マジで黒歴史確定です。
急展開で、更に慣れていない恋愛の話なので読みづらいです…。
それでも良い方はどうぞ。
(オリキャラでます)
「紙芝居屋さん!なんか新しいお話やってー」
人里のとある一角では紙芝居が行われていた。
「ふふふ、しょうがないですね。いいですよ。では…」
紙芝居屋を名乗る人物は微笑みを浮かべ、新しい物語の準備をする。
そして口を開けて、その物語を紡ぎ出す。
「昔々、ある所にーーーー
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妖怪の山、その一角には人間は勿論妖怪さえもほぼ立ち入ることのない場所がある。
その場所は山の麓の下流域。
そこには数知れない数の雛人形があった。
そしてもう一つ特筆すべきは『人間でも視覚出来る程』溜まり込んだ厄。
それはここに住まう厄神による影響である。
名を『鍵山雛』。
厄を溜め込むことができ、厄そのものが力の源である。
だが、本人とって『力』でも他から見れば『害』でしかない。
その厄は何時しか集めていた雛人形を少しずつ蝕んでいった。
そして一人の妖怪が生まれる。
元が人形であったのが頷ける程美しい顔立ちに小麦色の髪。首にスカーフを巻いている。
更には豊満な体を持ち、あらゆる男が振り向くような容姿だった。
しかし、その容姿が日の目を見ることは未だ無かった。
何故なら生まれながらにある能力があったからだ。
『不幸をもたらす程度の能力』
この能力は自制する事が出来なかった。
鍵山雛の能力で『厄』として集めてもらうでしか制御することが出来なかった。
もし、雛から離れればたちまち周りが『不幸』に巻き込まれる。
山の猿に会えば、ぶら下がっている木の枝が折れ、
天狗に会えば、雷雨に襲われ怪我を負わせる。
少女は怖かった。何もしないでも相手を傷付ける、この能力が。
でも、憧れていることがあった。
それは『人里』。
人里で平和に暮らすことが夢だった。
しかし、叶わないことも承知だった。
だから、遠く山から眺めているだけだった。
「………ハァ」
○○は誰に聞かせるわけでもなくため息を漏らす。
ため息をすると幸せが逃げると言うが、私にとってそんなことは関係ないことだ。
「行きたいな、人里」
山の岩場から人里を見る。
最初は見るだけで我慢するつもりだった。でも日に日にその思いは募っていく。
どうしても行きたかった。
だから行動に移したのだった。
「雛さん!私の厄をとって下さい!」
自分の生まれた場所に住む鍵山雛にお願いをする。
「………分かったわ」
そう言うと雛は能力で○○の厄を集める。
そして一通り終わるとこう言った。
「私の能力で○○の厄をとったわ。だから貴方の能力は抑えられたでしょう。でもそれは一時的なもの。もって数日です。次第に能力が発動し始めます。そこからは貴方の選択です。そのまま人里に住むか、また私のもとへ戻るのか。…別に私のもとへいることを強要してきるのではありません。それを決めるのは貴方の決断です」
○○は一瞬顔を喜ばせたが、すぐに険しくなる。
「……分かりました」
「分かったならいいわ……楽しんできなさい」
「ッ…!…ありがとうございます!」
私は喜びのあまり山を駆け下りた。
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初めて人里に来た。
初めて人間をみた。
初めて団子を食べた。
初めて雛以外の人として喋った。
○○にとって初めての連続だった。
目を輝かせながら歩いているとある広場に踊りでた。
そこではある青年が子供達に物語を聞かせていた。それも紙に絵を描いた物と同時に進行して聞かせていた。
「昔々、お城にはある女の人が……」
題は『灰かぶり姫』というものだった。
あらすじはある使用人の灰かぶり姫が、魔法で城の食事会に行き、そこにいた城主と恋におちる。しかし、魔法は九つ時に切れてしまう。
それを恐れた灰かぶり姫は指輪を置いて逃げ帰ってしまう。後に城主がその持ち主を捜し灰かぶり姫と結婚する。という話だった。
私はとても憧れてしまった。女の子は一度は憧れてしまうのではないだろうか。証拠に物語を聞いていた子供達の女の子は黄色い声を上げている。
私はそのまま物語を聞かせた人を見つめていた。
そしてその男性と目があった。
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俺は悠介。人里に住む普通の男、と言いたいところだが、実は外来人だ。
しかも、能力を持っていた。(いや、幻想郷に来て初めて知ったんだけどな)
『感情を伝える程度の能力』
