風が吹き荒れる。その風の荒々しさといったら碌に目も開けていられないほどだ。
やがて風が止み、暗く狭い部屋に立ち曇る煙の中から黄金の「王」が現れた。「王」は自分を両腕を広げて迎え入れる顎鬚の男に向かって言葉を紡ぐ
「貴様が俺のマスターか?」
はっ!夢か。目を開けば無駄に豪華な天井がある。
もうお分かりいただけたと思うがここはウルクである。
「なんでやねん!なんでまだURUKU?なんでまだ8歳?フツーに考えたらトッキーに召喚されてセイバーと港で出会うシーンでもおかしくねぇだろ!」
朝起きていきなりわけのわからないことを叫ぶギルガメッシュ王子5歳。
まぁ第2話でいきなり召喚なんて都合のいいことが起こるはずもなくそもそも英霊にすらなっていない状況である。
「しかし、本当にどうするかなぁ~ 英雄になろうにも何したらいいかわかんないし、史実を参考にしようにも覚えてないし。でも、スペック的には最強なんだよなぁ。すべてを見通す千里眼に甘いマスク。神々に設計された最高峰の肉体にイケ面フェイス。英霊3騎分の膨大な魂に女を惑わせる美貌。そして呪いにも等しいカリスマと顔あと顔。」
しかし、これだけ素晴らしい肉体を持っていようとも、中身は今の自分の顔に酔っているただのナルシストである。本当にこんなやつが英霊になれるのか?
「ギルガメッシュの弱点は接近戦だから、剣の稽古は必須だな。あとは王の財宝だが.........あれ?王の財宝ってどうやって手に入れるんだ?」
.........とりあえず「王の財宝!」
シーン
「やばい。俺セイバーに会えないかも」
まさかの宝具使用不可能状態に心折れそうな主人公。
「いや。こうなったらドラゴンでも何でもいいから持前のスペックで倒して英雄伝説を作るしかない!」
しかし、自分のスペックの高さに自惚れて、王の財宝なしで英雄になろうとする主人公。だいたい英雄とはなろうと思ってなるものなのだろうか?
「よし!そうと決まれば今日から素振り1000回開始だ!」
無駄なポジティブさを発揮して剣技だけで英雄になろうと素振りを始める
ギルガメッシュ5歳。
「しかし、こんなことになるんならもう少し真面目にギルガメッシュについて勉強すればよかったぜ。こんなことでは、英雄王大好きクラブ会員の皆様に怒られてしまう。せめて記憶の片隅にでも役立つ情報が残ってないかねぇ。」
素振りを開始しながらもやはりあきらめきれないギルガメッシュ5歳。
生を得るために記憶を犠牲にしながらも今ある記憶を探って、英雄になるヒントを得ようとしている。
「あれ?なんだこの記憶。地雷女イシュタル?」
王の財宝はどんな形であれいずれ使えるようになります。