それと.......感想どんどん送って下さい!
ぶっちゃけ寂しいです(涙目)
ーー追記ーー
タグを一部変更、削除、追加しました。
◇ギルガメッシュ◇
「ギルガメッシュ王子?ギルガメッシュ王子?ギルガメッシュ王子!」
ーー声が聞こえる。美しい女の声だ。とても美しいのにこんな朝っぱらから怒鳴っているので魅力は半減だ。
「起きてください王子!今日も剣の鍛錬とあのよくわからない鈍器の特訓をなさるのでしょう?」
王子である俺の朝は意外と早い。王子なのだからもう少し寝させてくれてもいいと思うが、自分から頼んだことなので渋々起きる。
目を開けると目の前には流れるような黒髪に以前ドラゴンと舞った青空の如く澄み渡った青い瞳をもつ20代前半くらいの女性が立っていた。
「........おはようシェム。それからあれは鈍器じゃなくて、世界を滅ぼす剣だから!........剣だから!」
大事なことなので2回言った。そんな俺を少し残念なものでも見るように
見つめてくる王子の世話係であるシェム。
「あれでいったい何が切れるのです?(※世界です)ともかく、急いで支度をなさって下さい。ダモスはもう表で待っていますよ。」
急いで表に行くとそこには剣を2本携えた立派な髭の偉丈夫がいた。
「おはようございます王子!今日もいい天気ですな!」
ーーやたらでかい声で挨拶をしてきたこの男こそ、俺の剣の指南役であるダモスだ。ちなみに昨日の天気は雨で、今日は曇りだ。
乖離剣を手に入れるためのダシにしたことを謝ろうと思っていたが、やっぱり止めた。
「さて!今日も一緒に美しい剣の音色を奏でましょう!」
気色の悪いことを言いながら片方の剣を俺に投げ渡すダモス。そして開始の合図などなしに襲いかかってきた!
「またそれか.......]
こちらも慣れたもので、受け取った剣でそのまま迎え撃つ。
実は、このダモスという男、立派な髭に鋭い眼光、隆起した筋肉に大きな声というパワータイプの化身みたいな外見をしながらも、得意なのは不意打ちとか小細工ばかりなのである。
具体的に言うと、戦闘中に砂をかけてきたり、足払いをかけてきたり、俺の尻にばかり突きを放ってきたり........あれ?
ーーだがそれでもやはり俺の指南役に選ばれただけあって、真正面からぶつかってもまず勝ち目はない。
しかし、こちらも小細工を仕掛けようにも全く隙がなく、少しでもおかしな動きを見せてしまうとすぐさま気づき、持ち前のパワーを生かした剣技でこちらの動きを封じに来るのだ。
実際、俺がこの男に勝てたことはなく、今も剣を受け取ってから結構時間が経つが、現在進行形で追い詰められている最中だ。
「はあっ!」
決めにきたのだろう。ダモスの袈裟斬りが右斜め上からきた。
ーー風を切り、唸り声を上げながら豪剣が俺に迫ってくる。最初の内はびびっていたものだが、俺のびびった顔を見てダモスが心底嬉しそうに笑うので意地でもびびらないようになった。だからこの程度の斬撃は大したことはない。問題はこの後に来る一撃だ。
合わせて受け止めるか?......いや足払いをかけられる
躱すか?......いやタックルがくる
弾き飛ばすか?......力が足りない
ならば......千里眼!ほんの少しだけ眼を使わせてもらう。
ーー膨大な情報が頭の中に流れてくる。その中から比較的マシな未来を見る!
......ちょっとリスクが高いが、これしかないだろう。
ーーまず、剣を逆手に持ち替えてから思いっきり地面に突き刺す!この際、一瞬で地面にしゃがむのがポイントだ。
地面に刺さった剣とぶつかるダモスの斬撃。奴は驚いた顔をしている。
よしっ!チャンスだ!しゃがんだことで奴は一瞬だけ俺を見失った筈。
俺は一気にその場からスタートダッシュを切る!
狙うは男の急所!
ーーそして、俺の渾身の蹴りが奴の股に突き刺さった!
「......なるほど。なかなかいい一撃でした。」
きっ効いてないだと!?
