Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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此処でですが、この小説も遂に『100話』を迎える事が出来ました(*´∇`)ノ

これも、こんな駄文丸出しの小説を暖かく読んで下さっている読者様の皆さんのお陰ですm(_ _)m

本当にありがとうございますm(_ _)m

こんな駄文丸出しの酷い小説ですが、これからも御付き合いの程、宜しくお願い致しますm(_ _)m

それと今回からは読み易さを考え、英語等の台詞は全部『斜体』を持ちいる事しましたので御理解の程、宜しくお願い致しますm(_ _)m

そして最後に……


後半から『グロテスクな表現』がありますので、ご注意をお願い致しますm(_ _)m


第100話「柏木救助作戦 前編」

ドイツの現地時間 0700 ベルリン州内の市街地にて……

 

ワイワイ……

 

ガヤガヤ……

 

 

 

この時間帯のドイツ国民は勤勉な日本国民に似た国民性を持っているのか朝早くから出勤している為、この時間帯はあまり混雑しておらず買い物客やカフェで『朝食のコーヒー』ならぬ『朝食のビール』を嗜む者達で賑わっており、日本とは違う空間を醸し出しながらも穏やかな日常を味わうかの様に賑わっていた。

 

そう、あの男がドイツに来るまでは……

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラ!!其処を退けぇぇぇ!!此方は急いでいるんや!!」

 

「もっと飛ばして!!警察が来るまでに早く現場に!!」

 

「分かってる!!」

 

この穏やかで静かな日常を破壊するかの様な『黒塗りの高級スポーツカー(ランボルギーニ)』に『車の排気音(エキゾースト)』そして覆面しているが『会話の言葉』から察するに『若い日本人の男女』の怒鳴り声が町中を響きかせながら町中を暴走していた。

 

そう、その男女こそ……

 

「勇人!!次の交差点を左に曲がって!!」

 

「分かった八意先生!!」

 

柏木を助ける為に先程、日本から隙間経由で不法入国をした勇人と幻想郷の薬師『八意 永琳』だったのだ。

 

勇人は除雪されてない塵積もった雪道を利用し、上手く車を滑らせながら交差点の左に曲がると永琳は勇人の運転技術の高さに少し驚きながらも目の前に走っている『車高を落とした黒塗りのSUV』こと『VOLKSWAGEN(フォルクスワーゲン) T-cross』に怪しさを覚え、相当切羽詰まった表情になりながらも勇人に『T-cross(怪しいSUV)』について聞いた。

 

運転技術(テクニック)は衰えていないわね貴方……ん!?あの車、減速して来ているわね……勇人!!あの車を避けて!!何か嫌な予感がするわ!!」

 

「言われなくても……ッ!?永琳!!」

 

「……了解!」

 

勇人は減速するT-crossを難なく避けるとT-crossの助手席が窓を開けて隣に着いた勇人にアサルトライフル『AK-47』を向け始めた事を勇人は察し、窓を開けながら永琳に命令すると彼女は狭い車内で強引に弓を構え……

 

「……正当防衛よ!悪く思わないで『ジャガイモ野郎』!

 

シュッ!!

 

「ッ!!!」

 

「ギャァァァ!!」

 

……強く引かれた2本の矢を勢い良く放し、1本は『AK-47を持った男の右肩』に命中し、もう1本はドライバーの両腕を焼き鳥の串の様に貫き通すとドライバーは両腕を貫いた矢を見て『激しい痛覚』と『見るに耐えない残酷な両腕の現状』で錯乱し、それを表すかの様に車が制御不能(スピン状態)に陥り、そのまま電柱に激しくぶつかり、炎上した。

 

永琳はドイツ語で相手を罵りながらSUVを撃沈させると勇人は永琳の腕前を褒め称えるかの様に口笛を鳴らし、微笑みながら言った。

 

「ヒュ~♪貴女も衰えてませんね先生♪」

 

「当たり前よ。じゃなかったら幻想郷(アッチ)で生き残れ無いわよ……所で今さっきの連中が貴方の兄弟分を……」

 

永琳は勇人の言葉に苦笑しながらも先程の車が柏木を襲った連中との関係性について言うと勇人は神妙な表情になりながら答えた。

 

