ですよ。あの男を『此方の世界』に来る様に誘導し、幽閉させるのと同時に、あの男の体内に飼っている『アレ』を『地獄の瘴気』で弱らせれば良いわ」
フリックは自身の考案である『勇人を"少女の世界"に閉じ込め』そして『勇人の体内に宿している"アレ"を地獄の瘴気で弱体化させる事』を伝えると少女はフリックが言った『アレ』の性質について触れた。
「『アレ』……確か『闇堕ちした艦娘』こと『深海棲艦』しか持っていない『
少女は自身が現代医学に関して疎い事を恥ずかしそうに公表しながらも『D-cellと瘴気の関係性』について聞くと、フリックは少女に分かり易く説明した。
「……分かりました。簡潔に教えます……あのウイルスは、あの男が抱えている『爆弾』と同時に『
「……『
少女はフリックの説明を理解し、彼女が考えた策の結末を予想しながら言うとフリックは「……そうです」と肯定し、続けて言った。
「……ですが、この作戦は『あの男』が此方の世界に来なければ意味がありません。何か策が御有りですか?」
フリックは自身の案の肝である『勇人が少女達の世界に来させる為の理由』について聞くと少女は悪意のある笑みを溢しながら言った。
「イーッヒヒヒッヒ♪それなら
少女は不敵な笑みを溢しながら能力を再び取り戻した恩恵で『完全に修復された漆黒の翼』を大きく羽撃かせ、そのまま2人を連れて、この世界を後にした……
そして同時刻 大本営 政府連絡会議室にて……
「……世界が崩壊するって、どういう意味よレミ?またC国やK国が勇人にちょっかい出す事件が見えたの?」
朱里はレミリアの発言に一瞬、動揺したが、過去の事例を思い出し、憶測だが『勇人の事を恨んでいる敵国が何か良からぬ事をする』と結論し、その事をレミリアに聞くと、レミリアは重い溜め息を溢しながら言った。
「違うわよ。そんな子供同士の喧嘩みたいな低俗過ぎる
「「「ッ!?」」」
レミリアは朱里の憶測を『子供の喧嘩』と表現しつつも否定し、5年前に起きた事件で関わっていた天使について聞くと、その場に居る全員が『その事』を思い出し、表情を曇らせながら、代表として朱里が答えた。
「……ええ。今でも鮮明に覚えてるわ。暴走した勇人の手によって惨殺され、『惨殺された身体』は青森県の『恐山』に、そして『あの"クソ天使"から引き剥がした能力』は『白山』に封印された……あの『クソ生意気な天使』の事ね……まさか
朱里は頭を抱えながら、自身の憶測が外れる事を願う様に神妙な表情で聞くとレミリアは俯きななら先程『白山で能力の再開放に成功した少女』こと『封印された筈の天使の名前』を言った。
そう、その名前は……
「……その『まさか』よ。誰かが、あのクソ天使……『サリエル』を復活させたのよ」
「「「ッ!?」」」
「……こんな時に一番厄介な奴が……泣けるわね」
……キリスト教やユダヤ教等の数々の神話に出てくる天使の階級の中でも最高位である『
朱里を初め、その場に居る全員が『
「全くよ……だが策はあるわ」
「……詳しく聞きたいわ。レミの作戦を……」
朱里はレミリアに策がある事を知り、真剣な表情で聞くと、レミリアは朱里達に応える様に真剣な表情で答えた。
「……簡単な事よ。彼を『彼方の世界に"行かせず"』サリエルを『この世界』に留まらせる様に誘導すれば、そのまま『始末』出来るわ。只、如何せん……」
「……紫ね。あの女の性格上、自身に仇なす者は早目に潰したい『せっかちな性格』だから勇人を……」
朱里はレミリアとは『逆の出来事』いや『最悪過ぎる悪手』である『紫が勇人を彼方の世界に行かせる事』を懸念し、その事をレミリアに言うと、レミリアは神妙な表情になりながら答えた。
「……それよ。もし勇人が彼方に行ったらサリエルが仕掛けた罠によって弱体化され……」
「……勇人はサリエルに殺され、『この世界』いえ『この世界も含め"全ての平行世界"』がサリエルの手によって……という訳ね」
朱里はレミリアが見た『最悪の運命』である『勇人がサリエルに"
「大将が彼方に行かない方法……そうだ!私の仕事を全部『大将』に押し付ければ大将は嫌でも此方に残るわ」
「……アンタ、こんな時に何馬鹿な事を言ってんのよ。只、単にサボりたいだけでしょ」
「違うわよ!!そりゃ少しはサボりたい気持ちもあるが……」
「あるのかよ!」
朱里は三笠元帥の考えを
「……いや、ソレでエエのとちゃうんか?そうすれば勇人は『サボり癖の強い三笠元帥が残した仕事の後始末』を嫌でも、せぇへんとイカンからな」
「せやで!そして勇人は上城チャンに似て『お人好しな性格』やから紫チャンの願いを快く引き受けてしまう可能性があるんや!此処は三笠元帥のサボり癖を利用して何としてでも勇人を此処に留めさせておけば
「2人揃って酷くない!?私はまだサボり癖なんか……」
「「いやいや、付いているやろ!」」
「「「……仰る通りです三笠元帥。これ以上サボらないで下さい。
「……俺も同意見です。若に、これ以上の負担は通常業務に支障が来ます」
「みんなして……泣けるわ。それでレミリアさん、この作戦なら最悪の結末を回避する事が出来るの?」
三笠元帥は2人にボロカス言われながらもレミリアに聞くと、レミリアは自身の能力を使って運命を閲覧し、レミリアは結果の内容を頭を抱えながら言った。
「……少しはマシな運命になるわ。ただ、あの隙間妖怪が強硬手段に出れば……」
「……それだけは意地でも止めたいわね。皆の意見を聞きたいわ。何かある?」
朱里達は紫が強硬手段等の『数々の問題』について3日3晩、会議し続けた。
だが、この問題の鍵である勇人に三笠元帥の仕事を早急に回さなかったせいで……
その24時間後、紫の強硬突破により勇人は『サリエルの世界』に飛ばされる羽目になろうとは……