目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
風呂から出て受付嬢に説教をくらった後、リリーとサニーの両名は帰宅した。部屋を借りて2人一緒に住んでいるらしい。2人暮らしである。実家はもっと遠い所なんだとか。地名は聞いたけど……忘れた。何だっけか?
兎に角、一人前のハンターになる為、2人で一緒にユクモ村までやって来たのだという。
何故ユクモ村なのかというと、伝説のハンターとか言われてる俺が居るかららしい。普通の平凡なハンターなんだがなぁ……。
あ、因みにあの2人は幼なじみらしい。姉妹とかではない。とても仲が良い様で羨ましい。俺は彼女が出来なかったうえに、友達も殆ど居なかったからな…。
あ…なんか悲しくなってきた…。
それにしても、さっきは酷い目に遭った。何というかこう……凄かった…。柔らかい女の子の身体に挟まれて……。
……思い出したら鼻血が出そうだ。やめよう。
さて、これからどうするかな。
今は1人で村の中を歩いているのだが、特にする事もない。食べたばかりだから、お腹も減ってないし。
……しかし、人々の視線が俺に突き刺さる。何でこんなに見られるんだ。
個人的には、特に男の視線が気になって仕方ない。一体、何を思って俺を見ているのか。
普通に凄腕ハンターとして注目されているだけなのか。それとも矢張り、女として見られているのだろうか。エクシアちゃん可愛いし。
いや、きっとそうだ。そうに違いない。
……まさか、いきなり拉致られるとか、そんな展開無いよね…。
もしそんな事になったら、暗がりで複数の男たちからあんな事やこんな事を……そして、やがては自ら快楽を求める様になり始めるのだ…!
そう、エロ同人みたいに!
………。
……や、やべぇよ…洒落にならねぇ…それは洒落にならねぇよ…。何か急に怖くなってきた…。
もしそんな事になったら、俺は死ぬ。自決してやる。
歩く速度を速めながら、俺はユクモ農場へと向かった。
★
「おーい! ご主人!」
魔理沙が二足歩行で此方へ駆け寄り、俺の胸元へ飛び込んできた。慌てて受け止める。相変わらず良い毛並みじゃ。ニャン天を脱がしてモフモフしたい。
「どうかしたのか?」
「モンニャン隊のみんなが帰って来たんだぜ!」
「えっ? あっ…」
魔理沙は俺の腕から飛び降り、農場の奥の方へ駆けて行った。もっとモフモフしたかったのに…。
しかし、モンニャン隊と言ったか? そう言えば、クエストに行かせていた様な気がする。★4の『氷牙竜ベリオロスだニャ!』みたいな名前だったかな。今頃になって漸く戻ってきたのか。
兎も角、魔理沙の後に続いてゆく。特注よろず焼き機の前に生える大きな木の横に、アイルー達が集まっていた。10匹近くはいる。
「よう、大将!」
その中で、ゴツい鎧に身を包むアイルーが話しかけて来た。黒を基調としており、所々に赤い線が入った鎧。まるでアカムトルムの様な見た目。
『アカムネコサクパケ』と『アカムネコウルンテ』である。兜の『アカムネコサクパケ』は天辺から鳥の様な1枚の羽がはえているのが特徴的。下の方は白で、先へ行く程に赤くなっている羽。綺麗。
アイルーの毛並みは金色。この豪快な感じは……星熊勇儀だろうか…?
……アイルーの身の丈を優に超える、やたら大きな鎚をもっている。薄い黒を基調としており、中心部からは紫色の光が漏れ出ている。おぞましい見た目をした鎚。明らかにオトモアイルーの武器じゃない。何だあれ…?
「ご主人さん」
ふと、ニャン天姿で毛並みは赤虎のアイルーが少し大きめの白い袋を差し出してきた。受け取って中を見てみると、木の実やら骨やらがぎっちり入っている。
これは…素材アイテム…?
「それが今回の成果よ」
……ああ、モンニャン隊のクエストの成果か。
ちゃんと手に取ってみると、何のアイテムなのかが解る。
『グラシスメタル×3』『氷結晶×6』『竜骨【中】×2』『上質な鳥竜骨×2』『大きな骨×2』『いにしえの龍骨×3』『バギィの鱗×1』『バギィの皮×2』『上武具玉×3』『ユニオン鉱石×1』『氷牙竜の毛皮×6』『氷牙竜の甲殻×4』『陽翔原珠×1』『瑠璃原珠×2』『耐眠珠×2』『さびた破片×2』『銀のたまご×1』。以上。
『いにしえの龍骨』が3個もあるじゃあないか。素晴らしい!
