投稿遅れてすいませんでしたあああ!!
いいわけさせていただくと就職活動で書ける時間があまり取れませんでした。
ですが失踪するつもりはないので遅くても更新は致します。
それでは今回もどうぞ!
私が必要の部屋で特訓を始めてはや数週、結果私は今までの一人稽古とは違って、自分でも感じれられるほどに成長の速度が変わっていた。
まず稽古とはいえ、実践に限りなく近くなっているので、ある程度の勘は鍛えられた。
次に自分の弱点を把握できた。
今まで一人で稽古をしていたため、相手の攻撃をいなすことが苦手だったのだ。
しかし、それもこの必要の部屋で鍛えることができる。
…まあ、この部屋は魔法を学ぶための部屋のはずなのでしょうが。
作った人に悪いかな、なんて思いながら日々特訓する毎日を過ごしているとハリーのクィディッチの日が訪れた。
しかし当の本人のハリーは…
「ほら、今日試合なんだぜ?しっかり食べたほうがいいよ。」
「何も食べたくないよ。」
「それでも何かお腹に入れておきませんと試合中持ちませんよ?」
「でもお腹がすいていないんだよ。」
この様子で控えめに言っても良好といえない状態でした。
どうやらあまりプレッシャーや期待といった感情になれていないのかもしれませんね。
「大丈夫ですよハリー、貴方はマクゴナガル先生に認められたんですから。少なくとも上級生にシーカーをさせるよりも才能があると思われたんですよ。だから、貴方は貴方の思うようにすればきっと大丈夫ですよ。」
「けどマクゴナガル先生だって間違うこともあるだろ?」
「…はぁ」
これでは励ましても意味がないと悟り、ため息を一つ。
私はやれやれと思いながら卓上にあるナイフとトーストを手に取り食パンを二つにして、間に目玉焼きとサラダ、ベーコンに胡椒やケチャップを挟んでサンドイッチを完成させる。
そしてそれを一口大の大きさに切り分けながらチラリとハリーを見るとソーセージにしこたまケチャップをかけているシェーマスに注意をうけていて、意識が私から外れていることが確認できた。
…これならいける、と私はサンドイッチを手に持つとハリーに声をかけた。
「あ、そうだハリー?」
「もう、一体なんだ…ムグッ!?」
ハリーがしゃべりながらこちらに振り向いた瞬間、私はハリーの口に作りたてのサンドイッチをねじ込んだ。
ハリーはムグムグと抵抗しようとする物の、口にあるサンドのせいでうまく話せず、仕方なく口に入った分のサンドを飲み込んで私に抗議の声を上げる。
「…なにするんだ。」
「少しは食べたほうがいいと思いまして、試合があるなしに関係なく朝食はいただくべきですよ。でないと頭が働きませんから。」
私がそういいながらハリーにサンドイッチを皿ごと渡すと、ハリーはなにか言いたそうにしながらも渋々と食べ始めました。
…やれやれです。
その日の11時には学校中の生徒、職員達がクィディッチ競技場の観客席につめかけていた。
クィディッチをしっかり見ようという意気込みの現れか、双眼鏡を持っている生徒も数多く見ることができる。
そんな光景を私は皆と同じ観客席ではなく下から、つまり更衣室を出たところで見ていた。
更衣室の中からはウッドさんが選手の皆に激励をかける声が聞こえ、ひとしきり言い終わると全員が箒を片手に競技場へと飛び出してくる。
「ここで勝てるように祈っていますね…ご武運を。」
「そのいい方だとまるで戦争に行くみたいだな、だか勝ってくるよ。」
私の言葉にもウッドが返すと自信満々といった様子で競技場の中央にいる、マダム・フーチの元へと向かった。
そしてスリザリンチームもでてきて、試合が開始された。
試合は先手をグリフィンドールが取りましたが、後半スリザリンが逆転し、あまり良い戦況とは言えなくなっておりました。
