ウルトラマンヒーロー   作:ホルンでごぜーます

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うん、もうおなかいっぱい
てな訳でほんぺんごー


愛と愛2-負思念体ラゴン・再生同化怪獣ボガール登場-

GUYS Japan基地は怪獣出現の速報から一気に慌ただしくなった

橘はGUYS隊員の一人と話していた

「レーダーに映らなかったタイプだな?」

「はい、おそらくダークエフェクトの影響によるものだと思われます、

一部の天体観測局からはダークエフェクトの一部の消失を報告しています」

「分かった、引き続き観測を頼む」

通信を終え、指令室に入ると、すでに準備を終え、出撃許可を待っている隊員がいた

ただ、屋久島はどこか心配そうな顔をしていたが……

「三原君は?」

「それが……まだ戻ってないんです」

橘は少しだけ考え、言い放った

「三原の代わりに垣山がオオルリに搭乗!!日野はレッドスパロウの火器制御を担当!!

直ちに出撃し、出現した怪獣を排除しろ!!

現状を持って、メテオールの任意起動を許可する!!

ただし、例の通信が来てからのメテオールの起動は禁止する!!

GUYS!!sally go!!」

『GIG!!』

格納へ全員が急ぐ中、いまだに屋久島の顔には不安が残っていた

 

 

 

 

 

 

その時、三原が居た町は大混乱に陥っていた

いきなり人の大きさの怪獣が現れたと思ったら公園にいる女子中学生を行動不能にしてしまった

その後、その怪獣は急激に巨大化し、一人の女子中学生を肩に乗せ、町を歩きだした

ただ、普通の怪獣と違うと思われるのは、中学生程度の男女がすべて昏睡状態に陥るという点だ

大人たちは昏睡状態に陥ってしまった子供を助けようと逆に怪獣の近くに近寄らなければならない

結局、大人たちは中学生たちに近付けずにいた

 

そんな中、三原愛は一人ずつ、中学生たちを助けていた

それを見てちらほらと助けに行くものたちも増えたが、その様子を怪獣が見ると、

怒り狂ったかのようなしぐさを出した

 

ついに建物を破壊し、その破片で人を押しつぶそうとした

しかし、その破片で人はけがを負わなかった

そのこともあり、人々はあの怪獣は本当に悪いやつか判断がつかなかった

 

三原は何が何だか分からなかった

自分にしか聞こえない愛の声がしているからだ

頭に響いて残る声は叫び、悲しみの声だ

『どうして私ばっかり……』

『あの子たちがいじめられればいいのに……』

『しんじゃえ、ころしてやる……』

『関係ない人たちが……くるな』

『私だけ救われないのはおかしいよね……』

ずっと、そんな言葉が頭に響き渡っていた

どうにかなってしまいそうだった

『だれか……愛さん……たすけて……』

怪獣は今でも町を、人を襲っている

ただ、三原にはその姿が怪獣ではなく、ついさっきまで泣いていた愛にしか見えなかった

 

そこへ、ナンダとケツァールが到着した

「おい、なんで暴れてる怪獣のそばに人が居るんだよ……」

「篠崎さん、子供が!!」

「分かってるって!!だけどこんなに人が近くにいたら何もできねぇぞ!!」

『力!!愛から通信が入って、あの怪獣を誘導するって……』

「あぁ!?どうやんだよあんな状況で!!」

 

