今日は真姫ちゃんの誕生日ですね。真姫ちゃんお誕生日おめでとう!!!
さて、今回はいよいよ一年生組加入回の完結編です!果たして花陽は決断できるのか・・・!?(アニメを見てる方、結末は分かり切ってるとか言っちゃおしまいですよ!)
それではどうぞお楽しみください!!
「色々あるんだなぁ、みんな・・・。」
「ああ、色々あるんだよな。」
志郎と花陽は、真姫に生徒手帳を私に行くという目的を果たして帰り道を歩いていた。
(しかし、あいつのことを思っての事とはいえ少しばかり喋りすぎたかもしれんな・・・。まあ、流石にあれで俺の正体がバレるとは思わないが・・・。)
「あの、諏訪部先輩・・・。」
「なんだ小泉?」
「さっき西木野さんに言ってた西木野さんに似てる人ってどんな人だったんですか?」
「ぶほっ!?」
花陽が突然投げかけた質問に志郎は激しくむせた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「げほ・・・。ああ、心配ない。少しむせただけだ。」
そう余裕そうに言い返した志郎だったが、
(うおおおお・・・!ここにきて掘り下げに来たか!!完っ全に想定外だったぞ!?どうする、どうやって言い繕えばいいんだ?)
内心ではかなり動揺していた。
「あ、あぁ。あまりホイホイ喋っていい話じゃないんだ、すまんな小泉・・・。」
「い、いえ、こちらこそ深入りしちゃってすいません・・・。」
慌てて謝る花陽を見て志郎の心に少しだけ罪悪感が芽生えた。
「ただほんの少しだけ言えることは、そいつはどんな苦しい時でも精一杯に自分のやりたい事とやるべき事を最後まで悔いなく果たした強い・・・いや、強すぎる男だったということだけだな。」
「強すぎる・・・ですか?」
「ああ、何事も過ぎたるは及ばざるが如し・・・。ほどほどが一番だってことだ。とにかく不器用な男だったよ。」
そう寂しげに話す志郎の目を見て花陽は、
(なんだろう、こんな寂しそうな目をする人って初めて見たなぁ。その人がどんな人かは分からないけど、きっと諏訪部さんにとってかけがえのない人だったんだろうな・・・。)
と思っていた。無論花陽がその人物が誰なのかはまだ知らない・・・。
そして特に話に花を咲かせることなく歩いていた二人は「穂むら」の前を通りがかった。
「あ、お母さんにお土産買っていこうかな。」
「それはいい心がけだな。きっと喜ぶぞ。」
花陽が店の戸を開けると、
「あ、いらっしゃいませー!」
店番をしている穂乃果がいた。
「あっ、先輩・・・。」
「よう、穂乃果。店番か?」
「うん、そうだけど珍しい組み合わせだね。」
「ああ、ちと用事があってな。」
「いらっしゃい、花陽ちゃん。」
「お、お邪魔します・・・。」
「私、店番があるから上でちょっと待ってて?」
「は、はい。」
「そうか、お邪魔するぞー。」
志郎と花陽は家に上がり、穂乃果に言われた通りに階段を上った。
「あ、小泉。すまんがちょっと用を足してくる。」
「え?でも私どこに行けばいいか・・・。」
「なに、すぐに済ませてくるよ。」
そう言って催したのか志郎はそそくさと階段から降りて行った。
「どうしよう・・・。」
そのまま花陽は明りの無い二階の階段に一人取り残された
「えっとぉ・・・。」
そうつぶやいて、近くにあった戸を開けてみると、
「ふぬぬぬぬににに・・・!このくらいになれれば・・・!」
顔にきゅうりとパックをつけて鏡の前でバスタオルを一枚だけ巻いた姿で胸を力の限りに胸を寄せていた穂乃果の妹、雪穂の姿があった。花陽は見てはいけないものを見てしまったと思って早急に戸を閉めた。
「らーんららーんららん、ららららーん♪」
と、歌声が隣の部屋の中から聞こえてきたので今度は少しだけ開けて覗いてみると、
「ジャーン!ありがとー!!」
