噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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ブリーフ博士の汎用性の高さにビビる毎日である。





ブリーフ博士はマジでヤバイ

 よう、俺ヤムチャ。

 

 いやどうもね、世界で話題沸騰中なんだそうだ。何がって?俺がだ。

 書店に並ぶ雑誌を見てもヤムチャヤムチャヤムチャ…。

 テレビをつければあの時の魔族との戦いがデジタルリマスター版とか言って高画質で放送されてるし。しかもその後の悟空がピッコロ大魔王を圧倒する場面とか捏造されて俺が圧倒してる。

 街を歩けばそこらから一般市民が湧いて出てサインを求めたり握手を求めたり…。下手に巻いてもあいつらカプセルコーポレーションまで来やがるからな。あまりにも酷いので警備員を雇ったくらいだ。しかしそれでも止めれない。Z戦士の誰かを雇おうとも考えたほどだ。

 

 結論、有名人は辛い。

 前にも言ったがどうしてこうなったんだ…。こういうのはサタンの役目だろう?俺は戦闘面で活躍したいんだ!

 

 まあそんなこんなで慌ただしい毎日を送っているがゆっくりもしてられない。3年後の天下一武闘会では優勝できるようにマジで鍛えとかないとな。

 

 メニューはひたすら重力室に篭って鍛錬オブ鍛錬。ついに克服した5Gの重力で鍛えまくってる。そろそろ7G…いや、8Gに挑戦してもいいだろう。超神水の力でかなりパワーアップしたからな。できることも増えてウハウハだ。ちなみにベジータがよく使っていたビームを出す変な球体は再現済みである。ビームは流石にまだ無理だが、ボールを高速で撃ち出すのでいい訓練になる。

 動体視力の訓練についてはブリーフ博士がもっと早いピッチングマシーンを開発するまで保留。ていうか例のボールを撃ち出す球体があるのでもういいんじゃないだろうか。

 新技についてだが…今回は一つだけだ。俺がすべきはその技を練習し、今ある技を研摩し極めること。既存の技については繰気弾と手刀を主に練習していく。現段階なら今あるカードだけでも十分やっていけると判断した。

 ていうかこの技は技と呼ぶべきなのか…。

 

 まあ…なんだかんだでいい調子ではある。大会までに10G…欲を言えば15Gを克服できればピッコロや悟空相手でも十分勝機はあると思う。

 けどよくよく考えたら俺の組み合わせって結構魔のゾーンだよな。一回戦は神様、二回戦はピッコロ、決勝は悟空だもん。あれ…やばくね?ハードどころの話じゃないぞ。むしろルナティック。

 

 

 

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 最近、新たな試みを始めた。

 それは…

 

「こ、これが重力室か…」

 

「なんていうか…話に聞いてた通りですね…」

 

「す、凄い」

 

 仲間のZ戦士を俺の修行に誘うことだ。

 今までは自分の強化に勤しみすぎるあまり、仲間の強化を疎かにしてきたからな。この世界、元から自分一人の力で生き残れるとは思っていない。仲間の協力は不可欠だ。

 

 取り敢えず天津飯とクリリン、餃子を呼んでおいた。ヤジロベーも誘おうかなーと思ったが、カリン塔まで行って登るのが面倒臭いので断念した。あいつの事だから来ないだろうし。

 

「まあ、ここで俺は毎日修行している。最大100倍まで重力を操作することができるんだ。まずは2Gで試してみるか」

 

 重力を2Gに設定する。すると餃子がバランスを崩してこけた。クリリンと天津飯もいきなりの重力に驚いている。ちなみに言っておくが俺はなんともない。

 

「大丈夫か餃子」

 

「な、なんとか…」

 

「こりゃ凄いや…!」

 

「だろ?ここでの鍛錬は修行の密度が段違いだ。重力を克服すればするほど力も比例して上がっていく」

 

 さて、次に3Gに設定。すると餃子が苦しそうに顔を歪めた。うーん…餃子はここでギブアップか…。まあ超能力を主体に戦う奴だからな。現段階では仕方ない。この重力下で修行できなければならないのだ。耐えれるだけでは意味がない。

 天津飯はまだまだ余裕、クリリンは少しばかりきつそうではあるが大して支障のある感じではない。

 

「無理だと思ったらすぐに部屋を出るんだ。ここでの修行は結構命に関わってくる」

 

 ひとまず重力をオフにする。

 皆、ふぅ…と一様に肩を下ろし、息を吐き出す。初めての重力は堪えるからな。よく分かる。

 

「なるほど…ヤムチャさんの強さの秘密はコレだったんですね」

 

「体力面ではな。他にも色々あるが…」

 