三原は既に走っていた

彼女にはトライガーショットも何も持っていない、すぐそこにいる人々と同じただの人間だ

もし怪獣に何らかの攻撃をされたら、ひとたまりもないだろう

彼女が走る理由はただ友達だからというものだった

それは義務でも同情でもない、ついさっき知り合ったばかりの友達を救うために走っている

「こっちにおいで!!」

怪獣は三原の声に反応し、三原のいる方へと歩きだした

「おいおい!!あれじゃあ踏みつぶすんじゃ!!」

「不味い!!」

怪獣が道に倒れている中学生を踏み歩くと思い、目を反射的に瞑ったが、

目を開けてみると、悲惨な姿はなく、いつの間にか通り過ぎていた

「どう言うことだよ……?」

『あの怪獣、人を避けて歩いてる?』

『そうみたいだ、周りを見ても建物の破壊以外特に影響は出てはないけど……

坂牧さん、ダークエフェクトの反応は?』

『はい、既にポイントはつけ終わってますが……緊急事態です

あの怪獣の左肩辺りに、人がいます』

『人だって!?』

怪獣の前に移動し、左肩を見ると確かに、女性が一人居た

「なんであんなところに!!」

『でも、あの子にもポイントが付いているが……これはもしかして……』

『これに関してはヒロさんが仮説を立ててくれてます』

『あの女の子は、宿主ですね……』

『ちょっと待って、何かがあの子に寄生でもしてるの!?』

『はい、ダークエフェクトが寄生しているとみていいでしょう、ただの霧のような存在がどうしてこれまで地球に現れた怪獣と同じ姿を取れるのか……、人の意識を借りて、体を構成するために必要な複雑な器官を構成する、けど、すべての人が怪獣すべてを知っているわけではないはずです、つまりはダークエフェクトは人間の思考を借りると同時に自身の知っている知識を与えるのかもしれません、けれどもそれでは現れる怪獣はすべて同じ姿のはずです、つまりは人の思考、いやどちらかというと感情と言った方が近いかもしれません、その人の感情の形、いやその負の感情や思念が怪獣の形をかたどっているのかもしれません、つまりダークエフェクトによって作られる怪獣は怪獣ではなく、いや怪獣ですけど怪獣という名称で呼ばず、負の思念体と呼ぶのが……』

「あぁーーー!!んなわけわからんことわかんない!!

とりあえず、ダークエフェクトが人を借りて怪獣を生み出すんだろ!?」

あまりに長い仮説とやらを言うヒロに篠崎は耐え切れなくなった

 

『篠崎さん、ここまでそんな難しい話は……』

「うるせぇ!!いんだよ難しいことは!!子供とか理解できねぇだろ!?

人にとり憑いて怪獣生み出す!!はい終わり!!」

『でもちゃんと説明しないと』

「ヒロ……」

『護さん!!護さんもこういうのはちゃんと説明しなきゃですよね!?』

「うん、ややこしい」

『護さん、ヒロさんがふてくされちゃいました』

とりあえず、今はその説明はややこしいからしないでくれと、

全員が同じ思いだったのでだれもヒロの事はフォローしなかった

「でも、まずあの子を何とかしなくちゃな」

「戦闘機じゃあ無理だな、おいヒロ!!出番だぞ!!」

『あ、じゃあ帰ったら篠崎さんだけ講義をしますから』

「いいからささっとやってくれ」

 

ふてくされていたヒロはナンダとケツァールの接続が切り離されると同時にホバーで左肩に移動する

常にナンダを操作しながら、三原へ歩む怪獣と距離を合わせていかなければならない

これだけでも操縦の難しさは高いのだが、もし怪獣が何らかの予測できない動きをした瞬間、墜落の恐れもある

『墜落するなよ王子さんよ』

「車だから墜落しないって言ってましたよね……!?」

『今は飛んでるから』

ヒロは何とか距離をほぼゼロに調整し、左手でハンドルを動かしながら、右手で愛を掴もうとする

手を掴むその瞬間、ヒロと愛の手がスパークしたように光った

咄嗟に手を放し、ハンドルを切る

同時に怪獣が暴れだした、怪獣はその口から光線をナンダめがけて吐き出した

直前に離れていたために、何とか避けることができた

しかし、暴れる怪獣に対し、近づくのはもう危険だ

 

