目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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特産タケノコって美味しいんだろうか。

「な、何か落ち着かない……」

 

 インナーと一緒にパンツまでとられた……何故だ……。

 

「我慢しなさい。あと特産タケノコを取って納品するだけで終わりだから」

 

 たった今、エリア6番にてセツナと一緒にアオアシラを始末したところである。10秒も掛からなかった。

 フェルトはエリア9番で待っている。一応、彼女はセツナの家で暫く匿う事になった。と言っても、俺たちが彼女の元へ戻るのは明日以降になる。

 何故なら、俺もセツナもクエストを終えたらユクモ村に瞬間移動してしまうからだ。これでは一緒にユクモ村へ帰る事は出来ない。

 それにまず、フェルトの腕や足の継ぎ目の部分は布か何かで隠した方がいい。そこさえ隠してしまえば、新式の防具だという事で通せるだろう。いや、無理にでも押し通す。

 

「にしたってパンツまでとらなくても良いじゃないか」

「何言ってるのよ、パンツ無しでインナーなんか穿いたら変な感じするじゃないの」

 

 いや、俺はパンツもインナーも無しに直接防具を装備してるんですがそれは。

 というか、

 

「変な感じするって何で知ってるんだ」

「えっ、や、それはその……(ノーパン健康法を……)

「何だって?」

「な、何でもないわよ!!さっさと行くわよ!!」

 

 ……誤魔化したな。まぁいいか。

 ズカズカ進んでゆくセツナの後に続き、エリア2番を経由してエリア3番へと到着した。竹の立ち並ぶ竹林地帯である。

 右手は断崖絶壁で、美しい自然の景色が広がっている。落ちたら120%死ぬ。

 左手には3、4メートル程の低層断崖があり、段差を2つ上がったところに上へ上がれるよう木の棒が無造作に突き刺さっている。

 ……もうちょっと梯子(はしご)っぽく出来なかったものか。とりあえず、その出来損ないの梯子を伝って上へあがる。

 すぐ近くにタルやら木箱やらカカシやらとガラクタが纏めてある。メラルーにアイテムを盗まれた時、あのガラクタを調べると盗まれたアイテムが戻ってくるアレだろう。この世界で本当に戻ってくるかどうかは疑問だが。というか、未だメラルーに出会した事がない。

 山菜爺は……いない。山菜爺にも会った事ないんだよな。もしかして存在しないのだろうか。寿命で召されちゃったとか?

 ……いや、多分別の地帯に居るとかだろう。火山とか水没林とか。きっと居る。別に用も無いので居なくてもいいけど。

 思考もそこそこに打ち切り、特産タケノコの採取を行う。ゲーム時代と同様の場所にタケノコが生えており、それを引っこ抜くと特産タケノコが手に入るのだが、引き抜いた次の瞬間には手からタケノコが消え、アイテムポーチに入っているという謎仕様。

 しかも、引き抜いた所と同じ場所からすぐさまタケノコが土の中から顔を出す。無限タケノコって怖くね? ちょっとした怪奇現象だよこれ。楽でいいけど。

 ……しかし、美味そうだな……持ち帰っては駄目だろうか。1個ぐらいなら良くね?

 

「駄目に決まってるでしょ。ちゃんと納品しなさい」

 

 ちぇー。せっちゃんのケチンボー。

 

 

 

 

 

 

 さて。俺とセツナは特産タケノコ20個を集め、俺のモドリ玉を使ってベースキャンプに戻り特産タケノコを納品。無事にクエストをクリアして集会所へと戻ってきた。

 

「ソロモンよ、私は帰ってきた」

「……何言ってんの?」

 

 何となく言ってみただけ。

 

「とりあえず私は家に帰ってパンツとインナー着てくるわ」

「私も付き合うわよ」

「……いや、着替えるだけだし付き合う意味がわからないんだが」

「一人で待ってても仕方ないじゃないの。それとも私が一緒だと嫌なの?」

 

