目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
お待ちかねのッ!! ドリンクターイムッ!! Yeah!!
さーて、今日は何を飲もうかなー?
色々あるから目移りしちゃうなー。
『ボコボコーラ』と『ボコスカッシュ』は何か炭酸入ってそうなイメージ。炭酸がこの世界にあるのかは謎だが。
『ライフルーツジュース』と『スナイパンチ』もそうかな。同じく攻撃力が上がる効果だし。『サンダーサイダー』も名前からして確実に炭酸入ってるな。効果はどうでもいいけど。
色々ある中で『ハコビール』と『採酒』は論外だな。俺は酒が飲めないのだ。
ってか、料金設定おかしくね?
『ハコビール』と『採酒』って、どう考えてもアルコール入ってるのに値段は100z。『ユクモミルクコーヒー』だって200zするんだぞ。酒よりミルクコーヒーのが高いって……どういう事なの…?
モンハン世界では、お酒はそんなに高くないのだろうか……。それとも実はお酒じゃないとか…?
まぁどっちでもいいや。飲まないし。
「二人は何を飲むの?」
「えっ…いえ…私達は…その…ねぇ…?」
「……うん…」
何故か口籠もりながらサニーに目配せするリリー。
何で? 何で何で何で?
しつこく聞いたら白状した。ウザイな俺。
曰く、お金に余裕が無い、だそうだ。
………。
そうか。
「……何か、ごめん…」
「あ、いえ……」
凄く居たたまれない空気になった。魔理沙も『空気読めよ』と言わんばかりに俺の足をべしべし踏んでくるし。痛くないけどやめれ。
「ラッキーラッシーを3つ頂戴」
「ぁい! 畏まり!」
1500zを払い、3つ受け取る。その内の2つをリリーとサニーに渡した。
「…あの…、いいんですか…?」
「いいのいいの。乾杯しよ」
竹筒をコツンと軽くぶつけ合い、3人同時にそれを呷る。
「お…美味しい…!」
せやろせやろ。感動したかの様な声を発するリリーに頷く。
風呂上がりの直後でキンキンに冷えたこのジュースは犯罪的な美味さだ。病み付きになる。
「ニャッハー! 当たりが出たニャ!」
ドリンク屋のアイルーが叫ぶ。またかよ。しかも俺のだけ。
ドリンクの無料チケットを渡され、気付いた。前回貰ったチケット使えば良かったと。
……ま、まぁお金に困ってる訳じゃないから別にいいけど。
というか、正直要らない。こういう券って、貰ったは良いけど結局使わないまま使用期限が過ぎて、最終的には捨てる羽目になるんだよな。この券は期限無いみたいだけど。
ともあれ、持ってても仕方ないのでリリーとサニーにあげた。二人は遠慮したけど、使わないからと無理矢理押しつけた。ごめんよ…。
でも本当に要らないんだ。例えて言うなら『アイルー食券・上』並みに要らない。2ndをプレイした事がある人なら、俺がこの券をどの程度必要ないと思っているのかが解る筈。
それから俺は一旦二人と別れて自宅へ戻り、準備を整える事にした。リリーとサニーは着替える時間とかもあるしね。
アイテムボックスから装備を変えてゆく。
武器:新ユクモノ弓
頭:ジンオウキャップ
胴:ジンオウレジスト
腕:ジンオウガード
腰:ジンオウコート
脚:ジンオウレギンス
護石:装備なし
下位の装備である。リリーやサニーと条件を同じにする為だ。セット登録してないから一つ一つ装備を変えてゆく必要があり、かなり面倒くさかった。
何しろ、アイコンで表示されているだけで、どれが何の装備なのかはタッチするまで解らないのだ。黄色いRank4の装備品も無駄に多かったし。何でこんなに作ったんだ俺は。十字キー操作が懐かしい。
お次はアイテムを弄ろう。
回復薬 10
回復薬グレート 10
強走薬 5
クーラードリンク 5
ホットドリンク 5
秘薬 2
いにしえの秘薬 1
力の護符 1
力の爪 1
守りの護符 1
守りの爪 1
ペイントボール 99
閃光玉 5
こやし玉 10
モドリ玉 1
ピッケルグレート 5
上武具玉 2
以上。