「しかし、相手が悪かったですな。私は不意打ちをする者として常に不意打ちされやすい場所を熟知しています。ならば、そこを鍛えるのは当然のことでしょう?いいですか王子、不意打ちをしていいのは、不意打ちをする覚悟がある者だけなのです!」
......なんだかよく分からない理論を説明されながら、今日も俺はボコボコにされた。
ーー宝物庫ーー
煌びやかな宝石、磨き抜かれた剣や槍、豪奢な鎧、見たこともないような素材でできたオレンジ色に光る七つの玉。などなどそれらは一言で言うのであれば、「宝」であった。その「宝」は日本語で「王の財宝(の入り口)」と書かれてある部屋に一纏めにされている
そこへと向かうボロボロだが美しい少年。
少年は一度部屋の扉の前で立ち止まると、辺りを見渡してから大きな声で叫んだ《ゲートオブ・バビロン!》
......しかし、なにも起こらない。ちなみにもう皆さんもうお分かりだと思うが、この少年は我らがギルガメッシュ王子である。
「......はぁ。なんで黄金の波紋が現れないのかねぇ。せっかくこうして宝物庫まで作らせたのに......」
ギルガメッシュ王子はなにかをぼやきながら宝物庫の奥へと足を進める。
やがて、ある「武器」の前で足を止めると、その「武器」を持って外へと戻っていった。
◇ギルガメッシュ◇
乖離剣を手に入れてからおよそ1年経った。毎日特訓を繰り返しているが、未だに使いこなせていない。
あまりの出来の悪さに、一度アヌ様に取り上げられそうになった。(涙目を使って阻止したが......)
とにかく努力あるのみ!
俺は外に出ると特訓場所に向かって行った。
ーー「エア」を剣を持つように構え、魔力を流す。3つある円柱のうち、下にある円柱の1つが回転を始め、紅い魔力の風が吹き始めた。これ以上は俺の今の筋力では危険なのでここまでで我慢する。
軽く振ってみると、近くに生えていた木々が根こそぎ吹き飛んでいった。
やれやれ、この特訓場所ももうじき駄目になるな。
木々を吹き飛ばしてその威力を確認した後、荒れ狂う風の制御を試みる。
形は巨大な1本の「剣」をイメージしながら風を収束していく。
「......よしっ!」
不格好ではあるものの、何とか形になってきた。
試しに目の前の巨大な岩に向かって振り下ろしてみると、全長およそ5メートルくらいの「風の剣」が岩を粉々に粉砕し、そればかりかその先の障害物すべてを切り裂いてしまった。
「よっしゃ!」
これが1年間の成果である。なかなか大したものである。
しかし、ここで止めときゃいいのに我らがギルガメッシュ王子は自重という言葉を知らない。
「これなら2本目行けるんじゃね?」
調子こいて2本目の円柱にまで魔力を流してしまった。
その結果は皆さんお分かりだと思うが......
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その細腕だけでは支えきれない風が噴出し、辺りを破壊し始めた。
「吹き飛ばされるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ......いや待てよ、吹き飛ばされる?」
何とか踏ん張っていたギルガメッシュ王子が何かを思いつく
「そうか!吹き飛ばされればいいんだ!」
ギルガメッシュは突然「エア」を腰だめに構えた。
ーーするとギルガメッシュの小さな身体は「エア」の風によって前に進み始めた。
そう、これこそは、セイバーがディルムッドに使ってみせた「風王結界」を解放して自らの推進力とした戦法を真似したものである。
「ひゃっほーーーーーーー!」
抑えていた力を解放し、ジェット機のように突き進むギルガメッシュ。
これこそまさに、「エアジェット!」
......すいませんでした。
「ひゃっほーーーー!......ん?......やべっ!」
人間ジェットになっていたギルガメッシュの前方に人影が!
「くそっ!急停止!」
急いで魔力を止めて両足で地面を削りながら踏ん張るギルガメッシュ。
それでも衝突は避けられず......
「きゃっ!」
可愛らしい悲鳴を聞きながらギルガメッシュの意識は落ちた。
ーー今作の千里眼についてーー
過去、現在、未来、ありとあらゆるものを見通すことができると言われていますが、この作品では、我らがギルガメッシュ王子がへぼ過ぎるので見れるものが限られているうえに、長時間使うと頭痛がします。
その見える範囲は......
・過去......結構見えます。というか、一番見えるかも。でも相手の過去とか見過ぎちゃうと頭痛がやばいです。
・現在......相手の魂を見たり、心を読んだりとかはできませんが、相手が隠し持ってる切り札とか、戦闘能力を見抜くことはできます。一番頭痛が少ないです。
・未来......限定的な未来予知ならできなくもないです。ただし、戦闘中に使っても自分がとるであろう「行動」が見えるだけで、その「結果」までは見えません。正直使いどころが難しいです。頭痛は戦闘中は集中しているためなのか問題ないですが、終わった後から来ます。