俺はこの能力を駆使して人里でちょっとした有名人だ。
これで外の童話とかをアレンジした話を聞かせれば登場人物の感情を伝えることができ、ダイレクトに物語を楽しむことができるのだ。
それで、今日も今日とて紙芝居を聞かせていたんだが、
今日は珍しいお客がいた。
童顏の整った顔立ちで、首にスカーフをまき、輝く小麦色の髪を肩から流している。
初めて見る顔だった。少なくとも常連さん(子供達)の親御さんではない。
だから、かな。とても気になったんだ。
紙芝居を終えた後、未だこちらを見つめるその人を見てみた。
目があった。
すると、その女の人は逃げていってしまった。
「あっ……」
何故だかわからないが自然とその背中を追ってしまっていた。
「お兄さん!そっちにボールが……」
小さくなっていく背中に手を伸ばし、
「待っ……イタっ」
後ろからボールが当たる。
「ッ〜……」
「ごめんなさい。にーちゃん。ちっと手ぇすべちまって」
ボールを投げた子供が近づいてくる。
「ああ、いいよ。今度は気をつけて遊べよ?」
元気な子供達を見て笑みを浮かべるが、ふっと気がつき追っていた女の人の方を見るが、その姿はなかった。
なんとなく喪失感を感じた。
「…話したかったな」
ふと、そんな言葉が溢れた。
……所謂、『一目惚れ』というやつなのだろう。初対面で相手のことを何も知らないのに仲良くなりたいと思った。
「また明日も来るかな」
そんな期待をした。
その夜は中々寝付けなかった。
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翌日。
紙芝居をしていると、件の女性が現れた。
内心、小躍りしそうだったが、堪えて紙芝居を続ける。
劇を終えると俺はすぐに女性へ近づいていった。
女性はすぐに逃げそうになる。
俺は思わずその腕を握ってしまった。
「………えっ」
女性は大きく口を開ける。
マズイ!叫ばれる!?このままじゃ俺、社会的に死んでしまう!どうしようどうしようどうする!?何をする!?
「いや、あの、ちょ、そのあのあの、えーあれでね?、そそそれでですねー」
慌てた俺の声を不思議に思ったのか、開いていた口を閉じてこちらを見る。
「あああのー、俺の紙芝居を見てましたよね?」
「紙芝居?…あ、あの話の仕方のことですね。見てました。とても面白かったですよ」
「ああ、ありがとうございます。例えばどどんな話が?」
何故だか緊張してしまい言葉が乱れる。
「そうですね。ーーー」
「そうですか。他にーーー」
「あらーーー」
話すうちに緊張がほぐれ、会話がはずむ。
女性も警戒を解いてくれたようだ。
…仕掛けるなら今かな。
「あのー、もうすぐ昼時ですし」
「ん?そうですが?」
コテンと首を傾げる。かわいい。…いや!そんなこと考えてる場合じゃない!
「い、一緒にお食事でもいかがでしゅか!」
………噛んだ。
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お食事処では二人の男女が談笑している。
「へー、紙芝居は初めてでいらしましたか」
「お恥ずかしながら…」
「いやいや!恥ずかしがることありません!」
名前は○○と言うそうだ。
どうやらこの女性は人里に来てすぐの人のようだ。…外来人の方かな?
「あ…もうこんな時間ですか…」
○○に言われてもう外が暮れてきていることに初めて気づいた。
楽しい時間とはすぐ過ぎ去ってしまうものだ。…名残惜しい。
○○もこの時間が名残惜しいかったという顔をしている…ような気がする。
「また、会えませんか?紙芝居のあとで」
ふと、口から飛び出した。
○○も驚いている。自分も驚いている。
「お、お願いします?」
○○はチグハグに返事を返す。
「ありがとうございます?」
『……プッ』
何だか可笑しくて二人で顔を合わせて笑った。
次の日もまた次の日も俺は○○とであった。
俺は楽しかったが、○○は日をおう度に不安気な表情を零すようになった。
そしてこの日は人里を二人で散歩している。空は快晴だ。
しかし○○はずっと張り詰めたような表情をして無理に笑っているように見えた。
「あのさ、○○。なんか不安そうだけどどうした?」
「いや、その……なんでもないです」
「ん……そうか」
ちょっと寂しかった。
「あ…そうだ。あの団子屋で少し休もうか」
「そうですね」
二人で団子屋の店先の椅子に座り、団子を一つ注文する。
○○はタレでスカーフが汚れるのを防ぐのかスカーフを脱ぎ、椅子へ置いた。
客が多いのか団子は中々こなかった。
『………………』
流れる沈黙。
…やっぱりいつもと違う。もっと生き生きしていたはずだ。