「ヒロ!!キャプチャーキューブ使えないか!?」

『考え方としてはいいかも知れませんけど、この状況は無理です!!』

その時、ついに三原の足が止まった、いくら鍛えているとはいえ、緊張状態で走り続け、肩で息をしている状態だ

そもそも、よくここまで持ったというところだ

怪獣はそのまま立ち止まってしまっている三原を捕まえようとしている

「まずい!!篠崎さんセパレーションしますよ!!」

「まて!!勝手に操作するな!!」

篠崎の言葉を無視して、護はレッドスパロウとオオルリの接続を切った

そのまま地面に着陸するように操作したところ派手に怪獣と激突した

「バカヤロォオオオ!!」

「ごめんなさいーーーー!!」

底部に取り付けられているスラスターを使い、勢いを抑えていくが、怪獣の近くに落ちる

それを見たナンダに乗っているヒロは人に見られないだろう物陰にナンダを止めた

隣には坂牧が居るが、すでに正体はばれている、遠慮をする必要はない

ヒロはいつでも変身できるように時を待つ

 

護は墜落してからキャノピーを開け、篠崎を見るが、篠崎は当たり所が悪かったようで気絶していた

「篠崎さんごめんなさい、ナイス気絶ッ!!」

事情を知らない篠崎が聞いたら確実に喧嘩になるだろう一言を残して、外に飛び出し、キャノピーを閉めた

「ブルーチェンバー!!キャプチャーキューブ!!」

護はとりあえず狙われている三原にトライガーショットの機能の一つ、シリンダーをブルーチェンバーに変え、

標準で装備されているキャプチャーキューブを三原に放った

三原を掴もうとしていた怪獣は三原に触れることなく青いバリアに阻まれた

それに対し、再び怒り始めた怪獣

「屋久島さん!!垣山さん!!すみませんけど援護お願いします!!」

『『もう戦闘機乗んないでね?』』

「次はもっと練習します!!」

 

オオルリがホバー移動で怪獣の目の前に移動した

怪獣は邪魔だと言わんばかりに光線を発射するが、またもや青いバリアに防がれる

「お父さん隊長ナイスです」

「おう、隊長じゃないから、お父さんでもないからいやおとうさんだよ」

 

オオルリが気を引いている間に、護はそそくさと物陰に移動し、メモリーディスプレイでヒロと通信をした

「ヒロいけるぞ!!」

「はい!!分かりました!!」

ヒロは車の外に出る、ヒーローへなる構えをとり、光に包まれその体は青い巨人へと変わる

同時に、護も自身を光に変え、ヒーローのカラータイマーに同化する

ウルトラマンヒーローの右手が赤く変化した

ウルトラマンヒーロー、モードブルーだ

 

『ティア!!』

怪獣はヒーローを見ると一目散に突っ込んできた

ヒーローはその身軽さを生かして突進を回避する、まだ左肩には女の子が居る

下手に衝撃は与えられない

「お父さん、ウルトラマンを援護するよ」

「はいはい、GIG」

オオルリがヒーローの横に着く、ヒーローは頷くと構えをとった

ヒーローは青い渦を素早く左手に溜めるとそれを両手に分け、光の輪を怪獣に投げた

輪は四つに分かれ、切断するのでなく、両腕、両足を拘束した

直後に怪獣からの光線が来るが、オオルリのキャプチャーキューブによりその光線はシャットアウトされる

光線技を使った後、暫くの間光線技を使わないとみたヒーローは今のうちに女の子を救おうと懐に近づき、

左肩に居る女の子を優しく掴もうとした

しかし、ヒロがそうなったように、ウルトラマンになっている時でさえ、

謎のスパークが発生し、ヒーローは後ろに倒れる

 

「え!?どうしたの!?」

「何かがあの子を守っているんだ」

「あの子を助け出さなきゃゼットンも攻撃もできないじゃない!!」

そう、いまの怪獣の状態は人質を取っている状態、うかつに攻撃はできない

どうする!?ウルトラマンヒーロー!!彼に残された時間ももう残り少ない!!

『ちくしょう、どうすれば……!!』

『まだ何かあるはずです!!諦めないでください!!』

『分かってるよ!!』

そんな時、かすれた声で、ヒーローを呼ぶ声がした

「ウルトラマン……!!私を……!!」

声のする方を見ると、そこには三原が居た

「私を!!愛ちゃんの近くにぃッ……!!」

『駄目だ!!危険すぎる!!』

護は三原の身を案じてか、断ろうとしていたが……

 

『……護さん、三原さんを、彼女のもとに送りましょう』

『どう言うことだよ、ヒロ!!』

『このままでは僕らの変身も解けます!!

