目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
いつの間にか投票して頂けていた様で、恐縮です。励みになります。ありがとうございます。
至らぬ拙作ではありますが、出来る限り続けていこうと思います。
それでは、本篇をどうぞ。
アイルーと共にお店巡りをする事になったでござるの巻。
自宅を出て、軒を連ねるお店を見て回っているのだが、相変わらず人々の視線が自分に集まっている様な気がする。何故だ。美少女だからか。きっとそうだ。
余り気にしない事にした。というか気にしても仕方がない。俺だってショッピングを楽しみたいし。アイルーが一緒なら、そうそう声を掛けられる事も無いだろう。
さてさて。
まずは買い食いでもしようか。まだそんなに時間経ってない筈だけど、小腹が減ってきた。
焼き鳥━━本当に鳥かは解らないが、そんな感じはする━━の屋台から、肉の焼ける芳ばしい匂いと、タレの芳醇な薫りが漂ってくる。見ているだけでヨダレが…。
その隣には、俺が目をつけていた中華飯店。キャンプ地にありそうな木製の机と椅子が6つ並んでおり、数人の客が天津飯やら麻婆豆腐やらを食している。正直、ガッツリ食う程お腹が空いている訳ではないのだが、中華料理は見ているだけで食欲をそそる。
また、肉まんらしきものも販売している。中身が本当に肉かは知らんけど。
他にも、和食や洋食と思しきお食事処、果物を取り扱っているお店や菓子類を取り扱うお店などがある。
うーむ、目移りしてしまうな。決めかねる。
なので、魔理沙とチルノに食べたいものが無いか聞いてみる事にした。
「「コココ・コナッツ!」」
二匹は口を揃えてそう答える。
うん。何それ。
「知らないのかよご主人!」
魔理沙が信じられない物を見たような声をあげる。
知らねーよ。俺はユクモ村に来たばかりなんだよ。モンハンの世界にある物の事なんかわかんねーよ。
……とは言えないので、黙っておく。本当の事を話しても頭がおかしくなったと思われるのがオチだ。
とりあえず魔理沙が後方を指差したので其方を見遣ると、其処には果物屋が建っていた。コココ・コナッツとやらは果物屋に並んでいるらしい。
店番をしているのは小さな少女だ。年の頃は13、14ぐらいだろうか。あと数年したら美人になりそうな顔立ちをしている。成長するのかどうかは解らないが。この世界で年をとるのかどうかも怪しい所だ。
とりあえずコココ・コナッツとやらが無いか聞いてみると、少女はにこやかな笑顔を浮かべながら教えてくれた。
それは、見た目少し大きいトマトであった。僅かに横長の球体で、全体が真っ赤に染まっている。頭頂部には緑色の
どこからどう見てもトマトだ。まごうごとなきトマトだ。通常の物より一回り大きいだけのトマト。一体、これのどこにココナッツの要素があるというのか。
一つ500zで3つ購入。コココ・コナッツと一緒に、20cm程の細い木の棒を渡された。
いや、よく見ると只の棒ではない。内側がストローの様な空洞になっている。何これ? どうする物なの?
ふと、魔理沙がトマト……じゃなくて、コココ・コナッツのヘタを毟り、そこへ木の筒を突き刺した。それを口でくわえる。
……あ、その木の筒はストローなのか。ココナッツの要素ってそういう…。
ま、まぁいいや。俺も同じ様に蔕を毟り木製ストローを突き刺し、一口。
トレッッッッッビアァァァァァァァンッッッ!!!!!
何だこの味はッ!?
濃厚で甘美な味わいが口いっぱいに広がり、芳醇な薫りが喉から伝って鼻腔を刺激するッ!! 喉越しもスッキリ爽やかッ!! ジュース類の様な
こんな……こんな果実がこの世界には存在するというのか…ッ!
美 味 し い じ ゃ な い か !!
