噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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3回ぐらい書き直しましたね。はい。



お前がこっちに来るんだよ!◆

 よう、俺ヤムチャ。

 

 ガーリックJr.の趣味悪い居城からドラゴンボールを回収。現在は別に使う気などないので厳重に保管しておいた。ドラゴンボールを狙う輩に盗まれると色々と厄介だからな。

 

 さて、そろそろ本格的に考えなければなるまい…対アニキ戦で悟空を生かすか…見殺しにするか。

 ぶっちゃけアニキは楽勝だと思う。俺が茶々入れなくても悟空とピッコロのコンビならボコボコだろう。2人とも原作よりも強くなってるっぽいし。

 しかしピッコロはともかく悟空は単独だとアニキ相手は厳しいかもしれない。いや多分無理だ。

 

 だからこそ、こう考えてしまう。

 俺がピッコロをあの手この手で足止めすれば、悟空は殺されてあの世へ行けるのではないか?そうすれば悟空は問題なく界王拳と元気玉を習得できるだろうし、俺もサイヤ人戦後に悟空から界王拳を習うことができる。

 恐らくだが…これが一番の最善手。

 

 ……いや無理だ、俺にはできない。

 悟空が界王拳を界王様から習わなければベジータに勝てないことはわかっている。わかっているさ!

 だけど…悟空は俺の弟分なんだ。後のためとはいえ見殺しに…いや、間接的に殺すことなんてできない!しかもこの手を使うとクリリンや武天老師様たちまで死んでしまう可能性がある。

 

 だけど…それならどうすればいいんだ?

 悟空を殺さずに…界王拳なしでベジータに勝てだと?それなんて無理ゲーだよチクショウ!

 考えろ…考えるんだヤムチャ…。必ず、必ず悟空の死を回避しつつサイヤ人編を乗り切る方法があるはずだ。

 うん?俺が死ねばいいって?却下だ!

 

 

 そんなことを顰めっ面で毎日考えていたある日。

 たまたま廊下でブリーフ博士とすれ違った。どうやら一人用のポッドを元にした宇宙船の開発に成功したらしい。既に量産体制に入っている。マジすげえやこの人。

 

「すごいっすね博士。順調じゃないですか」

 

「まあね。これも全部あの丸い宇宙船を持ってきてくれたヤムチャ君のおかげだよ。ところで難しい顔をしてるけどどうしたのかね?またブルマと喧嘩したのかい?」

 

「いえいえ…ブルマとは毎日喧嘩してますけど、それとは関係ないですよ。ちょっと思うところがありまして…」

 

「ふむ…キミが難しい顔をするのは似合わない。どれ私の一発ギャグでも披露しようかね?」

 

 ははは…博士はホントギャグ好きだなぁ…。そういや界王様もギャグ好きだった。

 はぁ…せめて界王様に簡単に会えればいいのに……うん?界王様に会えれば…いい……ッ!

 この時、俺に電流が走る。

 

「それじゃあいくよ?ネコが寝ーーーー」

 

「ブリーフ博士、失礼しますッ!」

 

 そうだよ、あの手があったじゃないか!

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「宇宙の中で箆棒に偉い人?」

 

「ああ、界王様って言うらしい。聞いた話だと宇宙の中でも格段に偉いし強い。なんでも自分を何倍にも強化する技を使うことができるらしいぜ」

 

「へぇ〜そりゃすげぇや!」

 

「だろ?その人に稽古してもらえたら俺たちは今の何倍も強くなれるだろうな」

 

 俺がやってきたのはパオズ山の悟空宅。今回のプラン実行にはドラゴンボールの使用が不可欠だからな。四星球を利用するにあたっては悟空からの許可が必要だ。

 まあ…”何倍も強くなれる”っていうワードをチラつかせれば悟空も喜んで四星球を譲ってくれるだろう。

 神龍が帰るときに四星球だけキャッチすればいいし。

 

「そいつは会ってみてぇな〜。どこに行ったら…その界王さまっちゅう人に会えんだ?」

 

「界王様はあの世に住んでるんだ。呼ぶにはドラゴンボールが必要なんだよ。だから悟飯さん…おじいさんの方な?悟飯さんの形見を使っちまうことになるんだが…」

 

 悟飯って言ったときに息子の方の悟飯が反応したから補足しておいた。死んだ祖父の名前をつけるのはいいことだと思うが、少しばかりややこしいな。

 さて俺の申し出に対する悟空の返答は…

 

「呼ぼう!」

 

「アッハイ」

 

 即答だった。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 そして悟空とともに西の都へトンボ帰り。さっさと瞬間移動を覚えたい今日この頃である。

 ドラゴンボールを金庫から引っ張り出し庭にぶち撒けた。そう、今から神龍を呼び出すのだ。何事だ何事だとブルマたちが俺を問い詰める。しかし気にしている場合ではない。ぬらりくらりとかわしながら神龍を呼ぶ準備を整える。

 思い立ったが吉日!即行動だ!

