目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
「はー、吃驚した…」
人気の無い所へ出て、漸く一息ついた。
一体何だったんだ……俺のキャラクター凄い人気者じゃないか…。
あんな風に持て囃された事なんて今までの人生で一度も無かったから、思わず逃げてしまった。
伝説のハンターって何だよ。どんな伝説だよ。聞いてみたいわ。
あー、くそ……途中でチラッと見かけた中華っぽいお店とか行きたかったのに……。でもあれじゃあ落ち着いて飯なんぞ食べてられそうにないしなぁ…。
はぁ……お腹が空いたよぅ…。
「おーい、ご主人!」
ふと、前方より声がしたので俯いていた顔を上げると、一匹のアイルーが此方へ二足歩行で駆け寄ってきていた。ゴールドの毛並みだ。防具は装備していない。
俺のすぐそばまで近寄り、ぴょんと飛び付いてきた。慌てて抱き留める。モフッとした柔らかい毛並みが心地良い。
何この子、凄く人懐っこいな。妖夢や咲夜とは大違いだ。可愛い。たまらん。
「探してたんだぜ、ご主人!」
はて、探されていたとな。何か用事でもあるのだろうか。
尋ねてみると、お腹が減ったとの事。奇遇だな、俺もだ。
でもアイルーって何食べるん? 人間と同じ物食って平気なのか? 葱や玉葱を食ったら食中毒とか起こしそうだけど。猫だし。葱とか玉葱が存在するのかは知らんが。
その辺りを尋ねてみたら「何言ってるんだぜ、ご主人」と教えてくれた。口調的に考えて、この子は霧雨魔理沙だろうか。そんな気がする。
アイルーは基本的に人間と同じ物を食べられるそうだ。特に好んで食べるのは果物だって。へぇー。
でも、好みも人間と同じで個人差があって、肉が好きな奴や野菜が好きな奴、茸が好きな奴と様々だそうだ。へぇーへぇー。
あと、葱や玉葱は絶対食べないんだって。食中毒を起こすそうだ。へぇーへぇーへぇー。
個人的には当たり前だろって感じだが。猫だし。
ってか葱や玉葱が存在する事が判明した。へぇーへぇー。
8へぇー獲得。おめでとう。
因みに100へぇー満点な。
「で、何を食べるかねぇ」
「何言ってるんだ、農場へ来たんだからアレを食べに来たんだろ?」
アレ? アレってなんだ?
俺が首を傾げているとゴールドアイルーが、
「決まってるだろ。肉だぜ! 肉肉!」
「肉……ハッ!!」
肉ッ!
そうだ、そうだよ! 折角モンハンの世界に来たんだから、食べなきゃ損じゃん!
こ ん が り 肉!
食べずにはいられないッ!
「そうだな、肉を食べよう! よし魔理沙、手伝え!」
「任せろ!」
ゴールドアイルーは俺の腕から飛び降り、奥にある『特注よろず焼き機』の所へ駆けていった。
今、何の気無しに魔理沙って呼んだけど否定しなかったな。矢っ張り魔理沙だったか。
ゴールドの毛並みは他にも星熊勇儀や八雲紫とか雇ったからな。パッと見じゃ解らん。口調的にどう考えても魔理沙だけど。
まぁ兎に角、俺もアイテムボックスから生肉を10個取り出し、特注よろず焼き機の元へ向かう。
魔理沙は先に火を起こしてくれていた。早いな。
生肉10個全てを、三メートルはあろうかという長い串に突き刺し、二本の支柱で支えて火に掛ける。炭火焼きだ。
串をグルグル回しながら、じっくりじっくり焼いていく。魔理沙は団扇であおぎ、火の勢いが均等になる様、調節してくれている。
肉汁が滴り落ち、匂いが空腹を増加させる。見ているだけで涎が出てくるぞ…。旨そう…。
………。
………あれ?
「魔理沙」
「うん? どうしたご主人」
「………肉を上げるタイミングが解らん」
「………は?」
魔理沙が「何言ってんだこいつ」みたいな声を出した。
あ、うん、まぁ、そうだよね……ゲームの時に何百回と焼いてたもんね……そんな反応するよね…。うん、仕方ないよ…。
でもさ……ゲームの時と違って、肉を焼く時の音楽が無いんだよね……タイミングが全然解らん。
結局、肉が完璧に焼けたかどうか魔理沙が見てくれる事になった。凄い呆れた様な目で見られたよ…。
肉は二三分で焼きあがった。滅茶苦茶美味しそう。
あっ! こりゃたまらん! ヨダレずびっ!
