ウルトラマンヒーロー   作:ホルンでごぜーます

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遅くなりました!!申し訳ありません!!

早速ですが本編をどうぞ!!


全力の激闘1-負思念機械生命体ジー・エンド登場-

午後6時……夕日が窓から差し込む中、護はGUYSの病院のベッドで目が覚めた。

腹部に走る激痛に顔を歪ませながら、ゆっくり体を起こすと、

自分の右手を握り、ベッドにうつ伏せで寝ている坂牧の姿があった。

「心配して見てくれてたのか……」

護は坂牧の頭を左手で数回撫でる。

「目覚めたようだな」

と聞き覚えのある声に体を震わせ、声のする方へ視線を向けると、

セリザワ カズヤ……坂牧由依の父親が護の様子を見ていた。

「セリザワさん、これはその……」

「撫でておいてくれないか?」

セリザワの言葉に一瞬思考が停止した護

「え……いいんですか?」

「由依は君のことをずっと心配していた、それくらいやってやれ」

セリザワの言葉に護は胸を撫で下ろすと、再び坂牧の頭を撫で始めた。

 

「そのままでいいから教えてくれ、ヒロは今どこにいる?」

「ヒロは……フュージョミッションの中にいます」

「そうか、やはりあいつは頭が切れるな。

俺が出るまでもないようだ」

 

「セリザワさん……いや、ウルトラマンヒカリ……。

俺はあいつに勝てるのでしょうか?」

「なに……?」

「俺とヒロ、二人掛かりでも敵わなかった。

ヒロがエネルギーを分けてくれなかったら……あいつの隙をつけなかったら……。

そう考えると、次にあいつと戦うとき……俺はあいつに勝てるのか」

「自惚れるな護」

セリザワの声に護は伏せていた顔を上げる。

「俺たちウルトラマンが、自分一人の力だけで強敵に敵うと……、

戦わなければならないといけないと思っているなら、それは自惚れだ。

ヒロはそれを理解しているからこそ、お前にエネルギーを渡した」

セリザワはフュージョミッションを手に取ると、護に手渡した。

「お前の周りにはGUYSの仲間たちや、俺がついている……当然ヒロもな。

それが分からないなら、ジー・エンドには勝てない」

「ジー・エンド……?」

「やつのレジストコードだ、ジー・エンドはあと3時間で活動を再開する。

お前は仲間たちとできることをしろ、俺もウルトラマンとしてできることをする」

セリザワは右腕にナイトブレスを出現させると、青く輝く石から光を放った。

光はフュージョミッションをしばらく照らすと、フュージョミッションに光が収まった。

「俺のエネルギーをフュージョミッションにいるヒロに与えた。

これで俺はしばらく変身して戦うことはできない。」

ナイトブレスが消えると、セリザワは坂牧の肩を叩き、優しく起こした。

「由依、私たちは基地に戻ろう」

「……もう少しだけ居させてください」

「次の出撃で護たちを守らなくてはならないんだ。

戻って準備しないといけない」

「……はい」

 

坂牧は名残惜しそうに立ち上がると、フュージョミッションを持つ手を両手で包み言った。

「護さん、自信を持ってください。

護さんとヒロさんは今まで地球を、ダークエフェクトに侵された人々の心を守ってきたんです。

技術や実力なんか関係ありません。

誰かを思いやる心を持っているお二人が力を合わせれば……。」

「ありがとう、大丈夫……今度は負けない」

護は坂牧の目を見つめ、そう言った。

坂牧はセリザワに手を引かれ、病室を後にした。

 

セリザワと坂牧は病室出て、病院の出入り口へ向かおうと体を方向転換させた。

しかし、周りに注意していなかったせいか、通行人の男性と肩がぶつかりそうになってしまった。

「申し訳ない、周りを見ていなかったもので……」

セリザワはぶつかりそうになった男性に頭を下げた。

「いえいえ、こちらも急いでいたもので……」

男性は頭を下げ、病院の奥の方へと歩いて行った。

セリザワは男性が見えなくなるのを確認すると、背中で隠れていた坂牧の頭を撫でた。

「由依、もう大丈夫だ」

そう言うと、坂牧は病院の奥を見つめてつぶやいた。

「可哀想な人……」

 

 

 

 

 

 

「病室の確認は出来た……。あとはその瞬間を納めるだけだな」

病院の食堂で、先ほどの男性が缶コーヒーを飲み、笑みを浮かべている。

「あと一人は一体どこにいるんだ……?」

男性は首に掛けてある十字架のネックレスを弄ると、再び笑みを浮かべた。

隣の席に置いてあるバッグの中には大きなカメラが入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、指令室に集まっていた橘、篠崎、垣山、屋久島、三原は現段階で確認できている情報から、

