半人半霊の魔法界生活   作:くるくる雛

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どうも皆さんくるくる雛です。
遅くなった理由?はい、何時もの如くいろいろしておりました。
まぁ、やろうとすればもう少しはやく上げれたのですが季節的にクリスマスに上げようと思いましたので本日あげることにしました。
それではクリスマスプレゼント、どうかお納めください。



第5話 少女、才覚を発揮する

「お前ら見たか?あの笑える間抜け面を!」

 

その声に反応して後ろを向くと案の定マルフォイさんがわざとこちらにも聞こえるように大声でネビルを嘲笑っていました。

人の失敗をあざ笑うとは……いや、ハリー達もマルフォイさんの失敗を笑ってましたし対等なのでしょうか?

等と少しずれた考えをしているとマルフォイさんはネビルが箒から落ちた拍子に地面に落としてしまったガラス玉を拾い上げました。

 

「見ろよ、こんなものを身内から送られるなんてこいつは馬鹿だと言われているようなもんだ。僕ならこんなものを送られたら死んでしまうかもな。」

 

そういうとスリザリン寮の人達は全員マルフォイさんに呼応するかのように笑い始めました…よくここまで自分とあまり接点がない人を侮辱できますね。

私がそんなある種の感心をしていると私の横からハリーが前に進み出てマルフォイさんの前へと並び立ちました。

 

「マルフォイ、その玉をこっちへ渡せ。」

「いやだね、ロングボトム自身に見つけさせるさ。」

「いいから渡せったら!」

 

そう言いながらハリーがガラス玉へと手を伸ばすとマルフォイさんはサッとそれをかわして箒へと跨がり、空へと浮かんでしまいました。

 

「おや、どうしたポッター?空を飛ぶのが怖くて追ってこれないのか?」

 

そのマルフォイさんのどう聞いても挑発としか取れない発言にハリーは過剰に反応して箒にまたがろうとしましたが、横からハーマイオニーが割って入りハリーが飛ぼうとするのを遮りました。

 

「駄目よ!飛んではいけないと先生に言われたのを忘れたの!?下手をすればグリフィンドールの点を減らされてしまう。そうなったら私たち皆が迷惑するのよ!?」

 

けれどハリーはハーマイオニーの静止を振り切り、もはや本能と呼べるような勢いで地を蹴って空へと飛び立っていく。

ハリーが空を飛ぶのは初めてのはずなのに何故かその姿は様になっていて、ほぅ…と息を漏らしてつい一瞬見惚れてしまいました。

けれど私の反応は周りに比べ軽いものらしく、他の人たちは黄色い声援を上げておりロンにいたっては歓声とよべるほどの声をあげておりました。

しかし約一名…ハーマイオニーだけは笑みどころが呆れた顔でハリーを見つめてため息をひとつはいていましたが。

まぁそれも仕方ないことですので何をいう事もなくハリーとマルフォイさんの勝負を眺めると、どうやら箒の操作技術はハリーの方が上らしく、何度もマルフォイさんの持つガラス玉に手を触れさせかけていた。

それに圧されたからかマルフォイさんはガラス玉を遠くへ投げ捨ててしまいますが、それを視認したハリーはマルフォイさんの脇を抜けるように飛びぬき、急いでガラス玉へと向かいました。

ですがマルフォイさんの投げたガラス玉の向かうコース上には一本の塔がそびえたっており、そこにあの勢いでぶつかれば確実に割れてしまうでしょう。

かといってハリーが間に合うかといえば正直微妙な所です。

速さだけでいえば塔にぶつかる前にハリーはガラス玉においつけますが、そうなると今度はハリーの身が塔に激突してしまいます。

そう考えているとハリーは私の予想を超えた行動を行ってきました。

 

「嘘…!?」

 

なんとハリーは減速することもせずガラス玉を掴んで塔にぶつかると思われた瞬間、箒にのったまま宙返りして塔に足をつけて威力を殺し、何事もなかったようにこちらに向かって飛んできました。

…もしかしてハリーは見かけによらず運動神経がとてもよいのでしょうか?

