新・ギルガメッシュ叙事詩   作:赤坂緑

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光栄の至りです!
今回は少し長いですが大事なシーンなので是非最後までお付き合い下さい。


勇者は「伝説の剣」を手に入れた!

◇ギルガメッシュ◇

 

やぁ!みんなの英雄《ヒーロー》ギルガメッシュだよ!

前回のドラゴンとの戦いの後、神殿から駆けつけてくれたイシュタル様に抱きしめられたり(役得だった)、父上からこっぴどく怒られたりしたが、何とか無事に帰ってきた。

 

しかしその後、騒ぎを聞きつけた神々からお呼び出しがあったのだ。

やばい。目をつけられたかもしんない。やばい。神殿の裏に呼び出されてボコボコにされるかもしんない。やばい。エルキドゥが俺のもとにやって来るかもしれない。(ちょっと会ってみたいけど)

 

そう、エルキドゥがやって来るということは、神々が俺のことを諫めようとしているという意味になってしまうのだ。

 

まぁ、行くしかないか。

 

 

 

 

ーー??????の会議場ーー

 

そこは「人間」程度では呼吸すらままならない程の神秘で満ち溢れてた場所だった。この世ならざる不確かな雰囲気でありながらも、そこに見える人影からは厳かで、息苦しいほどの気配が読み取れる。

 

その気配の一人が口を開く

 

「今回のギルガメッシュの行動、どう思われる?」

 

それは性別、年齢、そして人間かどうかさえもわからない声だった。

 

「正義感に駆られての行動でしょう?良いことではないですか。」

 

どうやら我らがギルガメッシュ王子について話しているようだ。

 

「しかし、あまり好き勝手に動かれて、勝手に死なれても困る。あれを作るのには苦労したのだぞ。特にあの魂と身体は替えが効かんのだ。」

 

また別の声が響く。今度は少し傲慢な感じがする。

 

「我々はトカゲを始末させるためにあの《人形》を作ったのではないぞ!もうこれ以上余計なことをする前にさっさと王位に就かせればよいのだ!」

 

機嫌悪そうに別の人影が怒鳴り散らす。

 

「それどころか、最近ではイシュタル様に色目を使っている始末だぞ!」

 

人影の一人が嫉妬を感じさせる口調で語る。

 

 

「まぁ落ち着け、」

 

会議がギルガメッシュにとって都合の悪い方向に流れ始めた頃、今まで黙ったままだった人影が口を開いた。その瞬間、白熱していた会議場が静まり返った。

 

「しかし!........では、アヌ神はどのようにお考えなのですか?」

 

この会議場をたった一言で黙らせた一際存在感を放つこの人影の名を「アヌ」と言うらしい。

 

「あやつはまだ子供。自分の心の制御もままならんのだ。釘を刺しておけばよいだろう。それでも我らに従わぬようであればその時は.......」

 

沈黙したままの会議場。どうやらこのアヌ神とやらの決定に異論はないらしい。

 

「それと、あやつがわしの娘に色目を使っていると言った者がいたが、いくらイシュタルが美しいと言っても齢11にして女に目覚めるように設定したのか?それこそあり得んだろう。ともかくあやつには、わしから厳しく言っておこう。会議はこれまでだ。」

 

ーー人影たちは煙のように消え、後には何も残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

◇ギルガメッシュ◇

 

神殿に呼び出され、俺は今片膝を付いた状態でアヌ様のお説教を聞かされている。ぶっちゃけ長い。長すぎる!ギルガメッシュ陛下が神様嫌いになったのもわかる気がする。

 

「よいか?ギルガメッシュ。お前は我ら天の神々と地に住む人々の期待を一心に背負って生きていかなければならないのだ云々ー以下略ーであるからしてー以下略ーだかー以下略ーおいー以下略ーー以下「聞いておるのか!?」

 

........アヌ様はイシュタル様の父上だ。神としての地位も高く、天空の神として君臨なされている。よってこの神様に嫌われるのは、よろしくない。

 

「聞いておりますとも。要は、これ以上勝手に暴れるなとおっしゃりたいんでしょう?わかっています。しかし、民を守り導くのが私の務めであると教えて下さったのは、アヌ様ではありませんか!しかし、今度は民のために剣を振るうなとおっしゃる。これでは、矛盾しています!」

 

 

嫌われたくないので、以前アヌ様が言っていたことを使って反撃を試みる。

 

「いやそうなのだが、お前が直接剣をとる必要はないのではないか?」

 

正論で返してくるアヌ様。だが、甘い!

