目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
戻って来ました、ベースキャンプ。大分日が傾いてきた。時刻は夕方。
戻ってくる途中、リオレウスの存在が心配だったが、エリア1番からは居なくなっていた。勝敗はどうなったのだろうか。あんまり興味ないから別にどうでもいいけど。
「さ、まずは鎧を脱ぎなさい。その間に私は火を起こすから」
セツナはそう言うと、テントの横で火を起こし始めた。……凄く苦戦してるみたいだが、大丈夫か…。手伝った方が良いんじゃ…。
ま、まぁ、とりあえずは任せよう。
さて、鎧を脱げと言われたが、どうやって脱げば良いんだ? いつもアイテムボックスから脱着してるから、どうやって脱いだら良いのやら解らんぜよ。
とりあえず、兜はそのまま上に上げるだけで外せた。腕も同じ感じで外せる。胴の装備である天城もただの弓胴着だから簡単に脱げた。
問題は下半身の装備だ。腰のシルバーソルコートとかガッチリくっついてて脱げないぞ……くの…っ!
………駄目だこりゃ。でも、普通に考えれば何かしら脱ぐ方法がある筈だよな。呪われた装備品という訳じゃあるまいし。
こう、どっかにパチッと外せる感じの何かが……あるはず…。はず…。
「………」
……解らん。どないしよ。流石に上だけインナーとかみっともない。
こうなったら、レベッカ辺りに聞いてみるとか……いや、駄目だ。外し方が解らんのにどうやって装備したんだって話になる。また嘘八百の状態に陥るのは嫌だ。面倒くさいし、心が痛む。
どっかにある筈なんだって! パチッと外せる何かが……あっ。
適当に弄っていたら、本当にパチッと外れてシルバーソルコートが地面に落ちた。
……やったぜ。さすが俺。
後は簡単だ。膝ぐらいまで防護しているレギンスを脱いで、スパッツみたいなズボンを脱ぎ━━━
「……ッ!!」
あ、危ね! うっかりインナーも一緒に下ろすところだった!
こんなところでパンツ丸出しとか、目も当てられない。
……見られてないよね? と思ったら、リリーとサニーの二人と目があった。彼女達は慌てて俺から目を逸らす。
……めっちゃ見られてた…。二人とも凄いガン見してた…。くぅ…恥ずかしい…。というか、何で俺の着替えをまじまじと見てるんだよ!
兎も角、ズボン脱いで……脱い……脱ぎ……ぬ、脱げねぇ…。ベルトのバックルにインナーが入り込んでて脱げなくなってる…。
ど、どないしよ…?
「どうかしたですか、エクシアさん?」
苦戦してたらレベッカが此方に寄ってきた。
……脱ぎ方どうこうの問題じゃないから、正直に話しても大丈夫だよね。
「実は、ベルトのバックルにインナーが巻き込まれちゃったみたいで…」
「そうなのですか。ちょっと見せてもらっても良いです?」
「うん…」
レベッカが俺の前でしゃがみ、調べ始める。
暫くして、
「………これは一体脱いじゃった方が良いのですよ。という訳で脱がしますね」
「えっ━━━わひゃっ!!」
ガバッと勢い良く脱がされ━━━インナーどころか、パンツも一緒に脱げてしまった。
★
また少し時間が経って、満月が顔を出し始めた頃。
俺はセツナの起こしてくれた焚き火の前に座り、呆然と空を眺めていた。
「……エクシアさん…元気出して下さい…」
リリーが左隣に座って慰めてくれるが、あんまり元気出ない…。
だ…だって…パンツが…脱げ…パンツが…脱げ…脱げて…。
パンツがパンツでパッツンパッツンなパンツがパツパツ…。
……いかん、ショックで思考がおかしくなり始めた…。余り考えない様にしよう…。
そのままリリーに身体を預け、もたれかかる。今は彼女もジンオウ装備を外してインナー姿なので、柔らかく暖かい肌の感触が伝わる。
女の子の身体って、どうしてこんなに柔らかいのだろうか。ハンターなんだから筋肉がかなりついている筈なのだが。
「…お肉…焼けました…」
ふと、サニーがこんがり肉を2本、此方に差し出してきた。既に見慣れた漫画肉。1本はリリーの分だ。
「ありがとう」
「ありがと、サニー」
リリーと共に礼を述べて受け取り、もそもそと食べ始める。何度食べても飽きない美味しさ。
サニーもそのまま右隣にピッタリくっ付いて座った。彼女もナルガ装備を外してインナー姿である。何故そんなに密着してくるのか謎だが、ちょっと寒いなと思っていたので、正直ありがたい。
「あーっ!」
今度はレベッカ。トイ……お花摘みから戻って来たようだ。
言うまでもないが、彼女もインナー姿。
「お二人共エクシアさんにピッタリくっ付いてずるいです! 私もエクシアさんにくっ付きたいのです!」
「でも、左右ともうまっちゃってるから」
そう言って俺の背中に腕を回すリリー。
「…早い者勝ち…」
同じく俺の背中に腕を回し、フフンと得意気に笑って見せるサニー。それを見たレベッカが「むー…!」と頬を膨らませる。
何だこの空気は…。
「えっと…膝の上が空いてるけど、座る?」
「良いのですか!?」
途端に眩しい笑顔を見せるレベッカ。『お言葉に甘えるのですよ』と言って、胡座をかいて座る俺の膝の上にちょこんと収まった。
うむ、前が塞がって更に暖かくなったぞ。でも、肉を食べられなくなっちゃったぞぅ!
