カルデアの1日   作:大学生カッコカリ

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何度か聴き直してたら流れそのものまで変えてた…ドウシテコウナッタ


黒き騎士王のマチアソビ 中編

若者の街、新宿。かつて私は、特異点となったこの街に現れ、天文台の魔術師––−今は召喚されマスターと呼んでいる–––と共に戦い、苦難を乗り越えた地として記憶している。

今回この地を再び踏んだのは、マスターに礼をしようと思い、ここへ連れてきた。

今までなんだかんだと文句を言いながらも、私に好きなようにやらせてくれた、その恩返しとも言うべきものだ。

とは言ったものの、恩返しの仕方などわからん。故に、私の休暇に付き合う形で恩返しをすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒王「–––––ふと思ったが、貴様との付き合いもだいぶ長いものになったな」

 

ハンバーガーを含み、コーラで流し込んでからそう言い出す。

口の周りを拭きつつマスターを見よると、キョトンとした顔で動きが止まっていた。

 

 

ぐだ「あー…。言われればそうだね。確か初めて会ったのが一昨年の10月だから…」

 

 

黒王「今年で2年だ。貴様と出会い、私が敗北して召喚されたのが、な。」

 

 

ぐだ「ああ、そうそう!召喚の時で思い出した!オルタを召喚した時、やたら不機嫌だったけどなんであそこまで怒ってたんだ?」

 

む?召喚された時…ああ、アレか。

 

黒王「そんなの当然だろう。誰が好き好んで自分を打ち負かした相手に召喚されたがるか!しかも倒して日が浅いうちに」

 

※作者がゲームを始めたのが2015年10月10日。オルタを召喚したのが同年10月12日。

そりゃ不機嫌にもなりますヨネ!

 

 

ジト目でマスターを睨む。頬をかりかりと小さくかきながら彼は情けない声で言った。

 

 

ぐだ「むぐっ、それを言われると弱るな…。

でも、それからは良く俺たちのことを助けてくれたよな。今まで一緒に行った特異点全てでさ」

 

 

黒王「……一体、何のことだ。」

 

 

ぐだ「知ってるよ。特異点で野宿してた時、よく見張りをしてくれてたじゃないか。

他にもマシュのことを気にかけてくれたり、ジャックやナーサリーの面倒も見てくれたり」

 

黒王「…………さて、そうだったか?」

 

 

––––––知っていたのか。一体誰から––––––

 

 

ぐだ「前にね、ロマンから聞いたんだ。オルタが頑張ってくれてたこと」

 

 

––––––––あの男の顔が脳裏にちらつく。夕焼けに色づく街並みの中、笑顔で手を振っていた。

 

 

ぐだ「ほんの数人しかいないサーヴァントたち。ボロボロのカルデアと疲弊した職員たち。その中で率先してみんなを助けようと尽力してくれたってね」

 

 

黒王「…いいのか?」

 

 

ぐだ「へ?」

 

 

黒王「あの男の話をして、良いのか。もう、大丈夫なのか」

 

 

…私が一番懸念しているのはそこだ。

あの最終決戦からしばらく経った後、1週間ほど彼は自分の部屋に閉じこもってしまっていたのだ。

理由はやはり、あの男…Dr.ロマンがいなくなったのが堪えたという。

気にかけたサーヴァントたちが部屋の扉越しに声をかけている場面を私も何度か見た。

 

 

ぐだ「ああ、それか。うん、大丈夫だよ。

あれから流石にニ月以上経ってるんだ、問題ない『嘘だな』…。」

 

 

黒王「貴様は気づいていないのだろうが、嘘をつく時、不自然な笑みを浮かべるのだ。

ただ、口元を笑みの形に歪めただけ。分かりやすすぎて呆れるほどにな」

 

 

ぐだ「…オルタに隠しごとはできないな。

うん、そうだね。まだロマ二のことは話すのは難しい」

 

 

黒王「ならばあまり無理するな。我々を繋ぎ止めるものが倒れられては、たとえ私といえど全力を出せん。

辛ければ近くのものに頼れ。マシュや変態(ダ・ヴィンチちゃん)、おせっかいなサーヴァントどもがいるだろう?」

 

 

コーラを一口。喉を潤してからまた口を開く。

 

 

黒王「貴様が誰に話をもちかけようが貴様の勝手だ。だが自分の胸の内に秘めて苦しみ続けることだけは絶対にするな。

そんなもの、ただの自己満足のための自虐でしかない。

誰かに声をかけてもらいたいという浅ましさが透けて見えるからな」

 

 