「十中八九『クロ(当たり)』だな……しかも柏木(アイツ)の居場所は『防衛機密』に指定されている『軍の機密情報』だ……つまり……」

 

「テロリストが軍の機密情報を『盗み読み(ハッキング)』したか……軍に『諜報員(スパイ)』を紛れ込ませ、その情報をテロリストに流出(なが)した……という訳ね……なら早く行きましょ。追手が来る前に!」

 

「ああ……ん?『アッチの明石』からだ……」

 

永琳は勇人の推理を先読みし、勇人の推理を肯定する様に腕を組み、思考を巡らせていると車のカーナビに同調している勇人のスマホに『ネコアカシ』という人物から電話が掛かり、勇人はスマホに同調しているカーナビを操作し、通話に出ると『ネコアカシ』もとい『アズールレーンの世界の明石(以後 AL明石)』が相当切羽詰まった状況なのか焦りながら勇人に懇願した。

 

「……もしもし重桜の明石ニャ!上城さん!ヤバい事が起きたニャ!!今すぐ重桜(こっち)に来て欲しいニャ!!」

 

AL明石は焦りながら勇人に言うと勇人もまた柏木を治す事を優先的に考えているのか声を荒げながら答えた。

 

「無理だ!!此方も今、ヤバい状況になっているんだ!!」

 

「ニャんと!?上城さんの所も!?ちなみに今、どういう状況ニャ?簡潔に教えて欲しいニャ」

 

AL明石は相当切羽詰まっている勇人の事が心配なのか恐る恐る聞くとは焦りながらも簡潔に答えた。

 

兄弟分(ダチ)がドイツで撃たれたから治療しに向かっているんや!!今、急いでいるから切るぞ!!」

 

「ド……()()()!?それに()()()()!?りょ……了解ニャ……忙しい時に電話してゴメンニャ……」

 

AL明石は申し訳無さそうに電話を切ると二人の会話を聞いていた永琳が呆れながら勇人に聞いた。

 

「……良いの?こんな事情とは言え、協力関係のある『重桜艦隊』の要請を『あんな風』に断って……」

 

永琳は呆れながら聞くと勇人はスマホと同調したカーナビを操作しながら永琳の質問に答えた。

 

「大丈夫だ。アッチは今『彼方の俺』を含めて鎮守府全員が『体調不良(二日酔い)』で人手が足りないから俺を頼ったんだ……今、秘密回線で鹿島に連絡入れて……よし!繋がった……」

 

勇人はカーナビを操作し通話相手である鹿島に繋がった事を確認すると鹿島は『勇人の事情』を把握しているのか心配そうに勇人に聞いた。

 

「て……提督さん……御無事ですか?」

 

「……大丈夫だ。今の所、任務に支障を来すトラブルは無ぇよ。所で鹿島、今『アッチの加賀達』は居るか?」

 

勇人は自身の職場兼自宅である『佐世保鎮守府』に『アズールレーンの世界の加賀達』が居る事を確認すると鹿島は首を傾げながら答えた。

 

「はい。今隣に居ますが……」

 

「ん?どうした上城さん。何かトラブったのか?」

 

鹿島は首を傾げながら聞くと隣に居たであろう『アズールレーンの世界の加賀(以後 AL加賀)』が鹿島の様子を察し、神妙な口調で勇人に聞くと勇人はAL加賀の質問が当たっているのかAL加賀の『推理力の高さ』と『AL加賀の声が鹿島に極似している事』に内心戸惑いながらも『AL明石が切羽詰まっている事』を簡潔に伝えた。

 

「……アッチの世界でトラブル発生した。今ネコアカシが切羽詰まっているから医務室に行って『酔い止め薬』を『全部』持って行ってくれ。必要なら『配合書(レシピ)のコピー』を持って行っても構わん」

 

勇人はAL明石(ネコアカシ)の緊急要請に応えるべく、自作の『酔い止め薬』と、その『薬の配合書(レシピ)のコピー』をAL加賀達に持って行かせる事を命令するとAL加賀は勇人の言葉の真意を理解し、苦笑しながら答えた。