しかも、ベリオロスの素材をぶんどって来ている。……少し多すぎる様な気もするのだが……まるで討伐してきたかの様な量じゃねえか。まぁいいけど。
あと、何か黄色い虫も入っていた。触りたくないので確認はしていないが。多分、マレコガネとかそんなんじゃないかな。
「ありがとう」
「どう致しまして」
赤虎の子は素っ気ない態度で俺の横を通り過ぎて行った。その後を赤いハットと、同じく赤い衣装に身を包んだゴールドの毛並みをしたアイルーが続く。手には白の扇子を持っている。
あの子は多分、八雲紫だな。髪が金髪だからという安直な理由で毛並みをゴールドにし、高貴な感じを出したいと思ったので防具を『ギルドSネコロポス』と『ギルドSネコスーツ』にしたのだ。
うん、改めて見ると紫らしさが微塵も感じられない。服が赤だし。
矢張り毛並みをグレープにするべきだったか……でもグレープは何かキモかったしなぁ…。ゲームで見た時にカラー
「どうだい、ご主人? 中々の成果だろう?」
今度は黒の毛並みの子が話し掛けてきた。防具は黒と紫の色をした兜と鎧。
これは『エスカドネコワイズ』と『エスカドネコソウル』だな。アルバトリオンの端材から作れる防具だ。ゴツゴツしてはいるけど、このデザインは嫌いじゃない。
この子はナズーリンだな。黒はナズーリンしか雇っていない。
「うん、凄いよ。よくこんなに集められたね」
「ふふふ、そんなに誉められたら照れるじゃあないか」
と言いつつ、凄く嬉しそうなナズーリン。誉められて伸びるタイプなのかな。
「まぁ、私のダウジング能力を以てすれば、この程度の成果は余裕だよ。でも、一番の功労者は矢張り彼女だろうね」
そう言いながらナズーリンが指差した先には、先程の大きな鎚を持ったアイルー。恐らく星熊勇儀。
「何せ彼女は、あの氷牙竜ベリオロスを狩ったのだからね」
「……!?」
うん…っ!? 今、何つった!?
ベリオロスを……狩った…!?
それは…つまり…ベリオロスを討ち取ったって事か…!? アイルーが…!? アイルーだけで…!?
「おま…っ、それ、本当に…?」
「本当だよ。氷牙竜はあたしが討ち取った。この『猫』の勇儀こと、星熊勇儀がね!!」
ああ…『鬼』じゃなくて『猫』なんだね……まぁアイルーだしね…。
というか、矢っ張り星熊勇儀だったか。
それなら何となく納得……する訳ないだろ。アイルーなのに大型種を討伐するとか、何者だよ…。
多分、アイルーの世界で伝説になってる。
いや、そんな事よりさ……ナズーリンのエスカド装備を見ていて気付いたんだけど、勇儀が持ってる鎚って『煌黒堅鎚アルメタ』じゃね?
アルバトリオンの素材から作れるハンマー装備である。あのゴツゴツしたおぞましい見た目といい色合いといい、まず間違いなくそうだと思うんだが? 何でアイルーであるお前さんが持っているんですかね…?
「ああ、これかい? 大将のアイテムボックスに入ってたから、ちょっと借りたんだ。いやぁ〜、ちょっと重いけど、これぐらいの方がしっくりくるねぇ」
……いや…おま……、ちょっと借りたて……ちょっと重いて……しっくりくるて……。
何かもう、本当に滅茶苦茶過ぎてどこからどうツッコミを入れればいいのか解らん……。
「ちょっと、ご主人さん」
足をぺちぺち叩かれた感覚に下へ視線を落とせば、先程の赤虎ニャン天装備の子が足元に居た。お茶の入った湯呑みを持っている。
「ここへ座ってくれる?」
「え…っ? あ、うん…」
その場に胡座をかいて座る。
すると、赤虎ニャン天の子は無遠慮に俺の足の上へ腰掛けた。その隣に紫も座る。彼女も湯呑みを持っていた。
……何これ? どういう状況これ?
更に「ずるいぞ霊夢!」とか言いながら魔理沙も入ってきた。赤虎ニャン天の子は霊夢だった。
他にも「私も構いなさい」とか言いながらレミリアが入ってきたし、チルノとナズーリンは俺の背中をよじ登ってそれぞれ両肩に乗ってきた。幽々子と星ちゃんは、隣に座ってお茶を啜っている。
……マジで何だこれ? どういう状況なのこれ?
残った勇儀はというと、近くに座って瓢箪から何かをお
…酒か? あ、よく見ると瓢箪に酒って書いてある。酒だった。
とりあえず、状況がイマイチよく解らんけどアイルー達は皆、俺に寄り添って寛いでいる。
本当によく解らん。どうしてこうなった。何で?
まぁでも、幸せだ…。
俺はアイルー達に囲まれたまま、小一時間程日向ぼっこを堪能した。
……ところで、妖夢と咲夜は何処へ行ったのだろうか?
一番の疑問であった。
アイルーって実際は撫でさせてくれたりするんだろうか。妖夢や咲夜みたいに嫌がるんだろうか。それとも魔理沙みたいに人懐こい個体も存在するのだろうか。アイルーを飼いたい。アイルーを撫でたい。アイルーを抱っこしたい。アイルーと一緒に暮らしたい。アイルーとお話ししたい。アイルー可愛い。可愛いよアイルー。
ただしメラルー、テメーはダメだ。強走薬グレート返せばか。おばか。