8月中に合宿回やりたいとか言っておきながらもう9月になってしまいました・・・!
今回はアニメ9話です!何とか早く終わらせて次に行きたいですねえ・・・。
それではどうぞお楽しみください!!
志郎と幸雄がメイド喫茶に行ってミナリンスキーの正体を知った次の日の事、
「あ!志郎くん、幸雄くん!!すごいよ!ビッグニュースだよ!!」
二人が部室に入るなり、穂乃果がものすごいテンションで飛びかかってきた。
「な、なんだいきなり!?」
穂乃果に飛びかかられて志郎は狼狽するが、穂乃果の口調とその様子から悪い話ではないことを察した。
「実はオープンキャンパスのアンケートの結果、廃校の決定はもう少し様子を見てからとなったそうなんです!」
花陽がオープンキャンパスの成果を喜々として語り、先に部室に来ていた海未やことり、凛も嬉しそうな表情をしていた。
「おお!すごいじゃねーか!!」
「ああ、メンバーが増えてなんとか目の前にあった壁を乗り切ることが出来たのは重畳至極だな!」
志郎も幸雄も花陽からもたらされた吉報に喜んだ。
「しかもそれだけじゃないんだよ?」
「「?」」
穂乃果の言葉に志郎たちは首を傾げた。穂乃果はそんな二人の顔を見てから部室の奥にある扉まで走っていき、その扉を開け放した。
「ジャーン!!部室が広くなりました~!!」
なんと部室につながっていた空き教室をアイドル研究部の部室にしてもいいという許可が下りたというのだ。
「「おお~!!」」
二人は歓喜の声を上げたと思いきや急に体を震えさせた。
「どうしたんですか二人とも?」
海未が二人にどうしたのか聞いてみると、
「俺達はお前らが着替え始めるたびに部室から締め出されてきたが・・・、ようやく当然のことながら部室の外に追いやられる日々が終わるんだな・・・!」
「ああ、あのお前らの着替えが終わるまでの間に部室の外を通る女子という女子に憐れむような目線で見られたり、ヒフミトリオに『セクハラで締め出されたの?』って冗談交じりに聞かれる日々が終わると思うと・・・!」
「後者は幸雄の自業自得な気がしないでもないが、ともかく廊下で寂しく待ちぼうけする日々が終わると思うと涙が・・・!」
なんと二人は男泣きしていたのだ。
「そ、そうなんですか。」
海未が若干引き攣った笑顔で志郎たちに相槌を打つと、
「安心してる場合じゃないわよ、生徒がたくさん入ってこない限り廃校の可能性はまだあるんだから頑張らないと・・・。」
と言いながら絵里が部室に入ってきた。
「確かに、まだ廃校を完全に阻止できたわけじゃないんだから油断はできないな。」
志郎がそう言って気を引き締めてると、近くからすすり泣くような声が聞こえてきたので声がする方を見てみると今度は海未が泣いていた。これにはさすがの絵里も少し驚いた様子だった。
「う、嬉しいです!やっと志郎以外にまともな事を言ってくれる人が入ってくれました!!」
「えっ!?」
海未はそう言って絵里の手を掴んだ。
「ちょっと待て!志郎はともかく俺は!?」
幸雄が海未に抗議するが、
「幸雄はまともじゃないので・・・。」
と返された。
「ひでえ!海未さん俺の扱いひどくね!?」
「まあ、自業自得だろ・・・。」
志郎にも論破されて幸雄は項垂れた。
「ええ・・・。それじゃあ凛たちまともじゃないみたいだけど。」
凛も納得いかないような様子だった。
「ほな、練習始めよか。」
いつの間にか現れた希がそう言うと、
「あ、ごめんなさい・・・。私ちょっと・・・。今日はこれで!」
とことりは申し訳なさそうに言って部室から去っていった。志郎たちはその理由を察していたが彼女との約束を重んじ何も言わなかった。
「どうしたんだろう?ことりちゃん、最近早く帰るよね。」
そう言った穂乃果をはじめ、ことりとすれ違って部室にやって来たにこと真姫やその他のメンバーは不思議そうにことりの背中を見送っていた。
「うわあ50位!?何これ何これすごおい!!」
「夢みたいです!!」
「ところがどっこい・・・、夢じゃありません・・・!現実です・・・。これが現実・・・!」
「幸雄・・・。どこぞのカジノ店長の真似はやめろ・・・w」