 

「ネコアカシって……まぁアッチのトラブルに関しては上城さん、貴方が無理矢理飲ませた所為(せい)でもあるからな……それじゃ御言葉に甘えるぞ……世話になったな」

 

「お世話になりました上城さん♪また重桜に遊びに来て下さいね♪何時でも歓迎しますよ♪ほら飛龍、帰るわよ」

 

AL加賀は苦笑いをしつつも御礼を言い、彼女の同行者である『アズールレーンの世界の蒼龍(以後 AL蒼龍)』は勇人の事を好意に思っているのか柔らかい微笑みを溢しながら一礼するとAL蒼龍の妹である『AL飛龍』は嫌そうに駄々を捏ねた。

 

「ちょ!?待って下さい姉様に加賀さん!?僕は此処に……」

 

AL飛龍は駄々を捏ねると二人はAL飛龍の我が儘に苛立ちを覚え……

 

「そんな悠長な事を言っている場合か!!私達の世界もトラブルが起きているんだぞ!!蒼龍!この馬鹿空母を連れて帰るぞ!!」

 

「はい!さぁ帰るわよ飛龍!!」

 

ガシッ!!

 

「ちょ!?イタタタタタッ!!姉様に加賀さん!!分かりましたから兎耳(みみ)だけは引っ張らないでぇぇぇ!!!」

 

ズルズル……

 

「「「………」」」

 

Pi♪

 

……一喝しながらAL蒼龍の兎耳を掴み、彼女を引き摺りながら、その場を後にした。

 

勇人と永琳そして鹿島は三人のやり取りを見て呆れつつも勇人は彼方の事(佐世保鎮守府)を鹿島に任せる様に黙って通話を切り、先程の混沌と化した空気を一掃するかの様に神妙な表情で永琳に聞いた。

 

「……それで先程の続きだが、正当防衛とは言えテロリストを殺す必要があったか?生きていれば聞き出せれるのに……」

 

「切り替え早いわね貴方!?まぁ……それに関しては大丈夫なんじゃないの?貴方が佐世保に連絡している時に『あの三人』に伝達し、其所に向かっていると思うから……それに急所を外して射ったから安心して」

 

永琳は勇人の切り替えの早さに戸惑いを見せつつも、大破した車に永琳の仲間達が向かっている事を伝えると勇人は神妙な表情から一転、テロリスト達を同情するかの様に少し青ざめながら言った。

 

「あの三人か……三人に捕まったテロリスト達に同情してしまうな。もうそろそろ日本大使館に着くから準備してくれ」

 

「ええ……ん!?勇人!日本大使館前に人が倒れているわ!?それに救急車も来ているわ!」

 

「チッ!遅かったか……仕方ねぇ!!」

 

永琳は日本大使館前で倒れている『若い日本人の男』こと勇人の兄弟分である『柏木 疾風』と救急車に助けを求めている『柏木専属の金髪メイド』そして重傷の柏木を救急車に乗せている所を発見し、血相を変えながら言うと勇人は舌打ちをし、車を救急車の隣に止め、二人は直ぐに車から降り、助けを求めていたメイドに強い口調で聞いた。

 

「おい!そのメイ……ゲッ!?何で、あの『変態メイド』が居るんだ!?」

 

チッ……よりによって、あの『ボンクラ御曹司』が……

 

『ボンクラ御曹司』は余計だ『オク』!まぁ喧嘩は後にして一体何が逢ったんだ!?

 

勇人は『柏木専属のメイド』こと『Октябрьская(オクチャブリスカヤ) революция(レボリューツィヤ)(以後 オク)』とは面識があるのか、お互いの顔を見た途端、物凄く嫌な表情になりながらも彼女の母国語『ロシア語』で聞くとオクは今にも泣き出しそうに勇人達に助けを求めた。

 

……実は疾風が射たれたの……お願い勇人!!疾風を……私の主を助けて!!貴方達の不法入国(悪事)は私の(コネ)で揉み消すからさ!だから……だから……

 

オクは藁をも(すが)る思いで勇人達に泣きながら懇願すると永琳は救急車に入れられた柏木の容態を見て神妙な表情で勇人に言った。

 

「ヤバいわよ勇人……アイツらが射った弾丸……艦娘が使っている弾丸を日本海軍が改良した『人間用の銃器にも使える対深海棲艦用の弾丸』こと『AAF弾』を使っているわ。しかも4発も!!」

 

「はぁ!?AAF弾を!?あれはヤベェぞ……オク!単刀直入に聞くが『運転』出来るか?