 嫌ですけど。

 ……とは言えず、渋々ながらセツナの同行を許可する事に。本来は自分の身体じゃないとはいえ、人に肌を見られるのは苦手なんだがな……。はっきり断れる人間に私はなりたい。

 集会所を出て、階段を下りたすぐ横にある自宅に到着。今更だけど、ハンターにとっては凄い優良物件だよな、主人公の自宅って。

 

「……良いところよね、ここ」

「そうか? 狭いし飾り気もないけどな」

「だから良いんじゃない。落ち着くわ」

 

 ……まぁ、わからんでもないけど。俺も狭い方が好きだし、実際のところ割に快適である。

 とりあえず着替えるかな。ベッドの近くに置いてある棚の引き出しから下着を取り出し、アイテムボックスの前に移動する。防具を外すんならやっぱりアイテムボックスから外した方が早いし楽だからな。

 

「………」

 

 視線を感じて振り返ると、セツナが藁の枕を抱きながら此方をじっと見詰めていた。

 

「あの、そんな見詰められると着替えにくいんだけど……」

「私の事は気にしなくていいわよ」

 

 気になるっちゅうねん。何でそんなにガン見してるんだよ。同性の着替えなんて見てても楽しくないだろ。……俺からしたら異性も嫌だけど。

 軽く溜め息を吐きながら着替え始める。アイテムボックスのメニューから防具を全て外し、無地の白い下着を穿いた。

 

「エクシア」

「うん?」

「渓流の時は上半身(うえ)ばっかり見てて気づかなかったけど、あなたって生えてないのね」

「……ほっとけ」

 

 俺はこの身体をなるべく見ないようにしている━━自分の身体じゃないから━━ので、俺自身も生えてないのは初めてトイレに行ったまで気付かなかった。見て確認したのではなく、拭いた時に気付いた。

 

「そういうお前はどうなんだよ」

「私も生えてないわよ。おそろいね」

 

 ……25歳にして生えてないとはどういう事だ。あり得るのかそんな事。

 というか、俺たちは何でこんな話をしているんだ。どうしてこんな話題に……セツナの所為か。話に乗った俺も悪いけど。

 

「確認してみる? エクシアになら見せてもいいわよ」

「見ない見ない」

 

 軽くあしらうと、セツナは若干不満げな表情を浮かべていた。

 何その反応……見せたかったの? まさかセツナが痴女化してしまったとでもいうのか。フェルトから痴女ウイルスでも感染したか。

 いや、フェルトは別に好きで裸だった訳ではないけど。

 兎も角、ベッドの近くにある棚へ戻る。

 この棚、ゲーム中では近付くと『本棚を開く』って出るんだけど、別に本棚ではないよな。膝の高さしかない台の上に本を7冊積み重ねているだけである。まぁ、便宜上本棚って呼んでるけど。

 そこからメニュー画面を開き、インナーを変更……、……ミナガルベストの項目ががない。空白になっている。

 ……フェルトから返してもらわないと変えれないのか……うう、あれが一番のお気に入りだったのに……。

 仕方ないのでミナガルベストの色違いであるココットチョッキに変更する。正直、色合いがちょっとダサいけど仕方ない。残りのモガ・アンバー、モガ・マリンよりマシだ。

 再びアイテムボックスの前に戻り、防具も先ほどと同じものに変更。

 

「……前から思ってたんだけどエクシアってさ、何でそんな滅茶苦茶な防具を装備してるの?」

「ん? ああ、そりゃあ発動スキルを重要視してるからだよ」

「……はつどうすきる……?」

 

 えっ、何その反応……まさかスキルの事を知らないのか……?

 ……うーん。だとしたら何て説明したらいいんだ。面倒くさいぞ。

 ……うん、面倒くさい。

 

「そんな事より、早くフェルトを迎えに行こう」

 

 強引な話題転換。

 

「行くのは明日。それより、はつどうすきるって?」

 

 失敗。うーん、面倒くさいけど教えるか……。

 

「そもそもスキルっていうのは、防具に付いてるスキルポイントが━━━」

 

 

 

 スキルに関する事をセツナに教える間に日が暮れるのであった。

 


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