今回は期末試験に向けての勉強会です!「そういえば志郎と幸雄って成績はどんな感じなんだろう?」と思っているそこのあなた!今回はそれが明らかになりますよ!果たしてバカなのか秀才なのか平凡なのか?
それではどうぞお楽しみください!!
ラブライブへのエントリーが認められた穂乃果たち。しかしそれは『期末テストで誰も赤点をとらない』という条件付きであった。
「大変申し訳ありません!」
「ません!」
穂乃果と凛は、海未、ことり、真姫、花陽に手をついて謝っていた。
「小学校のころから知ってはいましたが穂乃果・・・。」
「数学だけだよ!ほら、小学校のころから算数苦手だったでしょ!?」
穂乃果は呆れてる海未に抗議した。花陽は何かを思いつき、穂乃果に
「しちし?」
と言ってみると、
「・・・26?」
「重症ですね。」
と自信なさげに穂乃果は答え、その様子に4人は何とも言えない顔をしていた。
「こいつどうやって今まで生活してきたんだ?重症ってレベルじゃないだろ・・・。」
「こういうアホが突破できちまうのも義務教育のデメリットだよなあ・・・。」
志郎と幸雄は頭を抱えていた。
「凛ちゃんは?」
微妙になっていた周りの雰囲気を変えるために、花陽が凛の苦手教科を聞いた。
「英語!凛は英語だけはどうしても肌に合わなくって・・・。」
「確かに難しいよね・・・。」
凛は全国の学生が抱えていそうな英語に対する苦手意識を花陽にぶつけ、花陽もそれに同意していた。
「そうだよ!大体凛たちは日本人なのにどうして外国の言葉を勉強しなくちゃいけないの!?」
と凛は英語に対する不満をさらにまくし立てた。
「まあ、凛の言い分も分からないわけではないが・・・。」
「この時代、そういうわけにもいかんしな。あ、でも日本に来る外人連中は日本語を勉強してから来るべきだよな。あいつら自分が話してるのが通じてるって前提で話しかけてきやがるからな。」
と志郎と幸雄が凛の言葉にうなずいていると、真姫がドン!と机をたたいて立ち上がり、
「屁理屈はいいの!!志郎先輩も幸雄先輩も凛を調子づかせないで!」
と凛に迫った。
「真姫ちゃんこわいにゃ~・・・。」
と凛が弱々しく言うと、さらに顔を近づけて、
「これでテストが悪くてエントリーできなかったら恥ずかしすぎるわよ!!」
と凛に念押しした。
「そうだよね・・・。」
「まあ、それはそれで有名になるからいいんじゃね?」
と笑いながら幸雄が言うと、
「そんなの嫌だにゃ!!」
「そんな有名人は嫌だよ!!」
と穂乃果と凛が幸雄に抗議した。
「だったら赤点とらなきゃいい話だろ。」
幸雄が穂乃果と凛にドがつくほどの正論で言い返した。
「だいたい幸雄くんだってそんな勉強できる風には見えないし・・・!」
「そうにゃそうにゃ!」
穂乃果と凛が幸雄になおも抗議を続けると、
「じゃあ俺の中間の成績、見てみろよ。」
と、幸雄は鞄の中から五教科分の解答用紙を取り出して見せた。
「こ、これは・・・!」
「ぜ、全教科90点以上!?」
なんと、すべての答案が90点以上という好成績だったのだ。
「まさか幸雄先輩が成績優秀だったなんて意外ね。」
1年生の中でもトップクラスの成績を誇る真姫も目を丸くしていた。
「幸雄はああ見えてかなり頭はいいからな。頭が回るのは策略と悪知恵だけじゃないってことだ。」
「生憎だが俺は音ノ木坂よりも一段も二段も上手の偏差値を持つ進学校に通ってたんだ。少なくともてめえらの脳みそよりも2倍か3倍は回転が早えんだよ!」
と幸雄は穂乃果と凛に言い放った。そんな幸雄を見て志郎は
(ありゃ、いつぞやに勉強ができないって思われてたことに対する意趣返しでもあるんだろうな・・・。)
と苦笑しながら思っていた。
「そういえば志郎の方はどうなんですか?」
海未が志郎に話を振ると、
「俺か?俺は可もなく不可もなくってところだな。幸雄に比べたらお粗末だがまあ悪くはないだろ。(それに俺だってかつては一国の主だったんだ。勉学の一つぐらいできて当然だ。)」
と言って中間の解答用紙を見せた。
「どれもだいたい70点くらいですか。確かに幸雄に比べると低いですが実力は悪くないですね。」
「志郎くんの裏切り者~!仲間だって思ってたのに~!!」
「俺はお前ら二人のおバカ仲間になった覚えは全然ない。」
志郎は穂乃果の抗議をあっさりと切り捨てた。
「やっと生徒会長を突破したっていうのにー!」
真姫が不機嫌そうに言うと、