「レベッカ、お肉食べる? …私の食べかけだけど」
「えぅっ!? ですが、エクシアさんの分が…」
「実は、そこまでお腹減ってないんだ」
釣りしてる時にサシミウオを食べたからだろう。
……2匹も。
いやね、ちょっと小腹が空いたな〜と思って、サシミウオは生で食べた事なかったから1匹食べてみようかな〜と食べてみたら意外に美味しくて…つい…。
そんな訳で、お肉1個はちょっとキツいのだ。
「じゃあ、いただきます!」
食べかけのこんがり肉をもきゅもきゃと食べ始めるレベッカ。何となくハムスターを連想してしまう。可愛い。
「あーっ!! 私の特等席がっ!!」
今度は魔理沙だ。うるさいよ。此方を指差しながら、わなわなと震えている。どうやら、レベッカが膝の上に居るのがショックらしい。
暫く固まったまま動かなかったが、ハッと我に返った様に走り出し、俺の背後に回って首のところに飛び乗り、頭にひしっとしがみついてきた。
「ここは誰にも渡さん!」
誰も乗らねーよそんなところ。強いて言うなら、この場に居る者の中では霊夢が乗れるけど、彼女は一人お茶を啜っている……ってか、いつも思うけどその湯呑みはどっから出してんだよ。もしかして持ち歩いてんのか?
ここらで一杯、お茶が怖い。俺にもください。
「あんたら、何してんの?」
背後からの声。魔理沙の所為で振り返る事は出来ないが、セツナだというのは解る。周囲の偵察から戻ってきたらしい。服装はドーベル装備のままだろう、多分。
「エクシアさんが風邪を引いたら大変なので、肌を寄せ合って温めてるんですよ」
とリリー。
えっ、そうだったの? やばい、みんなの優しさに感動。嬉し過ぎて泣きそうにござる。
「ふーん…」
素っ気ないセツナの声。その直後、しゅるりしゅるりという肌と布が擦れる音、そしてコツンコツンという骨と骨がぶつかる様な軽い音が耳に届いた。
……この音はもしかして、セツナがドーベル装備を脱いでいる……?
その音が途切れた直後、背後から誰かが抱き付いてきた……って、セツナ以外に人はおらんわな。何で抱き付いてきたんだ? セツナのキャラと違くないか?
最近の彼女はよく解らない。
しかし、小さいとは言えセツナも立派な女性なのだと改めて理解する。背中に何だか柔らかい感触ががががが…。
などと思っていたら、
「にしても、あんたやっぱり胸あるわよね」
と、人の胸を無遠慮に揉みしだいてきた。
……本当に無遠慮過ぎるだろ、お前。
ところで、漫画とかではこういうシーンで女性が「ぁん…っ」とかえっちな声を出すものだけど、俺は別に何も感じない。
……もしかして、この身体は不感症だったりするのだろうか。それともこれが普通なのか、セツナの揉み方が下手くそなのか。よく解らない。
「あ、あの、私もちょっと触ってみたいんですけど、良いですか!?」
突然なリリーの発言。
何を言ってるんだこの娘は…。とりあえずこの場は回避した方が良いと本能が告げる。何となく身の危険を感じるのだ。
「……えっと……、また今度ね…」
「本当ですか!? 約束ですよ! 絶対ですよ!」
回避失敗。かなり念押ししてきた。
……これは、もしかしたらヤバい約束をしてしまったのかもしれない…。
内心で後悔しつつ、未だ人の胸を弄るセツナの手を払いのけるのであった。
セツナさん
淑女の嗜み
どこいった
エクシア心の俳句。
尚、リリー氏は「先っちょだけ!先っちょだけですから!」などと意味不明な供述を繰り返しており━━━
ひ ど い。