フレームアームズ〜反逆するは漆黒の大鷲〜   作:√015

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世界観設定(ネタバレ注意)

世界観設定

 

時はCC(Croud Century 衆歴)001年。人類は月からもたらされた「T結晶」によって無尽蔵のエネルギーを手に入れた。

それにより、 国家による行政や貨幣による資本経済は終焉し、物々交換によって国境のない社会が運営されるようになった。

しかし、歯止めのかからない人口増加は如何ともしがたく、人類はゆっくりと、だが確実にその生活圏を減少させていった。

 

そして時は流れCC198年。1人の天才が現れた。天才の名は ライト・ロードン。ライト・ロードン氏は、200年前からの懸案だった居住圏の問題を、地底、海洋、宇宙を開拓することで解決する「Reスフィア計画」を提案する。

その計画には地底、海底、宇宙空間に対応できる全く新しい重機が必要とされた。

 

CC208年2月、フレームアーキテクト/TYPE001が完成。これは人型で「究極の汎用性」を持った重機だった。エンジンを胴体だけでなく腕や足にも搭載しており、腕や足だけでも運用ができた。

一人乗りで、コクピットは胸部にあるが、リモートコントロールが可能なので、パイロットは必ずしも必要なかった。

 

フレームアーキテクトは生産体制に移行し、月面プラントが建造された。オートメーションでフレームアーキテクトの生産の大部分を担う巨大プラントであり、Reスフィア計画の要であった。

だが、CC208年8月。ライト・ロードン氏が月面プラントでの足跡を最後に失踪する。同氏はReスフィア計画になくてはならない存在であり、捜索隊が組織され、月面プラントへ向かったが、そこで捜索隊が見たものは、暴走し襲い来るフレームアーキテクトの群れだった。

月面プラントは要塞化され、通信も途絶。何者の手によるのか、その目的も不明のままだった。

 

CC209年2月、月面プラントは降下艇基地を建造し、フレームアーキテクトによる地球への侵攻を開始した。AIによって操作された無人のフレームアーキテクトは大群をもって既存の兵器を蹴散らし、地上を蹂躙し始めた。

 

人々は急遽、「地球防衛機構」(防衛軍)を組織し、地上に少数だが先行配備されていたフレームアーキテクトを武装させ、月からの侵攻に対抗した。

月から侵攻してくるフレームアーキテクトの事を人々は「アント」と呼称し、防衛機構側のフレームアーキテクトには、視覚的差別化を図るため、頭部に「アイガード」がつけられる。

アントに専用の武装はなく、フレームアーキテクトに装備された銃やブレードは、ある程度有効ではあった。 だが、あくまでもある程度有効でしかなく、圧倒的な量で攻め込んでくるアントには多勢に無勢。とりあえずの武装程度ではアントの侵攻を阻む事は出来なかった。

そうして、防衛軍は本格的なフレームアーキテクトの武装化を進めることとなる。

 

CC209年10月。フレームアーキテクトに装甲、ユニットを取り付け、戦闘機の能力を付与された「兵器」が完成する。

人類史上初の『フレームアームズ』の完成である。

『SA-16 スティレット』と名付けられたこの空戦型の機体は、飛行能力と短時間であればホバリングも可能という高い機動性能を持ち、 対アント兵器として優れた戦闘力と展開能力を発揮した。

 

また、『SA-16 スティレット』に並行して開発、配備がされた陸戦型のFAがあった。

それが人類史上初の陸戦型FA、『三二式一型 轟雷』である。

装甲は新合金「ジュラニウム」製で、軽量の割に高い耐弾性を備えていた。背部に装備された低反動滑空砲は、戦況に合わせて様々な弾薬を選択できた。また、脚部に装備された自立駆動転輪は、機体に高い機動性能を与えていた。

 

CC210年、FAの強さなら一気に反転攻勢に出られると考えた地球側だったが、そう甘くはなかった。2月に派遣された月面調査団は、要塞化の進んだ月面プラントに到達することすらできなかった。

また、スティレットと轟雷は世界中の防衛機構で運用され、同年内に様々なバリエーション機や新型機を生んだ。

 

FAの配備による戦力の充実により地球防衛機構は防衛線の引き戻しに成功した。

しかし敵性アントの数は増え続け、月面への反転攻勢どころか、一進一退を繰り返すのがやっとだった。

そんな中、地球防衛機構を震え上がらせる事件が起きることとなる。

「夜間の作戦行動中に、撃破されたはずの味方機から、コールサインが送られてくる」

そんな噂が何処からともなく兵士やFAパイロットの間で囁かれるようになる。この現象は「ウェアウルフ・スペクター」。M32の幻影として、現場の兵たちを震え上がらせた。

事態を重く見た上層部は真相の究明に乗り出す。果たしてその正体は、月側に鹵獲された、轟雷のなれの果ての姿だった。

上層部はこれを秘匿事項とし、特務部隊SCARUを派遣。傭兵を雇い、これの捕獲に乗り出した。

しかし、過剰な火力を盛り付けられた敵の破壊力はすさまじく、捕獲は断念。2機のFAを失い、1機を損傷しながら、ようやく撃破に成功した。

しかし、いくら秘匿しようと同じことは今後も起りえたし、

鹵獲されたFAが解析を受ければ、いずれ月側もFAを手にすることは自明だった。

 

そして更に時は流れ、次の月面軍からの侵攻に敵性FAが現れたことにより防衛軍の懸念は現実のものとなる。

『NSG-12α コボルド』、『NSG-25r シュトラウス』と呼称される事になる2種のFAは凄まじい戦闘力を誇り、初戦闘において『NSG-12α コボルド』はスティレット型FA、4機を相手にして撃破するほどの力を持っていた。

また、『NSG-12α コボルド』と『NSG-25r シュトラウス』は変形し合体する事により『NSG-04δ ヴァイスハイト』と呼称される重装備型のFAとなり、防衛軍にさらなる痛手を与えた。

 

その後、防衛軍は奮戦し「フォーメーション・ガンプ」を実行。一定の行動しかしない事が判明した敵性FAに一方的な被害を与える事に成功する。

だが、この状況に呼応するように月面軍は機動力に特化した新型FA『NSG-X1 フレズヴェルク』を戦線に投入。

独自の突撃形態である「サイドワインダー・モード」への変形機構と、未知の技術である「TCS(T Crystal Shield)オシレーター」を搭載した『NSG-X1 フレズヴェルク』は轟雷の装甲を簡単に撃ち抜く新武装「ベリルショット・ランチャー」を携え、既存の敵性FAでは不可能だった奇襲、高速戦闘を展開し不落を誇っていた「フォーメーション・ガンプ」は脆くも崩れることとなった。

 

その後、度重なる襲撃により当時単一機種だと思われていた『NSG-X1 フレズヴェルク』には他のバリエーションがある事が襲撃によって判明した。

どの機種にも共通して、攻撃面に特化した武装と、戦場では不釣り合いなほど派手なカラーリングが施されており、その特徴から『NSG-X1 フレズヴェルク』とは異なる識別コードが付与された。

大鎌を模した大型武器「ベリルスマッシャー」を装備した『NSG-X2 フレズヴェルク=アーテル』は機動力に若干の減少が見られるものの『NSG-X1 フレズヴェルク』の弱点であった近接戦闘能力が大幅に強化されており、防衛軍は全戦力を以ってこれを辛くも撃退したが、防衛軍は壊滅一歩手前まで追い詰められた。

 

物語はそこから更に1年が経ったCC212年から始まる。


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