「…あまり詳しくはありませんが相手はラフプレーになれていそうですね…」
「お、よく見てるじゃないか。」
「ええ、まあいつか選手になる可能性がありますから…って、ひゃっ!?」
独り言に返事が来たことに驚いて隣を見るといつのまに来たのか魔理沙が私のすぐそばで試合を観戦しておりました。
「い、いつのまに…というかここグリフィンドールの更衣室なんですが…」
「まぁまぁ、細かいことは気にすんなよ。それにもぐりこむのは私の得意分野なんでな。それよかアレ、大丈夫なのか?」
「アレ…?」
魔理沙が指さすその先を見て私は驚きとともに口に手を当ててしまう。
そこにいるのはハリーでしたがいつもとは様子が違い、まるで箒がハリーを落とそうと必死になっているみたいでした。
「な、なんですかあれ!?箒がハリーを自分から振り落とそうとしている…!?」
「ああ、どうもそう見えるが…箒に意思はないはずだ。」
「ならさっきのスリザリンがハリーの箒に触れた時に何か細工を!?」
「いや、それもない。アイツがとてつもない魔法使いってんなら話は別だが、箒に魔法をかけようと思うんなら闇の魔法が必要なんだ。」
「なら誰が…!」
そう言いながらフィールドにもう一度目をやると何故かハリーではなくその付近を飛んでいたマダム・フーチに視線が行きました。
…笑っている?
他の人に解りづらくするために薄くではあるが確実に微笑している。
「ねえ魔理沙…私にはマダム・フーチが笑っているようにみえるんだけれど。」
「…ああ、笑っているな。あの人授業ン時は神経質っぽかったし人の不幸をみてストレス解消にでもしてるのかもな。」
「…それ教師としてどうなんですか、凄く邪悪な笑みにも見えますし。」
「さてな、それより心配はしなくていいのか?」
「ええ、あの高さなら落ちてもさして問題ないでしょうし何かあっても魔法界ならすぐになおります。それに…」
「それに、なんだ?」
「なんとなくですが、大丈夫かな、と。」
「ほう、その根拠は?」
「ハリーの箒捌きはうまいので。」
「へえ、箒なら私も自信があるが…ならお手並み拝見といこうかね。」
何故か少しだけ偉そうに言うと魔理沙は壁にもたれかかり、じっくりと観察する構えをとりました。
そうしてハリーの動きを見ること数十秒、ハリーは箒をなんとか建て直し、またプレイに戻りました。
「ね?言った通りだったでしょう?」
「振り回されていたからうまい下手はともかく、振り落とされない根性はあるみたいだな。」
魔理沙がそう呟くのとほぼ同時にハリーは急降下し、大地とぶつかる寸前で箒を持ち上げて地面と平行するとあろうことか箒に立って乗るという離れ技をやってのけました。
「へえ…立ち乗りか。アレかっこいいな。」
「でもバランス悪そう…って、あ。」
私がハリーが箒から落ちるのではと危惧した瞬間、スニッチを捕まえようと一歩前に進もうとしたハリーは案の定箒から前のめりに倒れ、そのまま地面に落ちてしまった。
「…ふむ、あいつ言った通り中々やるみたいだな。」
「でしょう?」
ハリーが倒れる姿を見ながらも私たちは賞賛の言葉をハリーに送った。
他の上からみていた人たちにはハリーがスニッチにかさなって見えなかっただろうけど、横から見ていた私達にはしっかりと見ることができた。
恐らく偶然の
そしてそれを口から吐き出して手にしっかりとキャッチしたのを確認するとゲームを終わらせるホイッスルが鳴り響いた。
しかしハリーは試合終了後に興奮冷めやらぬ他の生徒達を後目に、すぐさまハグリッドの小屋へと入りました。
要件は先ほどの試合の中でハリーの箒に呪いをかけていた人はだれか、というものでした。
「ハリーの箒に呪いをかけていたのはスネイプだったんだよ。」
「スネイプが?バカな、なんでそんなことをする。」
