第一話を書き始めたときはまだ10勇士の時でしたから随分と時間が経ったものです。
ウルトラシリーズはタイガからは追いかけられずにいますし、時間が経つにつれ、もともと考えていたヒーローのシナリオを忘れたりもしました。
でも悪いことだけでなく、良い話を思いついたりもしました。
本当に長い間お待たせしました、久々だというのに短い文章量ですが、投稿させていただきます。
では本編をどうぞ。
ヒーローの前に現れたウルトラマンメビウスは、メビウスディフェンサークルと言われるエネルギーのシールドを解くと、
ヒーローに視線を向け頷いた。
メビウスはベムスターへ向き、構えなおす。
ベムスターはメビウスが現れたからか、
それとも自身の光線を防がれたからか、両腕を荒々しく振り回す。
再びベムスターの角が発光すると、メビウスが高く跳躍する。
ベムスターはメビウスを狙うが、メビウスの動きに着いては行けず、
スワローキックを頭部へ受け、うつ伏せに倒れてしまう。
ベムスターの背後に着地したメビウスは倒れたベムスターへ振り返る。
「危ないっ!」
三原愛がベムスターの僅かな動きを察知するが、メビウスは気が付かず、
倒れたままのベムスターがメビウスへ飛行し、体当たりを直撃されてしまう。
今度は逆にメビウスが地面に倒れてしまう。
ベムスターはメビウスの周囲を飛び回り、角から先程の威力は無いものの、
広範囲に電撃を放ち始めた。
電撃は垣山真司をその身で守るヒーロー、
そして道路へ不時着していた篠崎達、ケツァールバーンティングを襲う。
ヒーローは右手で電撃を防ぎ、垣山を守るが、今のヒーローには篠崎達を守る余力は無かった。
しかし、電撃が機体に当たる瞬間、まるで壁になる様に、光刃が機体を守った。
ヒーローが光刃が来た方を見ると、膝立ちのメビウスがメビュームスラッシュを放ち、
ケツァールを守ったのだった。
メビウスはそのままメビュームスラッシュを、上空を旋回してるベムスターへ放つ。
光刃はカーブしながらベムスターの翼へ2発当たり、地面へバランスを崩しながら着地する。
その隙を狙い、ベムスターへ光線、メビュームシュートを放った。
光線はベムスターへ命中する、はずであったが……。
『防がれた……!?』
ベムスターは腹部にある口を開け、光線を吸収していた。
『ベムスターは腹部の口から光線を吸収してしまうんです!
正面からの光線での攻撃は……!』
護にヒロはベムスターのことを話すが、話している途中であることに気付く。
『そのことをメビウスさんも知っているはずなのに……』
そう、ウルトラマンメビウスは過去にベムスターと戦い、その性質、能力を知っている。
いくらベムスターに隙あったとしても、光線技は慎重に放つべきである。
『ハッ!』
しかし、メビウスは正面から光線の利かないベムスターにもう一度、
メビュームシュートの放つため、エネルギーを溜め始めた。
ベムスターは再び腹部の口を開け、メビウスの光線を待った。
しかし、急にベムスターの背後が数度、爆発する。
背中を見せたベムスターへ、ヒーローがエフェクト・スラッシュを……。
垣山がメテオールショットをベムスターへ撃ったのだ。
ベムスターは腹部の口を閉じ、ヒーローへ向きつつ電撃を放つ。
防御のために、右手を前に出すヒーローだったが、
先程のエフェクト・スラッシュで力を使い切ったのか、光の粒子となって消えてしまう。
その結果、背後のビルの上部が電撃で砕け散る。
そして、何かに気付いたのか再びメビウスへと振り返るベムスターだったが、
既にゼロ距離にまで接近していたメビウスは、ライトニングカウンター・ゼロと呼ばれる、
エネルギーを纏った拳を腹部へ叩きつけたのだった。
遅れてベムスターの腹部の口が開き……ベムスターは爆発したのだった。
ベムスターの腹部の口はウルトラマンの必殺技である光線を吸収してしまう。
メビウスもそのことは当然忘れてはいなかった。
メビウスが光線を放ったのは、ベムスターの隙衝いた瞬間を狙うためではなく、
光線技を敢えて見せ、ヒーロー達から意識を自身に向けるためだった。
爆発した後、黒い粒子が空へ登っていくのを見届けると、メビウスもその姿を消した。
ベムスターが爆発した場所から少し離れた場所に、護とヒロの二人は疲弊した状態で現れた。
当然、メビウスがベムスターを倒す瞬間を二人はその目で見ていた。
「……やったな」
「はい、へとへとですけどね」
二人は辛勝であっとしても、勝ったことを喜び、互いの拳を合わせた。
「お二人とも、助かりました」
そこへ、後ろから二人へ声が掛かる。
二人が振り向くと、そこにはGUYSの隊服を着た男性……。
「メビウスさん……!」
「ミライさん!」
ウルトラマンメビウスの人としての姿である、ヒビノミライが立っていた。
「ミライさん、こちらこそ、助かりました!」
「でも、なんで地球に?」
ヒロがミライに地球に来た意味を聞く。
「それは……。落ち着いて聞いて下さい」
ミライは神妙な顔つきで二人へ言った。
「ヴォイド星人が軍勢を率いて、光の国へ侵攻を開始しました」
「あいつが!?でもさっきまで……!」
「落ち着いて下さい、侵攻を開始したとは言え、光の国に辿り着くまでにはまだ時間があります」
「……どのくらい時間が」
「こっちの時間で約1ヶ月、時間はあまりありません、護さんは僕と一緒に……」
ミライが言葉の続きを言う瞬間、護たちの通信機に通信が入った。
------垣山真司、意識不明の重体------
K76星……、その星の一番高い山の頂上にて、ウルトラマンキングは待っていた。
強い嵐の風が、キングのマントを揺らす中、
目の前で球状のシールドに封じ込めている何かの黒い破片を見つめながら。
「彼らならば、この力を……でなければ……」
静かに脈動する破片……アーマードダークネス、これはその破片である。
キングは未来をその目で見ていた、最悪の未来を。