それに、あの子の知り合いなら……ダークエフェクトの力が弱まるかもしれません!!』

『だからって!!』

ヒロは護の言葉を聞かず、三原の前に手を置いた

三原はその手に乗り、女の子のいる高さまで持ち上げられた

すでに、光の輪の拘束は解かれる寸前だった

しかし、怪獣が三原の姿を見ると、すぐに溶けるはずの拘束を解こうとはしなかった

 

「愛ちゃん、聞こえてる?」

「愛……さん……」

「そのまま聞いて……これから私、謝るから」

三原は既に声がかすれるほどの疲れを見せているはずだったが、思いっきり頭を下げると

「ごめんなさいッ!!」

そう言った

「私……!!貴女の友達なのに!!なったはずなのに!!貴女を……守、れなくてぇ……

ホントッ……!!ごめんなさい……!!」

「違う、貴方のせいじゃない!!あなたじゃない!!」

黒い霧の掛った顔から大声が聞こえる

確かに、ダークエフェクトの原因は三原ではない

だが、三原は謝りたかったのだ

「私だよ!!気付いたのに守れなくて……!!」

それは義務のようなものかもしれないし、同情かも知れない、だが、そうだとしても

守れなかった、そう三原は感じたのだ

愛と出会ったときから、守りたいと思ったのだから

「止めて!!謝らないで!!」

「ごめんなさい!!」

「大丈夫!!もう大丈夫だから……!!謝ら……な……」

彼女の顔から黒い霧が薄れていき、元の素顔が表れると、さっきまでと違い、前のめりに地面に落ちて行った

「愛ちゃんッ!!」

落下先に光の網が現れ、動きを減速させていった

ヒーローはその下に手を置くと、網は消え、愛は手に収まった

光の網を出したのは、頭を押さえている篠崎だった

咄嗟のことで反応できなかったヒーローにとっては危ない一瞬を助けてくれた

ヒロはその場でしゃがみ、二人を地面に下ろした

 

三原は、横に倒れている愛に駆け出す、三原は愛を抱き起こし、名前を呼んだ

「愛ちゃん!!愛ちゃん!!」

すると、愛はゆっくりと目を開ける

「愛……さん?」

「良かった!!無事で……!!」

愛を抱きしめる三原、それをオオルリに乗っている屋久島は少しだけ不機嫌そうに見ていた

「んー?どうしたの?愛しの愛ちゃんが取られてやきもちでも焼いているのか?」

「お父さん嫌い」

「はいはい……」

ヒーローのカラータイマーが明滅し始めた

しかし、ヒロはいまだに消えない怪獣に疑問を抱いた

『なんでまだ消えないんだ?』

『なんでって、そんな自然に消えるものでもないだろ!?』

すると、怪獣は元のラゴンの姿から黒い腫瘍のようなものを体にいくつも作り、暴れ始めた

ヒーローはすぐさま、エフェクト・シールドを作り、三原と愛を守った

光線をでたらめに放ち、体を振りまわし、暴れる怪獣……

ヒーローは一瞬の隙をつき、エフェクト・ブルーリアクトを放とうとした時、

ラゴンの姿が顔だけしか見えなくなった

ラゴンの顔から下は謎の皮膜のようなもので包まれていた

あまりの変化に技を解除してしまうヒーロー

ラゴンは顔さえもその皮膜に取り込まれていった

そこにいたのは以前倒したはずのボガールであった

ボガールは体の一部を黒く変色させたのち、目の前から消えていなくなった

暫く、そのままだったヒーローはその場で光り、消えていった




生きていたボガール!!
仲違いをし始めた護とヒロ!!
一体ボガールの目的は何なのか!?
そして護とヒロの関係は……いったいどうなる!?

次回タイトル!!
思い出のヒーロー/メビウス

お楽しみに!!
犯人はもうr

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