地図の書き直し確定!
URUKUは歴史の教科書に載れるのか!?
◇ギルガメッシュ◇
そっと深呼吸をしてから千里眼を発動。前方の「敵」を見据える。大丈夫だ。奴に動きはない。
「弓」の弦を引き絞り、魔力で形成された「矢」を出現させる。
........今だ!
放たれた矢は前方の猪へと真っ直ぐに飛んでいき........その肉体を一片も残さずに消し飛ばした。
「........マジか。とんでもないもの渡してくれたな........」
アヌ様たちから貰った古代兵器「YUMI」を眺めながら俺はこれを手に入れた時のことを思い出していた。
ーー1週間前ーー
アヌ様に娘さんを下さいと宣言した後、何故かアヌ様に殴られたり(後で聞いたところ、人間の父親たちがやっているのを見て自分もやってみたくなったらしい)
シェムからお説教をもらったり(曰はくあんな女は駄目だとか)
........ダモスに号泣されたり
いろいろあったが無事結婚式を挙げられた。
........ちなみについこの間誕生日を迎えたばっかりなので俺は19歳。
19歳!!大事なことなので2回言った。
結婚式はそれはもう凄かった。
学校の剣技指導クラスによる剣舞披露に森に住んでいた妖精たちの大合唱。ダモスの裸踊りに(王命で止めさせた)父上のやたら長い演説などなど結婚式というよりは宴会だったがまぁ、イシュタルも楽しそうだったのでよしとする。
問題はその後だ。アヌ様に呼び出されたので神殿に出向くと真剣な目をしたアヌ様とシュマシュ様がいた。
「幸せを満喫しているところ悪いのじゃが実は、エンリルのやつと連絡が取れなくなった。あやつは恐ろしく強いがこうも立て続けに災難が起こっている以上は何が起こってもおかしくはない。よってわしとシュマシュは一旦神界へ戻って状況を確かめてくるゆえ先にこれをお前に渡しておこうと思ったのじゃ。」
そう言ってアヌ様は大弓を取り出した。
それはとても美しい弓だった。白を基調としたデザインに所々に金の装飾がなされている。しかし、デザイン性だけでなく真ん中の持ち手の部分は黒く握りやすそうなグリップとなっており実用性でもなかなかに使いやすそうな弓になっていた。
「お前がフンババ退治に行ってくれていた間にシュマシュたち穏健派の力を結集して作った弓じゃ。名はない無名じゃ。だがその能力は極めて危険じゃ。『神を殺す』.........と言ってもただ当てれば相手が死んでくれるなどという都合のいい能力ではないぞ?その弓の本質は神の『神核』を貫くことじゃ。」
神核?なんぞそれ
「『神核』とはわしらのように現象だったものが人々の認識、信仰によってその形を確立する際に生じる核じゃ。これを砕かれた神はその人格を失う。つまり、元の自然現象へと戻る。」
なるほど.........でも現象としての本体が残っているならそれはつまり、無差別に破壊を振りまくバーサーカーみたいになるってことじゃないのかな?
「.........まぁ、そういう見方もあるよね?」
アヌ様!?そこんとこちゃんとして下さいよ!
「大丈夫じゃ!人々から神として認識されなくなった以上、その力は衰えるはず。それにその『神核』を砕かないと神は完璧には消滅せんのだ。」
「だとしたらフンババはどうなってるんです?エアで消滅しましたよ?」
「あやつには元々そこまで明確な意思はない。あるのは森を守ろうという漠然とした概念だけじゃ。よってこの弓を使ってもあまり意味はなかったろう。まぁ、お前に渡したあの『剣』が特別ということもあるがな。」
なるほど、それにフンババと戦っている間に完成したらしいからいまさら文句を言っても仕方ないだろう。
それよりも、問題はなぜその「弓」を急遽完成させて俺に渡す必要があるのかということだ。
「.........実は、エンリルと連絡が取れなくなってから急進派の連中の動きが静かになったのじゃ。考えたくはないが最悪、神々の間で戦争が起こりかねん。よってその弓を渡したのだ。それを受け取った以上、お前はこちら側になったのだ。.........悪く思うなよ。」
.........なんか急にこの弓が重くなった気がした。
ーーまぁこんな感じでこの「弓」を渡されたのだ。矢は俺の魔力で生成している。
しかし、弓なんて昔イシュタルと狩りに行った時ぐらいにしか使っていない。
そこでこうして再び練習も兼ねてイシュタルと狩りに来たのだが、まさか猪の身体を吹き飛ばすとは.........
「ギルガメッシュ~!」
この可愛らしい美声は!
「や、やぁイシュタル。そっちはどう?」
「結構捕まえたわよ!ギルガメッシュは?」
妻イシュタルがライオンさんの背中に乗って現れた。そのライオンさんがくわえている布の中には鹿などの動物が結構入っていた。
.......やばい!まだ一匹も捕まえてない。というか全部消し飛ばしてしまっている。
めっちゃ恥ずかしい!というか夫としての威厳が.........
「あら?一匹も捕まえてないの?」
「.......実は、この弓が悪いんだ。こっちは肉が食べたいのにその肉を一片も残さず消し飛ばすし、名前決まってないし。アヌ様にもらったものだし.........」
「あら?珍しく言い訳かしら?貴方が武具のせいにするなんて。」
悪戯っぽい目で俺に話しかけてくるイシュタル。
思うに結婚してからというものイシュタルは少し性格が悪くなったというか、素直になったというか.........
まぁ、個人的には気遣いなしの距離感になった感じがするので嬉しいのだけれども。
「ふぅ、今日はもうこれぐらいにしておこう。勝負はイシュタルの勝ちでいいよ。」
こうして俺は狩り勝負で妻に負け、弓を使いこなせないまま王宮に戻った。
まぁ、なかなか幸せだった。美人の奥さんを手に入れ、充実した日々を送っている。城壁も完成し、学校も千里眼なしで生徒自らに考えさせてクラス分けをできるようになってきた。
そうして順調な1年を過ごしていた。
ーーそして、嵐がやって来る。
--「弓」--
アヌ神がギルガメッシュに贈った弓。矢は持ち主の魔力で生成する必要がある。
その能力は『神核』を貫くこと。といっても持ち主の技量が高くなければただのビームを放つ型月の弓となる。
また『神核』はギルガメッシュの千里眼で初めて見ることができる。
つまりこの弓はギルガメッシュにしか使えない。