Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第84話「案内 舞鶴鎮守府編」

1000 舞鶴鎮守府 執務室にて

 

大鯨「ほげぇ……此処が執務室ですか……」

 

勇人「相変わらず寂しい部屋だな……もう少しインテリアを増やしたら?」

 

千川「そんなに寂しい部屋か?」

 

美奈「そうですよ、大将の言う通り、何かインテリアを買えば良いじゃないのですか?」

 

千川「ふむ……後で検討してみよう」

 

勇人は車椅子に乗せた大鯨を押しながら千川の仕事場である執務室に来ていたのだ

 

勇人と美奈は千川のシンプル……というより質素な仕事場(執務室)の内部を見てアドバイスをすると千川は素直に聞き、少し考えると美奈と千川は勇人に質問をした

 

美奈「大将、参考までに御聞きしたいのですが……佐世保の執務室はどんな感じにしているのですか?」

 

千川「良かったら教えてくれないか?」

 

勇人「佐世保(ウチ)か?佐世保(ウチ)は季節やイベントに合わせてインテリアを変えているんだ……例えば夏なら屋台や浮き輪等を配置し『海の家』にしたり、正月なら炬燵に鏡餅を置いたりしているんだ」

 

美奈「へぇ……なんか楽しそうな執務室ですね」

 

勇人「……そうか?俺は艦娘達の為に行ったまでだ……お陰で財布が軽くなったが……」

 

千川「……同情するよ」

 

千川は勇人の呟きが聞こえたのか、勇人の肩に手を添え、慰めると執務室に訓練の報告しに来た勇人側の一航戦が入って来た

 

赤城「提督に少佐、訓練の事について……って大鯨さん、大丈夫ですか?」

 

大鯨「はい、御心配をお掛けました」

 

加賀「提督、何をやっているのですか?」

 

勇人「ん?ああ……大鯨の配属先についてな」

 

加賀「配属?」

 

加賀は勇人の言葉に首を傾げると美奈は二人に分かりやすく説明した

 

美奈「ECSのコードを入力する際、配属先を決めないといけないので、鎮守府と軍艦『金剛』を案内していたのですよ」

 

赤城「そうだったのですか……」

 

加賀「ちなみに何処に配属するのですか?」

 

赤城は納得し、加賀は大鯨に聞くと、大鯨は少し難しい顔になり、答えた

 

大鯨「う~ん……今の所『佐世保』の方が良いと思っています……」

 

勇人「ほぅ……佐世保(ウチ)にか……」

 

赤城「え!?佐世保に!?」

 

加賀「是非とも佐世保に来て下さい!!歓迎します!!」

 

二人は大鯨の言葉に嬉しそうに言うと、それを聞きつけた千川側の一航戦が入り、二人に反論した

 

千川側の赤城「ちょっと待ったぁぁぁぁ!!大鯨さん!今からでも遅くありません!!すぐに考え直して下さい!!」

 

千川側の加賀「そうですよ!!色んな意味で()()()()()()()()()()()()()()()なんかより、舞鶴の方が良いです!!」

 

勇人 一航戦「ッ!?」

 

美奈 千川側の赤城「あ!?加賀さん!!それ『禁句』!!」

 

千川「あの馬鹿……」

 

千川側の加賀「え?私……何か不味い事でも……」

 

美奈「当たり前です!!」

 

千川側の加賀が無意識とは言え『言ってはいけない事』を言ってしまったのか、美奈と千川は顔面蒼白になり、急いで千川側の加賀を叱ろうとしたが……

 

勇人「オイコラ、誰の家族がキ〇ガイだ?加賀ァ!!!」

 

赤城「轟沈する(死ぬ)覚悟は出来ていますか?」

 

加賀「……頭に来ました」

 

千川側の加賀「ヒッ!!!!!」

 

美奈が千川側の加賀を叱る前に勇人は『Ars move』になり、一航戦は艤装を展開し、殺意丸出しの状態で千川側の加賀に脅すと千川側の加賀は恐怖のあまり腰を抜かし、泣きながら縮こまると美奈も『あの時』のトラウマが再発したのか、少し震えながら勇人に言った

 

美奈「た……たたた大将……お……落ち着いて下さい……加賀さんも悪気があって言ったんじゃ……」

 

千川「加賀君!!今すぐ謝るんだ!!殺されるぞ!!」

 

千川側の加賀「わ……分かりました!!大将に赤城さんにアッチの私……侮辱してスミマセンでしたぁぁぁぁ!!」

 

千川側の赤城「加賀さんを許して下さい!!!」

 

千川側の一航戦は泣きながら三人に土下座をすると、勇人は舌打ちをし、艤装を解除し、ドスの効いた声で二人に言った

 

勇人「チッ……今度から気を付けろよ……()()()()からな……二人共、艤装を解除しろ」

 

赤城「……分かりました」

 

加賀「……チッ」

 

美奈 千川「ホッ……」

 

千川側の一航戦「ガタガタガタ………」

 

