今回は海未誕記念の短編なんですが、ギリギリ遅れてしまいました・・・。それでも何とか仕上げた渾身の一作ですので、読んでいただけたら幸いです。
それではどうぞお楽しみください!!
「はああ!!」
「おおおお!!」
音ノ木坂学院からさほど離れてない場所にある、とある道場にて防具に身を固めた男女が互いに竹刀を打ち合っていた。もっとも、この打ち合いは剣道のようなものではなくどちらかと言うとチャンバラのそれに近いものだった。道場でチャンバラとはいかがなものとは思う者もいるだろうが、「スポーツチャンバラ」なるものがある他、打ち合っている片割れの少女はこの道場の娘であるため、そこまで気にするほどの事でもないのだろう。
「やっ!はっ!!」
少女の方は、流れるような太刀筋で男の攻撃を1つ1つ的確に捌き、わずかな隙を突きながら男の胴や面を狙う。
「ふっ!ぬん!!」
男の方は、一目見ると力任せに竹刀を振るっているように見えるが、その太刀筋は正確に急所に狙いを定めており、何度捌かれても、また違う急所を狙い振るわれる。まさに力と技をほど良く混ぜ合わせた猛攻と言える戦いぶりだ。
互角ともいえる打ち合いは幾度にわたって繰り広げられるが、
「しまっ、っ!」
少女の手から竹刀が弾き飛ばされ、首元に竹刀を突きつけられたことによって勝負は決した。打ち合う事計78回、睨み合う事4回、そして勝負が決するまで5、6分と短いようで長い戦いであった。
「はいそこまで。」
試合終了の宣言をしていたのは、同情の真ん中で二人の戦いを見守っていた幸雄だった。
「いくら志郎が元戦国武将で実戦経験があるとはいえ、二度も負けるのは悔しいですね・・・!もう一度勝負してください!!」
肩で息をしながら面を脱いでそう言ったのは、この道場の娘である園田海未だ。彼女は負けん気が強く、既に2回敗れてるにも関わらずもう一度再戦を申し込んだ。
「ふう。負けん気が強いのはいいことだからその辺にしておいた方がいいぞ。これ以上の勝負は体に余計な負担をかけてしまうぞ。」
同じく面を脱ぎながら海未をたしなめるのは志郎だった。息を切らしている海未と比べるとまだ余力が残っているようだ。
「そうですか、志郎がそういうのであればこの辺で手打ちにしましょうか。」
「お、ずいぶん聞き分けがいいな。普段ならもっと粘るだろうに。」
海未が潔く再戦を諦めたのを意外に思った幸雄が彼女を茶化しながらその真意をたずねる。
「それでは普段の私が聞き分けが悪いみたいじゃないですか!武術に優れている志郎が言う事なら確かだろうと思ったから聞き入れたわけで・・・。」
海未は幸雄の言い分に納得がいかなかったのか、抗議するように反論した。
「幸雄、からかうのはそこまでにしとけ。お前海未にほぼ瞬殺で負けたんだから。」
「う、う、うるせー!!俺はお前みたいに刀や槍を振り回すのはそこまで得意じゃないんだっつーの!」
志郎に、海未に完敗したことを突かれた幸雄は憤然とした様子で反論した。
「ですが、やはり志郎はとても強いんですね。2回もあれだけ打ち合っていたのに息一つ切らしてないんですから。」
「まあな。あいつ18歳の初陣の時から敵将と一騎討ちしてるし、小田原攻めの途中の滝山城攻めで北条氏照の家老と一騎討ちしたり、小田原から撤退する時も殿で松田憲秀の家老と一騎討ちしたり、駿河でも信豊さまと一緒になって敵城に突撃してたからなあ・・・。」
幸雄はこの時代に生まれ変わる前の真田昌幸だった頃に見た志郎、武田勝頼の戦ぶりを遠くを見るような目で語った。