 超神水は…やめといたほうがいいだろうな。うん。

 ていうか俺の強さが重力室によるものってことで見くびられたりしないだろうか…心配なところだ。

 

「そんじゃ、3Gで頑張っていこうか。多分頑張れば今日中に4Gか5Gにはいけると思うぜ」

 

 こいつらは俺が修行を始めた頃とは基本も基礎も違うからな。慣れればそれなりの重力にはへっちゃらになるはず。まあ…餃子が厳しいところではあるが…。

 

 

 

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 それから数ヶ月が経過した頃だ。

 今ではみんな5Gに慣れ、組手を行っている。

 どんどん強くなってゆく相手が三人、しかも全員戦闘スタイルが違う。かなり恵まれた修行環境と言える。

 ブルマからは修行バカと言われるが。

 

 ついでに周りに教えたくない技以外の使える技の開示もしておいた。そしてその技の使い方のコツを他の仲間に教えるというなんとも画期的な試みだ。…まあ俺はみんなが隠してる技を知ってるんだけどな。せこい?元からだ。

 

 俺はみんなに繰気弾の使い方を教えた。まあ役に立つかどうかと言われれば…ゲフンゲフン。

 天津飯と餃子からは舞空術、あと俺の希望で太陽拳。きた、太陽拳きた!これで勝つる!

 クリリンは……まだ特に技がなかったので気の操作と加工に関する考察だ。若干落ち込んでたがクリリンはこれからだからな。うん。

 

 実に充実した毎日だ。

 この調子なら天下一武闘会ではみんな原作以上の活躍ができるのではないだろうか。まあその上での一番の難関は一回戦にピッコロと当たるであろうクリリンだろう。

 

 

 

 

 

 そんな毎日を過ごしていたある日のことだ。

 いつものようにみんなと一緒に重力室で鍛錬を行っていた俺へ吉報が届いた。

 なんでも前々からブリーフ博士に頼んであった特注品が完成したという。

 俺は嬉々としてその品を受け取りに行った。

 

「ついに完成したんですか!」

 

「うむ。未知の成分が含まれていたからそれなりに時間はかかったけどね。いや、我ながら凄い発明だと思うよ?」

 

 ブリーフ博士も難航を極めたこの研究。完成する日が来るとは…!ていうかそんな凄い発明品をポンと俺にくれるあたり、ブリーフ博士の器ってでかいよなぁ…。

 

 さて、この装置の真価はもう一つのピースがあってこそ実現する。そのピースがある場所っていうのが…天界だ。

 例の装置をホイポイカプセルに収納し、修行仲間の三人とブルマには出かける旨を伝え、俺はジェット機に乗り込みカリン塔へと出発する。

 

 そして聖地カリンに着くや否やカリン塔へと一気に駆け上る。身体能力をフルに活用し、舞空術を併用して使用することも忘れない。

 そして登頂。要した時間は30分だった。……もっと早く登れるな。

 よし、要件をカリン様に伝えるとしよう。

 

「なんじゃヤムチャか。仙豆でも取りに来たのか?」

 

「いいや。仙豆はもういらないんだなこれが。

 実は…天界に行きたいんだ」

 

「なに…!?」

 

「なんだ、お前さんも行くんかい」

 

 カリン塔に居候しているヤジロベーはのほほんと答えたが、それとは対照的にカリン様は難色を示した。

 

「むぅ…確かにワシはお前には天界に行く権利があると思っておる。しかしじゃな…あくまでワシがそう思っておるだけであって神様はどう思っておるかは分からんぞ?」

 

 カリン様はそう言って鈴をくれた。どうやらこれがカリン様に認められた証らしい。そんなのあったっけ?

 確か資格のない人は雷に撃たれたりするんだっけ?魔人ブウには全く効力を発揮してなかったけど。

 

「まあ…大丈夫だろ。いざとなれば飛び降りるし」

 

 舞空術があるからの芸当だ。

 

「そうか…無茶はせんようにな」

 

 

 

 

 さて、現在俺は如意棒に捕まって優雅に成層圏を通過している。段々と空気が薄くなってゆく極限状態。まあこんなスピードで成層圏を通過してたらそりゃ苦しくなるわな。

 

 しばらくそんな極限状態を満喫していた時だ。

 やがて上空に逆ドーム型の建物が見えてくる。神殿だな。

 雷に撃たれたり振り落とされたりしなかったあたりどうやら神様からオッケーサインが出ているらしい。やったぜ。

 

「お邪魔しますよっと」

 

 梯子に掴まり、慎重に上へ上へと登ってゆく。ホント不思議な構造をしている。まあ神聖さは感じるっちゃ感じるが。

 

 カツカツと登った先には平らな空間。その奥に宮殿のような物も見える。何より平らな空間の中央には…悟空がいた。座禅を組んでいる。

 

