目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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ドスファンゴ狩り祭りの名は伊達ではなかった。

 さて、やって来ました渓流━━━

 

「捕まえたぁぁぁぁぁっ!!」

「ぐふっ!」

 

 右脇腹に強烈な衝撃を受けて吹き飛ばされた。セツナのタックルである。開始早々の不意打ち。何すんねん。

 そのまま人の上に跨がり、

 

「あんたって奴は!!どうしてそう人を子供扱いすんのよ!!私は25だって言ったでしょ!?聞いてなかったの!?バカなの!?死ぬの!?大体、あんたは幾つなのよ!!どうせ年下でしょ!!教えなさいよ!!」

 

 マシンガントーク。早すぎて何言ってるか解んないっぷー。

 っていうか、いきなりタックルしてきたって事は、コイツも瞬間移動をしてきたという事なのだろうか。もしも違うなら、移動の間に少しは怒りが鎮火する筈だし。というか、渓流へ来るタイミングがズレる筈。

 矢っ張りセツナもゲームシステムの加護を受ける人間という事なのか?

 そうなると、コイツがMHP2ndの主人公という説が濃厚だ。ゲームの主人公だからこそ、ゲームシステムの恩恵に肖る事が出来るのだと俺は睨んでいる。

 まぁ、他のハンターと殆ど関わりが無いので、実際の所どうなのかは解らない。全ては憶測に過ぎないのだ。

 

「ちょっと聞いてんの!?また無視するつもりなの!?幾つなのか教えなさいよ!!教えなさいよ!!」

「あーもー、うるさいな。その口閉じないと舌を入れてキスするぞ」

「な…っ!?なな、な…っ!!」

 

 顔を真っ赤にしながらセツナが俺の上から飛び退いた。

 ふっ、お前がピュアな心の持ち主だという事は、一緒に温泉へ入った時から見抜いていたぜ!

 更にどんどん後退って━━━

 

「馬鹿! そっちは危ない!」

「ぅあ…っ!」

 

 俺はセツナの足を掴んで止めた。彼女のすぐ後ろには断崖絶壁。俺が止めなければ、崖から転落していた。

 

「あ…っ、ありがと…」

 

 セツナは礼の言葉を述べて立ち上がり、崖付近から離れる。気をつけろよな、全く。

 って、脅かした俺も悪いのか。謝らないけど。

 さて、と。

 今現在、俺達はベースキャンプに居る訳だが、このクエストって上位クエストなんだろうか。金額的に考えると間違いなくそうなんだけど、クエストランクを見た訳でもなし。だが、上位クエストならば何処か別の地形から始まってもおかしくない筈だ。

 ……支給品ボックスを覗いてみれば解るか。

 近くの青い箱に触れると、メニュー画面が表示される。中には応急薬やら携帯食料やらが入っていた。

 という事は、このクエストは下位クエストという事になる。……金額がおかしかったが、一体どういう事なのだろうか。

 そういえば、クエスト成功条件もおかしかった。ドスファンゴの()()ではなく、ドスファンゴの()()と書いてあった。

 一体どういう事なのか。

 

「ちょっと、支給品私の分も残しといてよ」

「ん? ああ、解ってるよ」

 

 隣にセツナが来て、支給品ボックスを覗く。

 大体半分ずつが普通だよな。

 『応急薬×6』『携帯食料×4』『携帯砥石×2』『携帯シビレ罠』。

 こんなもんかな。後はボウガンの弾やら弓に使うビン類やらと、剣士の役には立ちそうにない物ばかりだ。

 

「よし、行くか」

「仕切ってんじゃないわよ」

「はいはい、解った解った」

「何よその言い草は!!本当にムカつくわねあんた!!」

「大将、コイツ殴っていいか?」

 

 さり気なく勇儀さんが恐ろしい事を口走る。やめてくれ。こんなでも一応仲間なんです。妖夢も恐い顔しない。

 険悪な雰囲気のパーティーメンバーを宥めつつ、俺達は地味に長い傾斜を下ってエリア1番へと辿り着く。広く浅い川が流れる場所。

 そこを経由して、更に北へと進む。前回は西からエリア2番へと向かったが、今回はエリア4番へと向かう。

 長い長い道をひたすらに走ってゆく。孤島の時よりも更に長い。10分近く走って、軽い下り坂へと差し掛かる。エリア4番にはまだ辿り着かない。長すぎる。何だこれは。何でこんなに長いんだ。

 何キロ走ったのだろうか、傾斜を下り続けて2、3分程して、漸く開けた場所に出た。エリア4番である。こんなに遠いならエリア間の移動こそ瞬間移動してほしいと思う。

 

 さて、エリア4番であるが、かなり広いエリアだ。しかしながら、寂れた木造建築物もある。中央付近にあるものは、恐らく2階建てだったのだろうが、1階が達磨(だるま)落としでもされたかの様に無くなっており、2階部分は壁だけが残っている。床が骨組みだけを残してすっぽり無くなっているのだ。屋根も同様である。

 人が過去に住んでいたのだろうか。その辺りはよく解らないが、一体何をどうすればこのような有り様になるというのか。ジンオウガとかが暴れたか?