屋上での練習の休憩時間にスクールアイドルランキングの様子を見てみると、なんとμ'sは50位に急上昇していたのだ。
「20位にだいぶ近づきました!」
「すごいわね!」
「絵里先輩が加わったことで女性ファンもついたみたいです。」
海未がそう言うと、みんなの視線が絵里に集まった。
「確かに背も高いし、足も長いし、美人だし・・・!何より大人っぽい!流石三年生!!」
穂乃果は絵里の全身を下から上へと見上げながら羨望の眼差しとともに彼女を賛美する。
「やめてよ・・・。」
絵里はそれに対して顔を赤くして照れ臭そうにそう言った。
((一方でにこ先輩は・・・。))
志郎と幸雄が絵里と見比べるように、にこの方へ視線を移すと
「なに?」
二人の心を読んでるのか不機嫌そうな声で聞き返すと、
「「いや!!何でもないっす!!」」
二人は声をそろえて慌てて首を横に振った。
「でもおっちょこちょいなとこもあるんよ。おもちゃのチョコを本物と思って食べそうになったり。」
「希ぃ!」
希が絵里の意外な一面をみんなに話すと絵里は恥ずかしそうにそれを止めた。
「あ、そのチョコ仕掛けたの俺ですわ。まさかチョコが好きだからっておもちゃを食べようとするとは思いませんでしたわw」
「あれ武藤くんのせいだったのね!?」
「幸雄・・・。そんなことしてるからまともだと思われないんだぞ・・・?」
絵里は幸雄に突っかかり、志郎は苦笑いした。
「でもここからが大変よ。」
和やかな雰囲気になっていたところに真姫が一つ釘を刺した。
「「「「「「「 ん? 」」」」」」」
真姫以外の女子が首を傾げた。
「上に行けば行くほどファンはたくさんいるわ。」
「確かに。奪い合うというわけではないが、上位はまさに群雄割拠の戦国乱世のようなもの。実力の高さがファンの数や順位に直結してくるだろうからな。」
真姫の言葉に志郎が頷く。
「今から短期間で順位を上げようとするってなるとどこかしらで大博打に出る必要があるな。」
幸雄が先ほどのおふざけモードから一転して真剣な表情で言った。
「その前にしなきゃいけないことがあるんじゃない?」
突然にこが何かを提案してきた。
「しなきゃいけないこと?」
穂乃果たちはまたまた首を傾げた。
そして場所は変わって秋葉原・・・。
「・・・あの~、すごく暑いんですが。」
「我慢しなさい!これがアイドルに生きる者の道よ!有名人なら有名人らしく街で紛れる格好ってものがあるの。」
なんと穂乃果たちは顔にはサングラスとマスク、首にはマフラー、そしてコートという夏に着る物とは思えない格好をしていた。
「でもこれは・・・。」
「逆に目立っているかと・・・。」
「馬鹿馬鹿しい!」
海未と絵里はにこの言葉に難色を示しており、真姫に至っては呆れて装備を脱ぎだしていた。
「つーか変装するにしても季節ってもんを考えろよ。これじゃ逆に不審者だぜ?」
幸雄も苦笑いしていた。
「たとえプライベートでも常に人に見られていることを意識する、トップアイドルを目指すなら当たり前よ!!」
「はあ。」
「お、おう・・・。」
穂乃果と志郎はにこが自信満々に自らの矜持を力説している様子を見て、ただ頷くことしかできなかった。
「すごいにゃあ~~~!!」
「うわあああ~~~~!!」
どこからか凛と花陽の叫び声が聞こえてきたので声が聞こえた方に行ってみると、スクールアイドルのグッズが並んだ店でグッズを手に取り喜びの声を上げながらうっとりとしていた花陽と、それに付き合っている凛の姿があった。
「ここは・・・。」
「近くに住んでるのに知らないの?最近オープンしたスクールアイドルの専門ショップよ。」
店内を見回す穂乃果ににこが説明した。
「こんな店があったとはな。」
「知らなかったわ・・・。」
「まあ、ラブライブが開催されるくらいだしこんな店があってもおかしくはないわな。俺もこの前少し覗いていったぜ。」
志郎と絵里は看板を見上げながら呟いた。
「とはいってもまだアキバに数件あるくらいだけどね。」
「ねえねえ、この缶バッジの子すごく可愛いよ!まるでかよちんそっくりだにゃあ!」
凛はそう言ってどこから持ってきたのか缶バッジを穂乃果とにこに見せた。
