Admiral of Roughneck~From black to white~ 作:八意 颯人
勇人が紫の作戦に驚いている頃 群馬県のとあるマンションの一室にて
ピンポーン♪
金髪の少女「はーい!……あ!?いらっしゃい三笠さん」
博和「いらっしゃい、三笠さん」
このマンションのインターホンが流れ、金髪の少女が玄関を開けると三笠元帥が手土産を持って、マンションの一室……というより蘭花のマンションに遊びに来たのだ
三笠元帥「お邪魔するわ『マミ』ちゃんに博和さん……はい、横須賀のお土産よ」
金髪の少女改め『マミ』「ッ!?ありがとうございます!今すぐお茶を準備します!」
三笠元帥は十代中頃で巻き髪が特長の金髪の少女『巴マミ』いや、今は一馬と朱里の養子で勇人の義理の妹『上城マミ』に横須賀のお土産『間宮羊羮』を渡し、マミは嬉しそうに台所に行き、三笠元帥は微笑みながら座椅子に座った
三笠元帥「……しかし、あの子……マミちゃんが大将の
博和「そうですね、しかも『親受式』をボイコットした時に勇人と佐世保の艦娘達がマミちゃんを助けたとは……」
三笠元帥「フフッ……あれは大変だったわよ、親受式をボイコットした大将が三越で買い物した帰りに事故に巻き込まれて、世間に非難される覚悟でマミちゃんを
博和「あの時の陛下や総理の寛大な処罰に感謝しないといけませんね」
三笠元帥「……処罰と言うより、あれは
二人はマミと勇人の出会いに懐かしそうに会談するとマミは紅茶が入ったティーカップを机の上に並べながら言った
マミ「お待たせしました……お義母さんに『お裾分け』して貰った紅茶『フォートラム・メイソン』を淹れてきました」
三笠元帥「フォートラム・メイソン!?あの馬鹿姉ぇ……私に内緒で高級の紅茶を……私も欲しかったのにィィィ!!」
マミ「フフッ……大丈夫ですよ、まだ有りますので持って行きますか?」
三笠元帥「本当に!?流石、大将の義妹よ!気前が良いわ!!」
博和「というより、よく手に入ったな……ソレ……」
マミ「フフフ……そうですね……」
三笠元帥は朱里が高級の紅茶を隠し持っていた事に悔しいのか、羨ましそうに言うと、マミは三笠元帥にフォートラム・メイソンを分け与える事を提案すると三笠元帥は喜んで承諾すると、三笠元帥は微笑んでいるマミを見て安心したのか、マミの
三笠元帥「……しかし良かったわ、あの
マミ「……これも兄さんや兄さんの所の金剛さん達のお陰です、兄さん達が居なかったら私も『死んでいた』かも知れません」
三笠元帥「……強いのね、両親も事故で亡くなっても尚、強く生きるなんて……」
三笠元帥は両親の死から立ち直り、強く生きているマミを見て微笑み、マミを褒め称えるかの様に呟くとマミは三笠元帥の賛美に少し俯き、三笠元帥の言葉に謙遜し、答えた
マミ「いえ……正直言って、まだ引き摺っている所もあります……只、兄さんが入院中の私に、こう言ったのです……『亡くなった人は、どんな事であろうとも戻って来ないし会える事は無い……だが死んだ人は魂になっても、今生きている
三笠元帥「フフッ……大将らしい不器用な考えね……」
博和「ええ……そうですね」
マミ「はい!私は、その
三笠元帥「そうね……じゃ、今度はマミちゃんが大将達に
マミ「はい!」
マミは三笠元帥の言葉に強く、はっきりと答え、紅茶を堪能し始めた
場所は変わり 舞鶴鎮守府にて
勇人「……道中兄妹を……
勇次「ずいぶんブッ飛んだ事を言うな……」
一馬「……お前ら二人が言うな……んで紫、お前の作戦の内容の細部を教えてくれ……」
先程の微笑ましいシーンから売って変わって、舞鶴鎮守府は紫の作戦の案に緊迫した雰囲気になっていたのだ
一馬は紫に作戦の細部について聞くと紫は微笑みながら懐から『ある本』を取り出し、一馬達に渡した
紫「……これを読めば、
勇人「ん?……『ブラッ〇ジャ〇ク』……ッ!?まさか……」
勇人は紫から漫画『ブラッ〇ジャッ〇』を受け取り、読み始めると、勇人は漫画の内容と紫の作戦の細部が結び付いたのか、少し驚きながら聞くと、紫は微笑みながら答えた
紫「ええ、私の作戦の要は
一馬「成る程、これなら……」
勇次「道中の作戦を逆手に取る事が出来るな」
美奈「……私は反対です」
紫「……理由を聞こうかしら」
一馬と勇次は紫の作戦の細部を察し、賛同すると、美奈は紫の作戦に反対し、紫は美奈に質問をし、美奈は少し怒りながら答えた
美奈「仕返しの為だけに……殺すのは間違っています!!彼女達にも罪を償う権利があります!!」
美奈は道中兄妹を殺す事を嫌がり、二人に真っ当な方法で罪を償わせる事を強く要望すると、紫は美奈の意見に反論した
