噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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遅くなりましたが続きでございます。
一度消えた文章は…二度と…二度とは…。


この手で掴み取れ 二回戦
万年1回戦ボーイなんて言わせない


  よう、俺ヤムチャ。

  無事ドラゴンボール探しの旅を終え、ブルマとくっ付き西の都にやって来ていた。

  俺は今ブルマの家、カプセルコーポレーションの本社に居候している。我ながら情けないことは重々承知。

 ブルマの両親は全く気にしていないようだが俺の心が苦しい。よくヤムチャは十何年間も居候できたな。

 まあ、何はともあれ居候を開始して数日経った訳だが…。

  いやこの都は凄い。かなり先進的だ。自動車は浮いてるし変なチューブが街のあちこちに通ってるし建物の形は変だし…。

 …なんていうか、発展の順序間違えてない?

  まず都から少し出たら目の前には荒野が広がってるし…流行りかなんか知らないけどあんな形に建物を建てたら地震で一撃だろうに…。分からん…。

 

  まあ、そんなことはどうでもいいさ。

 今の俺には半年後に迫っている天下一武闘会の方が大切だ。

 さて、今回のノルマを発表しよう。

 ズバリ、天下一武闘会本戦の一回戦突破だ。

  天下一武闘会…それはヤムチャに取ってはかなり心苦しいイベントであったはずだ。

  惨め、無様、嘲笑、貧弱…。ヤムチャの天下一武闘会は?と、聞かれて真っ先に思い浮かぶのはこれらの言葉。ここらからヤムチャの噛ませ犬としての人生がスタートしたと言ってもいいだろう。

 

  第21回天下一武闘会は一回戦にジャッキーチュンと対戦…いや、対戦と言えるような代物ではない。完全に遊ばれていた。

  挙げ句の果てにはそよ風で場外…。貧弱ここに極まれりである。

 

  第22回天下一武闘会は一回戦に天津飯と対戦するが…その前に『消えろ、ぶっ飛ばされんうちにな』とか『白目を剥かせてやるぜ!』とか『おい、逃げ出すなら今のうちだぜ』と天津飯に向かって啖呵をほざいた。

  そして試合では天津飯にボッコボコにされ、白目を剝かされ、足を明後日の方向に折られるという無様な負け方をした。ヤムチャ無様、マジ無様。

 

  第23回天下一武闘会では一回戦でシェン(神)と対戦。金的をくらい、自信満々に繰り出した狼牙風風拳を『足元がお留守』と一蹴され、散々勿体ぶって繰り出した繰気弾は一撃くらわせるも、たいして効いた様子も無く、その直後の反撃により一撃…。

  なんとも惨めな結果しか残せていないのである。ヤムチャェ…。

 

  確かにヤムチャが当たってきた相手はいずれもその大会優勝者、または優勝者クラスの実力者だらけなのだ。ヤムチャにのみ非があるとは言い切れない。

 しかしいくらなんでもヤムチャは弱すぎた。

 そこが問題なんだ。

 

  俺は天下一武闘会を逃げてはいけない場面の一つとして認定している。

 ヤムチャが勝つということ…それすなわち原作の改変…。かなり危険な行為である。

 だけど……何だろうな…。負けちゃいけない…いや、負けたくないんだ。相手が亀仙人だろうと悟空だろうと負けたくない。

 俺は…勝ちたい!

 万年1回戦ボーイなんて言わせない。

 

 

  と、いうわけで俺は今バリバリ修行中だ。さて、どんな修行をしているかというと…。

 

「よーし、プーアル!次は200kmだ!」

 

「はい!」

 

  バッティングだ。ベースボールだ。ただひたすら飛んで来る球を見て、それを打つ!このブリーフ博士に作ってもらったバッティングマシーンは時速250kmまで出る優れものだ。この速さに慣れればメジャーの球が止まって見えるかもしれない。

 …なんていうか、その…動体視力を上げる方法がコレぐらいしか思いつかなかったんだ。

 

  第21回天下一武闘会において俺が最も磨きをかけるのは身体能力の強化。その強化のための修行の一環がこのバッティングというわけだ。

 まあ、ブリーフ博士の重力室の開発があと数日で終了するからすぐに重力室での修行に移る予定だが。

 

  時速64km…これは亀仙人が軽気で走った時の速さだ。本気で走れば常時200kmくらい出してきそうで恐ろしい。そんな速さでの戦闘、正直今のままではとてもじゃないが目が追いつかない。文字通りのヤムチャ視点だ。だからなんとしても動体視力を底上げしておきたい。いくら強くても見えなければなんの意味もないのだ。

 

「行きますよ!(バシュッ」

 

「くッ!(スパーン」

 

