新・ギルガメッシュ叙事詩   作:赤坂緑

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主人公の美少年演技力はなかなかのもの。
カリスマA+発動!


ドラゴン退治は英雄の本懐!<前編>

◇ギルガメッシュ◇

 

イシュタル様と神殿で出会ってから3年が経った。

えっ?早過ぎじゃないかって?そうはいってもここ3年はただ剣の鍛錬に打ち込んだり、イシュタル様とお茶会をしたり、一日一回「王の財宝!」と叫んだり(黄金の波紋は現れなかった)街へ繰り出していずれは俺の民となる者たちと交流をしたり(なぜかイシュタル様もついてきた)

まぁ、ここで語るべきことはない。今のところ順調に体力もイシュタル様との親密度も上がってきていると思う。

 

あとは、神々の機嫌を損ねないようにだけ気を付ければいいだろう。ついでにドラゴン退治もしなければ。

 

 

今の俺の発言でお分かりいただけたと思うが俺ははっきり言って神々を廃する気なんてない。むしろ媚を売って手っ取り早く英雄になりたいくらいだ。だいたい俺が手を下すまでもなく、神々は滅びるだろう。(他人任せとも言う)

 

おっ!そろそろイシュタル様とのお茶会の時間だな。順調に近所のお姉さんっぽくなってきたし、今日も親密度を稼ぎますか!

 

 

 

◆イシュタル◆

 

神々が作りし御子「ギルガメッシュ」と出会ってから3年が経った。

今のところ順調に私好みの男に育ってきているように思える。

勤勉で頭の回転が速く、素直で真面目。剣の鍛錬を欠かさず、口癖は「将来、自分がこのウルクを守ります!」ときた。

 

なるほど神々が設計しただけあってまさに完璧な美少年!これはますます将来に期待が持てそう。もしかすると、この私の「夫」になる可能性もあるかもしれないわねぇ。

 

「イシュタル様~」んっ?この可愛らしい声は、どうやらあの「王子様」がやって来たらしいわね。さて、今日もしっかり私の色に染めるとしますか!

 

 

 

 

◇ギルガメッシュ◇

 

今日もお茶会は雰囲気よく進んでいる。目に毒な格好と、時折こちらに向けてくる肉食獣のような視線さえなければ......

 

 

神官「たっ大変です!イシュタル様」

 

身体を舐めるように眺めてくる視線に少々うんざりしていたころ、タイミングよく神官が飛び込んできた。

 

「何事です!?」

 

お茶会が邪魔されたからなのか、それとも俺を見つめる邪魔をされたからなのか、怒りをあらわに怒鳴るイシュタル様。

 

「そっそれが、ドラゴンがこの付近に現れました。」

 

マジか!マジで本物《マジ》のドラゴンがこの近くに!?

 

「神殿兵たちに迎撃させなさい!」

 

 

「空を飛んでいるので攻撃が届きません!」

 

神官の報告を聞いて思案するイシュタル様。やがて納得したような顔をすると、神官に問いかけた。

 

「なるほど、それで私の空を駆ける随獣を狩りに出せというのですね?」

 

「......はい。」

 

心苦しそうな顔で頷く神官。

 

「しかし、いくら私の随獣が強いといっても、天空を舞うドラゴンをたおせるのかしら?」

 

 

 

ーーイシュタル様の随獣(使い魔的なもの)は確か空を駆けるライオンだったはず。以前のお茶会でどや顔で喋っていたのを覚えている。しかし、空を飛べる以外のことは言ってなかった気がするので、戦闘能力はドラゴンほどではないのだろう。つまりそのライオンにまたがって、ドラゴンを撃墜する「勇者」が必要なわけだ。

 

 

「仕方ありませんね。許可を出すので誰か神殿兵を「俺がいきます!」

 

「えっ!......」

 

俺が歴史に名を遺すチャンスと思い名乗りを上げると、心底驚いたような顔をしてイシュタル様がこちらを見つめてくる。しかし、すぐさま怒ったような顔でこちらに詰め寄ってきた。

 

 

「いいえ、ダメです。これは兵士たちの仕事なのです。王子のあなたが割り込むことではありません!それに齢わずか11と少しのあなたに何ができるというのです!おとなしく下がっていなさい!」

 

ーーイシュタル様は俺のことを純粋に心配しているのだろう。

父上からイシュタル様について色々吹き込まれたし、実際に貞操の危機を感じたこともあったけれど、この女神様が決して悪い女神でないことは既にわかっていることだった。ほんの少し......いや、割と多くの部分で人間と価値観がずれているだけなのだ。

だからこうして純粋に心配されて怒られるのは、なんだか近所の美人のお姉さんにお叱りを受けているみたいで、少しばかりこそばゆい。

 

しかし、これは明らかにチャンスなのだ。ここを逃してしまったら今以上に警備が強化され、俺にドラゴンがまわってこないかもしれない!

 

えっ?年取ってからドラゴン退治にいけばいいって?

いやいや、考えてみてほしい。俺は神々に望まれし御子。つまり神々はこの地上を「俺」に治めてほしいのだ。つまり俺の予想だが、あと5年か10年でも経てば、即位させられる可能性があるのだ。王位についてしまえば、最初に言ったように俺は神々に従って統治しなければならない。

 

話が長くなったが、ともかく俺は「今」ドラゴン退治がしたいの!だからここは絶対に押し通してみせる!

 

「......イシュタル様。先ほどこれは俺には関係のないことだとおっしゃいましたね?しかし、それは間違いです。人々に危機が迫っているのに自分は神殿の結界のなかで兵士たちが戦っている姿を見つめることが正しい王子の在り方なのでしょうか?「王」ならばそれでいいでしょう。それが正しい在り方です。民を守るために命を下せばいい。しかし!俺はまだ王子です。兵士でも、王でもない中途半端な存在です。だから......俺は誰に命令されるわけでもなく、また誰かに命令するでもなく、自分の心に従いたい!」

 

 

◆イシュタル◆

 

ただ前だけを見据えて語られたまだ幼き王子の言葉に私はしばらくの間何も考えることが出来なかった。頭の中が真っ白になり、呼吸さえも忘れた。背筋を伸ばして立つ小さな王子の堂々とした姿に胸が震えた。

あぁ、ギルガメッシュ!貴方こそ私の............

 

 

 

しかし、すぐに現実に立ち返る。いくら言葉を並べてもまだ10歳の子供なのだ!ドラゴンに勝てるわけがない。

そんな私の心を見抜いたのかギルガメッシュは明確な意志を宿した瞳でこちらを見つめながら口を開いた。

 

「ご心配なく。俺も現実を見ずに先ほど自分の思いを語ったわけではありません。俺の身体をながれる血液の2/3は神の血です。そのためか俺は昔から身体と力が強く、また、今日まで続けてきた剣においてもなかなかの腕前であると自負しています。それどころか下手な神殿兵よりも強いと思います。イシュタル様どうか!どうか!俺に剣を取らせて下さい。」

 

確かな根拠をもって自分の力をアピールするギルガメッシュ。しかし、それでも戦場に出すには早過ぎる気が.........

 

「俺にあなたを守らせて下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

.........気がつけば随獣の手綱を渡していた。

 

 

 

 

 




イシュタル様の一人称と口調が分かりません!(涙目)
もういいよね、「私」で。もういいよねこの丁寧語っぽい感じで。
だって女神でしょ!(錯乱)

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