「全くその通りよねー!あ、赤点なんか絶対取っちゃダメよー!」
と、若干上ずった声でにこが答えた。数学の教科書を読んでるようだが・・・、
「先輩・・・。教科書、逆さだぜ・・・。」
「にこ先輩・・・。成績は?」
幸雄に教科書が逆さになってるのを指摘され、さらにことりに成績を聞かれるが、その声はもう答えを分かり切ってしまってるような雰囲気だった。
「ににににこぉ!?にに、にっこにっこにーが赤点なんて取るわけないでしょ!」
と誤魔化してみるが、
「動揺しすぎです。」
「声震えすぎですよ。」
海未と志郎にあっさりと動揺しているのを見破られた。
「とにかく、私とことりは穂乃果の、そして花陽と真姫は凛の勉強を見て、弱点教科を何とか底上げしていくことにします!」
と海未が役割を決めた。
「あのー、俺たちは何をすりゃいいんすかね?」
「俺はともかく成績優秀な幸雄を役目なしで放置するわけにはいかないんじゃないか?」
と、志郎と幸雄が海未に質問すると、
「志郎と幸雄はそれぞれの進み具合を見て各自サポートに入ってください。」
と、海未は二人に二組に分かれたグループのアシスタントに任命した。
「ういーす。」
「了解した。最善は尽くそう。」
「まあ、それはともかくとしてにこ先輩はどうするの?」
大まかなグループ分けが決まったところで一人だけ3年生であるにこの担当を誰にするかを真姫が切り出すと、
「それはうちが担当するわ。」
と、希が部室に入ってきた。
「い、言ってるでしょ!?にこは赤点の心配なんて・・・。」
とにこが強がっていると希は両手を広げて、ものすごい速さでにこの後ろに駆け寄り、彼女の胸をわしづかみにした。
「ひっ!?」
「それ以上嘘をつくとわしわしするよ~?」
希が不敵に笑い、にこの胸を掴みながら脅すと、
「分かりました、教えてください・・・。」
「はい、よろしい。」
と、いつもの気の強さはどこかに消え去ったかのように素直に希に従った。
(すげえ、希先輩あのプライドの高いにこ先輩をあっさり従えたぞ・・・。)
(こりゃ、副会長だけは敵に回せねえわ。)
と志郎と幸雄は改めて希の実力を実感した。
「よし!これで準備はできたね!明日からがんばろー!!」
「おー!」
と穂乃果と凛が言うと、
「今日からです!」
と海未がドスの効いた声で二人を叱咤した。
そして放課後、凛と穂乃果、そしてにこの成績を上げるための勉強会が始まった。
「う~、これが毎日続くのかにゃ~。」
始まってからしばらく経つと、案の定凛がダレ始めてきた。
「当たり前でしょ。」
「そうだぞ。お前らのためにやってるんだからもう少し頑張れ。」
そんな凛を真姫と志郎が激励するが、
「あー白いご飯にゃ!!」
「え!?どこどこ!!?」
凛が窓の方を指さし、そう言ったが、常識的に引っかかる人は普通いない。だが花陽はご飯のことになると人が変わったように単純になってしまうようだ。
「引っかかるわけないでしょ。」
当たり前のことだが引っかからなかった真姫に凛はチョップされていた。
一方で穂乃果たちのグループでは、
「ことりちゃん。」
「なに?あと1問だよ。頑張って!」
「お休み。」
「ああ!穂乃果ちゃん起きてー!!」
限界になった穂乃果が眠りだしてそれをことりが起こそうとしているという若干カオスな状態になっていた。ちなみに海未は弓道部に顔を出していて不在である。
「あー、いいのかなー。この問題が終わったらパンをくれてやろうと思ったがその様子じゃダメみたいだし食っちまおうかなー。」
「パンくれるの!?だったら頑張る!!」
幸雄が穂乃果をパンで釣ると、ガバリと起き上がって問題を解き始めた。
そして、にこと希ペアは、
「はい、次の問題の答えは?」
「えーっと、に、にっこにっこにー・・・。」
にこがいつもの持ちネタで誤魔化そうとすると、希は両手を構えて、
「次にふざけたらわしわしMAXやよ~!」
とにこの胸をわしわしするためににじり寄っていた。もちろんどうなったかはいうまでもない。
「これで大丈夫なのかねえ、志郎・・・。」
「どう見ても駄目だろう・・・。」
志郎と幸雄はため息をついてこの部室の惨状を憂いていた。
「あ、すまん幸雄、今日は先生に頼まれごとをされてたんだった。すまんが幸雄、ここを頼めるか?」
「親友の頼みなら断れねえな。ま、とりあえず行ってきな。」
「すまん。恩に着る。」
そう言って志郎は部室を後にした。
(幸雄でも大丈夫なのか、あれ?)