そんなハリーの意外な面に驚いていると突然強い突風が吹き、ハリーの手からガラス玉を吹き飛ばしていきました。

ハリーは直ぐに追いかけようとしますがハリー自身も突風により体制を崩しており、すぐに行動に映ることができません。

ならばと私はすぐさま地上を駆け、ガラス玉を追いかけ始めます。しかしこれまた運命がいやがらせでもしているのではないかというほど微妙に私の手が届かないどころが落下地点となっておりました。

ネビルを助けた時にすでに箒は手放していて箒での加速もできず、私を見ていた他の人たちも今度ばかりは駄目かと小さく声を漏らしますが私は諦めずに袋ごと刀を肩から外し、ガラス玉を割らぬように速度を落として刀をあててまた上へと打ち上げました。

それを読んでいたのかハリーはまたもとんでもない加速でこちらへと飛んできており、今度はしっかりとガラス玉を手に収めると、それを掲げながら皆の元へとゆっくりおりていきました。

その様子を見ていた皆は、ハリーの元に殺到してまるで英雄が凱旋でもしたかの如く褒めちぎり、歓声が沸きました。

なんとか割らずにすんだ、と思いいながら私が刀を肩に背負いなおしているといつの間に現れたのか私の後方でマクゴナガル先生が信じられないものを見るかのような目でハリーと私を見つめていました。

あの身体能力をみせたハリーならともかく私まで…?

そんな疑問が頭に浮かんだ瞬間マクゴナガル先生もどうやらショックより立ち直ったらしく全員に届く声を発した。

 

「ハリー・ポッター!!」

 

その声を聴いた瞬間ハリーは体をビクリと震わせ、ゆっくりとした動きでマクゴナガル先生へと振り向いた。

そしてマクゴナガル先生はハリーの方へと歩み寄るとついてきなさいとハリーへと告げ、また私の方へと歩いてきました。

私の後ろには城へ入る入り口があるのでこっちに来たのだろうと道を開けると何故かマクゴナガル先生は私の前でもたちどまり、こう言い放ちましたました。

 

「魂魄妖夢、あなたも一緒についてらっしゃい。」

 

…何故私も?

そんな考えが頭をよぎりますが相手は先生、私は特に何も聞くことなくはい、とだけ返すと黙してマクゴナガル先生について行くことにしました。

そして城の中を階段を上がり、右へ左へと曲がって城の中を歩いているとマクゴナガル先生はとある扉の前で立ち止り、ドアを開いて中へと入って中にいる人にウッドをお借りできますかと聞いて一人の生徒を連れ、また何処かへと歩き始めました。

ウッドさんは何故自分が呼ばれたのかわからないらしく首をしきりに傾げていましたが、私と同じように一先ず黙ってマクゴナガル先生についていくことに決めたようです。

そしてマクゴナガル先生が先ほどとは別の教室に入ると中にいたゴーストに一喝して離席させ、私たち以外は誰もいない状態にするとこちらへと向きかえり話を始めました。

 

「ポッター、妖夢、この生徒はグリフィンドールのクィディッチチームのキャプテンであるオリバー・ウッドです。ウッド、新たなシーカーを見つけましたよ。」

 

そのマクゴナガル先生の言葉を聞いてウッドさんは一瞬狐につままれたような顔をしましたが、またすぐに笑顔へと変わって本当ですか?とマクゴナガル先生に確認するかのように問い返した。

 

「間違いありません、この子は生まれつきその才能があるみたいです。今この子が持っている玉は16メートルもダイビングして掴み取ったのですよ。それもかすり傷一つ負わずにです。」

 

マクゴナガル先生がそういうとウッドさんは一気に顔を喜びで埋め、ハリーの元へとつめよりました。

 

「ポッター、君はクィディッチの試合をみたことはあるかい!?」

 

ハリーはすぐさまその質問に答えようとしますがウッドさんはもう夢中になっていたようでハリーの言葉は聞かず、体格もシーカー向きとか良い箒をもたせないと等とにかく自分の世界に入り込んだかのように話し続けました。

…ところで私は何故呼ばれたのでしょうか?

