Admiral of Roughneck~From black to white~ 作:八意 颯人
1030 軍刑務所 面会室『893』号室前にて
勇人「……此処か」
一馬「ああ……ん?コンゴウは?」
勇人「御花を摘みにいった」
一馬「……成程な、んじゃ行くか」
勇人と一馬は扉の前に立ち、一馬は扉のドアノブに手を掛け、時計回りに捻りさせ、扉を開けると、部屋はガラスで仕切られ、仕切られたガラスの向こうに義手、義足を着けた優香里が椅子に座って待機し、勇人達を出迎えた
優香里「……久しぶりね、一馬にハヤチャン」
一馬「俺は逢いたくなかったがな」
優香里「……相変わらずツレないわね」
勇人「自業自得やろ……久しぶりだな、お袋……」
優香里「ええ、久しぶり……ハヤチャン」
勇人「マジで『それ』は止めてくれないか?もう22だぞ」
優香里「あら?
勇人「うるせぇ」
一馬「
優香里「そう?」
勇人「……泣けるぜ」
一馬は優香里の再会に顰めっ面になり、勇人は普段通りの傍若無人な態度で軽い雑談をしながら椅子に座り、同席していた刑務官に御願いした
勇人「……すまないが、久々の親子の再会だ、席を外してくれないか?」
刑務官「分かりました……外で待機してますので変な真似を起こさないで下さい」
勇人「わーったよ」
勇人は刑務官が退室したのを確認すると、部屋に備え付けられていた防犯カメラを見た途端
ボン!
小さな破裂音が聞こえ、優香里は破裂音に違和感を覚え、勇人に聞いた
優香里「ん?何か破裂音がしなかった?」
勇人「そうか?俺には聞こえなかったが?」
一馬「気のせいじゃねぇのか?」
一馬(アイツ、傍聴出来ない様に遠隔操作で施設のブレーカー内の全てのカメラの電源ヒューズを過電圧で破壊しやがった!?いくら何でも、やり過ぎだ!)
勇人(……だが、これで
一馬と勇人は内心、コンゴウの大胆なやり方に焦りつつも、何時もの冷静な態度を変えず、勇人は優香里に質問を始めた
勇人「お袋、ショートランドの秋月について、何か知っているか?」
優香里「秋月?まさか道中の所の?」
勇人「ああ、出来れば道中に関する情報も知っていたら教えてくれないか?」
勇人は優香里に御願いすると、優香里はカメラを気にし出したのか、少し言葉を濁らせながら言った
優香里「……そんな事をしたら……」
勇人「カメラか?カメラなら
優香里「はぁ!?一体どうやって!?ってか
勇人「……俺のツレがブレーカーのヒューズを遠隔操作で破壊したんだよ」
優香里「ツレ?誰を連れてきたの?」
優香里は勇人の言葉に驚きつつも、一馬以外の勇人の同行者について聞くと、一馬は外で待機している刑務官達に聞かれたくないのか、
一馬「……『
優香里「はぁ!?あの
優香里は一馬の言葉に驚愕し、小声でコンゴウが仲間になった経緯について聞くと、一馬は冗談を交えながら、さっきより少し大きな声で簡潔に答えた
一馬「『仲間にした』というより、あの事件の後、
優香里「まぁ♪蒼霧事変の時の友軍の旗艦を口説くなんて、御盛んな事ね♪」
一馬「全くだ、若い頃の親父みたいに見境無く口説きやがって……」
二人は微笑みながら小声で言うと、勇人は二人にツッコミを入れながら本題を言った
勇人「誤解を招く言い方は止めてくれ……んで、んで話を戻すが、秋月を
優香里「……」
勇人は神妙な表情で聞くと、優香里は黙って頭を頷いた
勇人「……だろうと思った」
優香里「って事は秋月も
一馬「いや舞鶴だ」
優香里「何故、舞鶴の事を貴方達が?」
優香里は勇人達が舞鶴に居る事に疑問し、質問すると勇人は簡潔に答えた
勇人「蒼霧事変の時に世話になったからな……その御礼参りだ……今は防k……
優香里「……成程ね、それで秋月を轟沈させた道中について聞きたい訳ね」
勇人「そう言う事」
優香里は内容を察し、質問すると、勇人はラフな口調で肯定すると、優香里は「分かったわ」と言い、道中について説明し始めた
優香里「道中の素性は分かっているよね?」
勇人「ああ、年齢は俺と同じ年……というより『高校の時の同級生』で18の時に提督として海軍に入隊し、去年、ショートランドの司令長官に就任し、蘭が築き上げた『
優香里「……ええ、そうよ」
勇人「……だが、アイツが提督をしていた時の
優香里「……北の将軍様といい、C国の政治家といい、更にはテロリストまで……相変わらず『
一馬「うるせぇ」
勇人「……お袋」
優香里は今までの勇人の行動を思い出し、呆れながら一馬に同意を求めると、一馬は少し不貞腐れながら答えると、優香里は「ごめんなさい、話が逸れたわね」と謝罪し、道中の『やり方』について説明し始めた
優香里「道中は勇人や柏木みたいに、最初から、
勇人「……
勇人は優香里の説明に道中の『普段の
優香里「……そうよ」
勇人「チッ!胸糞悪い
一馬「全くだ……このまま野放しすると
勇人「……ああ」
道中の冷酷で卑劣な戦術に二人は憤怒し、優香里に関しては『事の重大さ』が分かっていたのか、目が据わり、神妙な表情で言った
優香里「勇人、あの女は勇人の同期である『第一研修部隊』の連中と手を組んでいるわ……あの女が率いる仲間は深海棲艦だけでは無い事を
勇人「……上等!!一泡吹かしてやらぁ!!」
一馬「ああ!情報ありがとうな優香里」
優香里「やるからには
勇人「何だ?」
勇人と一馬が意気揚々と退室をしようとした所を優香里は勇人を止め、止めた理由を言った
優香里「……
勇人「……何て?」
勇人は『優香里に似た女性』と勇人の元交際相手である早苗の伝言について聞くと、優香里は伝言内容を勇人に伝えた
優香里「……私に似た女からは『五年前、貴方が封印した
勇人「……分かった、んじゃ俺達は舞鶴に戻るわ、ありがとう」
一馬「……今度は朱里と孫を連れて来るからな」
優香里「ええ、楽しみにしているわ」
勇人と一馬は優香里に礼を言い、コンゴウと共に刑務所を後にし、舞鶴鎮守府に戻った
道中に反撃の狼煙を上げる為に……