ライブのイメージトレーニングなのか、マイクを片手にノリノリでポーズを決める海未の姿があった。
もちろんこれまた見てはいけないものだと思ってそっと戸を閉めた。
「どうしよう・・・。」
花陽はどうしていいか分からずに途方に暮れていると、部屋の中から走るような足音が近づいてきて、
「ぬっ!!」
海未が悪鬼羅刹のような声を出しながら戸を開け、花陽が驚いて身を引かせるとさらに、
「ふっ!!」
雪穂が後ろに飛び出してきたのだ。そして二人は前後から花陽を睨みながら低い声で尋ねた。
「「見ました・・・?」」
周りから見ればシュールな絵面にしか見えない図だったが、花陽本人からすればまさに『前門の虎、後門の狼』といったところだったろう。もちろん正直にはいと言えそうにない状況で万事休すといった状態だったが、
「「二人とも(お前ら)なにやってんの(だ)?」」
救世主は二人現れた。
「ご、ごめんなさい・・・。」
「ううん、こっちこそごめん。」
「俺こそすまんかったな。あの場でお前を残してしまったのがまずかった。」
穂乃果と海未、花陽、そして志郎の四人は穂乃果の部屋でテーブルを囲んで座っていた。
「あと、俺に非があるのは分かるが何故俺は穂乃果に殴られたんだ?」
そういう志郎の顔目元が赤くなっていた。
「ごめん、雪穂の方を見ないようについ・・・。」
「ああ、そういうことなら仕方あるまい・・・。」
穂乃果は、バスタオル一枚だった雪穂を志郎が見ないようにとっさに志郎の目を覆うとしたが速さの加減が効かず、張り手をかますことになってしまったのだ。
「それはともかくとして、海未ちゃんがポーズの練習をしてたなんてねぇ・・・。」
穂乃果がにやけ顔で海未に話を振ると、
「ほ、穂乃果が店番でいなくなるからです!!」
慌てて海未は穂乃果に反論する。
「ぶっ、ふふふ・・・。う、海未がノリノリでポーズを・・・、ふふっ。」
「志郎も笑わないでください!!」
「いやあすまんすまん。だがしかしこの場に幸雄がいなかったのが不幸中の幸いだったな。あいつがいたら二週間はいじりまわされていただろうな・・・。ははは。」
「このことは他言無用ですよ・・・!」
「わかってるわかってるって・・・。ふふふ。」
「い い で す ね!?」
「アッハイ、すいませんでした。」
海未の超が付くほどの低い声と不自然なまでに爽やかな笑顔での恫喝を前に、志郎はただうなずくことしかできず、笑いもピタリと止まった。
「あ、あの・・・。」
花陽が話を切り出そうとするも、
「おじゃましまーす。」
ことりが入ってきたことで遮られてしまった。
「あ、お邪魔してます・・・。」
花陽がことりに対してそう言うと、
「え!?もしかして、本当にアイドルに!?」
そういってことりは早合点して目を輝かせるが、
「違うよ、たまたま志郎くんと一緒にお店に来たからご馳走しようと思って・・・。穂むら名物『穂むら饅頭』、略してほむまん!おいしいよ。」
そう言って穂乃果は自分の店の名物を花陽に勧める。
「あ、穂乃果ちゃん、パソコン持ってきたよ。」
「ありがとう!肝心な時に限って壊れちゃうんだ~。」
「パソコン?何に使うんだ?」
「ああ、志郎には教えてませんでしたね。実はネットにあのライブの動画が上がってたみたいで・・・。」
「ほんとか!?」
「ええ、なんでも結構好評だとか・・・。」
ことりがパソコンをテーブルに乗せようとすると、花陽は邪魔にならないように饅頭とせんべいが乗っている皿をどかした。
「あ、ごめん。」
「い、いえ。」
「それで、ありましたか?動画は・・・。」
「まだ確かめてないけど、多分ここに・・・。」
「あったぁ!!」
「本当ですか!」
ことりがサイトを開くと、ファーストライブの動画が再生された。
