思うように話を進められない。
評価バーも低くなる一方。
だが、作者はめげない!
俺を諦めさせたければ、これの3倍は評価バーを低くするのだな!
(そうなったら泣く)
◇ギルガメッシュ◇
俺が王になって2年が過ぎた。王になってからの日々はそれはもう忙しく、2年経った今でも多忙な毎日を送っている。
「ギルガメッシュ王!『学校』の方から練習用の剣を増やしてほしいとの知らせがありました。」
「分かった。武器職人たちに在庫があるかどうか聞いておけ。あぁ、シェム!『城壁』のほうはどうなっている?」
忙しそうに俺のもとまで走って報告にきたシェムは現在俺の侍女ではなく、秘書のようなことをしてもらっている。
「今のところ順調に進んでいるようです。しかし、いささか疲れたような空気が流れていたので王が赴いて士気を高められたほうがよろしいかと。」
「分かった。これから向かうとしよう。ついでに学校にも足を運んでみよう。」
「お待ち下さい王!もう一つ案件がありました。」
なんてこった。まだまだ仕事があるってのに。今日も忙しくなりそうだ。
「すべての仕事を終えた後で構いません........お休みになって下さい。ここしばらく十分な睡眠が取れていないのしょう?」
「........分かった。すべて片付けた後、早急にその案件に取り掛かろう。........ありがとうシェム。」
深く頭を下げたシェムに背を向けて俺は外へ視察に出かけた。
ーー剣と剣のぶつかり合う音と幼い子供たちの掛け声が聞こえてくる。
ここは俺が提案し、作らせた「学校」だ。
生徒の数はおよそ40人。生徒全員俺が千里眼でその高い潜在能力を見抜いた者たちだ。
クラスは剣技指導、政治指導の2つに分けられており、そのクラス編成も千里眼で分けた。
今のところは上手く成り立っているが、人口が増えるもしくは千里眼を持つ俺がいなくなれば崩れてしまう危ういシステムなのでいずれは何とかしなければならないだろう。
今日は要請のあった剣技指導クラスに行くことにする。........あまり気は進まないが。
「甘いわ!貴様らそれでも漢か!ギルガメッシュ王の幼い頃はそれはもう可愛らしい顔で怖がゲフンゲフン勇ましく立ち向かって来たのだぞ!」
........大声で俺の黒歴史を叫んでいるこの暑苦しい男は皆さんご存じ俺の指南役だったダモスである。そしてダモスの足元には幼い子供がボロボロの状態で倒れている。あの子は確か剣の才能が高いバルスだったかな?
「む?この甘く爽やかな体臭は........おぉ!ギルガメッシュ王!よくぞ来られましたな!」
50メートル以上離れているのに俺に気づいて振り向くダモス。
っとその瞬間倒れていたバルスが練習用の剣をダモスの尻に突き刺した!
沈黙する学校の訓練場。やがてダモスが尻に剣を刺した状態で男の子の方に振り返り、静かに語り始めた。
「なかなかいい一撃だったぞバルス。だが私は尻を狙う者として常に尻を鍛えているのだ。よいかバルス、尻を貫いていいのは、尻を貫かれる覚悟のある者だけだ!」
........相変わらず訳の分からない、いや訳は分かるけど分かりたくないことをペラペラと話すダモス。
しかし、この変態をこの剣技指導クラスの顧問にしたのは自分なので仕方なくダモスに話しかける。さっさと要件を済ませて次に行こう。
ーー俺は尻に剣の刺さったままのダモスと要点だけを話し合い、城壁へと逃げるように向かっていった。
ーー体格のいい男たちが威勢のいい掛け声を掛け合いながら巨大な城壁を築いている。しかし、その勢いも工事が始まった頃に比べるとだいぶ弱まった気がする。確かにこれはシェムの言うように発破をかけたほうがいいかもしれない。
「みんな!聞いてくれ!」
大声で呼び掛けてきた王の登場に皆が手を止めて声のした方向に体と意識を向ける。
「一番最初に話した通りこの城壁を築く目的は最近増えている森の方角からやって来る魔物たちからこの国をつまりはお前たちの命を守るためだ。」
そう、近年になって森の方から何かに追い立てられるように魔物たちがこの国にやって来るようになった。追い詰められたように怯えながら必死の形相で人間に襲いかかるのだ。(まぁこのファンタジーワールドでは人間が対応できないような魔物が襲いかかってくることはよくあった。)
たまに俺が戦ったよりも小さなドラゴンが、さらに人食い狼や凶暴な熊など普通の人間では太刀打ちできないような魔物が頻繁に出現するようになった。
それでも訓練された兵士ならばなんとか倒せるレベルなので今のところ大丈夫なのだが怪我を負う兵士たちが増えてきており、戦力は減る一方だ。
学校を設立した訳にはこの件も関わっている。
さらにごく稀に兵士では対応できない。つまり俺でなければ撃退できないような怪物もやって来る。これについてはアヌ様に頼み込んで許可を貰って俺が出陣している。
ともかく、これ以上の戦力減少を防ぐためにも城壁が必要なのだ。
「この国の兵士たちが魔物からこの国を守るために傷を負っている。子供がこの国を守らんと剣の稽古に、勉学に励んでいる。」
しかし、魔物だけでは済まない予感がある。
魔物たちの背後に恐ろしい何かが潜んでいる気がする。
具体的に言うとあの『黒いローブの人影』が........
「皆がこの国のために自分にできる精一杯の努力をしている。そして、この城壁はお前たちにしか作れないものだ。よって苦しいだろうが改めて王命を下す。この国を守る為に皆で一丸となって城壁を完成させよ!」
今は備えるしかない。耐えるしかない。苦しくとも皆で一緒に、一生懸命に。
「はいっ!」「応!」「お任せを!」「然り!」
皆の士気が高まったのを確認してから俺は残りの仕事を片付けるために背を向けて歩き出した。
ここ2年でギルガメッシュの実戦経験は増えた様子。
最初のころ、今しかドラゴン退治ができないと言っていたのは何だったのか?
しかし、スペック的に一番能力が高いのはギルガメッシュなので人間が対応できない怪物と戦うことになることは予想出来たはず。
つまり........また「うっかり」です。