 

勇人は永琳の診察結果に焦り始め、ロシア語でオクに聞くと彼女は泣きながら答えた。

 

え……ええ……ッ!?まさか……私が救急車を!?

 

汚名返上したかったら手ぇ貸せ!!病院に搬送中に治療する!!

 

時間が無いの!!早く!!

 

二人はロシア語でオクを救急車を運転する様、強い口調で説得するとオクは涙を右腕で拭き取り、気合いの入った強い表情になりながら答えた。

 

「……分かったわ!!少し荒いけど我慢して頂戴!!

 

「分かった!レスキューの連中には悪いが此処で降りて貰うぜ!!早よ降りろ!!」

 

私達は彼の『専属医』で派遣された関係者で今から行う治療は日本の『防衛機密』に触れる事だから降りて頂戴!!

 

「「「ヒィッ!?は……はいィィィ!!」」」

 

勇人は荒々しく日本語で、永琳はオクが揉み消せなかった場合の保険として自身の立場を偽りながらもドイツ語で降りる様に命令すると救助隊員達は二人の鬼気と殺気が入り交じった強い気迫に気圧され、身体を震わせながら降りると勇人は運転席に座ったオクに「行け!」と伝える様に壁を強く叩くとオクはエンジンを入れ……

 

疾風を頼んだわよ!!ボンクラ御曹司に三つ編みの御婦人さんよ!!

 

柏木の事は二人に任せるかの様にアクセルを強く踏み込み、そのまま『上城病院 ドイツ支部』へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同時刻 勇人達が襲われた現場にて……

 

クッソォ………よりによって、あの『日本の暴龍』がドイツに居るなんて……奴は確か舞鶴に居た筈だが……

 

しかも化け物並にタフな女を連れて……聞いて無ぇよ……

 

クッ……まぁ良い。柏木だけでも仕止めたからヨシとしよう……さて……『あの御方』に報告を……

 

勇人達を襲った連中は二人の予想通り『柏木を襲ったテロリスト達』であり、リーダー格の男は自身も含め全員『満身創痍』になりながらもスマホで『柏木を襲わせた黒幕』に連絡を入れようとした途端『赤いカーゴパンツと男用のワイシャツを着用した銀髪の女性』と『ブレザーを模した衣装を着た兎耳の女性』そして『桃色を基調とした和洋折衷の衣装を着た黒髪長髪の女性』がリーダー格の男に現れ、銀髪の女性は男に近づきながら言った。

 

「残念だが、これは没収だ」

 

銀髪の女性は男が所持してたスマホを取り上げ、ポケットに入れると男は先程の事故で満身創痍になりながらも銀髪の女性もとい『藤原妹紅(ふじわらのもこう)(以後 妹紅(もこう))』に強い口調で聞いた。

 

だ……誰だテメェらは!!あの男……上城勇人の関係者なのか!?

 

男はドイツ語で妹紅に聞くと妹紅はドイツ語が分からないのか男の胸倉を掴み、恫喝する様に怒鳴り聞いた。

 

「あぁ?テメェ……何訳の分からん事を言ってんだ?日本語で喋ろ!!」

 

「落ち着いて妹紅。此処は私達に任せて……ええ。貴方の言う通り私達は彼の『協力者』よ♪今から私達の質問に答えてね♪そうすれば()()()()()()()()

 

もし変な事を考えていたら……その場でソーセージの具材に変えるわよ

 

「お前ら喋れるのか!?」

 

妹紅は兎耳の女性こと『鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバ(以後 鈴仙)』と黒髪の女性『蓬莱山(ほうらいざん) 輝夜(かぐや)(以後 輝夜)』が流暢なドイツ語を発した事に驚くと輝夜と鈴仙は苦笑しながら答えた。

 

「当たり前じゃない。貴女と同じく伊達に永く生きてないわよ」

 

「まぁ少ししか喋れませんが……」

 

「マジで!?んじゃ翻訳任せた!!」

 

「ったく、貴女ねぇ……」

 

「仕方ありませんよ姫様……それで、単刀直入に聞くが貴方達の雇い主を教えろ!!