「…そういえばそこを考えてませんでしたね。」
「でもハグリッド、ハリーに呪いをかけていたのはスネイプよ。私本で読んだことがあるわ、呪いをかけるときは目をそらさずに見続けなければならないって、その話通りにスネイプは瞬き一つしなかったわ。」
「いいや、お前さん達は間違ってる!スネイプはそんなことはせん。俺が断言してやる!」
ハーマイオニーが必死にハグリッドに訴えるもハグリッドも譲らずにハーマイオニーの意見を否定をする。
「それにスネイプがハリーを狙う理由も考えてもおらんだろ。」
そしてとどめをさすかのようにハグリッドがそう言うと、ハリーがその言葉に答えた。
「僕がスネイプについて知っていることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日に三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。多分あの犬が守ろうとしているものを盗ろうとしたんだと思う。」
ハリーのそのセリフにハグリッドは虚を突かれたらしく、少し目を見開いた。
「なんでフラッフィーを知ってるんだ?」
「フラッフィー?あの犬の名前ってそんな名前なの?」
「ああそうだ。去年パブで知り合ったギリシャ人から買った、んで俺がダンブルドアに貸した。守る為に…」
「守る為?何を?」
「いかん、口が滑っちまった。これ以上何も聞かんでくれ、重要機密なんだこれは。」
「だけどスネイプはその守ろうとしているものを盗もうとしている!」
「スネイプはホグワーツの教員だ、そんなことはせん。」
「ならどうしてハリーの箒に呪いをかけていたりしたの!」
「俺は何故ハリーの箒があんな壊れたような動きをしたかはわかんねえ。だがいくらスネイプでも生徒を殺そうとはせん。言っておくがお前さんたちは関係のないことに首をつっこんでおる、危険だ。フラッフィーのことも犬が守っているものの事も忘れるんだ。あれはダンブルドアとニコラス・フラメルの…」
「ニコラス・フラメルですか…?その人が関係しているんですね?」
ハグリッドのこぼした人の名前に私が反応するとハグリッドはまたやってしまった、と自分に腹をたてているようでした。
それから幾日か過ぎ、十二月も半ばと言ったある日、ホグワーツには冬景色に染められていた。
湖は氷で固められ、城は雪で彩られ、校庭では魔法を使った雪合戦などをしている生徒もみられていた。
…ところどころに魔法で像を作ったりしている生徒がいるので、軽い雪まつり状態になっていますが。
あれを片づけることになるフィルチさんに少し同情の念を抱きながら私は本を消化する作業へと意識を戻す。
何故ならハグリッドの小屋でニコラス・フラメルの名前を聞いてから私たちはずっと図書館でその名前を探しているからです。
しかし成果は芳しいものではなく、何をしたのか、善人なのか悪人なのかもわからず、とにかく手がかりがないので探すきっかけがないのです。
先生方に聞けば教えてくれるかもしれませんが、スネイプ先生に聞かれるかもしれないという事で聞くわけにはいかないという暗黙の了解ができていました。
なので仕方なく4人で本を読みつくしていってるのですが…
「ふぅ、流石に連日本を読んでいると目が疲れてきますね。」
「あら、そうかしら。数を読んでいると言っても軽い読み物ばかりじゃない。」
「いやそれは君が規格外なんだと思うよ?」
「うん、僕もそうだと思う。」
私の言葉にハーマイオニーが疑問の声を投げるものの、すぐさまロン、ハリーの順番でツッコミを入れてハーマイオニーの言葉に反論をする。
それに対してハーマイオニーはさらに反論を重ねようとするものの多少は自覚があるのか、口をつぐんでまた本に視線を戻した。