どこかの時代。どこかの世界線で苦しんだ少女を知っている。憧れた青年にいつか振り向いて欲しい。しかし自らに相応しくない故遠くから見ているしかないと全てを諦めた、藤色の髪の少女を。

 

 

–––––だが、その少女は反転した。

実の姉へのコンプレックス。

願望から欲望への変質。

自らが受けた仕打ちへの恨み。

–––––そして、それらを許容した世界への憎しみ。

 

 

黒王「誰かを頼ることは恥ではない。それは決して悪いことではない。

だが、頼ることもせずに初めから全て諦め、解決策を練ることを放棄したのならば…。その時は愚か者と断じられるだろう」

 

 

そこまで言い切って、再びハンバーガーとコーラを口に含む。座に記録されたこととはいえ、他人事に思えず熱く語ってしまった。

通常、座に記録されたことに実感を得ることは難しい。理解はできても、どこか他人事に捉えてしまうことが多いのだ。

だが、先ほどの記憶はなぜか強い実感を得ていた。なぜか疑問に思うが、今は考えずとも良い、何事も例外はあると捨て置く事にした。

 

 

ぐだ「…その通りだ。ゴメンね、オルタ。

ちょっと弱気になってたみたいだ。

近い内に誰かに相談するよ」

 

 

再び笑みを浮かべるマスター。弱々しいが、先ほどよりはマシな笑みだ。

 

 

黒王「フン。言われずとも、その程度はこなしてもらいたかったがな」

 

 

ぐだ「耳が痛いな…『prrr…』っと、ゴメン。

ちょっと電話に出るね」

 

 

そう言って席を立つ。まったく、デートの最中だというのに無粋なことだ。マナーモードに設定くらいしておけと、そこまで考えて気づいた。

確か、ここは修復されつつある新宿。こちらで知り合った者は私たちのことも忘れている頃だろう。ならば、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

ぐだ「ゴメン、オルタ!清姫とジャンヌオルタがこっちにレイシフトしてるみたい!

ちょっと探しに行ってくるから、待ってて欲し『私も探してやる』…へ?」

 

 

黒王「私も探してやるとと言ったのだ。さあさっさと探すぞ、モタモタするならば置いていく」

 

 

きっと私の顔はとても不機嫌ですとでもいうような顔になっているだろう。マスターの顔が引きつっていることから容易に想像がつく。だが察して欲しい。

説教のような形になってしまったとはいえ、語り合っている最中に水を差されただけでなく、(恐らく)面倒ごとまで連れているだろう愚か者どもを迎えに行かなければならないのだ。しかもそれが喧嘩腰で絡んでくる突撃バカ女と会話が成立しないヘビ女なのだから、なおさらだ。

 

 

黒王「マスター、あの二人を捕まえたら処罰は私に任せてもらおう」

 

 

ぐだ「…あまり酷いことはやめてあげてね?

殺し合いに発展しそうなら止めるから」

 

 

黒王「相変わらず甘いな。貴様も一度教育し直すとして…居場所は掴めるか」

 

 

ぐだ「謹んで遠慮したいな。あのデカい百貨店の裏路地にいるみたい。行こう」

 

 

こうして、私とマスターのデートは終わってしまった。が、意外にも残念という気持ちは浮かんでこなかった。代わりに浮かんだのは喜悦。あの二人をどうしてやろうかという思いで、顔はニヤリと笑っていた。

 

 

黒王「うむ、行くか。

 

 

トカゲ狩りだ、決して逃さん」




お久しぶりです、作者です。
一月経ってしまい申し訳ございません。
ちゃうんや、ちゃうんや…元々二話で終わらすつもりやったんや。
けど『なんか違うなー』と思いながら変更加えてったらいつの間にか三話分にまで伸びちゃったんや…。
後半は多分短くなると思います。確約できないけど…(汗)。

さて、fgoはエイプリフール、ぐだぐだイベ復刻と続編の明治維新まできましたね。
fgogo楽しかったですね〜。けど最後のロマンは反則。
あんなん卑怯ですやん…裏話聞いたら更に切なくなりますやん…。
それはそうと、本能寺では必要な素材は全部交換しました!
維新の方はやっと礼装交換が終わったとこです。
次は素材だ…周回しなきゃ…採集シナキャ…(お目目ぐるぐる)。

沖田さんガチャ回しまくりましたが見事に爆死しましたよHAHAHA!

知ってた(絶望)

土方さんガチャは石がないんで回せないですね〜。単発数回でエレナと六天魔きましたけど、さすがにこれ以上は狙えそうにないです…。

そうそう。作者は前にも書きましたが、失踪する気はないので安心してください!
更新ペースが遅いのは大変申し訳ないですが、それでも頑張ってあげていきますので!それでは!

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