 

二人は妹紅の言葉に少し呆れながらも鈴仙は妹紅に胸倉を捕まれているリーダー格の男に恫喝するとリーダー格の男は三人を見下すかの様に唾を吐き捨てながら言った。

 

ケッ!テメェらみたいな糞ガキ相手に喋る程、俺達は落ちぶれて無ぇよ!!

 

男は三人に中指を立てるかの様に鈴仙の質問を断ると鈴仙は「はぁ~」と軽く溜め息を吐きながら妹紅に言った。

 

「……妹紅さん。軽く()()()()()()()。火力は『スモーク(炙り)』でお願いします」

 

「この様子だと交渉決裂したんだな……分かった!!んじゃ……フン!!」

 

妹紅は鈴仙の要求に大体察したのか内心「相手も強情だな……まぁ同情は出来んが……」と男を哀れみながら指を鳴らし、自身の能力の一つである『火を操る能力』を使い、男の足元を炙る様に発火させると男は足元に現れた業火による熱で阿鼻叫喚に悶え始めた。

 

ギャャャャャ!!いきなり炎が足元に!?熱い!!熱過ぎる!!

 

「もっと火力を上げるか?」

 

「……このままで大丈夫ですよ。死なない程度に炙り続けて下さい」

 

妹紅はリーダー格の男が悶えている様子を見て自身の嗜虐心を煽られたかの様に微笑みながら鈴仙に聞くとリーダー格の男の仲間の一人がリーダー格の男を助ける為にショットガンを構え、妹紅の頭に照準を合わせ、そして……

 

「……リーダーを放せ!!この糞アマが!!

 

「「「ッ!?」」」

 

バン!!

 

……リーダー格の男を助ける為に妹紅の頭に目掛けて撃ったのだ。

 

「「や……やったか?」」

 

撃った男とリーダー格の男は弾が妹紅の頭に命中し、確実に妹紅を仕留(あや)めたと思い安堵しながら呟くと撃たれた妹紅は撃たれた弾みで少し後ろな退きながらも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……『リザレクション』っと……痛ってぇなぁ~……まだ抗える体力が残っていたとはな……少し火力を上げるか!!」

 

なっ!?い……()()()()()……だと!?こんな有り得ない事が……ギャャャャャ!!!

 

ヒィィィッ!!ば……化け物かよテメェは!!

 

弾に貫き通され、花火の様に飛び散った頭部を自身の能力である『不老不死』の力で欠損した頭部を骨から再構築する様に完治し、完全に治ったのか首をゴキゴキと左右に傾げながら確認し、何事も無かったかの様にリーダー格の男の足元に展開した炎の威力を上げたのだ。

 

妹紅は撃たれた事によって腹が立ったのか火力を上げ、発砲した男を含め残りのテロリスト達の『見せしめ』としてリーダー格の男を焼き続けているとテロリスト達は『不死身である妹紅』と『リーダー格の男の悲痛な叫び』に完全に怖じ気付き、身体を震わせながら満身創痍になっている身体に鞭を打つかの様にふらつきながら立ち上がり……

 

こ……こんな化け物相手に殺されてたまるか!!逃げるぞ!!

 

……リーダー、スミマセン!!