勇人は二人に命令すると赤城は渋々、加賀に至っては納得いかないのか舌打ちをしながらも艤装を解除した

 

大鯨「ほげぇぇぇぇ!?た……大将が……何故『艤装』を!?」

 

大鯨は勇人達の殺気に怖じけつつ、勇人が艤装を展開出来た理由について聞くと勇人は少し不機嫌になりながらも大鯨に言った

 

勇人「……昔の事故でなったんだ……後は聞くな」

 

千川「まぁ一応『アレ』は核兵器よりヤバいから国自体が『アレ』を『特別防衛機密』に指定されているんだ……聞かない方が身の為だ」

 

大鯨「特別防衛機密レベルの!?わ……分かりました……」

 

大鯨は勇人の艤装が特別防衛機密だと知ると、驚愕しながらも勇人の艤装について触れるのを止めると、勇人は一段落したのか、一呼吸を尽き、みんなに言った

 

勇人「さて、鎮守府内を全て見て回ったし……次は軍艦『金剛』の内部を案内するぜ……行くぞ」

 

美奈「宜しくお願いします」

 

大鯨 千川「ゴクッ……」

 

赤城「私達は御遠慮させて頂きます」

 

勇人「ん?何でなん?」

 

勇人は一航戦の二人が残る事に少し疑問視すると、加賀は微笑みながら言った

 

加賀「私達は『この子達』と『御話し(訓練)』をしないといけないので……」

 

赤城「ええ……あの二人に『侮辱した罰(特別な訓練)』を受けさせる為に……ね?御二人さん?」

 

千川側の一航戦「ッ!?提督……間宮さん……助けて下さい……」

 

勇人側の一航戦が微笑みながら千川側の一航戦を睨み付けると、二人は怯えながら千川と美奈に助けを求めたが……

 

美奈「無理無理無理!!!そんな事をしたら大将が……」

 

千川「……上城の方の一航戦、ほどほどに御願いするよ」

 

勇人「……やり過ぎるなよ」

 

赤城「フフ……分かっていますよ」

 

加賀「さて、貴女達の提督から許可を貰いましたので……行きますよ」

 

ガシッ!

 

ズルズル……

 

千川側の一航戦「嫌だぁぁぁぁ!!死にたく無いぃぃぃ……」

 

ガチャン……

 

勇人側の一航戦は助けを求めている千川側の一航戦の襟を掴み、そのまま引き摺りながら執務室を後にした

 

千川「……大丈夫かな……」

 

勇人「大丈夫だ……アイツらも加減しながら訓練するさ……多分

 

美奈「アハハハ……」

 

大鯨「……自業自得とは言え、御愁傷様です」

 

勇人「それな……んじゃ、今から軍艦『金剛』の内部を案内するぞ」

 

執務室に残った四人は千川側の一航戦に同情するかの様に合掌しつつ、勇人が改造した『移動要塞』である軍艦『金剛』に向けて足を運んだ

 

 

そして佐世保鎮守府 第二前衛基地 執務室では……

 

 

群像「あの……犬走さん」

 

椛「……はい?」

 

群像は向かい席に座っている椛に『ある事』いや『椛の隣に座っている女性』について聞いた

 

群像「隣の『巫女さん』は誰ですか?」

 

椛「……私の上s……知人の『東風谷 早苗』さんです」

 

群像「知人……ですか……」

 

群像は椛の隣に座っている女性こと早苗について聞くと、早苗は微笑みながら答えた

 

早苗「ええ、私が椛の知人でもあり、ハヤチャン……いえ群像君の祖父である『上城勇人』の()()よ」

 

群像「……え?お祖父ちゃんの……彼女?」

 

椛「群像さん、一応訂正を入れますが彼女は貴方のお祖父様の『元カノ』です……それに早苗さん、此処では『彼女発言』は止めて下さい!色々と問題になりますから!」

 

群像「……そうでしたか」

 

早苗「ちぇ……」

 

群像は早苗の爆弾発言に少し驚いたのか、呆気ない口調で質問し、椛が早苗の発言に訂正を入れながら答えると群像は安堵し、お茶を啜ると……

 

バーン!!

 

早苗「ッ!?」

 

群像 椛「あ……」

 

突然、何者かによって扉が爆破され、早苗は驚き、椛と群像は爆破した犯人が分かっていたのか、少し呆れ始めた

 

その犯人とは……

 

金剛「テートクのgirl friend(彼女)!?どういう事デスか!?」

 

榛名「許さない……榛名の提督を……」

 

鹿島「早苗さん……少し御話しをしませんか?」

 

比叡「ヒェーー!?落ち着いて下さい金剛御姉様!!」

 

霧島「榛名も落ち着いて!」

 

香取「鹿島!!彼女は提督の元カノよ!!だから正気に戻って!!」

 

武蔵「すまない犬走少尉に群像……客人の前で……」

 