「そういえば皆さんクリスマスはどうするのですか?ハリーはホグワーツに残ると聞きましたが。」
本に視線を落としながら私は小声で三人に問いかける。
「私は家に帰るわ。流石に家族にも顔をみせたいもの。」
「僕はこのままホグワーツに残るよ。パパとママがルーマニアでドラゴンの研究をしているチャーリー兄さんの様子を見に行くんだって。それよりも妖夢はどうするの?」
「私は一度家に帰ろうかと、フラメルの事を母に直接聞こうと思いまして。」
「そう、じゃあクリスマスは僕とロンだけだね。」
「そうなりますね…あ、クリスマスにはプレゼントを何か贈りますね。」
「うん、ありがとう。楽しみにしているよ。」
「…とは言ったものの魔法界の人へのプレゼントって何を選んだらいいのでしょうか。」
ハリー達と図書室を出た場所で別れた私は刀の練習をするために必要の部屋へと向かいながらプレゼントに何を渡そうかと一人頭を悩ませていた。
「やっぱり皆さんの好みにあった物の方がいいのでしょうか…でもそれだと他の方と被る可能性もありますよね、なら日本独自の物の方がいいのかな。」
そんな事を悩みながら必要の部屋を目指していると何処かで道を間違えたらしく、見たことのない廊下に出ていた。
とは言ったものの所詮学校なので通路を歩いて行けば何処かしらしっている場所に出るでしょうと考えて歩き出した…私が馬鹿だった。
「うーん、一体ここはどこなんでしょうか…。」
そう呟きながらひとまず教室の窓からの景色を見てある程度の場所をつかもうと思い、近場の教室を開く。
そして中に入ると少し埃っぽくて机などが置かれず、鏡一つが置かれている使われていない教室に入ってしまったようだ。
とりあえず景色を見ようと窓に近づくために部屋に入るとひとつ、変な点に気付く。
「…この鏡だけが汚れていない?」
呟きながら鏡の枠に指を走らせるが埃は少しも指にはつかなかった、恐らくこの鏡は後で持ち込まれたものなのだろう。
そんな考察をしながら鏡をよく見ると、鏡の枠に「すつうを みぞの のろここ のたなあ くなはで おか のたなあ はした わ」という理解のできない文字列が並んでいた。
何かの暗号だろうかと思いながら鏡を覗くとそこにはおじいちゃんに剣の稽古をつけてもらっている私の姿が映っていた。
その鏡にうつるおじいちゃんは私が一つ何かを覚えるたびに私の頭を撫でて褒めていた。
…そういえば最初の頃はおじいちゃんに褒められるのが嬉しくて努力していたな、と思い出し、そしてこの鏡は過去を映すものなのだろうかと考える。
しかしその考えはすぐに否定する。何故ならこの鏡に映っている私は今の姿の私だからだ。
ならばと他の理由を考えるもののあまり思い浮かぶものはなく、考える事を打ち切って当初の目的通り窓へと向かって自分の場所を確認するのであった。
「それじゃあハーマイオニーよいお年を。」
「ええ貴方もね、妖夢。よいお年を!」
そう言って私はハーマイオニーとキングスクロスの駅で別れる。
この駅も久しぶり…というほど思い出もありませんか。
そんな事を思いながら私は周りを見渡す。
確かお母さんが迎えに来るということでしたが…あ、いた。
私は人込みの中に特徴的な桜色の髪を見つけ、そちらの方向へと人込みを縫うように進んでその人の元へと到達する。
「ただいま、お母さん!」
「あら、お帰りなさい妖夢。」
そういうとお母さんは私の頭に手をのせてゆっくりと私を撫で始めた。
その気持ちよさに人前であるにも関わらずに私はあまり強く拒否できず、言葉で止める程度しかできなくなってしまう。
「も、もう…人前ではやめてよお母さん…」
「いいじゃないの、久しぶりの娘との出会いなんだから。」
「うぅ…」
そうしてお母さんがひとしきり私の頭を撫で終わって解放するころには駅からほとんどの人がいなくなっていた。