 

 

「私は目の前で危機に晒されようとしている人を見捨てることなどできません!」

 

必殺!正義に燃える若き少年の叫び(カリスマ発動!)

 

「........仕方がない。そこまで言うのならば、今まで以上に鍛錬に励み、力を蓄えよ。」

 

勝利!内心の喜びを顔に出さぬように気をつけながら、深く頭を下げた。

よっしゃ!やっと帰れるぜ!

 

 

 

「待てギルガメッシュ!今回のドラゴン退治の褒美がまだだったな。何か望むものがあれば申してみよ。」

 

 

 

 

 

 

 

........マジで!これはもしかして、《あれ》を手に入れるチャンスじゃないのか!?

 

 

「あの~でしたら王の財宝《ゲートオブ・バビロン》をいただけないでしょうか?」

 

遂に、毎日《ゲートオブ・バビロン!》と叫び続けた努力が報われる時が来たのか!よっしゃ!発音は完璧だ!いつでもこいやー!

 

 

 

 

 

 

「........なにそれ?」

 

 

しかし、告げられたのは残酷な真実。そんなぁ~

期待していた分、落ち込むぜ。思わず手まで床についてしまう。

 

 

「........なんかよくわからんが、他にほしいものがあれば申してみよ。」

 

 

他に欲しいもの?んなもんあるわけねぇだうが!いや、あるにはあるけど

 

「じゃあ、武器を下さい。世界で一番強い武器を。より具体的に言うと、剣みたいな形をしていて......いや、どちらかと言うと鈍器かな?そんでもって発動させると世界を切り裂いちゃうくらいの力があるやつです。」

 

俺が王の財宝よりやばいやつを要求すると、急にアヌ様の顔色が変わり、厳しい目でこちらを睨んできた。

 

 

「........貴様、《あれ》の存在をどこで知った?」

 

 

 

やばい!これ触れちゃいけないやつだった!?

 

どっどうしよう?

 

 

 

........此処はスーパーファンタジーワールドURUKU!ならば、これで行ける!

 

「そっそれが、以前剣の鍛錬で指南役の男にお叱りを受けまして、そんなもので民を守れる王になれるのか!と........私はその夜悩み、ただ大きな力を求めながら、眠りにつきました。そして、夢を見ました。剣の夢です。黒い刀身に紅い模様が走っていました。地獄のような世界がその剣のようなもので創られていました。私は思ったのです。この力さえあれば皆を守れる。立派な王になれると!」

 

半分真実で半分嘘である。剣の指南役に怒られたのは本当だが、夢は毎日

《ゲートオブ・バビロン!》叫んでいるうちに、いつの間にか見るようになっていた。ないものねだりというやつだ。

 

 

「........ふむ。《あれ》がお前に答えたということか。ならば....」

 

 

あれっ?この流れは?

 

 

「よいか、ギルガメッシュ。これから渡すものは我ら神々さえも恐れる原初の地獄の体現だ。本当は我らの手元に置いておきたいが、《あれ》は王にしか答えん。いずれはお前の手に渡る運命だったがお前が欲し、《あれ》が答えているのならば仕方あるまい。心して受け取れ。」

 

 

アヌ様が空中に何かを描くと、中から《あれ》がでてきた。

 

そう、「剣」と呼ぶにはあまりに歪なギルガメッシュの最強宝具。

 

 

ーー乖離剣「エア」が!

 

 

「それに名はない。無銘だ。だが、くれぐれも扱いには気をつけるのだぞ。」

 

 

 

俺は震える手で対界宝具「エア」を受け取った。

 

 

........まぁ何はともあれこれからよろしくお願いします!

 

 

 

 

 

 

 

ーー「エア」が俺に答えて少し唸った気がした。

 

 




マスターソードだと思った?残念!乖離剣「エア」でした!
対界宝具なんて危険極まりないないものを、何故神に反発しているギルガメッシュ陛下がお持ちになっているのか不思議に思ったので、こういう設定にしました。
公式で設定ができればそちらに変えたいと思っています。

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