 

……敵前逃亡を図ったのだ。

 

勿論、三人はそれを見過ごす訳には行かず……

 

「……スペルカード。新難題『金閣寺の一枚天井』!妹紅、上空(うえ)は私がやるから陸路(まわり)を頼むわ!!鈴仙はアイツらを精神的に追い詰めて!」

 

「ヨッシャ!なら勇人から借りたスペカを使わせて貰うわ!!食らえ!!スペルカード!炎壁(えんへき)業火の防壁(ファイヤーウォール)』!!」

 

「了解……スペルカード。散符『真実の目(インビシブルフルムーン)』」

 

輝夜は上空に巨大な金色の天井を召喚させながら二人に指示を出すと妹紅は勇人から借りた必殺技(スペルカード)を使い全員を円で囲む様に炎の壁を作り出し、鈴仙は自身の能力である『狂気を操る程度の能力』を使い精神的に追い詰められているテロリスト達の恐怖心を更に煽る様に魑魅魍魎達の幻影を見させるとテロリスト達は三人の能力に肉体的にも精神的にも限界が来たのか炎の壁の外にいる一般人に助けを求めた。

 

ひ……ヒィィィッ!!!化け物達が俺達を……だ……誰か助けてくれ!!

 

誰でも良いから救急車と警察を!!

 

自首でも何でもするから誰かアイツらを止めてくれぇぇぇぇ!!

 

テロリスト達は一般人に助けを求めると輝夜は勝ち誇ったかの様にテロリスト達を嘲笑いながら言った。

 

何故なら……

 

無駄よ♪この空間は他の一般人に認識されない様に()()()()()からね♪

 

……輝夜の能力である『永遠と須臾を操る程度の能力』を使ったからだ。

 

輝夜は、その能力の本質である『一瞬(須臾)』の時間を我が物にし『時間止め(永遠)』を使って、この場所だけ擬似的に()()()()()()()()()平行世界(パラレルワールド)』を発生させた事を伏せながら伝えるとテロリスト達は完全に屈服したのか白旗を上げる様に怯えながら言った。

 

わ……分かった!!分かったから助けてくれ!!全部、白状するから!!

 

「「もう止めてくれ!!気が狂いそうだ!!頼む!!全て吐くから助けてくれ!!」」

 

テロリスト達は恐怖のあまり失禁をし、泣き叫びながら命乞いをすると輝夜は口角を少し上げ、鼻で笑いながら聞いた。

 

……最初から、()()()()()()()()()()()……愚かな事を……んで、誰が黒幕なの?

 

ああ……依頼主は……

 

リーダー格の男は恐怖に身体を震わせながら『依頼主(黒幕)』について全て白状した。

 

……という訳だ。た……頼む!!全て話したから命だけは助けてくれ!!

 

「ッ!?不味いわね……まさか日本海軍に『裏切り者』が居たとは……」

 

「……そうですね」

 

「ん?ん?一体どうしたんだ?」

 

輝夜と鈴仙はリーダー格の男が白状した『黒幕の正体』を聞き、狼狽えながら驚愕し、妹紅はドイツ語が分からなかった為、二人の深刻な表情に戸惑いながら聞くと輝夜は強い口調で鈴仙と妹紅に命令した。

 

「訳は後で話すわ!!妹紅!今すぐ取り上げたスマホを鈴仙に渡して!!そして鈴仙は妹紅からスマホを受け取り次第、すぐに勇人の車を回収しに向かって!!早く!!」

 

「はい!!妹紅さん!!スマホを!!」

 

「……この様子だと『相当ヤバい事』になったんだな……それじゃ鈴仙、頼んだぞ」

 

妹紅は鈴仙にスマホを渡し、炎の壁の一部を解除すると鈴仙は解除された壁から抜け出し、脱兎の如く走って勇人の車が停めてある日本大使館に向けて走り向かうとテロリスト達も生き残る為に鈴仙の後を追う様に必死に着いて行こうとしたが……

 

「オイコラ!誰が逃げて良いと言ったんだ?テメェらは残れ!!」

 

ボワッ!!

 

「「「熱ッ!?俺達を逃がすんじゃ無かったのか!?」」」

 

……それを阻むかの様に再度、炎の壁を展開し、テロリスト達の逃亡を阻止したのだ。

 

テロリスト達は再度、現れた炎の壁によって衣類が燃え上がり、悶えながら言うと輝夜は高揚した笑みを溢しながら言った。

 

当たり前じゃない♪それに私は『楽にしてあげる』とは言ったが『命だけは助ける』とは一言も言ってないわよ♪さぁ……一緒に逝きましょ♪

 

「「「ちょ!?そ……そんな……た……頼む!!命だけは助けてくれ!!」」」

 