「てゆうかそれ・・・。」
「花陽ちゃんだよ!」
「えええ!?」
穂乃果とにこに言われて気づいたのか凛は驚きの声を上げた。それを聞いた志郎たちは店の奥に進んでいくと、μ'sのグッズが置かれている棚を発見した。
「嘘お!?ううう海未ちゃん、これ私たちだよ!?みみみμ'sって書いてあるよ!?石鹸売ってるのかな!!?」
「おおお落ち着きなさい!ななななんでアイドルショップでせ、石鹸なんて売ってるんですか!!」
穂乃果と海未は目の前に自分たちのグッズが置いてあることに衝撃を受けてかなり動揺していた。
「お前ら気持ちは分かるが動揺しすぎだぞ・・・ってうお!?」
「うおおおおお!!どきなさあああああい!!!あれ!?私のグッズが無い!!なんでえ!?どういう事おお!!」
みんながグッズを見ている中、メンバーの中でも一際背の低いにこはなんとしても見ようとジャンプしていたが見ることが出来ず、業を煮やして志郎たちを押しのけて棚に食いつくも、自分のグッズが見つからず、必死に漁っていた。
「あー!!あったー!!すごい・・・ううっ・・・!」
にこが自分のグッズを見つけて歓喜に浸っている中、穂乃果は棚に貼られていた一枚の写真を見つけた。
「あれ?ことりちゃん・・・?」
そこにはメイド服を着たことりの姿があった。
「こうやって注目されているのが分かると勇気づけられますよね!」
「ええ。」
「うぅ・・・、嬉しいね。」
「かよちんまた泣いてる~、泣き虫だにゃあ・・・。」
海未たちは自分たちが注目されていることを実感し、花陽は嬉しさのあまり涙ぐんでいた。
「こうやって自分たちの努力が目に見えて報われているのが分かるってのはいいもんだなあ。」
「そうだな。ひょっとしてこういうスクールアイドルの店は日々精進してる彼女たちに勇気を与える役目もになってるのかもしれんな。」
志郎と幸雄も喜んでいるメンバーを見てそう呟いた。
「すみません!」
『ん?』
聞き覚えのある声が店の外から聞こえてきたので穂乃果たちは店の外に目線を移した。
「あの、ここに私の生写真があると聞いて・・・。あれはダメなんです!今すぐ無くしてください!!」
穂乃果たちが店の外に向かってみると、そこには店員に写真を無くすようにお願いをしていることりの姿があった。しかも制服ではなく、メイド服の姿で・・・。
「ことりちゃん?」
「きゃあ!?」
穂乃果が声をかけるとことりは悲鳴を上げて後ろを向いた。
「ことり、何をしているのですか・・・?」
海未がことりに問いかけるも彼女は答えず、数秒の沈黙がその場に流れた。
「ことり!?ホワッツ!?ドーナタデースカ!?」
ことりは苦し紛れの策なのか、ガチャガチャのカプセルの蓋を眼鏡のようにしてカタコト言葉で海未の言葉に応えた。
「ぷっ・・・ぶふっ・・・w」
幸雄はあまりにもおかしくて思わず吹き出しそうになるが、なんとかギリギリ堪えていた。
「え!?外国人・・・!?」
凛はことりのあまりにも稚拙な演技を真に受けていたが、クォーターであり外国人の血を引く絵里は呆れた様な表情で見ていた。
「ことりちゃんだよn」
「チガイマース!」
穂乃果がもう一度問いかけるも、ことりは穂乃果の言葉にかぶせて否定する。
(そこまで必死だと逆にバレバレだよな・・・。)
志郎も呆れながらことりを見守っていた。
「ソレデハ、ゴキゲンヨ~ウ・・・。ヨキニハカラエ皆の衆~・・・。さらばっ!!」
ことりは少しずつ穂乃果たちから身を引き、ある程度距離を取った瞬間、ダッシュで逃げ出した。
「あ!ことりちゃーん!!」
穂乃果と海未はことりを追って走っていった。
「追わなくていいの?あなた達の、特に諏訪部くんの身体能力ならことりさんに追いつくでしょうに。」
絵里は立ち尽くしていた志郎たちにそう言ったが、
「絵里先輩、よく考えてください。男子高生二人がメイドを追い回してたらそれは誰がどう見ても事件ですよ・・・。」
志郎は苦笑いしながら答えた。
「そうそう、それにああいうのはあらかじめ逃げ道を確保してるだろうからそれを特定した方が簡単なんすよね~。あ、希先輩、とりあえずあいつが通りそうなルートはいくつか割り出せたので先輩の勘でどれかに向かってください。」