先ほどから頭に浮かんでいたその疑問をそろそろ聞いてもいいかなと判断をした私は狂喜乱舞しているウッドさんの脇を通り抜け、マクゴナガル先生の横に立ってその質問をぶつける。

 

「あの、マクゴナガル先生。ハリーが呼ばれた理由は今わかったのですが私も呼ばれた理由はなんだったのでしょうか…?」

「ああ、そうでした。私としたことがウッドの喜びようでつい頭から抜けておりました。ウッド!いまはそれくらいにしておきなさい。もう一人も紹介しないといけないのですから。」

「もう一人?もしかしてその子も新しいクィディッチメンバーにするのですか?」

「ええ、この子は新たなビーターにむいています。」

「ビーター?ですがビーターはフレッドとジョージがすでにいますよ?」

「もちろん承知の上です。なのでこの子にはどちらかが出れない時の代理をしていただきます。」

「なるほど、確かに今は人員がカツカツですしいい考えですね。それにあの二人なら喜んでビーターの事を教えてくれるでしょう!」

「ま、待ってください!」

 

私の意思確認をせずに話が進む二人の会話に私は割って入り、自分の意思を伝える。

 

「私にクィディッチの適正があるかどうかはともかく、まだ私はやるとは言っていないのですが…」

「これは失礼、ですがクィディッチのメンバーに選ばれるという事はとても名誉なことなのですよ?」

「ですが、私は剣の鍛錬もしなければなりません。流石にその時間を削る事になるとお受けするわけには…」

「それに関してもあまり問題はないでしょう。貴方は代理ですから常日頃練習に参加しなくても構いません。それに箒の上という不安定な場所で狙った的を攻撃するというのも特訓になるとは思いますよ。」

 

マクゴナガル先生にそう説明され、少しだけ考えてみる。

確かに安定しない状況で練習できる機会はそうない…それを考えると貴重な機会かもしれない。

だけど即答するには少しためらわれたので少し考える時間をくださいと答えることでとりあえずこの場を流すことにしたのでした。

 

 

 

 

 

「まさか…!?」

 

あの後夕食の時に合流したロンにマクゴナガル先生との会話で話し合った事を話すとロンはあっけにとられた表情で口から言葉を漏らしました。

 

「シーカーだって!?一年生じゃチームにも入れないはずなのに…それに妖夢も含めて二人も!?まさか二人も最年少の寮代表選手がでるなんて、ここ何年来かな…」

「最年少記録としては100年ぶりで、二人一気に更新したのは初めてだそうです。と言っても私はまだ参加するとは言っていませんし、申請しても補欠ですから微妙な所ですね。」

 

そう言ってから私は塩サバ(念じたら何故か皿の上に出てきた)を口に含んで咀嚼して嚥下し、次にお茶碗に盛られた白いごはん、お味噌汁と久しぶりに和風の食事に舌鼓をうった。

…この様子だと念じたらどんな食べ物でも出てきそうな気がしますが、ホグワーツの厨房は一体どうなっているのでしょうか?

なんてことを考えているといつの間に来たのか後ろからフレッドさんとジョージさんがやってきてポン、私とハリーの肩を叩いて会話に混ざってきました。

 

「だが普通は補欠でも」

「1年でやることはできないんだぜ?」

「それに女性のビーターってのはとても、」

『珍しい。』

「…まぁ、確かに話を聞いたり少し調べた感じでは力のある男性の方が向いているでしょうしね。」

「そう、だから君は最年少プレーヤーの名と供にしばらく抜かれない」

「最年少女ビーターの名前も手に入れることができるんだぜ?」

 

それはわかりますが…この2人の息の合った話し方は何とかならないのでしょうか?