ツウ〜よーな味だぜェ〜〜〜っ、きっとおお〜〜っ!
しかし、焼ける時間は妙にリアルだったな。ゲームだったら10秒程度で焼きあがるのに。まぁ、いいけど。
「私もご一緒してよろしいですか?」
背後から声を掛けられ振り返ると、そこには黄トラの毛並みを持つアイルーが立っていた。この子は寅丸星だな。黄トラは星ちゃんしか居ない。
他のアイルー達も匂いに釣られてやって来た。赤虎とハッカ、桜の毛並みを持つ子だ。
ハッカはチルノで、桜は幽々子だった気がする。赤虎は霊夢かレミリアのどちらか。
それぞれ色のイメージで選んだんだけど、霊夢はニャン天着せれば紅白になるな〜とかいう理由で赤虎にした。魔理沙と
はて、他にも居る筈なのだが…?
まぁ、いいか。
そして、皆で肉パーティーが始まった。
円を描く形で地面に座り、こんがり肉を頬張る。
夢にまで見たこんがり肉!
ヤベェーよこれマジで旨ぇ! 歯応えがしっかりしていて、それでいながら決して硬い訳ではない! 弾力、食べ応えにおいて、牛以上だぜ!
アイルー達は基本一つずつ食べたのだが、星ちゃんは2つ、幽々子は3つも食べていた。一体、あの小さな身体のどこに収まったというのだ。不思議。
それによって俺の分は2つとなり、ちょっともの足りないのでもう少し追加で焼く事に。
折角なので、生焼け肉にしてみた。肉汁がこんがり肉よりも溢れ出してきて、これが旨ぇのなんの…! 俺は生焼け肉の方が好きかもしれない。
ただ、コゲ肉は矢っ張り不味かった…。何か炭の味がした…。いや、別に炭を食った事がある訳じゃないが、何となくそんな味なんだという事が言いたかった。食えたもんじゃない。
食後は魔理沙と戯れる事に。どうやら甘えん坊な性格の様で、矢鱈と俺にすり寄ってくる。可愛い。可愛過ぎる。
毛並みもモフモフのツヤツヤのナデナデ(?)よォッ!
抱っこして顔をすりすりしたり、身体をナデナデしたり…。
あぁーッ! 癒されるぅー! 幸せ! 最高!
「ちょっと、私にも構いなさいよ」
ふと、赤虎の子が此方へ寄って来た。霊夢かレミリアか、一体どちらなのか…。
いや、どっちでもいい!
ぬこ一匹追加でーっす! 魔理沙と一緒に可愛がるのだっ!
赤虎ちゃんもモフモフだぁー! ツヤツヤだぁー! ナデナデだぁー!
でも、頬をすりすりしてたら「ちょっとくっつき過ぎよ、離れなさいよ!」と、俺の顔を前足で押しのけた。
グイグイ行き過ぎたか。怒らせちゃった。
でも、そんなソナタも可愛いぞぉぉぉーーーッ!
「あたいも混ぜろー!」
ウッヒャー! もう一匹追加だぁー!
若干、身体がひんやりしてるぅー!
チルノだー! 何でかよく解らんがひんやりしてるよぉー! 猫なのにぃー!
「あらあら、楽しそうねぇ。私も混ざっちゃおうかしら」
更にもう一匹追加ぁー! 幽々ちゃあぁぁぁん! 可愛いぃー!
お前ら俺を萌え殺す気か!? 萌え殺す気なのか!?
幸せだよぉー! 幸せ過ぎるんだよぉー!
「皆さん、仲が良いですねぇ」
一匹だけ混ざらずにお茶を啜る星ちゃん。お婆ちゃんみたいな雰囲気を醸し出している。
っていうか何処から出したんだ、その湯飲みとお茶は。
それから暫くアイルー達と戯れた。魔理沙は終始甘えてきたし、赤虎のベタベタされるのは嫌だけど構ってくれないと拗ねちゃう性格の子はレミリアだと解った。子供っぽいからそうじゃないかと思ってたけどね。
まぁ兎に角、四匹もの猫に囲まれて最高に幸せな時間を過ごしたんだ。
でも、一つだけ言いたい。
━━━お前ら全員、語尾に『ニャ』付けろッ!
小説と全く関係ないですが、「狩人宣言」っていうモンハン3rdを題材にした替え歌が好きです。