と言って幸雄はスマホの画面を希に見せた。
「はいよ~。」
「というか今ので割り出せたの!?」
絵里は幸雄の頭の回転の速さに舌を巻いた。
「逃げる奴の思考はパターン分けが出来ますからね。この前にこ先輩が俺達から逃げ出した時も同じ手口で割り出したんすよ。」
「それってストーカーなんじゃ・・・。」
真姫が呆れたように言うと、
「お黙り!!」
と必死に言い返した。すると幸雄のスマホが鳴ったので出てみると、
『ことりちゃん確保したで~。』
と希から報告が来た。
「ハラショー・・・!」
絵里はまたしても幸雄の力に舌を巻いた。
『ええええええ~~~!!?』
「こ、ことり先輩があの伝説のカリスマメイドのミナリンスキーさんだったんですか!?」
「そうです・・・。」
花陽の言葉に、ことりは消え入りそうな声で答えた。
「ひどいよことりちゃん!そういう事なら教えてよ!!」
「おい穂乃果!ことりにも事情があってだな・・・!」
ことりに詰め寄ろうとする穂乃果を志郎が諫めるが、
「言ってくれれば遊びに来てジュースとかごちそうになったのに!!」
「そこ!?」
(そういえばこいつ割と食い意地張ってたっけか・・・。真剣に諫めようとしてた俺がバカみたいだった・・・。)
穂乃果のがめつさと花陽のツッコミで志郎は気が抜けると同時に呆れかえった。
「じゃあこの写真は?」
「それは店内のイベントで歌わされて、撮影禁止だったのに・・・。」
絵里の写真についての質問を申し訳なさそうにことりは答えた。
「そう言えばこの前来た時も撮影禁止の件でトラブってたな。」
幸雄は前にここに来た時のことを思い出した。
「幸雄はここに来ていたのですか?」
「ああ、志郎を誘ってな。ミナリンスキーさんの正体を見に来たらまさかことりだったとは・・・。本気でびっくりしたぜ。」
「でもよかった!そういう事ならアイドルじゃないんだよね?」
「うん!それはもちろん!」
穂乃果の言葉を聞いてことりは少し安心したのかいつもの調子に戻っていた。
「でもなぜです?」
海未が改めてことりにバイトしている理由を聞いた。
「それは・・・。」
ことりは志郎と幸雄に話したように理由を穂乃果たちにも話し出した。
「・・・穂乃果ちゃんみたいにみんなを引っ張って行くことも出来ないし、海未ちゃんみたいにしっかりもしてないし・・・。」
「そんな事ないよ!ことりちゃん歌もダンスも上手だよ!」
「衣装だってことりが作ってるじゃないですか。」
穂乃果と海未が彼女を励まし、
「少なくとも二年の中では志郎先輩に並んでまともよね。」
真姫もフォローするがことりは首を横に振り、
「私はただ二人に着いて行ってるだけだよ・・・。」
と言った。
(やっぱこの手の劣等感とかは如何ともし難いよなあ・・・。)
幸雄はことりの顔を見て真面目な顔をして考え込む。
そして志郎たちはことりと別れ、穂乃果、絵里、海未と幸雄の五人で帰っていた。
「でも意外だな、ことりちゃんがそんなこと悩んでたなんて。」
穂乃果がふと呟いた。
「意外とみんな、そうなのかもしれないわね。」
「え?」
「自分のことを優れてるなんて思ってる人間なんてほとんどいないって事。だから努力するのよ、みんな。」
「そっかあ。」
穂乃果と絵里の会話を聞きながら志郎と幸雄はそれぞれ、乱世において場所や状況は違えど自分たちが歩むべき道が見えない中で精一杯もがいていたのを思い出していた。
「確かにそうかもしれませんね。」
「そうやって少しづつ成長して、成長した周りの人を見てまた頑張って・・・。ライバルみたいな関係なのかもね、友達って。」
絵里の言葉を聞いた海未は、
「絵里先輩にμ'sに入ってもらえて本当に良かったです!」
とお礼を言った。絵里はそれを聞いて
「え?何よ急に。明日から練習メニュー軽くしてとか言わないでよ?じゃあまた明日。」
照れ臭そうに笑いながら去っていった。
「「また明日です!」」
「「さようなら!」」
挨拶をした後、
「ねえ、海未ちゃんは私を見て頑張らなきゃって思ったことある?」
と穂乃果は海未に質問した。
「数え切れないほどに。」