正直右から左からと話しかけられているので耳が忙しいです。

 

「まぁなんにせよ今年のクィディッチ・カップはいただきだな。」

「ああ、なんせ今年のうちのシーカーはあのハリー・ポッターだ。」

 

そこまで言うとお二人はリー・ジョーダンに呼ばれてるんだった、と何処かへとあるいていきました。

…さりげなくハリーにプレッシャーを与えていきましたねあのお二人。

と思ったのもつかの間、今度はマルフォイさんがやってきてまた嫌味を言ってきました。

 

「やあポッター、最後の食事の味はどうだい?それにマグルのところに帰る汽車にはいつ乗って帰るんだ?」

 

マルフォイさんのこの発言に、直情的な面があるハリーが怒るのではないかと私は心配してハリーの方を向くと、なんと意外なことにむしろくだらないと一笑にふすかのような目でマルフォイさんをみていました。

 

「君は地上だとずいぶん元気だね、隣に都合のいいお友達がいるから?」

 

ハリーに都合がいいと評された2人は顔に怒りの表情を浮かべましたが、先生方が席にズラリと並んでいるせいか腕をポキポキと鳴らす程度にとどめ、更に私をみるとそれさえやめてしまいました。

…別に普通の喧嘩くらいなら介入するつもりはないんですけどね。被害が大きそうなら止めますが。

なんて考えながら食事をして話を聞いているとどうやらお二人で決闘をするという話のようです。

私としては決闘というのに少し興味がありますが、私が介添人とやらになってしまうと刀で戦ってしまいそうでしたのでその時間は修行をしようと決めたのでした。

 

 

 

 

 

ピュッ!っという風を切る音が耳を打つ。

一薙ぎに力を込めて鞘から抜き放つ。

一振り事に悩みを絶つ…そのような気概で刀を振るう。

一度刀を振るうごとに自分が成長しているのかしていないのか、それはわからないけどこれを繰り返してこそ高みへと到達できる。

そう考えもう一度、と鞘に刀を収めたところでハグリッドの声が聞こえました。

 

「ふむ、おまいさん。練習熱心なのはいいが流石にもう寝んと明日の授業がきついぞ?」

「え…?もうそんな時間でしたか?」

「ああ、もう時計は11時半になっちょる。というよりさっきから声をかけとるのにまったく気づいとらんかったようじゃな。」

「す、すいません!」

「いやいや、気にせんでいい。わしもお前さんの剣の振りをみてついボーっとしてしまったからな。ささ、城までは俺もいくからもうかえりな。」

 

そのハグリッドの言葉に少し申し訳なさを感じながらハグリッドと一緒にお城へと向かう。

本来城へ戻るだけならば私一人でも大丈夫なのですが、ホグワーツの就寝時間は11時で、既に30分すぎてしまっているので一人で歩いているところを先生に見つかれば罰則を食らってしまいます。

おそらくハグリッドもそれを見越して一緒にきてくださってるので、状況的にも心理的にも断れない状況でした。

もう少し時間を気にしていればご迷惑をかけずにすんだな…と思いながら城の門まで戻ると、視界の端に何かゴソゴソと動くものが見えました。

もう一度しっかりと見ても遠く、暗いせいで誰かまではわかりませんが人だということはわかりました。

誰?という疑問が頭に浮かんだ私はハグリッドに声をかけて二人でそちらへと向かいました。

ハグリッドいわく、こんな時間に外を出歩くのは先生でもそういないとのことで私は袋から刀を取り出し、ハグリッドは目つきを強くして警戒を強めながら近づくと、そこには飛行練習の授業担当のマダム・フーチ先生がいました。

 

「フーチ先生?こんな時間にどうしたんです?」

 

ハグリッドがそう問いかけるとフーチ先生は体をビクッとさせて、こちらをふりかえると少し言い訳を考えるかのように息をのんでからこちらに言葉を返しました。

 

「おや、ハグリッド。私はただ見回りをしていただけですよ、それにそちらこそこんな時間に生徒を連れて何をしているのですか?既に消灯時間はすぎておりますし、場合によっては減点しますが?」

「これはこの娘が剣の練習をしとったらそれに見とれてしまってな。まぁ遅くなったのは俺の責任だし、寮まで連れて行こうと思って歩いてたら妖夢がフーチ先生を見かけましてな。」

「そうですか、夜目がきくのですね。」

 

そう言ってフーチ先生は私をじろりと見るとまたハグリッドへと目線を戻しました。

何故か私を向いた時の目線に少し怒りが混じっていたような…何かあまり他者にみられたくない事でもしていたのでしょうか。

 