「ふぅ…や、やっと離れられた…」
「ふふっ、そういえば妖夢貴方少し大きくなった?」
「え?三カ月くらいではそんなに変わらないと思うんだけど…」
「あら、それもそうかもしれないわね。」
お母さんはどこかつかみどころない態度で話すと、駅のホームに設置されている暖炉に近づいて懐から何かキラキラと光る粉末を取り出した。
説明してくれたお母さん曰く、この粉末はフルーパウダーといい、魔法が施された暖炉に投げ込むことで他の暖炉に飛ぶことができる代物だそうです。
「そんな便利な魔法具があるんだ…ってあれ?じゃあなんでホグワーツに入学する時は使わなかったの?」
「だってその日は人がいっぱい使うからぐちゃぐちゃになっちゃうもの。」
「ふーん…そういえば杖では瞬間移動とかはできないの?」
「そうねぇ…できなくはないけれど体がばらけちゃうかもね。」
「…こっちでいいや。」
なにやら恐ろしい事を聞かされて私は直ぐにフルーパウダーを使うことに賛同する。
「そういえばお母さん目的地はどこを言えばいいの?自宅の名前?」
「いいえ、私たちの家には暖炉がないでしょう?だから漏れ鍋からダイアゴン横丁経由で帰宅するわ。それじゃあ先に行ってちょうだい。」
「わかった。それじゃあ先に行くね。」
そう言うと私は暖炉の中にフルーパウダーを放り込み、火の色が変わったのを確認して炎の中にわが身をさらした。
にもかかわらずその炎は私に熱を伝えず、火傷の一つもせずにダイアゴン横丁と唱えることができた。
そして行先を唱えた瞬間に私の視界は駅のホームから漏れ鍋へと移り変わり、料理のいい香りが鼻腔をくすぐった。
「っと、ここが漏れ鍋ですか…」
そう言いながら暖炉から出るとすぐさま暖炉にお母さんが出てきて私の傍へと立った。
「さ、それじゃあ帰宅する前にお昼でも食べに行きましょうか。」
「あ、だったら後で
「ええ構わないわよ。」
そう話し終えると私とお母さんは漏れ鍋で簡単に食事を済ませてダイアゴン横丁、自宅と経由して日本へと帰るのだった。
「う~ん…ハーマイオニーは勉強が好きだし勉強道具、と言ってもマグル生まれだからペンは自分で用意できるよね。ロンはチェスが好きですから囲碁や将棋なんかのほうがいいかな、ハリーは…何を渡せばいいのかな。」
和風の物がそちらこちらに置かれている店内で私はひとつひとつ品物を吟味しながらつぶやく。
その端からみたらすぐに悩んでいるとわかる光景に見かねたのか、お母さんが隣から声をかけてくる。
「プレゼント選び、難航しているみたいね。」
「うん…プレゼントの方向は決まっているんだけど魔法界の事を考えると見劣りしちゃう気がしてね。」
「やっぱりそうなっちゃうわよね、だったら魔法界で探したらどうかしら?」
「それも考えたんだけどそれだとあまり目新しくもないしどうかな…」
「それくらいわかっているわよ。だから日本の物で魔法界の物ならどう?」
「…どういうこと?魔法界があるのはイギリスでしょ?」
「まぁまぁ、行けばわかるわよ。」
そういうとお母さんは私をお店から連れ出して、人が誰もいない路地裏に連れ込んでお母さんの腕を掴むように指示してきました。
私は一先ず言う通りに腕を掴むとすぐに足が浮き、とてつもない圧迫感のようなものが私を襲いました。
まるで細い管の中を無理やり高速で動いてるかのようなそんな感覚です。
その感覚に振り回されながら耐えているとまた足が地面に重なり、そのまま私は地面に膝をついて気持ち悪さを抑える為に荒い呼吸を繰り返した。
そして幾分か呼吸がましになってからお母さんに今のは何なのかと聞こうと顔を上げると、そこにはさっきまでいた路地裏ではない町の中にいました。
それも記憶の中にある限りでは私が見たことない、でもどこかダイアゴン横丁に似てると言えなくもない不思議な町でした。