「なぁ…ーー
もう一度問おうとしたその時、手に冷たい感触がした。
雨だ。
いつの間にか暗雲が立ち込め、雲が唸っていた。
「あー、洗濯物干しっぱなしだ。ツいてないなぁ」
考えなしにつぶやいたのだが、○○は顔を白くした。
「ごめんなさい……」
○○は言った。
「ん?なにが?」
俺は何に対しての謝罪かわからなかった。
「実は私は、…妖怪なんです」
衝撃だった。
「そして、私は『不幸をもたらす程度の能力』を持ってるんです…」
ついていけなかった。
「ッ……!ごめんなさい!」
○○は駆け出していってしまった。
立ち上がり、追おうとしたが足が動かない。
未だ状況についていけなかった。
ただ、立ち惚けるだけだった。
また、椅子に座る。椅子は雨に濡れていた。
手を動かすと布の感触がした。
「これは……」
○○が、妖怪だとか、不幸がもたらすんだとか、まだよくわからない。
でも、今、追わなければ一生後悔する気がした。
俺は覚悟を決めて雨の中を走った。
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「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ………」
私は逃げている。
雨で体が濡れてしまったが関係はない。
楽しかった。
人里の生活は新しいの連続だった。
悠介と会うこともできた。
でも、切れてしまった。
嫌われたくなかった。
人里の人間に、悠介に。
でも、もっと人里に居たかった。
でも、嫌われるのはもっと怖かった。
だから、逃げた。
「あっ……」
ズテッ
「うううぅ」
転けてしまった。
何故か立ち上がれなかった。
「う、ヒクッ、うう」
涙が溢れた。
体に力が入らない。
「ーーーーーい!○○ーー!おーい!」
あの人の声が聞こえた。
思わず振り返った。
紛れもなく悠介だった。
「なん、で」
「ハアハア、さて、なんでだろうな」
「私は妖怪で」
「うん」
「不幸をもたらすんですよ?」
「うん」
「…嫌われたくないんです」
また、逃げようとする。
「待って」
咄嗟に腕を掴まれた。
「離してよ」
「嫌だな」
「もう、なんなんですか!」
手を握られた。
すると、悠介の感情が体に伝わってきた。
暖かい。
「…好きなんだよ。○○が。たったそれだけだ」
「…私は不幸をもたらします。それでも、それでも、ずっっっっっと一緒にいてくれるんですか!?」
叫び、だった。
「そうだ、なっと」
腕が布で包まれる感触がした。
悠介の腕と一緒にスカーフが巻かれていた。
「これで一緒、だろ?」
また、涙が出てきた。
思わず抱きついた。
「お、おい…」
「ずっと一緒だから良いんですよね?」
「…まあな」
悠介は頭を撫でながら呟く。
「なぁ、俺思うんだ」
「ん?」
「『不幸』っであることは実は『幸運』であることと一緒だってな」
「それに俺と会ったことは不幸なんかじゃないだろ?」
「……やっぱり、不幸です。だって私は、貴方無しじゃ生きられないんですからっ」
「…ハハッ、そりゃ不幸だ」
二人は笑った。
そして自然と顔を近づけあった。
未だ雨は降り続いてムードもへったくれもないが自分達にとってはこれ以上無い祝福だと思えた。
二人はゆっくりと唇を重ねたのだった。
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「ーーーおしまい」
紙芝居屋さんは終わりの言葉を言った。
「もうおしまいなのかー?もっと続きが知りたいぞ!」
「チ、チルノちゃん!こういう話に続きなんて求めちゃだめだよ」
「そーなのかー」
「ルーミアちゃんはそれを言いたいだけでしょ…」
「そーなのだー」
「ふふっ」
紙芝居屋さんの女性は小麦色の髪を揺らす。
「おーい○○!帰るぞー」
「はい!悠介さん!…じゃあ今日はおしまいね」
『バイバイ!』
「またね」
荷物を纏めると、彼のもとへ向かう。
「今日も○○は人気ものだな?」
「ふふっそうですね。嬉しいです」
二人は手を繋ぐ。その手首にはボロボロのスカーフが巻かれていた。
「あっーボールが」
飛んできたボールが悠介の頭に当たり、悠介の頭が○○の頭に当たる。
『イテッ』
今回は『神薙之尊』さんから
種族→人形
危険度→極低
能力→不幸をもたらす程度の能力
身長/体重/BHW→169cm/61kg/88/62/89
性格性質→甘えたがり
髪色→小麦色
いやー駄文でしたね(汗
慣れないことするもんじゃない。
しかも長いし。
ここまで読んでくれた人は猛者ですね。本当にありがとうございます。
応募、感想待っています。