と海未が答えると穂乃果は意外そうな顔をして、
「ええ!?海未ちゃん何をやっても私より上手じゃない!私のどこでそう思うの?」
と聞き返した。
「悔しいから秘密にしておきます」
と海未が笑って言うと、
「ええ!?」
穂乃果はそう言って頬を膨らませた。
「ことりと穂乃果は私の最高のライバルですから!」
「海未ちゃん・・・。そうだね!」
「おいおい、俺だって穂乃果のことを最高のライバルだって思ってるぞ。」
志郎も穂乃果と海未の間に加わった。
「志郎くんも?」
「ああ、お前は俺がどれだけ努力しても手に入れられなかった物を持っている。だからこそ俺はお前の背を追い、μ'sを支えようと思ったんだぜ。」
志郎は空に手をかざし、虚空を掴んで爽やかに笑いながら言った。
「そういう意味じゃあ俺も穂乃果たちには負けてられねえな。」
幸雄もキヒヒ、と笑いながら穂乃果たちに言った。
そして次の日・・・。
「アキバでライブよ!」
「それって路上ライブですか!?」
「しかもアキバってA-RISEのお膝元よ!?」
突然絵里が出した提案に穂乃果たちは驚いていた。それもそのはず、トップアイドルの本拠地の側で踊るというのだから無理もない。
「それだけに面白い!」
「確かに敵の懐に潜り込むというのは名案だな!」
希と志郎が不敵に笑いながら言うと、
「でもずいぶん大胆ねぇ。」
と真姫が意外そうな顔をして言った。今までの絵里を見れば、慎重な戦略を出すだろうと誰もが思っていたからなおさらであった。
「アキバはアイドルファンの聖地、あそこで認められるようなパフォーマンスが出来れば大きなアピールになる!」
「確かにチマチマやるよりもそっちの方がレベルも確かめられるし、大きな経験値にもなる。まさに一石二鳥だな!」
幸雄は深々と頷き、
「いいと思います!」
「楽しそう!!」
穂乃果とことりも絵里に賛同する。
「しかし、すごい人では・・・。」
「人がいなかったらやる意味ないでしょ?」
「それはそうですが・・・。」
まだ人前に立つのに慣れてない海未は少し乗り気ではなさそうだったが、
「凛も賛成!」
「じゃ、じゃあ私も・・・。」
「決まりね。」
なんとかみんなが賛成した。
「じゃあ早速日程を・・・。」
「とその前に、今回の作詞はいつもとは違ってアキバの事をよく知ってる人に書いてもらうべきだと思うの。ことりさん、どう?」
絵里は穂乃果の言葉を遮り、ことりの方を見てそう言った。
「え!?私?」
「ええ、あの町でずっとアルバイトしていたんでしょ?きっとあそこで歌うのに相応しい歌詞を考えてくれると思うの。」
絵里はことりに作詞用のノートを渡しながら言った。
「なるほど、アキバの歌ならアキバを知る者に・・・というわけか!いい采配だ!」
「それいい!すごくいいよ!!」
「穂乃果ちゃん、志郎くん・・・。」
志郎と穂乃果は真っ先に賛成し、
「やった方がいいです!ことりならアキバに相応しい良い歌詞が書けますよ!」
「凛もことり先輩の甘々な歌詞で歌いたいにゃー!」
「ちゃんといい歌詞書きなさいよ?」
「期待してるわ。」
「頑張ってね!」
と海未たちも思い思いにことりにエールを送った。
「うん!」
とことりは答えるも、少し困ったような表情をしていたのを幸雄は見逃さなかった。
(確かに絵里先輩の采配は見事なものだが、作詞の経験がないことりにいきなり任せて大丈夫か?無理だとは思ってないが、あいつらのことりへのエールがプレッシャーになったりしないかとか、色々と不安材料があるが・・・。なんとかなればいいんだが。)
幸雄はみんなから離れた場所からことりを見て、懸念を抱いていた。
いかがでしたでしょうか?
今回は9話の前半を書きました!
絵里の友達に対する考え方を聞いて「強敵と書いて『友』と読む」北斗の拳式友達論を思い出してしまったのは自分だけであってほしい・・・w
次はなるべく早めにほんぺんを更新したいと思いながらも次はことりちゃんの誕生日が控えてるからことり誕記念の番外編も書きたいしで9月前半はかなり忙しくなりそうですね!(白目)
こんな時こそ花陽ちゃんに慰めて欲しい・・・w
それでは次回もまたお楽しみください!!