目のハイライトが消え、殺意に満ちた表情で艤装を展開した金剛と榛名そして鹿島が執務室の扉を破壊したのだ

 

そして比叡と霧島そして香取が慌てて三人を止めるかの様に羽交い締めをし、武蔵が申し訳無さそうに椛達に謝罪すると椛と群像は頭を抱えながら、早苗は微笑みながら答えた

 

椛「はぁ~……遅かったか……」

 

群像「ったく……あの天然タラシが……」

 

早苗「別に構わないですよ……お久しぶりです『たけぞう』さん」

 

早苗は武蔵を一馬側の方だと勘違いをし、頭を下げると武蔵は「やっぱりか……」と呟き、少し頭を抱え、早苗の言葉を訂正する様に答えた

 

武蔵「……それは提督の『父親』の方だ、それに私は貴女とは『初対面』だが……」

 

早苗「あ……スミマセン……てっきり……」

 

早苗は勇人側の武蔵を一馬側の武蔵(たけぞう)だと勘違いをし、申し訳無さそうに武蔵に謝罪すると、武蔵は微笑みながら答えた

 

武蔵「フッ……気にするな、一般人からすれば同艦の区別は出来ないからな……一応知っていると思うが、私は大和型二番艦『武蔵』だ、宜しく頼む」

 

早苗「ハヤt……上城大将の『()交際相手』で『友人』の東風谷早苗です、先程は失礼しました」

 

金剛「ッ!?」

 

武蔵と早苗は互いを握手すると金剛は早苗の『ある言葉』に反応したのか、鬼気迫る様に質問した

 

金剛「テートクの『元カノ』デスか!?それじゃ……テートクの『初めて』を奪ったのは……東風谷さん、貴女デスか!?」

 

榛名 鹿島「ッ!?」

 

群像「ブッ!?ちょ!?金剛さん!!朝から何を言っているのですか!?早苗さんが困っています!!」

 

金剛「群像は黙って下サーイ!!さぁ!早く答えるのデース!!」

 

榛名「答えて下さい!!」

 

鹿島「どうなのですか!?」

 

金剛、榛名そして鹿島は群像の言葉を遮り、早苗に鬼気迫る勢いで質問……というより尋問を始めると、早苗は勇人と付き合っていた頃を思い出したのか、赤面しながら答えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早苗「……ハヤチャンは『初めて』かどうかは分かりませんが……私の『()()()』をあげましたよ」

 

金剛 榛名 鹿島「なん……だと……」

 

早苗の爆弾発言に三人は崩れ落ちるかの様に膝を付き、ショックのあまり言葉を失った

 

群像「何て言うか……その……『巫女』として『その発言』は不味いんじゃ……」

 

椛「……全くです」

 

武蔵「()とは言え……流石、提督の彼女だ……相当、肝が据わっているな……」

 

群像達は早苗の発言に色んな意味で呆れると、早苗は微笑みながら答えた

 

早苗「フフフ……こういうのは常識に()()()()()()()()()のですよ武蔵さん」

 

武蔵「……皮肉のつもりで言ったんだが……」

 

群像「早苗さん……それ、お祖母ちゃんに()()言わないで下さい」

 

早苗「お祖母ちゃん?」

 

早苗は群像の『祖母』について聞くと、群像の代わりに武蔵が答えた

 

武蔵「副総司令官の『桜花優花』大尉の事だ」

 

早苗「あぁ……成程……蘭花さんの隣に飾っている写真の女性が群像君の祖母でハヤチャンを狙っている女性ですね……あの女には絶対渡さないわ

 

早苗は執務室に飾っている『歴代の提督達の写真』の中に『蘭花と同じく女性用の提督服を着た若い女性』……『桜花優花』と書かれていた写真を見付け、対抗心を燃やしているのか、嫉妬しながら納得すると武蔵は早苗の呟きが聞こえたのか、少し呆れながら言った

 

武蔵「……これ以上、佐世保(ウチ)を修羅場にするの止めてくれないか?提督が心労で倒れるからな」

 

早苗「フフフ……必ずハヤチャンと寄りを戻して……群像君とは違う『未来』を作ってやるわ……」

 

武蔵「人の話を聞けよ」

 

群像「うわ……まるでタカオを見ている気分だ……」

 

霧島「……同感です」

 

群像は早苗を見て、群像の世界に残っているタカオと被ったのか、少し呆れながら言うと霧島もまた呆れながら同意した

 

ちなみに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルッ……

 

勇人「ッ!?」

 

美奈「どうしたのですか?」

 

美奈は軍艦『金剛』に向けて移動中の勇人が震えたのを感じ取り、恐る恐る質問すると勇人は少し青ざめながら答えた

 

勇人「何か寒気が……」

 

美奈「風邪を引いたのですか?」

 

勇人「違う……この感覚……()()味わった感覚だ」

 

美奈「……あまり無理しないで下さいね」

 

勇人「ああ」

 

美奈は何かを察したのか同情する様に優しく勇人に問い掛けたのは言うまでも無かった


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