「いでよ神龍!そして願いを叶えたまえ!」と定例通りの合言葉を唱えると神龍が物凄い演出をしてくれながら出てきてくれた。今思うと神龍を見るのは13年ぶりだ。なんだかこみ上げてくるものがあるな。

 

『ドラゴンボールを7つ揃えしものよ…願い事を言うがいい。どんな願いでも1つだけなら叶えてやろう』

 

 おきまりの口上を述べ、願い事を催促する神龍。

 さて、いくぞ?

 

「界王星ごと界王様をこっちに連れてきてくれ!」

 

『ふむ…容易いことだ』

 

 ポウッという効果音とともに神龍のルビライトな目が赤く光った。瞬間、カプセルコンポレーション上空に小惑星が出現し…地球の引力に引っ張られ庭に物凄い音を立てて堕ちた。

 ふむ…とうなづく俺、呆気にとられるブルマ、ほえ〜と感嘆の声を漏らす悟空。見事な三者三様だ。

 

『願いは叶えてやった。それでは、さらばだ!』

 

「ありがとー神龍」

 

 なおしっかりと四星球をキャッチするのは忘れない。

 キャッチした四星球を悟空に渡すと満足げに頷いた。瞬間、俺の頭がパコーンという小気味良い音を立てて殴打された。勿論殴ったのはブルマの拳だ。ていうか痛い。

 

「あんた何やってんのよ!これは何!?」

 

「界王星だ。ここにいる界王様っていう宇宙の中でも結構偉い人に稽古をつけてもらおうと思ってな」

 

「なんつー物を呼び寄せてんのよ!さっさと返却して!」

 

「おいおい、まだなんの稽古も受けてないじゃないか。それに返却しようにも1年後のドラゴンボールがないと無理だろ」

 

「きい〜〜!」

 

 いつものようにブルマとの喧嘩(なお俺が一方的に殴られる)が始まろうとした、その時だ。

 界王星から何かが落ちてきた。一度ブルマとの喧嘩を中断しともにその落ちてきた物を見やる。

 落ちてきた物は界王様でした。

 青い肌にふくよかな顔、丸いレンズのサングラス。服には『幸』の文字。そして何と言ってもゴキブリみたいな触覚…帽子?まごうことなき界王様その人である。

 

「イテテ…一体何事…」

 

「おめぇが界王さまっちゅう人か?オッス、オラ孫悟空!ちょっくら稽古をつけてくんねぇかな?」

 

 痛そうに腰をさする界王様に悟空がファーストスキンシップ!流石だぜ悟空!その気軽さを見習っていきたいもんだ。

 

「あー?なんじゃお前さんは…それにここはどこかの…?なになに…地球?なーんでそんなところに…」

 

「そこらへんの説明は俺からさせてもらいます」

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「なるほど…随分と勝手なことをしてくれたな」

 

「申し訳ございません。何分興奮していたもので…界王様のご都合を考える余裕がありませんでした」

 

 これは本当だ。いい案を思いついたと少々浮かれていた。界王様には申し訳ないことをしたな…。

 

「たく…界王たるもの暇ではないのだぞ?星をドライブしたり草の本数を数えたり面白いギャグを考えたりの」

 

 ……なんだろう、さっきまで胸の内に渦巻いていた罪悪感がどんどん薄れていくぞ?まあ…界王様の趣味に口出しする気はないんだが…うーん。

 よし、少しばかり界王様を懐柔してみるか。

 

「しかし界王様。この地球は娯楽が発展しています。もしかしたら界王様の趣味に合うかもしれませんよ?」

 

「ほう…例えば?」

 

「そうですね…ギャグなんかは宇宙でも最高水準なのではないでしょうか?かく言う俺もギャグには中々自信がありますよ?」

 

 宇宙最高水準かどうかは知らんが、原作界王様の悟空が言ったギャグに対する反応を見れば地球のギャグセンスは一級品なのでは?とか考えてみる。

 

「ふむ…ならば言って見せい!」

 

 ふふふ…見せてやろう!この俺様の宇宙最高水準にして地球最高級の超一発ギャグを!

