「さぁ、今日も元気にお買い物ですよ!」
朝、テンション高めのリプトさんに起こされた。
「早すぎ、まだお店も開いてない」
リリアも不機嫌そうにベッドに腰かけている。
「東方のことわざで、一日の計は朝にありって言ってね?朝ご飯を作りながら今日の計画を練りましょう!」
気が付くと僕とリリアは宿舎の厨房に立っていた。
「はい、ヨアン君はこれの皮をむいて。リリアはこれを洗って盛り付けておいてね」
てきぱきと動き、僕たちも手があかないようにてきぱきと指示を出してくる。
瞬く間に厨房全体においしそうなにおいが漂ってくる。
「ふふ、二人が手伝ってくれたからいつもより美味しくできたわ」
丁度出来上がったタイミングで外からレオンさんが入ってきた。
「おはよう、いい匂いだね」
鍛錬を終えた後なのだろう、上半身裸のままだ。
「おはようございます、レオン。朝食ができていますよ、着替えてきてください」
「あぁ、すぐ来るよ」
レオンさんが上に上がってすぐにフーガさんも降りてきた。
「ふあぁ~、おはよう」
「おはようございま、フーガ。朝ご飯ですよ、はやく顔洗ってきてください」
リプトさんが優しい声をかける。聞いていて思うけど、リプトさんってなんか、母さんみたいだな。
「さぁ、出来上がった料理を運びましょう。二人も席についてね」
「今日、この糧を得られることを神に感謝します」
食前の祈りを終え皆で食べ始める。
「ぉ、今日も美味いな」
「今日は一段と、ですよ。ヨアン君とリリアが手伝ってくれたんですよ」
リプトさんが嬉しそうで僕も嬉しいんだけど・・・
「手伝ったって言っても、僕皮をむいただけですよ」
「私はサラダを洗っただけ、味は変わらない」
気恥ずかしさか、僕だけじゃなくてリリアも乗ってきた。
「あら、変わりますよ。料理は籠める気持ちで味も変わってくるものなんです」
「そうだね、二人が頑張ってくれたからかな、とても美味しいよ」
僕は照れながら、リリアも・・・照れているのかそっぽを向きながら食事をとった。
「さて、今日の予定だけどリプト、ヨアンとリリアを連れて食料とそれぞれに必要なものを買ってきてほしい、他のものは僕とフーガのほうで済ませておくよ」
「はい、こちらは任せてください。ヨアン君、今回もいっぱい手伝ってもらうからね?」
リプトさんはそう言って優しげな笑顔を浮かべた。
そして現在、僕たちの一行は大量の荷物を背負い街を歩いていた。
かなり大きなリュックサックを買ってもらいそれに荷物を詰めてきたのだが・・・
僕が張り切りすぎたのか、行く先々で値引き交渉を行い予定よりかなり多く保存食を手に入れられた。
そのおかげで買ってもらったリュックには服や薬草類、保存食に装備の修理用品と雑貨屋でも開けそうな状態になってしまっていた。
「ちょっと買いすぎちゃったかしら。ヨアン君持てる?大丈夫?」
とことあるごとに心配されてしまっている。僕はその度に「確かにレオンさんとかフーガさんと比べれば力はあんまりないですけど・・・これでも父さんの手伝いで重いものを持ったりはしてましたから、このくらいは大丈夫ですよ!」
と何度も説明をしている。
そんなやり取りを繰り返し、リリアに半ば呆れられながらもようやく宿舎へと着いた。
入り口ではフーガさんが馬車の点検をしていた。
「フーガさん、もう帰ってたんですね」
そう声をかけるとフーガさんが顔を向けて声をかけてくる。
「おう、帰ったのか・・・また随分買ったな、予算超えてんじゃねえか?」
「いいえ、これでも予算内。それも余裕を残してるんですよ。ヨアン君がたくさん頑張ってくれてね?」
「へぇ、ヨアン。お前値切りの才能あるんだな。ならこれからは買い物はヨアンに頼むとするかな」
そういってぐしゃぐしゃと頭を撫でてくる。
「それで・・・おいヨアン、昨日はどうだったんだ、ん?」
唐突にそんなことを聞いてくる。それもものすごく嫌な笑顔で肩を組んでだ。
「いきなりなんですか、昨日はどうだったって普通に家具を買って、運んでもらって・・・」
「ちっげぇよ!夜だ夜、どうだった、優しくしてやったか?ん?」
夜ってあの騒動のことを言っているんだろうか・・・この人は・・・
「なにもありませんよ、あれは事故ですからその、そういう風に言うのはリリアに失礼です」
ちなみに、昨日の事件があってからリリアは僕のほうを向いてくれないし話もしてくれていない。
「バカ!お前女に抱き着いてただの事故ですのほうが失礼だろ、ほら、なんかあんだろ?」
そう聞いてきた瞬間目の前でパチンと音がした。
「全部聞こえてる、変態はフーガだった。ヨアンは許す、次はない」
リリアがとても鋭いビンタをお見舞いして宿舎に入って行ってしまった。
「ぁ~・・・正直すまんかった。あれガチで怒ってるじゃねえか・・・」
そう言って頭をかく。そりゃ怒る、きっと同じ立場なら僕だって怒る。
そして・・・僕たちは後ろにいる修羅に気付かなかった。気付くことができなかった。
「フーガ。少し、やりすぎましたね・・・さぁ、こちらに来てもらいましょうか、ちょっとお話ししましょうか」
大地が震える錯覚を覚える、鬼気迫るリプトさんの顔が迫る。
そしてフーガさんの首根っこを掴むととても聖職者とは思えない力で引き摺っていく。
「ちょ!まて、俺が悪かった!だから離せ!な?」
「あらあら、何を言っているのかしら。ちゃんと話しますよ。えぇ、お部屋でね?」
「話すってそっちじゃねぇ!おい!待てこら!!」
そうして二人とも宿舎に入って行ってしまった。触らぬ神に祟りなし、僕はその光景を見守ることしかできなかった。僅かでも慈悲があるようにと神に祈っておいた。
日常・・・なのかなぁ・・・
なんとか書き上げて投稿です、最近休みすら取れない状況に陥り朝晩仕事中に何とか書き上げている状態です。文章の添削、再考ができずに質が落ちているんじゃないかとものすごく心配になっています(ぶっちゃけ添削してても質が低いとかは言ってはダメです、私がへこみます)
御意見など常時募集中ですので何かありましたら是非お願いいたします。
ぁ、今のところの予定ですが次話、またはその次の話から話が動き出すと思います。
このような駄文ではございますが少しでも皆様に楽しんでいただけているのなら幸いです。