 …うん、正直見えないよ。まあ、当たり前だよね。やっぱり動体視力ってのは自然に身につけていくものなのか…。

 

「くそ…全然見えない…。だがこんなところで…」

 

「ヤムチャさま…もうやめましょうよ。こんなの打てっこないし当たると危ないですよ」

 

「そうだがな……うん?当たると危ない…?」

 

 …思い出した。悟飯が修行の際に動体視力を取り戻すため悟天に石を投げさせ、それを避けるというやつをやっていたことを。

 …やってみるか?…いや、やろう。悟飯を見る限りこの方法なら短期間での動体視力の上昇が見込めると思う。

 当たればもちろん痛いだろうがノーリスクで強くなれるほどこの世界は甘くない。

 俺は…勝つんだ!

 

「や、ヤムチャさま…?なんでベースの上に立ってるんですか?」

 

「…プーアル、球を頼む。それと飛んでいくコースはランダムでだ」

 

「駄目です!そんなことをしたらーーーー」

 

「いいからやってくれ‼︎早く‼︎」

 

  プーアル…すまない。だが俺は勝たなきゃならないんだ。こんなところで折れてる場合じゃないんだ!

 

「…行きますよ?(バシュ」

 

「うおッ⁉︎(チッ」

 

  顔に掠った…!当たれば前歯どころの話じゃないぞ…!

 いや、だからこそ集中しろ…。全神経を集中させろ…。

 

「プーアル!もっとだ!」

 

「は、はい…(バシュ」

 

「くッ‼︎(スパーン」

 

 よし、成功だ。この調子でーーーー

 

「ッ!しま、ぐあッ‼︎(バシィイ」

 

 う、腕に球が…!い、痛え…!お、折れてないよな?

 

「や、ヤムチャさまー‼︎」

 

「来るなッ‼︎まだまだ続ける‼︎」

 

  今も刻一刻と悟空とクリリンは強くなっているんだ!こんなところでへこたれている暇はない!

 

「次ィ‼︎」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「や、ヤムチャ⁉︎あんた何してるの⁉︎」

 

「しょ、正気かよお前…」

 

「ん?ああ…おかえり」

 

 買い出しに出かけていたブルマとウーロンが帰ってきた。ということは、結構な時間コレを続けていたみたいだ。

 

「おかえりじゃないわよ!あんたそんなに痣作って!」

 

「いやいやでもおかげで結構見えるようになったんだ。これならーーーー」

 

「やめて」

 

 …あら?

 

「こんなことは二度とやめて」

 

 け、結構怒ってるな…。流石に無茶しすぎてたのかな。ヤムチャだけに。…冗談です。

 

「…すまない。俺も危険なことは重々承知している。だがな、こんな事でもしないと悟空の奴には勝てない…勝てないんだ…」

 

「ヤムチャ(さま)…」

 

  二人にはすまないと思っている。この二人は紛れもなく俺のことを心配してくれて言っているんだ。こんなに嬉しいことはない。だが、やめるわけにはいかないんだ。すまない…。

 

「…今日はここまでにするか。なあ、明日は3人で映画にでも行かないか?ちょうど面白そうな映画があってな」

 

「…うん、いいわね!」

 

「ありがとうございます!」

 

 うんうん、二人の喜ぶ姿が見れて俺は満足だ。貴重な修行の時間をカットすることになるが仕方ない。関係は一度失うと取り戻すのはとても難しいものなんだ。己の力以上に。

 

「おい!俺は退けもんかよ!」

 

「ん?なんだお前も来るのか?言っておくがお前の分の料金は払わんぞ」

 

「なんだよケチ!」

 

 ウーロンとの関係?適当でいいんじゃないの?

 

「じゃ、さっさと怪我の手当てをして夕食にしましょ!」

 

「そーだな。神経を使いすぎて腹がペコペコだ」

 

 ベジータのように修行に明け暮れるのもいいがこういう生活もまた楽しい。己に向き合うばかりではなく、な。

 

 

 

 




というわけで修行開始です。
ヤムチャは原作の流れからはあまりずらしたくないけど勝てるところは勝ちたい…って感じの考えですね。

西の都
他に東、南、北がありますが北を除いて結構酷い目にあってるんですよね。東はナッパ様のクンッ!で。南はピッコロ大魔王とかDr.ゲロに。西は魔人ブウに一番に狙われたり、ヒルデガーンに壊滅させられたり。魔人ブウのやつは結局来ませんでしたが。
北はマッスルタワーぐらいですかね。あ、けどゲームじゃよくVSブロリーの舞台になります。やっぱり不便。

ブリーフ博士
偉人。とんでもない人ですよね。なんていうか…もうこの人がベジータの嫁でいいんじゃないかな。割とマジで。いや、嫁は重力室かな?



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