「なんというか、穂乃果みたいに猪突猛進だったんですね。」
「ああ、おかげでお屋形様・・・信玄公から大目玉をしょっちゅう喰らってたらしいしな。」
「うるさいな、俺だって皆に父上の継承者だと認めてもらうためにだな・・・。」
「分かってるさ。そのための突撃だろ?まあおかげで『天下に隠れ無き弓取り』と信長に言われるほどの武勇を手に入れたんだからいいじゃねえか。しかも上杉謙信にも信長に対して『片手間で敵うような相手じゃない』って忠告させたんだからそこんとこは誇るべきだと思うぜ?戦の腕だけなら信玄公を間違いなく凌駕し得るんだからよ。」
「武田勝頼と言えば長篠の合戦で信長に敗れた武将というイメージしかありませんでしたが、志郎たちに出会ったおかげでそれ以外の一面を知ることができたのは素晴らしい事だと思います。」
海未が微笑みながらそう言うと、
「そう言ってもらえるのはまあ、悪い気はしないな・・・。」
志郎は満更でもない様子で水を飲みながらそう言った。
「実のところを言うと志郎の得物は槍だからな。全力の志郎と戦いたきゃ槍を用意したほうがいいぜ海未!」
「槍ですか。ですがうちは剣道と日舞の道場なので槍術に関してはあまり・・・。志郎は槍の扱いが上手だったんですか?」
「ん?ああそうだな、あの頃は基本的に鎌槍を持って戦場を駆けたものだ。まあ、剣術もそれなりには鍛えていたから刀もそれなりに使えるんだがな。」
海未がたずねると、志郎は昔の事を思い出しながら淡々と答えた。
そして道着から私服に着替え終わった後、海未の部屋にて
「あ、そうそう。実は海未に渡したいものがあってな。」
何かを思い出したように志郎は自分のかばんを漁り始めた。
『?』
「えー、これなんだがな。」
そう言って志郎がかばんの中から取り出したのは小さな小包と1通の手紙だった。
「お、なんだそりゃ?」
幸雄はその2つに興味津々であったが、
「ああ、ある男から『後生の頼みだ!海未さんにどうかこれを渡してきてくれ!!』と頼まれて託されたものだ。」
「ああ、その口調と頼み方で誰か分かっちまったわ。」
志郎の言葉を聞いた瞬間に一気に呆れた様子に様変わりした。
「私への贈り物でしょうか?」
海未が首を傾げると、
「ああ。政康からな。何が入ってるのかセキュリティも兼ねて聞いてみたんだが『それを知っていいのは海未さんだけだ!貴様には教えられん!!』の一点張りでな。正直不安で渡すべきかどうか迷ってたんだが・・・。」
と志郎はバツが悪そうな表情で言った。
「まあ、あいつ他のメンバーはともかく海未に対しては狂信者染みたところあるからなあ・・・。そう思うのも無理はねえわな。」
幸雄は苦笑いしながら同意した。
「中身は何であれ、贈り物ならばそれを受け取るのが礼儀だと私は思います。それに、私のファンだと言ってくださった方からの物であれば、受け取らないのはなおさら失礼ですしね。」
そう言って海未は志郎から小包と手紙を受け取ると、その場で小包を開けた。
「え、その場で贈り物開けちゃうのは失礼ちゃうんか?」
幸雄は意外そうな表情で海未にたずねた。海未ならば「人前で贈り物を開けるなんて失礼ですよ!」と言って開けないと思っていたからだ。
「確かにそうではありますが、志郎と幸雄は私の事を心配してくれてるので中身を見せて安心させたいと思ったので・・・。」
海未は少し顔を赤らめながらそう言った。
(やべえ、大和撫子だ。これはあいつも惚れるわけだ。)
(大和撫子はまだ生き残ってたんだ!絶滅してなかったんだ!!)