輝夜は笑みを溢しながら言うと上空に設置されている天井板の高度をテロリスト達の恐怖心を煽る様に徐々に下げて行くと妹紅は輝夜が今『行おうとしている事』を完全に察し、呆れながら呟いた。

 

「……ったく、結局は心中(コレ)かよ……」

 

「フフフ♪この絶望感に染まった良い顔……堪らないわぁ~♪後は仕上げに妹紅の炎で……フフフ♪」

 

「……私も他人の事が言えないが悪趣味過ぎるぞ、テメェ……グロい物を見たく無いから外に待機するか」

 

妹紅は完全に悪役になった事に酔いしれている輝夜に呆れ返り、悪態を吐きながら火傷による瀕死の重傷を負ったリーダー格の男を突き放し、輝夜に全てを任せる様に燃え盛る炎の壁を強引に抜けると輝夜は自身に酔いしれているのか妹紅が抜けた事を知らず、そのままじっくりと天井板を下げながら……

 

「祈りは済んだ様ね……なら逝きましょ♪」

 

「「「や……止めろォォォォォォ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

グシャッ!!

 

 

 

 

 

 

 

「うっわぁ~……スゲー嫌な音がしたぞ……取り敢えず遺体を焼き尽くすか……グロいのを見たくないし……スペルカード。蓬莱『凱風快晴(フジヤマヴォルケイノ)』!!」

 

自身ごと天井板に押し潰され、何かを磨り潰した様な不快極まりない轟音を発したのだ。

 

外に待機していた妹紅は不快極まりない轟音に顔を引き釣りながらも天井板ごと焼き尽くすと灰と化した天井板の中からゾンビの様に這い出てきた『消し炭と化した異形の何か』が現れ、妹紅に不満があるかの様な不機嫌そうな声を出しながら言った。

 

「……ったく、私一人にさせるなんて薄情ね……貴女……」

 

その『異形の何か』は妹紅の事を知っているかの様に不満を打ち明けると妹紅は、その『異形の何か』の『正体』を既に知っているか呆れながら言った。

 

その『正体』は……

 

「バーカ、私をテメェの心中(悪趣味)に巻き込ませるんじゃないよ『化け物ニート姫』」

 

「ニート姫は兎も角『化け物』は貴女に言われたく無いわ!!取り敢えず『リザレクション』っと……」

 

……そう、あのテロリスト達と共に心中した筈の『輝夜』本人だったのだ。

 

輝夜は妹紅の悪態に少し頭に来たのか少し強い口調で一喝(ツッコミ)しつつも先程、妹紅が行った回復系のスペルカード『リザレクション』を発動させ、自身の能力の一つである『不老不死』の能力を発動させ骨から再構築される様に回復していくと妹紅はポケットからタバコを取り出し、紫煙を味わうかの様に喫煙しながら聞いた。

 

「スゥ~……ハァ~……んで、黒幕の正体は誰なんだ?」

 

妹紅はタバコを吸いながら先程、鈴仙と輝夜が狼狽えていた理由である『黒幕の正体』について聞くと輝夜は顔を顰めながら言った。

 

「……二人居るわ。1人は勇人の父親である『一馬』と同期であり彼と同じ役職『大本営総副司令官』の『吹瀬』という男と、二人目は『勇人の鎮守府』にいる第4前衛基地司令官『藤岡 涼花(すずか)』の父親違いの弟『藤岡 春』という男よ。アイツは今、勇人が抱えている問題である『龍光会と回天組との因縁』に深く関係があるのよ」

 

「……よりによって『一馬と同じ役職の人間』が黒幕だなんて……待てよ。まさか藤岡……だっけ?ソイツは()()()()()()()()()()と同じく()()()()()()()って言うオチじゃねぇよな?」

 

妹紅は輝夜の発言に嫌な予感がしたのか罰の悪そうに顔を顰めながら聞くと輝夜は妹紅の憶測が当たっているかの様に重い溜め息を溢しながら答えた。

 