と、一抹の不安を抱きながら。
そして、
「やれやれ、思いのほか時間がかかったな。いくら男手が足りないからってあそこまでこき使うかね普通。」
志郎は先生に頼まれた用事を済ませ、帰り道を歩いていた。仕事が終わった頃には幸雄から、既に今日の勉強会は解散したという旨のメールが届いていたからだ。
「ほんと、前々から思っていたことだが最初っから今日まで厄介ごとの連続だな・・・。まあ、武田家を継いでから天目山で死ぬまでの苦労に比べれば羽のように軽いがな・・・。」
と、ぼやきながら歩いていると、
「あなたに私達のことをそんな風に言われたくありません!!」
というどこかで聞いたことのある声で怒鳴る声が聞こえた。
「なんだ!?」
と、志郎が辺りを見回してみると公園の入り口に海未と、絵里とその妹と思わしき中学生が立っていた。絵里はそのまま何も言わずに去って行ったが、中学生の娘の方は何かを海未に渡して、
「あの、亜里沙、μ'sが・・・、海未さんたちが大好きです!」
というと姉の元へ走って行った。そして志郎は海未のもとに歩み寄り、
「よお。」
と声をかけた。
そして志郎は海未から公園で絵里と話していた事を聞いた。ファーストライブの映像をネットに上げたのが絵里だったという事、その理由が好意的なものでなく彼女たちの無力さを知らしめるはずが狙いとは真逆に人気が出ていて戸惑っていた事、そして彼女にとってはどのスクールアイドルたちも、彼女たちの頂点に立つA-RISEでさえも素人にしか見えないと言い放った事を・・・。
「なるほど。生徒会長はそんな事を言ってたのか・・・。」
「確かに私達はまだ未熟ですが、私達や他のスクールアイドルの努力を貶されるのは我慢ならなくて・・・。」
「まあ、お前の気持ちは分からんでもないが生徒会長にはそう言えるほどの何かがあるんじゃないか?」
「そう言えるほどの何か、ですか?」
海未は志郎の言葉に首を傾げる。
「ああ、生徒会長がお前らを目の敵にしてるのは確かだが、これまでの俺たちに対する発言に全く理がないわけじゃない。恐らくそれを裏付ける何かが彼女にはあるんだろう。皆目見当はつかないがな。」
「それでもさっきの言葉は・・・。」
海未の言葉尻に怒りが滲んでいた。志郎は彼女を宥めるように、
「落ち着け海未。とにかくそれをこれから探しに行こうじゃないか。」
と言った。
「探しにってどこにあるというんですか?」
「綾瀬先輩の事を最も知ってるであろう人がいるだろ?」
と志郎が言うと、海未は首を傾げたがすぐに気づいたのかハッとした。
そして2人はファストフード店にやってきた。幸雄に電話して希の所在を聞いたら、ファストフード店で一緒に勉強してると言っていたからだ。その本人たちはというと・・・。
「にこ分かんないよー☆」
「お仕置きやねえ!うひひひひひ!」
「いや、いやあああああ!!」
さっきと変わらずにこは希のお仕置きを受けていた。
志郎はそれを見てため息をつきながら、
「あの。」
と声をかけた。
「ん?」
と希がこっちに気付くと、
「聞きたいことがあるのですが。」
と海未が話を持ちかけた。希はにことの勉強会延長戦を切り上げて場所を変えようと志郎たちと一緒に神田明神へ向かった。
「ふうん。絵里ちにそんなことを言われたんや。」
「はい。A-RISEの踊りまで素人呼ばわりするのはいくら何でも・・・。」
「生徒会長にはそこまで言わしめるほどの何かを持っていると俺は考えています。もしご存知でしたら教えていただきたいのですが。」
と志郎は希にお辞儀をした。
「志郎くんは結構感がいいんやね。その通り。絵里ちにはそこまで言えるほどの実力があるんよ。」
と希は答えた。
「やはりそうだったんですか。生徒会長は昔はダンスをされてたんですか?」
「ううん。絵里ちは小さいころにバレエをやってたんよ。これがその時の映像や。」
と言って希はスマホに移っている動画を志郎と海未に見せた。
「これは・・・!」
それを見た瞬間、海未は目を見開き、言葉を失った。それほど幼少時代の綾瀬絵里のバレエは見事なものだったのだ。