ジー・エンドの倒し方を模索していた。

 

「現地の解析班から送られてきている情報です」

三原は大型モニターにあるデータ情報を映し出した。

「ジー・エンドが今も展開しているシールドのエネルギー量ですが、

元がダークエフェクトという、観測が困難なものなので予測ですけど……。

このシールドを破るためには、

ケツァールバーンティングのスペシウム光線をシールドの一点に集中させないといけません」

篠崎がその言葉に対し、普段は見せない真面目な顔で答える。

「けど、スペシウム光線を撃ったらメテオールのエネルギーが尽きる。

撃つんなら、シールドなんかじゃなくてジー・エンドだ」

 

ケツァールバーンティングの最強の攻撃……。

スペシウム光線は、GUYSマシン内のメテオールエネルギーをほとんど使う諸刃の剣である。

頭を押さえ、考えていた屋久島は思いついたことを口に出した。

「……キャプチャーキューブを使ってシールドに穴を開けられない?

エネルギー量がわかってるなら出来そう……、と思うけど……」

全員が屋久島の意見に驚いていた表情をしていた。

「あ、やっぱ無理だよね……?」

橘は屋久島が出した意見に頷き、三原に指示を飛ばした。

「いや、出来るかも知れない。三原、データをメテオール研究室へ送ってくれ」

「GIG!!」

 

その数分後、研究室からジー・エンド用のメテオールの開発が可能と報告が上がってきた。

「良し、これでシールドは何とかなった……、けどあの円盤はどうします?」

垣山がそう言うと……。

「あの円盤ならもう敵じゃねぇ」

篠崎が真面目な顔つきから一転、不敵に笑った。

「敵じゃないってどういうことよ。現に私たちダメージを与えられてないのよ?」

屋久島がそう言うと、篠崎は席を立ち、得意げに言った。

「あの円盤がシールドを出している時の上部と下部が丸腰だ。

レッドスパロウとオオルリ、Nブースターの3機で、

シールドを張っている円盤の上、真ん中、下を狙って攻撃する。」

「あんたそれわかって言ってる?縦横じゃなくて上下に陣形取れって言ってるの?」

「なんだよ、出来ないのか?」

「操縦するのは私じゃないわ……。愛、出来る?」

「大丈夫です。ただ、その方法と円盤のサイズを考えると、

メテオールを使っていても私たち同士がクラッシュする可能性が……」

「安心しろ、もしそっちがダメそうなら俺とセリザワさんがフォローする。

そっちは円盤にぶつからないように操縦しろ」

篠崎は自分の胸を叩きそう言うと、屋久島は感嘆の声を漏らした。

「頼もしいじゃない、じゃあ今回は頼んだわよ」

 

「あとはジー・エンド本体ね……」

「重力偏光板は空間転移を使われる可能性があります」

その時、橘が待ったを掛けた。

「ジー・エンドは垣山がマケット怪獣で足止めを掛け、円盤を対処した後、3機で対処する」

その指示に三原が返答を求めた。

「え、でもそれじゃあレッドスパロウの火器は……」

「私が担当する。本来なら私が足止めを担当したいが……。

マケット怪獣の経験やメテオールショットを扱える垣山が適任だ」

GUYS Japanの隊長として、GUYSマシンはすべて使える橘だったが、

今まで現場へ赴いたことはボガールの時だけだ。

ほかの隊員も出来るのなら……と、とりあえずは納得した。

「じゃあ、マケット怪獣はどの怪獣が……」

「ゼットンを使用する」

垣山が意見を言う前に橘が指示を出した。

「街中でゼットンを使うんですか!?パニックになりますよ!?」

「どの道、他の怪獣だとパワー不足だ。市民には報告をしておく」

ゼットンはあのウルトラマンを倒した怪獣として市民には広く伝わっている。

そんな怪獣が、例えマケット怪獣だとしても、不安を感じるだろう。

「ジー・エンドは強敵だ、ウルトラマンだけでは敵わないかも知れない。

もしかしたらウルトラマンが来ないかもしれない。

よって、GUYSの全力で迎え撃つ。」

『GIG!!』

こうしてGUYSは着々とジー・エンドへの対策を固めていった。

 

 

 

 

 

 

 

病室で一人となった護はベッドに横になり、フュージョミッションを見つめてた。

「俺とヒロ、力を合わせれば……」

フュージョミッションは返事をしたように、薄く青い輝きを放っていた。




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