「おーい、悟空ー」

 

「…」

 

 お?反応がない…。集中しているのかな?それともガン無視されているのか…。まあ何にせよ今話しかけるのは迷惑になりそうだ。

 さて、俺は神様と面会させてもらおうか…

 

「よく来たなヤムチャ」

 

「お?」

 

 いつの間にか俺の眼前には全体的に黒い人が立っていた。

 流石はミスター・ポポ…直前まで気配に気づかなかったぜ。

 

「ほう…光栄だな。俺のことを知っているのか?」

 

「当たり前だ。神様、何でも知ってる」

 

「そりゃ凄いな」

 

 自分の生い立ちについては全く知らないみたいだけどな!神様だからといって何でも知ってるわけじゃないんだぜ?

 

「それでお前はなにしに来た。カリンからの証は貰っているみたいだが」

 

「ああ、今日は折り入って神様に頼みがあってな。まずは会わせてくれないか?」

 

「なら、ポポと試合する。勝てば、神様に会わせてやる」

 

 えー…やんのそれ?まあいいけどさ…今の俺に出来るかね?

 

「そういうことならお構いなく…ハッ!」

 

 背中の背筋をバネのように伸ばし、出せる限りのトップスピードで飛びかかり、一撃をお見舞いしようとする。

 しかしミスター・ポポは突如として俺の目の前から掻き消えた。これが雷よりも速く動くってやつか。

 だがな、分かるんだよな、後ろにいることが。

 

「そこォ!!」

 

 すぐさま後ろに向けて後ろ蹴りを放つ。残念ながら攻撃自体はミスター・ポポにヒラリと躱されてしまったようだが、彼自身は大層驚いていた。

 

「ほう!既に気配を読む能力を身に付けていたか!面白いな」

 

「そいつは、どうもよっ!」

 

 なんか褒められたが気にせず攻撃を続ける。

 8Gの重力下で鍛えられた俺の拳はビュビュッという風を切り裂く音を発するほどの拳圧を可能にした!

 

 始めは後ろに手を組んで、余裕ぶって躱していたミスター・ポポだったが、やがてその余裕がなくなってきたのか手足をフルに使うようになった。それでも俺は攻撃の手を緩めない!もちろん反撃の隙も与えない!

 こりゃ…楽勝ーーーー

 

「そこまでだ。実力は十分見させてもらった」

 

 …俺の確実に決まると思ったミスター・ポポへの一撃を止められた。

 その止めた人物は…。

 

「ピッコロ…!……いや、神様か」

 

 そう、神様だった。やはり流石は元同一人物…まんまピッコロ大魔王だ。おもわず殴りかかりそうになっちった。

 

「へー…ヤムチャはホントすげぇなー」

 

 いつの間にか座禅を済ませていた悟空が後頭部に手を組みながら近づいてきた。久々に見る悟空はどこか大人になりかけの雰囲気を醸し出している。

 大きくなったな…悟空…。天下一武闘会まであと2年くらいあるけど。

 

「お主の活躍は見ておった。大した働きであったな。お主にもまた、お礼を言わねばなるまい」

 

「あ…いや、お礼とかそういうのは大丈夫です。俺は茶々を入れたに過ぎません」

 

 ホントそれだからな。俺が勝手に茶々を入れたせいで難易度が高くなった分を俺が潰したような感じだから。

 

「そう謙虚になるでない。お主もまたこの地球を救った英雄の一人なのだから。さて、それで…何をしにこの神殿へ?」

 

 …よし、それでは本題に入るとしよう。

 この願いが叶えられた時、ドラゴンボールの難易度はぐっと下がる。いやホント。

 

「神様…この装置をみてください」

 

 ホイポイカプセルを投げ、ブリーフ博士に作ってもらった例の装置を出す。

 それを見た神様、ミスター・ポポは驚いたのかあらんばかりに目を見開き、悟空はうん?と首を傾げた。

 

「こ、これは…まさか…」

 

「そうーーーー仙豆の培養キットです」

 

 

 

 




仲間鍛える&お披露目回でした。
さて、前々からブリーフ博士に頼んでおいた研究とは、コレのことです。詳しい説明はまた次回。いやこれ思いついた時電流が走りましたね。


ミスター・ポポ
謎の人。神様よりも年上って…いやホント何者やこの人。ミスター・ポポってホントは戦闘力一万くらいありそうと子供の頃から思ってました。
気の感知を必要としない瞬間移動を習得してたりとかなり多彩。いや何者や。

神様
神様。なんでも(笑)知っているらしい。ピッコロ戦で拍子抜けしたのはいい思い出。
てか色々とダメな人。ドラゴンボールを作ったことは評価できる。



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