(本当にあの時のライブのだ・・・。しかもかなり綺麗に、そして見事なカメラワークで録られている・・・。ヒフミがやったのか?いや、あげたなら真っ先に穂乃果たちに報告するはず・・・。ならいったい誰が・・・。)
動画を見て穂乃果たちが踊っていた時の感想を話している中で志郎は真剣な表情で考えていた。
「あ、すまん小泉。そこからだと見えにくく・・・。小泉?」
「・・・。」
花陽は両手に皿を持ったまま、真剣な表情でライブの映像にくぎ付けになっていた。
「小泉さん!」
海未が不意に花陽を呼んだ。
「あ、はっはい!」
「スクールアイドル、本気でやってみない?」
「え!?でも私、向いてないですから・・・。」
花陽はそう言って断ろうとするが、
「私だって人前に出るのは苦手です。向いてるとは思えません。」
「私も歌を忘れちゃったりするし、運動も苦手なんだ。」
「私はすごいおっちょこちょいだよ!」
「で、でも・・・。」
「プロのアイドルなら私たちはすぐに失格。でもスクールアイドルならやりたいって気持ちを持って、自分たちの目標を持ってやってみることはできる!!」
ことりは優しく、そして力強く花陽にそう言った。
「それがスクールアイドルだと思います。」
「だからやりたいって思ったらやってみようよ!!」
二人もことりの言葉に賛同する。
「もっとも、練習は厳しいですが。」
「海未ちゃん?」
「あ、失礼。」
「ふふ、ふふふ・・・。」
三人は笑いあい、それを見る花陽の顔も穏やかなものになっていた。
「ゆっくり考えて、答え聞かせて?」
「私たちはいつでも待ってるから!」
「「お邪魔しましたー。」」
話が終わって、志郎と花陽は先に帰った。
「あの、先輩・・・。先輩はどうしてμ'sのサポートをしようと思ったんですか?」
花陽はまた、志郎に質問した。
「どうして、か。あれは廃校を阻止するために始めたのは知ってるよな。俺は座して待つだけなのは好きじゃなくって、あいつらの積極的な姿を見てそれを手伝おうと思ったんだ。」
「そうなんですか。」
「最初の頃は歌も練習場所もグループも何もかも決まってなくて幸雄と一緒に頭を抱えたもんだが、それでもあいつらは明るく前を向いて力強く歩いていた。そんな姿に見惚れたんだよな・・・。あ、惚れたって変な意味じゃないぞ?」
「ふふふ・・・。」
花陽は普段は冷静で悠然と構えている志郎が慌てているのが可笑しかったのか少し笑っていた。
「とにかく、あいつらの言う通りやってみたいと思ったら、やってみるのが一番だ。もちろん決めるのはお前自身だからゆっくり考えるといい。」
「は、はい!じゃあ私はこっちなので・・・。」
「ああ、またな。」
花陽は志郎と別れて帰っていった。志郎は花陽の後ろ姿を見送りながら、
(小泉花陽・・・。彼女ならきっと・・・いや、それを決めるのはあいつだ。それにしても、まるでわが子を見るような気分だな。そういえば、信勝も現代ならば高校生だったか・・・。)
そう思う志郎の頭上には月が輝いていた。
翌日の放課後、花陽は中庭の木の下の椅子に座って落ち込んでいた。
(私、本当にできるのかな・・・?さっきの授業で当てられた時も勇気を出して声を大きくしたら裏返って笑われちゃったし・・・。)
そんな花陽のもとにある人物が来た。
「何してるの?」
「西木野さん・・・。」
「あなた、声は綺麗なんだからあとはちゃんと大きな声を出す練習をすればいいだけでしょ?」
「でも・・・。」
そう言って口籠る花陽に真姫は、
「ふう。あーあーあーあーあー。はい。」
発声練習の手本を見せた。
「え?」
「やって。」
「あーあーあーあー・・・。」
「もっと大きく!はい立って!」
「は、はい!」
「あーあーあーあーあー。」
「あーあーあーあーあー。」
「一緒に!」
「「あーあーあーあーあー。」」
中庭に花陽と真姫の透き通った声が響き渡った。