「ここは…?」
「小笠原諸島南硫黄島よ。」
「え?待って、そこ人すんでないんじゃなかった?」
「そうね、マグルの方ではそういう話になっているわね。」
『マグル』の方では…なるほどそういうことですか。
「つまりここは日本の魔法界?」
「そういう事よ。ついでにあの山の頂上に学校があるからここはホグワーツに対するホグズミード村と言ったところかしらね。と言っても貴方はまだホグズミードには行ってないでしょうけれど。」
「…とりあえずお母さんの言っていた日本の物で魔法界のものっていう意味は分かったわ。けれどそんなに違いあるの?」
「もちろんあるわよ。というより使っている魔法自体に特徴があるからそれに合わせてかわっているわ。」
「魔法の特徴?」
「ええ、イギリスの魔界はすべてを魔法で補っているけれど、こちらの魔法界では日本の魔法とも言える『技』を取り入れているわ。」
「日本の魔法って…そんなのあったっけ?」
「ええ、ヒントは…そうね、妖怪に対する手段かしらね。」
妖怪に対する手段って…鵺を倒したって言われてる弓矢?いや、それじゃあ魔法でもなんでもないし。
そもそも妖怪に対するってそれぞれ倒し方も違うしそういうのは特定の人たちがやって…あ、わかった。
「陰陽師?」
「おしいわね、正しくは陰陽道よ。とはいっても思想などを取り入れているだけでそんな本格的なものではないわ。あくまでも魔法が基本ってこと、けれどここでは和風の物、日本の物を魔法具にしていたりするからあなたの友達には衝撃があって珍しいものになるんじゃない?」
「なるほど、確かに向こうと売ってるものが違うね。お母さんの言う通り、これならプレゼントにいいかもしれない。」
そう言って手近な店に入り、棚を眺めていると小刀が視界に写ったので何気なく手に取って鞘から刀身を抜いた。
その刃は薄い青に光っており、魔法とはまた違った感覚の不可思議な力を感じることができた。
「…これが日本の魔法界の道具、確かに向こうとは違うプレゼントにいいかも、お母さんがすすめるわけね。」
「そうでしょう?他にも色々と面白い物もあるから見て回るといいわ。私は向かいの甘味処にいるから、プレゼントを見たら来て頂戴。」
「うん、わかった。またあとでね。」
そう言うと私は店の更に奥へ、お母さんは店の外へと移動し、それぞれ自由な行動をし始める。
そして私はハーマイオニーにはつける度に香りが変わるお香セットを、ロンには抜く度に形が変わる小刀、ハリーには扇がずとも自分で風を吹かす扇子を送ろうと決めると、レジにて会計をしてサッと店を後にして対面にある甘味屋に母の姿を見つけ、プレゼント探しが終わった旨を伝える。
「あら、もういいの?」
「うん、案外早く決まっちゃったから。あ、お母さん私も何か頼んでいい?」
「ええ構わないわよ。」
「それじゃあこの七色あんみつと紫茶を注文するね。すいませ~ん!」
そう言って店員を呼んで注文をすると、マグルの店では考えられない早さで品物が届き、奇抜な色味を私の眼前に並べた。
わたしはそれを口に含むとただの砂糖等とはまったく違う黒蜜(色は水色だが)独自の芳香が鼻を抜け、和菓子の共通点である甘すぎない甘味が私を楽しませる。
…と、味はよいのだがもう少し見かけはなんとかならないのでしょうか。
白玉が緑だと抹茶入りかと思ってしまいますし、豆が紫なのはよいのですが、果実が藍色なんですが…
そんなことを思いながらも食べてみればとても美味しく、紫茶も少しさっぱりしたお茶であんみつとの相性もよく、ぺろりとたいらげてしまうのでした。
今回もお読みいただきありがとうございました。
後半もはやハリーどころがイギリスですらない…何故出したし。
それではまた次回!