そんな海未を見た2人は心の中でそう叫んだ。そして中から出てきたのは・・・。
「こいつは・・・。」
「穂乃果んちの饅頭だな?」
「ほむまんですね。」
そう、小包の中から出てきたのは穂乃果の実家である饅頭屋、『穂むら』の名物である『穂むら饅頭』略して『ほむまん』であった。
「なんだ。身構えていたがなんてことない、ただのほむまんじゃないか。」
志郎は普通の品物であったことに安堵したのと、なにか特別なものが入ってたんじゃないかという期待が外れたという残念に思う感情が入り混じったため息をついた。
「だがこのほむまん、店に並んでるのと比べるとちょっと形が歪んでねえか?」
幸雄がそう言うと、海未もほむまんをまじまじと見つめて、
「幸雄の言う通りですね。少し形がいつも買っている物とは違いますね。」
と形が違う事を確認した。
「俺が運んでる時に転がったりしてへこんだんじゃないのか?」
志郎がそう言うと、
「いや、こいつはどう見ても衝撃の類でへこんだ物じゃねえ。そもそも衝撃でへこんだ物だったら。こんな小奇麗な形してねえよ。」
と幸雄は反論した。
「それに俺の推測だが、それに関してはこいつを読めばなんかわかるんじゃねえか?」
幸雄はひょいと手紙の封筒を拾って言った。
「なるほど。」
「では、読んでみますね?」
海未は幸雄から受け取った封筒を開けて中に入っていた手紙を出して読み始める。
拝啓 園田海未様
こんにちは、北村政康です。此度は誕生日が近づいてるという事で手紙を書かせていただきます。
私はμ'sの、そして海未さんの1ファンとして貴女の誕生日を祝いたいと思い立ち、手紙とプレゼントを送ろうと考えました。しかしプレゼントは何を送ればいいのか、まったく思いつきませんでした。
あまり高価すぎる物は気を遣わせてしまい、安値だと失礼かもしれないし、手作りの物は危険だと思われていると耳にしましたし、既製品だと手渡しならばともかくこのような形で送るとなると気持ちがこもってないと思われるのではないか等々、どうすればいいのか迷ってしまいました。
そうしてプレゼント選びに苦心している時に、偶然にも穂乃果さんとことりさんと出会いました。
そこで私は思い切ってお二人に相談させていただきました。すると穂乃果さんは『海未ちゃんはうちのお饅頭が好きなんだよね・・・。そうだ!うちでお饅頭を作ってそれをあげたらいいんじゃないかな!?』と提案してくださりました。
そういうわけで私は一時的に『穂むら』に弟子入りし、ほむまん作りを習う事にしました。穂乃果さんのお父上どのは厳しくも丁寧にほむまん作りを指導してくださいました。ですが饅頭作りは初めてだったので中々上手に作れず、数日にわたって『穂むら』に通い詰めました。
そして通い詰め始めてから11日が経った頃・・・つまり貴女の誕生日の2日前になんとか海未さんに贈るのに相応しいほむまんを完成させることが出来ました。できれば誕生日当日に直接海未さんに手渡ししたいと考えていたのですが、残念なことにその日は生徒会の仕事が入ってしまったので、涙を呑んで我が盟友たる志郎にこの手紙とプレゼントを託した次第となります。
長々と書いてしまい申し訳ありませんでした。厚かましい事とは存じておりますが、このプレゼントを受け取っていただけたら幸いです。そして園田海未さん、誕生日おめでとうございます。貴女の誕生日を心よりお祝い申し上げます。
敬具
北村政康
「なるほど、このほむまんは政康の手作りだったのか・・・。」
志郎は感心するようにほむまんを眺めて言った。
「しっかしあいつもよくもまあ、こんな手間暇かけたもんだよな。普通に買ったもんでもいいだろうに。」
幸雄は半ば呆れた様子だった。
「だがあいつは海未を熱心に応援していた。だからこそ海未に贈るプレゼントは最大限に心を込めた物を贈りたいという一心でこれを作ったんだろう。その心意気は賞賛に値するものだと俺は思うがな。」
「それはそうなんだが、志郎よ。今日は何日だ?」
「え?あ・・・。」
幸雄に今日の日付をたずねられた志郎の顔面は蒼白になった。
「そう、今日は『16日』だ。海未の誕生日は昨日の『15日』・・・。言いたいことは分かるな?」
