何もできない僕の物語   作:必殺うぐいす餅

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何とか間に合いました。
気を付けて書いたつもりではありますが何分急いで書いた物でもありますので誤字脱字等もしありましたら一報いただけたら嬉しいです。



第14話

馬車の中、僕たちは思い思いに過ごしていた。

フーガさんは寝転がり、リリアとリプトさんは大人しく座っている。僕は後ろから景色を見たり。

「皆、王都が見えてきたぞ」

レオンさんの声に皆が前を向いた。

「王都ですか、僕初めてなんですよ」

「はは、王都は人が多いからなぁ、迷子になるんじゃねぇぞ?」

フーガさんが意地悪な笑顔でそんなことを言ってきた。

「フラングだって人は結構多いんですから、大丈夫です!」

「ヨアン、来てごらん。御者台からなら王都が良く見えるよ」

僕はレオンさんの横に腰掛け、前を向く。

「うわぁ!」

重厚な壁にそれに釣り合う様な門、その先に大きなお城の尖塔が見える。

そして街自体がでかい、とにかくでかい。フラングも大きい街だと思っていたけどそれよりもでかかった。

「ふあぁ・・・大きいですね~」

「は、おのぼりさん」

リリアのそんな反応に僕の顔は少し赤くなった。

「ぇっと、その僕」

そんな様子を見てリプトさんが頬に手を当てる。

「あらあら。もう、いじわるしちゃだめよ」

そんなやり取りをしながら、僕たちは王都の門をくぐった。

 

 

 

 

外から見たときも大きな町だと思っていたが中は想像以上だった。

馬車が何台もすれ違えるような大きな通り、その脇にこれまた大きな歩道がありたくさんの人が行き交っている。

数々の商店が並び喫茶店や酒場も多い。つい、同じお店がこんなにあってどうして潰れないのかと考えてしまう。まぁ人の数がそれだけ多いのだろうと結論付ける。

「そういえば、このあとどうするんですか?直接お城に行くんでしょうか」

隣に座るレオンさんにそう問いかける。

「いや、まずは宿舎だね。その後僕は馬車を返しに騎士団まで行ってくるよ、そのまま謁見の手続きをしてくるから皆はゆっくりしていてくれ」

「謁見の手続きですか、やっぱりすぐに合えるわけではないんですね」

「ははは、たしかに僕らは王様の命令で動いているけどね、帰ってきたから会いましょうで会えるほど王様も暇じゃないよ。ただ今回は危急の用件でもあるからね、優先的に通されるはずだよ」

「魔王の復活なんて一大事でも順番待ちなんですね・・・」

少しだけど不満が募る、魔王の復活なんて国の一大事だろうにそんな悠長でいいのだろうか。

「ヨアンの不満は分かるよ、だけど仕方ないんだ」

話をしているうちに宿舎へついたようでレオンさんが馬車を止める。

そこそこ大きな、けどちょっと古めかしい屋敷だった。

「さぁ、僕たちの宿舎に到着だ。疲れただろ、ゆっくり休むといい」

そう言って頭を撫でてくる。なんで皆僕を子ども扱いするのか・・・納得がいかない。

皆が馬車から降りてきてそれぞれ体を伸ばしたりしている。

「僕はこのまま行くからフーガ・・・は不安だな、リプトこの場は頼んだ」

「はい、お任せください」

リプトさんがいつも通りの優しい笑みで肯定した。

「どういう意味だこら!」

「フーガを自由にしたら絶対酔っ払って帰ってくる」

「あはは、リリアの言う通りかもしれないね」

僕もリリアに同意する。フーガさんってお酒、好きそうだし。

「こらヨアン!お前俺が酒飲んでるところみたことねぇだろ!」

皆から笑みがこぼれる。

「ははは、ヨアンもだいぶ馴染んだね。じゃあ僕は行くよ」

「はい!行ってらっしゃい、レオンさん」

そのままレオンさんは馬車に乗り先に進んでいった。

 

 

 

 

「さて、まずは部屋に案内しましょうか」

リプトさんの提案でまず部屋にいくことになった。

フーガさんは任せたといい自分の部屋に行ってしまった。

案内された部屋はあまり大きくはないが机があり、二段のベッドが置かれていた。

ベッドの下の段に小さなウサギのぬいぐるみが置いてある。

「リプト、ここは私の部屋」

リリアが小さく抗議した。そうか、ここはリリアの部屋なのかと考えていた。

「えぇ、リリアの部屋よね、そしてこれからヨアンの部屋にもなるの」

そうなのか~、ここが僕の部屋に・・・ん、でもリリアの部屋だって、あれ?

「納得できない。みんな一人部屋、それにまだ部屋は空いてるはず」

「そうですよ!空いてる部屋があるならそっちで・・・」

リリアと同じ部屋で過ごすなんて、その・・・女の子と同じ部屋なのはちょっと。

リプトさんは僕たち二人の抗議にもまったく動じずにっこりと聖母のような笑顔だ。

「あらあら、でもあの部屋は床が危ないから。修理もすぐにできるほどお金もないし。それまでは一緒の部屋で、ね?」

「納得できない、男女で同じ部屋はありえない」

リリアはまだ食い下がっている。

「その、リリアも言ってるけど男女で同じ部屋は・・・着替えとかもあるし」

「そこは大丈夫よ、ちゃんと着替えのスペースでカーテンつけるつもりだから」

そこまでして同じ部屋にするのか・・・

「レオンさんやフーガさんと同じ部屋じゃダメなんですか?」

みんな一人部屋って言ってたし、それなら同性の人との方が・・・

「二人はやめておいたほうがいいいいと思うわよ?」

「なんでですか?そりゃ迷惑はかけちゃうと思いますけど」

ふたりには迷惑をかけてしまうと思うけど女の子と・・・こんなかわいい子と一緒だと気が休まらない気がする。

「そうねぇ、フーガはお酒飲むとすごいイビキよ、宿舎だとしょっちゅう飲むし。レオンは・・・朝早くから修行とか精神統一につき合わされたりするわよ?意外と細かいから大変なのよねぇ・・・レオンは」

みんなそれぞれあるのかぁ・・・どうしよう・・・

「さて、部屋はこれで決定ね。それじゃ買い物に行きましょうね~」

考えているうちに決定されてしまった・・・

「リプト、だから」

「はいはい、カーテンとか買いに行かなくちゃね~。ヨアン、荷物置いてすぐに行くわよ」

そう言って荷物を床に置いただけの僕とリリアは手を握られ街に引っ張られていった。

 


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