何もできない僕の物語   作:必殺うぐいす餅

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今回は少し短めです、文が切れなかったんです・・・もしわけないことです・・・


第8話

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昼下がりの森の中、僕達は馬車で街道を進んでいく。

あの後、徒歩より良いと使えそうな馬車を調達した。馬は宿屋に留めてあったのが生きていたので拝借した。

ごめんなさい・・・いつか返せたら返します・・・

そんな事を心で思っていた。

真っ赤な髪を天に向かって撫で付けながらフーガさんが言った。

「おかしいな・・・魔物たちは徒歩で向かってんだろ、ならもうじき追いついちまうんじゃないか?」

この髪、ずいぶん長いけどどうやって立たせてるんだろう・・・

そんなくだらないことよりも魔物のことだ。確かに徒歩で向かっていたはずなのに・・・

その言葉に御者をしていたレオンさんが顔をしかめる。

「夜通し歩いていたとしてももう追いついていてもおかしくない・・・」

その言葉に僕は最悪を考えた、既に魔物が自分の町に着きオラドゥールと同じことになっているんじゃないかと。

「は・・・はは。そんな、じゃあ、もう町について・・・町が・・・」

青ざめ、動揺する僕の頭が優しく撫でられた。

「最悪、町は襲われているかもしれません。でもヨアン君、大丈夫ですよ。私達が王都を出た時点で避難の指示、そして騎士団の編成が始まっていますから。人が無事なら、すぐに復興できます」

そう優しく、安心する声音でリプトさんが話しかけてくる。

「そう・・・ですよね、町が無くなっちゃうのは辛いですけど・・・皆が生きていればすぐに元通りですよね!」

僕は勤めて元気に言う、自分に言い聞かせるように。

「とにかく、ここからは気を張っていこう。最悪市街戦になる・・・皆、準備だけはしっかりと」

レオンさんのその言葉を皮切りに皆の顔が真剣な物に変わる。この人達に任せていれば安心できる。そう思わせるだけの風格と力強さがあった。

 

 

無言の僕たちを乗せ馬車は森を抜けた。森を抜ければすぐに門が見えてくるはずだ。

だけどそこに門はなかった。

 

見えたのは門だった物、崩れ瓦礫と化した物。

 

 

 

 

 

 

僕が毎日のように見ていた、頼もしかった城壁はもうそこにはなかった。

 

 

 

 

 

 

そして、中では目を覆いたくなるような・・・凄惨な光景が広がっていた。

崩れた城門のすぐ下で倒れ伏す兵士、そのすぐ先に倒れるたくさんの人、人、人

 

普通の町人の格好をした人達。

僕はわけがわからなかった、町に避難指示が出ている?ならどうしてこんな光景が広がっているのだろう。

少し先に倒れているおばあさん、いつも門前広場の花に水をあげていたのを覚えてる。

 

わからない

 

わからない

 

わからない

 

皆避難をしたはずだ、だってそうだろ?避難指示が出てた、騎士団も向かっていた、『最悪』の場合でも町の人は無事なはずだ。

 

 

そうだ、僕はきっと馬車の中で眠ってしまったんだ。それでこんな悪夢を見てしまったんだ。

あはは、そうだ、これは夢だ。そうに違いない、それ以外であってたまるものか。

 

 

だけど現実はいろんな情報を僕に伝えてくる。

未だ燃える町の熱、オラドゥールでも嗅いだ・・・血の匂い。

 

 

ああ

 

 

あああ

 

 

 

「あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

僕は、この現実に耐えられない。耐えられなかった。

 

 


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