何れもゲーム時代は常に携帯していたアイテムである。特に『ホットドリンク』と『クーラードリンク』は使った端から買い足していた。そうしておけば、砂漠や雪山へ狩りに行った際、うっかり持っていくのを忘れる心配が無いからだ。備えあれば憂いなしってね。
上武具玉は勿論『真ユクモノ弓』の強化用。攻撃力のブーストは行っておく。
これでとりあえず準備は整った訳だ。
俺はベッドの横に設置された姿見の前へ移動し、その場でクルリと横に一回転。
「えへっ」
矢っ張りガンナーのジンオウガ一装備は可愛いなぁ。思わずキモい声が出てしまうぐらいに可愛い。いや声は可愛いけど、言ってる俺自身がキモい。何だよ「えへっ」って。鳥肌立つわ。
しかし可愛い。主に装備している人間が可愛い。エクシアちゃん可愛い。マジ天使。
姿見の前で自分に見惚れる変態の図。傍目、ナルシストである。
だって可愛いんだもん。仕方ないね。相変わらずの手前味噌。
いや、こんな事してる場合じゃないな。早く準備しよう。何より、誰かに見られたら大変だ。
ふと、魔理沙とチルノ両名と視線が合った。魔理沙はどこか優しげな瞳で俺を見詰めながら頷いており、チルノに至っては俺の真似をしていた。
居たよ。見てる奴らが。
……や…やめろよ……そんな哀れむ様な目で俺を見るなよ…。何か悲しくなるだろ…。チルノも真似するなよ……お前意味解らずやってるだろ…。やめろよ…。
凄く居たたまれない空気になった(2回目)。
★
準備が整ったので、リリーとサニー両名と合流し、加工屋へと戻ってきた。まだ少し時間が掛かるとの事。まぁ、まだ30分くらいしか時間が経ってないしね。
武具玉だけ先に渡して、攻撃力のブーストもお願いしておいた。これでOK。
さて、何をして時間を潰そうか。そう思った、次の瞬間。
『グゥ〜』と、腹の虫が鳴った。
……そういや、腹が減っていたんだった。忘れてたや。
「ご飯でも食べましょうか」
リリーが提案する。
うん、腹の音はバッチリ聞かれていたらしい。ちょっと恥ずかしい…。
兎も角、反対する理由は無い。賛成である。
しかも、この二人と一緒なら他人の視線もそれ程気にならない筈だ。
「どのお店に行きま」
「中華っ!!」
食い気味で即答し、中華料理屋らしきお店を指差した。俺は中華に目が無いのだ。
とりあえずカウンターまで行き、店員さんに注文する。
メニューにはラーメンやら天津飯やら麻婆豆腐やらと、色々載っている。本当に中華料理のお店なんだな。
ってか、モンハンの世界で普通に中華料理が食べられるってどうなん? 食文化はもっと遅れていると思っていたのだが。
まぁ嬉しいから何でもいいや。
俺は天津飯を、リリーとサニーはラーメンを注文した。
値段は天津飯が250z、ラーメンが200z。とっても安い。
……と思うのだが、実際どうなのだろうか。ドリンク屋のドリンクと比較したら間違いなく安い。さっき飲んだ『ラッキーラッシー』とか、あれ一本で天津飯二杯分の料金である。ぼったくりではないのか。
……余り考えない様にしよう。考えても仕方が無い。
数分程して、ウエイトレスさんが料理を運んできてくれた。
おお、まんま天津飯だ。平たく焼き上げられた卵の上から、黄金糖━━べっこう飴━━の様な色をしたタレがふんだんに掛けられている。世界が違うから、ゲテモノや紛い物が出てきたらどうしようかと。
ラーメンの方は豚骨スープの様な色をしていた。とは言え、ここはモンハン世界なので必ずしも豚でダシをとっているとは限らない。案外、ポポとかだったりするのかもしれない。ポポ骨スープ。
……どうなんだ、それは。
兎にも角にも、いただきマサチューセッツ。
卵にスプーンを突き立て、切り開く。おお、卵が意外とぶ厚いぞ! 割れ目にタレが流れ込んでゆく。
卵とご飯、タレを掬い、一口。
「…んはああぁぁぁ……ッ!」
う、美味い…! アツアツのウマウマのプリプリ(?)だ…! 日本に居た時でもこんな美味いの食った事ねぇよ…!
食が進む進む! あっという間に平らげてしまった。ご馳走様でした。満足じゃ。
リリーとサニーも遅れて完食。余ったスープを少し飲んでみたけど、矢張り豚骨味だった。ポポ骨かもしれんが。
お腹も膨れた事だし、もう一度加工屋を覗いてみる事にした。