「……血縁者という点では間違っているが概ね正解よ。藤岡涼花は戸籍上『元回天組 組長』であり現在服役中の『藤岡 春彦』の孫娘よ。そして勇人の部下である『大岡忠実』の交際相手の『藤岡 春』の父親違いの姉……言わば彼が本当の『回天組の血縁者』よ。そして彼女が入隊した本当の理由は……」

 

「……血は繋がってはいないものの、回天組(家族)を殲滅させた対立組織である『神城会』の……しかも、その『血縁者』である勇人に報復する為……か……ん?ちょっと待て!?勇人は今、新人であり元警察の『大岡忠実』について頭を悩ませているだろ……まさか!?『吹瀬の野郎の目的』って……」

 

妹紅は今、勇人が抱えている問題である『大岡忠実』と『壊滅された回天組と龍光会からの報復行動』との関連性を思考し、もし()()()()()()()()()()()()()()()()()が頭の中に過ったのか顔面蒼白になりながら言うと輝夜は妹紅と同じ憶測を持っているのか、悔しそうに俯きながら言った。

 

「……そう、あの三人を手を組ませながら今のテロ行為の黒幕として勇人に罪を被せ、処刑……いえ最悪、連帯責任として佐世保鎮守府に所属している全ての人間達が警察や回天組の連中に()()()()()()()。それは即ち、日本にとって『どういう意味』を示しているか分かるでしょ?」

 

「……『後ろ楯(佐世保鎮守府)』が無くなった日本は敵国に攻められ、再び『第二次世界対戦後の屈辱』を味わう羽目になる……という訳か……しかし腑に落ちない所があるんだが何故、吹瀬は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?勇人を殺す事は自身の首を絞めている事と同じなのに……」

 

妹紅は輝夜の真意を察しながらも今回の黒幕の1人であり勇人の父『上城一馬』と同じ『大本営総副司令官(日本海軍のナンバー2)』である吹瀬が、自身の立場等『全て』を()()()()()()()()()()()()()について首を傾げながら聞くと輝夜は溜め息を吐き、呆れながら答えた。

 

「……知らないわよ。それは帰ってから調べれば良い事だし……」

 

「……だな」

 

輝夜は面倒臭そうに答えると、勇人の車を回収してきた鈴仙が勇人の車を運転しながら二人の元に駆け付け、疲労困憊になりながら言った。

 

「ひ……姫様に妹紅さん……回収が終わりましたぁ~……」

 

「「………」」

 

二人は半泣きになっている鈴仙……いや今の勇人の車の現状を見て絶句し、頭を抱えながら鈴仙に言った。

 

何故なら……

 

「貴女……勇人の車を『廃車寸前までボコボコ』にして……それ高級車(物凄く高いヤツ)よ」

 

「だって……コレ……暴れ牛みたいに運転し難いもん……どうしよ……勇人さんに殺される……」

 

「……取り敢えず勇人に報告する前にバレない様に『コレ(勇人の車)』を河童の所に持って行くぞ。それじゃ隙間妖怪に連絡してと……」

 

「……すみません妹紅さん……」

 

……所々ぶつけて来たのかエアロパーツとガラスは割れ、ドアやボンネットは凹み、エンジン部から煙が出る等、高級スポーツカーとは言い難い『見るに痛々しい哀れな姿』になった『勇人の愛車』こと『ランボルギーニ・アヴェンダドール』で二人に合流したからだ。

 

妹紅は頭を抱えながらも三人の協力者である『隙間妖怪』こと『八雲 紫』に連絡し、数秒も経たない内に隙間が現れると三人は廃車寸前……というより廃車になった『勇人の車(ランボルギーニ)』を押しながら隙間に入り、ドイツを後にした。

 

そして、三人は気付かなった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……イーッヒッヒッヒ♪良い事、聞きましたわぁ~……この問題に私達が便乗すれば……あの男『ハヤト』に復讐が出来るわね……首を洗って待ってなさいよ……『博霊の頭領』さん♪」

 

上空から三人の会話を聞きていた『黒い翼を着けた銀髪長髪の少女』が不敵な笑みを溢し、勇人に相当『恨み』を持っているのか、この問題を更に混乱させようと動いていた事に……

 

柏木死亡(タイムリミット)まで残り『2時間』……


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