「あっ!」
「ねっ、気持ちいいでしょ?」
真姫が笑顔でそう言うと、
「うん・・・。楽しい。」
花陽もまた、笑顔でそう答えた。
「はい、もう一回!」
真姫は照れ隠しをするようにもう一回発声練習をしようとすると、
「かーよちーん。西木野さん?どうしてここに?」
凛がやってきた。いつもは一人でいる真姫が一緒にいることを不思議に思ったが、
「励ましてもらってたんだ。」
「わ、私は別に・・・。」
「それより今日こそ先輩のところに行って、アイドルになりますって言わなきゃ!」
真姫の言葉を遮るように花陽の手を握った。
「そんな急かさない方がいいわ。もう少し自信をつけてからの方が・・・。」
「なんで西木野さんが凛とかよちんの話に入ってくるの!?」
「っ!別に歌うならそっちのほうがいいって言っただけ!」
「かよちんはいっつも迷ってばっかりだからパッと決めてあげたほうがいいの!!」
「そう!?昨日話した感じじゃそうは思えなかったけど。」
「あの、喧嘩は・・・。」
花陽は二人の仲裁をしようとするが、
「むうっ!」
「むう~・・・!」
二人は睨み合ったままだった。
「あわわわ・・・。」
「かよちんいこ!先輩たち帰っちゃうよ!!」
凛が花陽の手を引いて連れて行こうとすると、
「待って!」
そう言って花陽のもう片方の手を真姫がつかんだ。
「どうしてもっていうなら私が連れて行くわ!音楽に関しては私の方がアドバイスできるし、μ'sの曲は私が作ったんだから!!」
と言い放った。
「あ、そういえば昨日も先輩が・・・。」
「あっ、いや、ええっと・・・。」
真姫は思わず言ってしまったといった表情で戸惑ったが、
「とにかく行くわよ!」
と言って花陽の手を引いて歩きだした。
「待って!連れてくなら凛が!」
「私が!」
「凛が!」
「私が!」
そう言いあいながら二人は花陽を引きずりながら穂乃果たちの所へ歩いていく。
「誰か・・・。ダレカタスケテーーー!!!」
花陽の悲鳴が学校にこだました。
花陽たち一年生三人組がμ'sの所にたどり着くころにはもう空は夕陽がさしていた。
(なんか小泉が調査員に捕まったエイリアンみたいになってるんだが、ツッコんだ方がいいんかね・・・?)
(やめとけ幸雄。今それをやると確実にヤバいことになるぞ。)
「つまり、メンバーになるってこと?」
志郎と幸雄が一年生たちの尋常じゃない様子について小声で話してる中でことりがそう聞くと、
「はい!かよちんはずっとずっと前からアイドルをやってみたいって思ってたんです!」
「そんなことはどうでもよくって、この子は結構歌唱力はあるんです!」
「どうでもいいってどういうこと!?」
「言葉通りの意味よ。」
凛と真姫が言いあっていると、
「わ、私はまだ、なんていうか・・・。」
「もう!いつまで迷ってるの!?絶対やった方がいいの!!」
「私もそれには賛成!やってみたい気持ちがあるならやってみた方がいいわ!」
まだ煮え切らない花陽に対して凛と真姫が喝を入れた。
(さっきまで星空と西木野は衝突していたが、花陽を思う気持ちは同じだったのだな。)
「で、でも・・・。」
「さっきも言ったでしょ、声を出すなんて簡単!あなただったらできるわ!!」
真姫は花陽の肩をつかんで激励した。
「凛は知ってるよ。かよちんがずっとずっとアイドルになりたいって思ってた事!」
凛もまた花陽の肩をつかんで激励する。その目はまっすぐに、そして力強く花陽の目を見つめていた。
「凛ちゃん、西木野さん・・・。」
「頑張って、凛がずっとついててあげるから。」
「私も少しは応援してあげるって言ったでしょ?」
凛と真姫が花陽を励ます様子を穂乃果たちは笑顔で見守っていた。志郎と幸雄もまた然りである。
(がんばれ小泉。あと一歩、一歩だけ踏み出して見せろ・・・!)