「す、すまん海未!中身が分からなかった故に渡すか迷っていたら今日になってしまったのだ!!本当に申し訳ない事をした!!」
志郎は海未に土下座をして政康からの手紙とプレゼントを渡すのが遅れてしまったことを謝った。
「いえ、気にしてませんよ。志郎だって私の事を気遣ってくれたんですから。それに今は夏じゃないんですしまだ普通に食べられると思いますよ。」
海未はそう言うと、政康の作ったほむまんを1個手に取り、一口食べた。
『ど、どうだ?』
志郎と幸雄は海未に味をたずねた。
「はい、とても美味しいです!」
海未は満面の笑みで答えた。
「・・・。」
「どうしたんだよ幸雄、そんな顔して。」
納得いかないと言いたげな表情をしている幸雄に志郎はその理由を聞く。
「いや、なんていうかあの氏政がなあ。本当にそこまでしたってのがどうも胡散臭くてのお・・・。」
幸雄は政康とは、戦国時代においては一貫して敵対関係であったが故にその魂胆を信用できない様子だった。
「おいおい、幸雄は政康とあの一件で共同戦線を張ってたんだろ?なら少しは信用してやってもいいと思うんだがなあ。それなら穂乃果に聞けばいいと思うぞ。」
志郎はそんな幸雄をなだめるように言うと、穂乃果に電話をかけ始めた。
「もしもし穂乃果?実は聞きたいことがあるんだが・・・。」
「ふむ、ふむ。おお!わかった、ありがとう。じゃあな。」
「で、穂乃果はなんつってたよ?」
「ああ、政康が穂むらに通ってたのはマジだってよ。」
「あいつ生徒会の仕事があるとか言ってるくせに暇人かよ・・・。」
「あと写真も撮ってたみたいで送ってくれるみたいでな。あ、きたきた。これだ。」
そう言って志郎が海未と幸雄にスマホを見せた。そこには穂乃果の父から厳しい指導を受けながら熱心にほむまん作りに励む政康の姿が写っていた。
「こいつぁ驚いた・・・。確かにこんなもん見ちまったら信じるしかねえわな。」
幸雄はそこに写ってる政康を見て、ようやく彼の心意気が本物であることを確信した。
「これを作るためにこれほどまでに汗水を流してくださったなんて・・・!」
海未がそう言ってほむまんを食べながら感激していると、
「海未さん、お客さんがいらっしゃいましたよ。」
と、海未の母親がやって来て海未にそう告げた。
「穂乃果かことりでしょうか?」
「いえ、男の人でしたよ?そこの諏訪部さんや武藤さんと同じくらいの年頃の・・・。」
海未の母親が来客の特徴を挙げると、
「・・・どっからどう見ても政康だ。」
「あいつ何しに来やがったんだ・・・。」
志郎と幸雄はそれだけで誰かが分かったのでもう苦笑いするしかなかった。
「ど、どうも海未さん、こんにちは!!いきなりの訪問、平にご容赦ください!!」
海未の家の玄関に通された政康はそう言うなり、海未に腰をきっかり45度に曲げた最敬礼のお辞儀をした。
「というかお前なんで海未の家知ってるんだよ・・・。」
「まさか色々拗らせてストーカーとかしてたんじゃねえんだろうな!?」
「違うわ!!俺は断じてそのような下劣な真似はせんぞ!!」
色々疑ってかかる志郎と幸雄に対して政康は抗議した。
「いえ、政康さんとは夏休みに少しばかり交流がありましたので。それがたまたまうちの前だったんです。」
と海未は志郎たちに事情を説明した。
「なるほど。」
「釈然とはしないが海未がそう言うんなら信じよう。」
志郎たちは海未の説明を聞いてあっさりと引き下がった。
「うむ。で、志郎よ。あれはちゃんと海未さんに渡してくれたのか?」
「中身が分からなくて危険物かもと思って渡すのを躊躇ってたら今日になってしまったが、ちゃんと渡したぞ。」
「はい。政康さんが心を込めて作ってくださったほむまん、とても美味しかったですよ。」
海未が笑顔で政康にそう言うと、
「あ、ああ・・・!海未さんの口から『美味しかった』という言葉が聞けるなんて!この北村政康、ただそれだけで11日にも及ぶほむまん作りの苦労が報われる思いでございます!!まさに恐悦至極!天にも昇るような気分です!!」
感極まったのか政康は跪いて泣き出してしまった。