 右方にも同じ様な事になっている建物が幾つか存在する。何があったというのか。

 まぁ、そんな事よりも今はドスファンゴ退治である。先程述べた中央付近にある倒壊した建物から西の方角に、緩い上り坂となっている道があるので其方へと向かう。

 右手の方には坂に違い崖があり、その先には美しい自然に囲まれた大きな川が一望出来る。綺麗な景色だ。

 暫く傾斜を上ってゆくと、木々に囲まれている開けた場所に出た。エリア5番である。

 ドスファンゴなら、きっとここに居るだろうと踏んでやって来たの、だが……。

 

「……嘘、だろ…」

 

 そこにドスファンゴは居た。確かに居た。

 

 ━━━6頭ものドスファンゴが、闊歩している。

 

 ……おいおい、何の冗談だよ…?

 ドスファンゴが同時に6頭……しかも同じエリアに存在するとか……。色々と有り得ないだろ。縄張り争いとか起こるだろ。何で反目せずに群れてんだよ。おかしいだろ。

 いや、でもブルファンゴは時として大規模な群れを形成する、と説明文にかいてあった様な気が…。

 

「ボサッとしない!!来るわよ!!」

「…っ!?」

 

 セツナの声に、ハッと我に返る。ドスファンゴ達は既に此方の存在に気付いており、前足で地面を擦っていた。

 拙い、突進してくる気だ…!

 そう思った次の瞬間、ドスファンゴ達は一斉に走り出した。……俺を狙っている!

 すぐに脇へと逸れる。ドスファンゴ達は俺の立っていた場所付近で急停止。再び俺の方へと向きを変える。

 何で俺を狙って来るんだ? 俺、何かした?

 ふと、6頭の内の1頭がひっくり返った。見れば、勇儀がやったらしい。更に追い討ちとばかりに頭をぶっ叩いている。強っ。本当にアイルーかよ。

 妖夢は別の個体へと斬り掛かっていた。主に顔の辺りを狙っての攻撃。斬る度にバチバチと青い雷が走る。

 ドスファンゴも振り払おうと顔を振ったりするのだが、妖夢はそれを華麗に回避してみせる。流石、アカムを相手に臆せず立ち向かう妖夢だ。ドスファンゴなどは相手にならない。

 セツナも1頭のドスファンゴを相手取っていた。ホーリーセーバー(笑)を抜き放ち、鬼神化からの乱舞攻撃でドスファンゴを斬りつけまくる。その刃が肉を斬り裂く度にホーリーセーバーから水が吹き出る。一体どういう原理でそうなるのか。謎である。

 で、残った3頭は執拗に俺を狙ってくる。何でだ。

 

「上等だ…、ぜっ!」

 

 ドスファンゴの突進を躱しつつ、王牙双刃【土雷】で斬りつける。ゲームと違って、回避と攻撃を同時に行う事も出来るから楽だ。

 さぁ来いよファンゴ! 角なんか捨ててかかって来い!

 そんな風に調子扱いてる時だった。

 

「ぐふぅっ!」

 

 突如、背中に強い衝撃を受けて吹き飛ばされる。地面に叩きつけられた勢いを利用して跳ね上がり、翻筋斗(もんどり)打って着地する。

 見れば、ドスファンゴの突進をくらったらしい。俺の相手取っていた3頭ではない。セツナやオトモ達もそれぞれ1頭ずつ相手をしている。

 ならばコイツは━━━7頭目か!

 くそ、まだ増えるのかよ!? 何頭居るってんだ! 時間掛けてる場合じゃねぇな!

 透かさず俺を引いてくれたドスファンゴに駆け寄り、

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラァ━━━ッ!!」

 

 両手に持ったの双剣で、某スタンドの如くに突きまくる。裁くのは俺の双剣だァー!! なんつって。

 いや、どちらかと言えば戦国BASARAの真田幸村が使う『烈火』の方が近いか。武器を用いての突きだし。

 兎も角、ひたすらに突きまくる。ドスファンゴが此方へ向き直るよりも早く、他の3頭が突進してくるよりも早く。ゲームでは絶対に有り得ない超連続突きにて、僅か数秒の内にドスファンゴは息絶えた。

 所詮は下位のドスファンゴだな。体力が全然低い。秒殺出来る程にな。

 さぁ、次はどいつだ!? テメェか!?

 

 俺は残るドスファンゴに向かって駆け出すのであった。

 




みぃぃぃぃぃなぁぁぁぁぁ()ぃぃぃぃぃるぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁッッッ!!!!!

BASARAは2英雄外伝が一番好きでした。

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