志郎は花陽をまっすぐ見据え、心の中で激励の言葉をかけた。その時の志郎は、子を見守る父親のような顔をしていた。
「えっと・・・、私、小泉・・・。」
緊張しているのか花陽はうまく言葉を出せないでいたがその時、
「あっ・・・。」
凛と真姫は、彼女の背中を優しく押してあげた。花陽が振り向くと、凛と真姫はただ笑顔を向けた。
「・・・!」
幼馴染と新しい友の優しく、そしてこれ以上ないほど温かく強い後押しに目に涙を浮かべた。そして、花陽は意を決して先ほどまでの弱気な表情から打って変わって強い意志を目に込めて穂乃果たちの方を向き、ちらりと志郎の方を見た。
花陽の視線に気づいた志郎は、
(行け。)
ただその一言を、声に出さず口の動きだけで伝えた。声に出さずとも彼女なら進める、そう判断しての行動だった。
そして花陽はその志郎の声なき激励が伝わったのか一息呼吸を入れて、穂乃果たちに言葉を放つ。
「私、小泉花陽と言います。一年生で、背も小さくて、声も小さくて、人見知りで・・・、特異なものも何もないです・・・!」
穂乃果たちは花陽の言葉に静かに耳を傾ける。
「でも・・・、でも・・・!アイドルへの『想い』は誰にも負けないつもりです!だから・・・、μ'sのメンバーにしてください!!」
花陽は強い決意の言葉と共に頭を下げた。
「こちらこそ!」
花陽がその言葉に顔を上げると、三人は笑顔で、そして穂乃果は手を花陽に差し伸べ、
「よろしく!」
と、屈託のない笑顔で言った。
花陽は涙を流すも、穂乃果の言葉に応えるように笑顔で彼女の手を握り、握手を交わした。
そんな二人を祝福するかのように夕陽は西の空に赤々と強く輝いていた。
「かよちん、偉いよぉ・・・。」
凛は気弱だった幼馴染の成長に涙ぐんでいた。
「何泣いてるのよ・・・。」
「だって・・・、って西木野さんも泣いてる?」
「だ、誰が!泣いてなんかないわよ!」
真姫はそう言い返すが、目にはうっすらと涙が光っていた。
「それで、二人は?二人はどうするの?」
「「え?どうするって・・・ええ!?」」
ことりの言葉に凛と真姫は意外そうに驚いた。
「まだまだメンバーは募集中ですよ!」
「うん!」
海未とことりも凛と真姫に笑顔で手を差し伸べた。
二人は少し戸惑った様子だったが、
『そうやって義務を言い訳にして、やりたいことを諦めて欲しくないんだよ。』
『俺の人を見る目は誰よりも確かだからな。俺の炯眼に狂いはねえ、命だって賭けてやるさ。』
二人の脳裏には志郎と幸雄の言葉がまだ鮮明に響いていた。
「「はい!よろしくお願いします!!」」
そう言って二人は海未とことりの手を取った。
翌日の朝・・・。
「まさか一気に三人も増えるとは思わなかったな!なあ志郎、お前もそう思うだろ!?」
「ああ、だけど心の中ではきっとこうなることは分かっていたと思うんだ。お前の事だ、お前も分かっていたんだろう?だから西木野や星空に目をつけていたんだろう?」
「ほう、お見通しでしたか。しかし勝頼さまが小泉が穂乃果と握手していた時に泣いていたのがちと意外でしたな。」
「ああ、なんというか年が近いせいか信勝と重なって見えたのでな。」
「なるほど、そういうことだったのですか・・・。確かに年も近いですし勝頼さまに比べると些か慎重な性格でしたからな。」
「やはり若いうちに死なせてしまっただけに、そういう成長をもう少しだけ見たいという思いが強まってしまったのだろう。それに小泉を見てると何故か親心が芽生えてしまうんだよな。」