 

「鼻クソの秘密を…そっとはなくそう」

 

「……ッ!!?」

 

『…は?』

 

 界王様はしばらくピクピクすると腹を抑えて地面を転げ回る。どうやらバカ笑いしているようで俺としても嬉しい限りだ。そしてそれとは対照的にみんなからの反応と視線が色々と辛い。ブルマとウーロンはともかく悟空とプーアルはそんな顔をしないでくれ。その顔は俺に効く。止めてくれ。

 

「プププ、ププー!!くひひ、ひひひひ…!!ふひー!ふひー!…お、お主只者ではないな?もしやプロか?」

 

「まあその道としてはそれなりの自信がありますよ。どうです?この通り地球のギャグセンスは宇宙最高水準です。暇つぶしにはもってこいですよ?」

 

「な、なるほど…それはいいのう。偶にはバカンス気分でも味わいたいと思っておったところだ。それでいつワシと界王星を元の場所に帰してくれるのだ?」

 

「次のドラゴンボールが使えるようになるまで…つまり1年後ですね」

 

 まあ実は裏技があるんだが…今はまだいいだろう。ドラゴンボールを正当に使っていこう。

 

「ふむ1年か…そのくらいならよかろう。稽古をつけてやる。稽古を受けるのはお前と…そこのヤツだけか?」

 

「あと少し増えるかもしれません。みな俺と同レベルのギャグセンスを持っていますよ」

 

「そいつは楽しみじゃな!」

 

 

 こうして界王様から修行の稽古を受けさせてもらうことに成功したのだ!ドラゴンボールを乱用しすぎだって?気にするな!

 

「ねぇヤムチャ?ちょっとこっちに来て?」

 

 なお俺は勿論の如くブルマにボコボコにされた。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 界王様は地球をめちゃくちゃエンジョイしていた。美味いものを食い、広い庭をドライブし、暇な時はブリーフ博士と一緒に面白いギャグを考える。それはもう楽しく過ごしていた。

 

 悟空は「布団が吹っ飛んだ!」で界王様の笑いを取り、日々修行を行っている。まあ悟空には家族との暮らしがあるから四六時中修行をするなんてことはできないが。界王拳はまだ初歩中の初歩といったところか。

 ピッコロさんは相も変わらず俺に対し突発的に攻撃を仕掛けてくる。時折界王様との修行を興味深そうに見ているので「一緒に修行するか?」って聞いたら反吐を吐かれた。ひどい。

 天津飯は餃子とともにランチさんから逃げ回りながら場所を転々としているため中々修行には来なかった。そんなにランチさんが怖いかね?またクリリンは最近修行に熱が入らないようだ。まあ悟空とかにも言えることだが現在のZ戦士たちには目標が存在しないからな。仕方ないと言えば仕方ない。Z戦士たちは目標が有ると物凄い勢いで成長するから…。俺?さあ?

 

 そして俺は…

 

「あべし!」

 

 爆発していた。仙豆がなければ即死だったぜ。

 俺も界王拳は初歩中の初歩ぐらいまで使えるようになったんだが少しでも気を抜くと爆発してしまう。

 界王様が言うには本来界王拳とは体中の気を一度にコントロールし、気を体中に浸透させ筋繊維や気脈なんかを増強、増幅させる技らしいんだが…俺の今まで使ってきたヤムチャ流界王拳は気脈を無理矢理こじ開けこれまた無理矢理気を循環させる技。どうも原理が違うらしい。

 よって不用意に体中の気を一度にコントロールしようとしたら気脈に気が一気に流れ出し爆発してしまう。まさかのヤムチャ流界王拳が仇となった瞬間である。なんてこったい。

 

 てか弱虫アニキはいつ来るんだ?

 そんなことを思う毎日であった。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 そして…

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ちいっ…カカロットじゃない…」

 

「何者だ貴様…このオレ様に用でもあるのか?」

 

 ピッコロの元にラディッツが襲来した。

 なお戦闘力5のおっさんは死んだ。




死ぬのメンドクセーなー、蛇の道メンドクセーなー!よし、界王様に来てもらおう!という訳です。他にもヤムチャ、もしくは悟空をドラゴンボールの力で界王星に飛ばすという案もありましたが却下!


界王様
悟空はホントいい師匠に恵まれてますよね。もしもいなかったらドラゴンボールが詰んでた人第二号。
ドラゴンボール超で八奈見乗児の声の調子がおかしい?って思ってたら声優さん変わっちゃいましたね…残念。



【挿絵表示】


みなさん、カミヤマクロさんの絵に合掌!ありがてぇよぉ


なんか東方の小説を投稿してますがヤムチャにおけるこれからの戦闘描写のための練習や暇つぶし、脳の体操のために書いたやつです。つまり作者の本気です。興味のある方は是非見てみてくださいな。
それではまた次回!

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