大統領 彼の地にて 斯く戦えり   作:騎士猫

21 / 31
投稿が遅れました。なのに少し短いです(´;ω;`)



第二十一話 特地追加派遣

特地説明会が終えて議事堂を出るとそこは沢山のマスコミや、特地住民を一目見ようと集まった野次馬で埋め尽くされていた。幸い入口から車までは兵士が封鎖しているのでマスコミの質問に答えることは無かったのだが、その代り慣れている俺でも目を閉じたくなるほどのフラッシュがたかれている。シェーンコップとテュカ達は事前に用意しておいたサングラスをかけている。何とか車に乗り込むと来た時と同様に前後に十数台の護衛車両が付き出発した。

 

出発して少しするとハイドリヒが俺に話しかけてきた。

 

「閣下、新たに特地に派遣する部隊の選定が終わりましたのでご覧ください」

そう言うとハイドリヒは手に持っていた端末を俺に渡してきた。昨日の夜に追加派遣を決定したのにもう選定し終えたのか?俺が承認する前に既に決めておいたのか…徹夜して決めたのか……どっちもあり得るな。そう考えつつ渡された端末を見る。

 

【特地追加派遣部隊】

 

『第六SS機甲師団』

『第九SS機甲師団』

『第七SS機械化歩兵師団』

『第十一SS機械化歩兵師団』

『第五SS混成師団』

『第六SS独立砲兵連隊』

『第二SS特殊任務連隊』

『第八SS特殊任務連隊』

『第一試験大隊』

 

 

ふむ、とうとうスペツナズも投入か、ゲリラ対策だろうな。

しかしこの最後の『第一試験大隊』って何だ?”SS"がついていない辺り武装親衛隊所属ではないようだが……。

 

「なぁ、この最後の第一試験大隊と言うのは何だ?SS所属ではなさそうだが?」

「何でも開発部が最近開発した新鋭戦車を試験的に運用するために結成された部隊だそうです。ちょうど良いので戦闘データも取らせようかと思い加えました」

新鋭戦車?開発部でそんな計画あったか?

おれの疑問に気が付いたのかハイドリヒが言葉を加えた。

 

「閣下が開発部に依頼した”アレ”と”アレ”で編成された部隊です」

”アレ”と”アレ”?………4か月前に依頼していたアレか

 

「それと……ウェーデント伯爵が私も特地に行きたい、と……」

ウェーデント伯爵……。

ウェーデント伯爵家とはロンディバルト民主共和国領内にある自治区のひとつを任されている旧ガルメチアス帝国の貴族だ。

占領地があまりにも広大なので、良識的な貴族は処罰せずにに一定の地域の治安維持を任せている。その一人がウェーデント伯爵家と言う訳だ。伯爵家と言ってもせいぜい治安維持用の兵力とそれを維持するためのささやかな土地を有しているだけなので大した問題はない。元々ハイドリヒが厳しい選定の元任命した貴族だからな。

 

で、中でもウェーデント伯爵家の現当主であるウォルフ・フォン・ウェーデント伯爵は元々平民だったこともあって、平民を差別することなく領地を発展させたことで多くの平民から支持されていた。ハイドリヒはそこに目を付けたんだろうな。おかげでウェーデント自治区とその周辺は治安が本土並みに良い。

 

まぁ別に連れて行ってもいいんだが……あの爺さん戦にあると妙にテンションが上がり始めるんだよな。特地で無茶しなければいいんだけど……。

 

「……いいいだろう。で、どのぐらい連れて行くつもりか言っていたか?」

俺の質問にハイドリヒは”失礼”と言って俺が持っていた端末を取ると端末を操作し始めた。ハイドリヒは数秒で調べ終わると端末を見せながら言った。

「1個歩兵連隊と1個砲兵大隊、そして1個戦車中隊です」

ウォルフ爺さんには伝統的な歩兵による敵陣攻撃が大好きだ。簡単に言うと17世紀から19世紀で使われた戦列歩兵で、砲兵隊はその援護、戦車部隊は歩兵部隊が接近する前に露払いするのが役目。ウェーデント伯爵家だけではなく、ほかの貴族でも中には昔からの伝統的な戦い方を固守していた者がいた。ロンディバルトが君主制連合に勝利することが出来たの要因の一つだろう。

 

「で、如何いたしますか?」

「うーん……まぁ相手は重火器も所有していないようだし、いいんじゃないかな」

ウォルフ爺さんもたまには体を動かさないといけない年ごろだろう。いい運動になるかもしれん。

「ではウェーデント伯爵にはそう伝えておきます」

 

「この後は?」

「一度仮大統領館に戻り、一泊して明日の朝特地へ戻る予定です」

「そうか……大統領館まであとどのぐらいかかる?」

「あと20分はかかります。なにせ中心部は土地があまり無く、やむを得ず郊外に建てていますので」

「じゃあちょっと寝かせてもらうぞ。昨日碌に寝ていないんだ」

俺はそう言いながらシートを倒すとそのまま目を閉じた。

 

 




第八話でレレイが言っていた”ロンディバルト以外の国”と言うのはウェーデント伯爵などの貴族が治安維持を任されている自治区の事を指しています。兵士や国民や自治区と呼ぶ者もいれば国と呼ぶ者もいるので、それをレレイが聞いたと言う形です。

ペルシャールが開発部に依頼していたものはアレとアレの二つあり、某映画に影響されて出すことを予定していた兵器です。
ロンディバルト軍の主力兵器は戦車ですが、帝国がそれに対する対抗手段を考えていないはずもなく……あんまり言うとネタバレしちゃいそうなのでこの辺で切っときます。
感の良い人は気づいてしまうかもしれませんけどね……。

感想やご意見ご指摘、評価お待ちしております<m(__)m>

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。