「ああ、なんとなく分かりますな。源三郎もあの年ごろの頃は大人しかったですからなあ。」
「源三郎も立派な真田の跡取りになってよかったな。」
「ええ、源次郎ともども自慢の息子ですわ。」
志郎と幸雄は前世における自分の子について話しながら神田明神に向かっていた。そして男坂階段の下に着くと上から
「真姫ちゃ~~ん!!真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃ~ん!!」
と凛の声が聞こえてきた。
「よ!一年生諸君、入部して早々仲が良さそうで羨ましい限りですな!」
「それにしてもずいぶん懐かれてるな西木野。」
「ヴェエ、だったら早く引き離してよ!」
「お!?」
「どうした幸雄。」
急に幸雄が素っ頓狂な声を上げたので志郎が幸雄の方を見ると、
「おお!」
なんと、花陽が眼鏡を取っていたのだ。
「小泉、眼鏡を取ったのか!?」
「はい、コンタクトに変えたんです!に、似合ってますか・・・?」
花陽が志郎と幸雄に聞くと、
「ああ、実に似合ってるぞ!」
「眼鏡をかけててもかわいかったが、もっとかわいくなったな!!」
志郎と幸雄がほめると、
「あ、ありがとうございます・・・。嬉しいです・・・!」
そう言って花陽は顔を赤く染めながら笑顔で二人に感謝した。
そんな花陽を見た二人は、
(うおおおおおおおお!かわいすぎかよ!!やべえよ天使が舞い降りたぞ!?)
(子供のようだと思ったがどうやら誤りだったか!!犯罪的にかわいいぞ!!)
内心では悶絶していた。
「そういえば気になったんだが、なんか呼び方が変わってなかったか?」
「確かに、昨日は星空は西木野さんって言ってたような・・・。」
「あ、お互いに名前で呼ぶようにしたんです。」
と花陽が首をかしげていた志郎と幸雄に教えた。
「なるほど、確かに互いの距離が縮まっていい方法だな。」
「だから、先輩たちも私たちのことは名前で呼んでよね。」
「凛たちも先輩たちを名前で呼ぶにゃ!!」
真姫と凛も話に加わってきた。
「そうか、じゃあ志郎!俺たちも・・・。」
「ああ!お言葉に甘えさせてもらおうか!!」
「「花陽!凛!真姫!ようこそμ'sへ!!これからよろしく!!」」
「「「はい!!志郎先輩、幸雄先輩!こちらこそよろしくお願いします!!」」」
男二人と一年生三人は互いに向き合って改めて挨拶を交わした。
「それじゃ、挨拶もしたところで穂乃果たちが来る前にストレッチと体操を済ませるぞ!」
「練習は海未と志郎が考えてるんだ、結構厳しいぜ?喰らいついて見せろよ!?」
「「「 はい!! 」」」
花陽、凛、真姫の三人の快活な返事が雲一つない朝の空に爽やかに響いた。
いかがでしたでしょうか。
一年生組加入回、遂に完結しました!
花陽推しの自分としては花陽が入部を志願するシーンが一番好きだったのでファーストライブ回並みに気合を入れて書きました!
あと、一年生組加入回が終了した記念にサブタイトルを改変しました!
次回からいよいよ三年生組にもメスを入れていきますよ!次回は今まで顔を全く出さなかったあのメンバーが遂に登場します!!
果たして志郎たちはμ'sで1、2を争うほどクセの強いあの娘とどう関わっていくのだろうか、乞うご期待!!
感想やこうしたほうがいいんじゃないかという意見があればどんどん書いてください!
それでは次回もまたお楽しみください!!