さ…叫びたい…この美味しさを他の人に伝えたい…無性にそうしたい。そう思う心を抑えながら、コココ・コナッツを堪能する。
この美味しさマジでヤバい。しかも500zとかいう安さ。
ハマった。また買いに来よう。そう心に固く誓った。
でも、水分を摂取してもお腹は膨れないんだよなぁ…。焼き鳥━━重ねて言うが鳥かどうかは解らない━━辺りでも買って食べようか。
そんな事を考えていた時だった。
「エクシアさん!」
背後から声を掛けられ、振り返れば其処には前も声を掛けてきたジンオウちゃんの姿が。ナルガちゃんも一緒に居る。
相変わらず可愛い娘達だな。ギルドの受付嬢といい、この村には美人しかおらんのか。
まぁ、エクシアちゃんも可愛いけどね!
って思うのは自画自賛になるのだろうか。どうでもいい疑問だった。
「やぁ、君達も買い物かい?」
前回は話もそこそこに逃走するという失態を見せてしまったので、なるべく堂々としていよう。一応、凄腕ハンターって事になってるらしいし。実際の腕は普通なんだけどね。
「はい、弓の強化をしようと思いまして……」
「弓使いなの?」
「はい! 元々は剣士だったんですけど、エクシアさんに憧れて弓を使い始めたんです!」
えー…。俺の所為で剣士からガンナーに変えたというのか…。人の真似なんてしないで、自分に合った武器を使った方が良いのに…。
と思ったけど、話を聞いてみたらそれで狩りがやり易くなったとか。ナルガちゃんも同様らしい。まぁ、それならいいんじゃないかな。
「あの、こんな事をお願いするのは失礼だと思ってはいるんですけど、もしよろしければ相談に乗って頂けませんか…? まだ弓を使い始めて日が浅いので、どの弓が良いのかよく解らなくて…」
ほむ、なるへそ。
全然構わないZE! 弓の事なら俺に任せろー。
二つ返事で了承すると、ジンオウちゃんが凄く嬉しそうな表情を浮かべる。本当に可愛いなこの娘。
さて、現在二人がどの弓を使っているのか聞いてみると、ジンオウちゃんは『王弓エンライⅠ』、ナルガちゃんは『ヒドゥンボウⅠ』だそうだ。防具と同じ弓使っとるんかい。
っていうか下位の弓やんけ。って事は防具も下位装備で、二人共上位に進出していないというのか。
でもまぁ、防具を揃えているという事は、下位とは言えジンオウガとナルガクルガは狩れるという事だ。
と思ったんだけど、詳しく話を聞いてみると、二人ともジンオウガもナルガクルガも狩れないときた。親がハンターをやっていたらしく、防具も弓も親のお下がりなのだとか。弓を使い始めたと言ったら、親がくれたんだって。
………。
アカン。これはアカンで。実力の伴わないまま装備だけ充実しているハンターは大成出来ない。
実際、MHP2ndの時の俺はそうだった。友達に誘われて始めた俺は、その友達と狩りに出掛ける為に、一気に上位まで引き上げられたのだ。
当時は弓の素晴らしさに全く気付いておらず、双剣を使っては死にそうになったり、実際に乙ったりしていた。
今でこそ名実共に唯一ぬにの弓使いではあるが、過去の経験上、それが痛い程よく解る。
この二人に弓使いの何たるかを叩き込まなければ!
そう! 叩き込まねば気が済まないッ!!
俺は謎の使命感に駆られていた。
「二人共、ハンターとしての腕はどの程度なの? どれぐらいのモンスターを狩れる?」
「え? えっと……そうですね…ついこの間、初めてクルペッコを狩猟しました! 二人でですけど…」
………。
ま、マジに言ってんのか…?
剣士だった時の事を聞いてみると、ドスファンゴやアオアシラが精一杯だったとか。
………。
こ、言葉が無いよ…。完全に素人だこの二人…。
ヤベェよ、俺が何とかしてあげないとマジにヤベェ…。
冗談とか抜きで、俺は本当にこの二人をどうにかしなければと思った。
どうでもいい話ですが、ココナッツジュースって実際はそんなに美味しくないらしいですね。
と言うのも、ココナッツジュースは甘くてトロピカルな味なんだな、という先入観から実際に飲んでみて「あれ、何か思ってた味と違う…」となるそうです。
ダカラ ドーダコーダ 言ウ 訳デハ アリマセンガ…。