「なるほど、確かにこれは凄い。他の奴らを素人呼ばわりするのも納得がいくが、生徒会長は今はやってないんですよね?」
と志郎は希に再び質問した。
「うちも後で調べて知ったんやけどロシアのバレエはものすごい競争が激しくってね、結果を出せる人はほんの一握りしかいないらしいんよね。絵里ちも実力は十分あったのに惜しいところでその一握りに入れなかったんよ。」
「なるほど、そういうことだったんですか・・・。」
そういう志郎の顔はどこか寂しげだった。志郎もまた、武将としては十分な力量は持っていたものの、環境や相手、そして天運に恵まれずに戦国乱世の生き残りサバイバルから脱落してしまっただけに、他の武将だったら「絵里には鍛錬が足りなかったのだ」と責めるだろうが、志郎は生きた時代が違うとはいえ同じように挫折を味わった同朋である絵里を責める気にはなれなかった。
海未は、そんな寂しげな顔をした志郎と絵里が踊っている動画を見つめることしかできなかった・・・。
そして希との話は終わり、二人は神田明神から家に帰るため、夕暮れの道を歩いていた。二人は無言で歩いていたが志郎が話を切り出した。
「なあ海未。お前あれを見てショックを受けただろ。」
「はい。情けない話ですが、自分たちが今までやってきたものは何だったんだろうって思いました。」
「そうだな。それは俺もそう思った。」
「悔しいですけど生徒会長がああ言いたくなるのも納得がいきました。」
「だから生徒会長に謝ろう・・・なんて思ったか?」
そう言った志郎の目は鋭く厳しいものだった。海未はそれに怖気づくことなく堂々と、
「いいえ、ダンスを教わりたいと思いました。もし今のみんなが先輩の半分でも踊れるようになれれば、本当の意味で人を惹きつけられるのにって思ったんです。」
と言った。
「ふふふ、はははは!」
志郎は海未の言葉を聞いていきなり笑い出した。
「な、何かおかしいことを言いましたか?」
海未は突然志郎が笑いだしたことに戸惑った。
「いや、お前らならきっとそうするだろうなと思ってたよ。たとえ対立する相手のものであろうが、良いと思ったものを自分のものにしようとする、彼の織田信長のような心構えは実にお前達らしい考えだってな。」
「織田信長、ですか?」
「ああ。だが、それならば先にやるべきことがあるだろう?まずはそれを終わらせてからでも遅くはないだろう。」
「はい、そうですね。穂乃果たちの事ですからやることは山積みでしょうね。」
「だが今日はいったん休め。今日はさっきの事で強い刺激を受けただろうから、流石のお前でも集中力が削がれてるだろう。だから今日はゆっくり休んで、明日からまた頑張ろう。」
と志郎は海未に柔らかい声色でそう言った。
「そうですね。では今日は勉強は休んで、明日に備えてゆっくり休もうと思います。」
と海未は笑いながら志郎に言った。
「では、私はこっちなので今日はこの辺で・・・。」
「ああ、じゃあまた明日な。」
二人はそれぞれの家に通じる別々の道に分かれた。
「あの!」
海未が志郎を大きな声で呼んだ。志郎が振り向くと、
「あの、今日は話を聞いてくれてありがとうございました!」
と海未が笑顔で手を振っていた。
「ああ、こちらこそお役に立てたようで何よりだよ。」
と志郎も手を振り返し、家に向かって歩いていった。
そんな二人を見守るように夕日の沈んだ空に浮かんだ月が輝いていた。
いかがでしたでしょうか?
今回は少しアニメとは展開の順番を入れ替えたり、役どころを変更してみました。(最後ら辺の志郎と海未の会話)
絵里がバレエをやめた理由をどの様に説明しようかとロシアのバレエについて少し調べてみたら競争率が鬼のように凄まじいと聞いてビビっちゃいましたね。
いよいよ次回は期末試験編が決着!!果たして穂乃果、凛、にこの三馬鹿トリオは赤点を回避する事が出来るのか!?この小説を読んでる人はオチを知ってる方が大半である事は想像がつきますがとにかくお楽しみに!!
あと余談ですが、ラブライブ!サンシャイン!!が始まるまであと10日切りましたね。今からすごい楽しみですw
それでは次回もどうぞお楽しみください!!