紫「残念だけど、その彼女達の罪の償い方は……『死』しか無いわ……彼女達は、この世界の法律『国際法』に引っ掛かっているのよ」
美奈「国際法?」
美奈は紫が発言した言葉『国際法』について聞くと、紫の代わりに一馬が道中が犯した国際法の一部を簡潔に説明した
一馬「……深海棲艦と裏で手を組んだ事による処罰だ、それを犯した者と深海棲艦達は基本的に
美奈「ッ!?銃殺刑!?」
千川「なら、僕達も……」
二人は自身も国際法を犯している事に気が付き、冷や汗を流しながら聞くと、勇人は二人の不安を一掃する様に答えた
勇人「だから
美奈「え!?バレた時の作戦があるのですか!?」
千川「教えてくれないか!?」
勇人「それは……あ、そういえば取り上げられたんだった」
二人は勇人に作戦がある事に驚き、食い付く様に聞くと、勇人はタバコを取り出そうと懐を漁ったが、美奈に取り上げられた為、諦めて飴を口に含みながら答えた
勇人「1つは連中にバレる前に未来を含め『全員』を艦娘に戻し、連中の目を欺く作戦だ……だが……」
美奈「……問題は未来が
勇人「ああ……もう1つは……これに関しては
千川「賭け?つまり『リスクが相当大きい事』なのか?」
千川は勇人の『賭け』について触れると、勇人は意を決したのか、神妙な表情で答えた
勇人「ああ……それは法の目を掻い潜った『やり方』だから、失敗すれば……全員『処刑』されるリスクのある方法だ……それでも聞くか?」
勇人は美奈と千川に聞くと、二人は黙って頭を縦に振り、肯定すると、勇人は「分かった」と答え、もう1つの作戦内容を打ち上げた
勇人「……今の未来達の立場を『保護』から『捕虜』に格下げ、完全に未来達の身柄を舞鶴鎮守府……柊か千川のどちらかに権限を持たせる事だ……」
美奈「ッ!?未来達を……敵として……」
千川「……もし奴らが僕達が未来達を保護している事がバレたら……」
千川は勇人の『もう1つの作戦』が失敗した時……未来達を保護していた事が公に公表された時の処罰について勇人に聞くと、勇人は俯き、重い口調で答えた
勇人「……刑法81条『
千川「ッ!?そんな事が……」
美奈「……道中は……それを狙って……」
二人は道中の作戦の要である『外患誘致罪』により勇人達を一掃する名目があった事に憤怒し、悔しそうに呟くと紫は勇人の説明に溜め息を尽き、呆れながら言った
紫「ってか……よく、そんな
紫は今、絶体絶命に追い込まれているのは勇人達だけではなく、道中達も同じ状態になっている事を伝え、それを証明する為の証人である大鯨について触れ、勇人に言うと、勇人は頭を横に振り、答えた
勇人「……無理だ、今の大鯨は『死人扱い』になっているから証人として認められ……ん?まてよ……ッ!?そうか!!その『手』が有ったんだ!!」
紫「フフッ……どうやら
千川「ッ!?一体どうしたんだ?」
勇人は紫の言葉の真意に気が付き、立ち上がると千川は勇人の様子に少し驚きながら聞くと、勇人は紫の言葉の真意を打ち明けた
勇人「ああ、証人喚問の時に大鯨のECSを『再起動』させるんだよ!」
美奈「大鯨さんの……ッ!?成る程……そうすれば私達が未来達を捕虜として捕まえていた事の『
一馬「『外患誘致罪』及び『艦娘保護法』により、道中達は処刑される……という訳だな」
美奈と一馬は勇人の言葉の真意を捉え、纏めると紫は微笑みながら言った
紫「フフッ……流石、勇人だわ……こういう『
勇人「お前が言うな……まぁ俺としては『リスクの無い方法』である未来達を艦娘に戻す方法を取りたいが……」
美奈「あの子
美奈は未来が艦娘に戻りたがらない事に懸念しているのか、少し俯くと一馬と勇次は勇人に『ある命令』を出した
それは勇人だからこそ『出来る命令』だった……
一馬「そうだな……勇人、お前が未来を説得しろ……お前ならブラック鎮守府を立て直した実績があるからな」
勇次「しかも前世とは言え
そう、二人は勇人がブラック鎮守府を立て直した実績と未来と勇人の関係を利用し、未来を説得する事だったのだ
それを聞いた美奈と美咲は勇人に頭を下げ、懇願した
美奈「私も協力しますので、未来を……あの子を説得して下さい!お願いします!」
美咲「お願いします!お父s……上城大将!」
勇人「……」
勇人は二人の懇願を聞き、黙り混み、そして意を決したのか、溜め息を尽き、答えた
勇人「……あの頑固娘を説得するのは骨が折れるが……分かった……」
美奈 美咲「ッ!?ありがとうございます!」
勇人「……行くぞ美奈」
美奈「はい」
勇人は立ち上がり、美奈と共に未来達が待機している潜水艦『伊400』に向かった
そして……
憲兵「……アイツが俺の
二人を見守っている憲兵の名札には、こう記載されていた
勇人の前世と同じ名前『龍崎 謙一』と……