「なんつうか、ほんとファンの鑑だよなコイツ。」
「ああ、だが政康が幸せならそれでいいじゃないか。」
幸雄はそれを見て呆れた様子だった。
「それで、今日は一体どのような用件で来られたのですか?」
「実はその・・・。手紙をお読みになられたかとは思いますが、昨日は直接海未さんにプレゼントを渡したかったのですが用事が入って行けなくなり、泣く泣く志郎にプレゼントと手紙を託したのですが、どうしても直接海未さんの誕生日を祝いたいと思った次第で・・・。」
政康はそう言うといったん玄関の外に出て、何かを自分の背中に隠し持って戻って来た。
「プレゼントをもう一つ用意させていただきました!!」
そして政康は叫ぶように言いながら海未に『もう一つのプレゼント』を差し出した。
『これは・・・。』
「花束、ですか?見たことない花ですね・・・。」
「はい。これは
「すげーな、まさか誕生花まで探すとはガチ勢ここに極まれりだな。」
「でもなぜこの花なんだ?他にも探しやすい花とかあったろうに?」
志郎はスマホで3月15日の誕生花を調べながら政康に君子蘭を選んだ理由を聞いた。
「うむ、確かに他にも海未さんに合う花はあった。だが俺は花を贈るならば花言葉も贈る相手に似合う物でないといかんと思ってな。それを踏まえて選んだ結果、これにしようと思ったのだ。」
政康は顔を赤くしながら答えた。
「で、この花の花言葉は何なんだよ?」
と幸雄は志郎のスマホの画面をのぞき込んだ。そこには『高貴』、『誠実』、『情け深い』と記されていた。
「どのような花言葉があるのですか?」
と海未がたずねると、
「それを贈り主の前で聞いちゃうのはいささか酷なんじゃねえの?」
と幸雄が笑いながら政康を指さした。その政康は顔がもう茹でダコのようになっていた。
「それもそうですね。よかったら政康さんも上がっていきませんか?せっかく来ていただいたのですし、お茶の一つでも・・・。」
「い、いえ!お構いなく!!それに俺はただこれを私に来ただけでお茶など恐れ多く・・・。し、失礼しました!!!」
海未が政康を誘うと彼はそれを断り、そのまま全速力で走り去ってしまった。
「行ってしまいました・・・。」
「どうする?追いかけるか?」
志郎が海未と幸雄にたずねると、
「いや、あいつがそう言うんなら追うのは野暮だと思うぜ。」
と幸雄は志郎の肩を叩いてそう言った。
「それにしてもこんな素敵なものまでいただいてしまったのですから、何かしらのお礼をしなくてはいけませんね。」
海未が君子蘭の花束を愛おしそうに眺めながらそう言うと、
「そこまで気にする必要はないと思うがな。」
「そうそう、もし海未から直にお礼なんて貰っちまった日には感動しすぎてそのままあの世にまで行っちまいそうだからな。」
「あいつは海未のファンの1人として、海未がいつも通りに元気に活動していることが政康への最高の礼になると俺は思うぞ。」
と、志郎と幸雄は答えた。
「そういうものなのですか。」
『そういうものなんだって。』
志郎と幸雄がそろってそう言うと、2人は海未の部屋へと戻っていった。
「・・・穂乃果やことりたちμ'sのメンバーや志郎と幸雄に祝っていただけたのはとても嬉しかったですが、こうやって私を強く想ってくれるファンの方から直接祝っていただけるのもなんだか少しこそばゆいですが、とても嬉しいものですね。スクールアイドルを始める前の私にはこんな事は想像もつかなかったでしょうね。」
海未は君子蘭の花束に話しかけるように独り言を呟くと、花束のうちの1本を玄関の花瓶に飾ってから自分の部屋に戻っていった。
いかがでしたでしょうか?
誕生日の番外編にも1度でいいからサブキャラを登場させたいと思った結果、2期以降の話で志郎や幸雄に次ぐ活躍を見せてくれる予定の、北条氏政が転生した北村政康くんに出ていただくことになりました!
彼は海未ちゃんファンガチ勢という設定なのできっとこうするだろうな・・・と思って書きました。
今回は遅れてしまいましたが、次回の真姫誕の短編はちゃんと間に合わせたいと思います!(フラグ)
それでは次回もまたお楽しみください!!