「事情はわかりましたがハグリッド、早く寮へと戻したほうがよいでしょう。フィルチにでも見られてしまったら面倒です。」

「ええ、わかってまさ。それじゃあ見回りお気をつけてくだせえ。ほれ、行くぞ。」

 

私はおとなしくハグリッドの言葉に従い、横について寮へと向かいました。

…あそこにはなにかあるのかもしれない、という疑念の感情を胸に孕みながら。

 

 

 

 

 

「あんな怪物を学校の中に閉じ込めておくなんてダンブルドアは何を考えてるんだ!あの部屋に入るなって意味がよくわかったよ!!」

「あ、おかえりなさい。」

 

あの後ハグリッドに寮まで送ってもらった私は談話室にてお母さんへと送る手紙を書いていると、ロン、ハリーのマルフォイさんと決闘の話をしていた二人と、多分それを阻止しようとしたハーマイオニー、そして何故か恐怖で言葉を発することもできないネビルさんが談話室へと転がり込んできました。

ひとまず私は声をかけるもののまるで聞こえていないみたいで、4人…いえ、何も放さないネビルさんを除いた3人で話し合い、その後ハーマイオニーが上に行くのを見届けると何かを考え込んでいるハリーはロンに任せ、私はハーマイオニーを追いかけて寝室へと向かいました。

 

「あら、おかえりなさい妖夢。こんな時間までなにしてたの?」

「おかえりはこちらのセリフですが…私は先に談話室にいましたよ?ちなみに母への手紙を書いておりました。」

「あら、そうだったの。じゃあただいま。」

「ええ、お帰りなさい。ちなみになんとなく察しはつきますがハーマイオニーはどちらに行ってたのですか?」

「私は二人を止めようとして談話室の外まで行っちゃったんだけど、もう諦めて戻ろうとしたら太った夫人(レディ)がいなくなっちゃってて…」

「それで二人に付いていくしかなかったってことですね。」

 

言いながら私は刀をしまい、ベッドへと腰かける。

すると私が座るのを待っていたかのようにハーマイオニーはわたしへと話しかけてきました。

 

「ねえ妖夢、私…いや、私たちとんでもないのをみちゃったかもしれない。」

「とんでもないもの、ですか?」

「ええ、4階右側の部屋で。」

「4階右…ってそれ立ち入り禁止の部屋じゃないですか!?なんでそんなところに!?」

「えっとそれは…ハリー達がマルフォイに騙されちゃってね?フィルチに見つかりそうになって夢中で逃げていたら」

「その部屋に入ってしまったと。それはわかりましたがその部屋で何をみたのですか?」

「大きな三面犬よ、多分なにかを守っているわ。」

 

三面犬?それってケルベロスの事でしょうか。

 

「まぁ、そんな生物を飼っているのであれば確かに入るなとは言うでしょうけど…何かを守っているとはどういうことでしょうか?」

「実はその三面犬の足元に扉があったの。あの犬は恐らくそれを守っているのだと思うのだけど…」

「何を守っているのか、と?」

「ええ、だってホグワーツで守るくらいの物なのよ?一体どんなものなのか気にならない?」

「まぁ、気になるのはわかりますがあまり詮索しない方がいいと思いますよ?この学校で守るということはそれだけ大事な物でもあるのでしょうが、翻せばそれだけ危険なものという可能性も考えられます。」

「う~ん…そうね。確かにあまり詮索しないほうがいいのかもしれないわね。」

 

そういうとハーマイオニーは忠告ありがとうと言うとそのままベッドに戻り、スグに寝てしまいました。

フィルチさんから逃げていたと言ってましたし恐らく疲れていたのでしょう。

…普通ケルベロスをみたなら怖くて寝れなくなったりしそうですけど、と苦笑すると先ほどハーマイオニーが話していたことに関して試案し始めました。

あんまり詮索しない方がいいと言ったのは自分自身ですが気にはならないかと問われればまた別、やはり気にはなってしまうものです。

どうにかして見ることはできないかな、と空中を見上げるとそこには半霊がふわふわと漂っていました。

そういえばお母さんが半霊は自分と感覚が共有できるって話してましたね…って、あれ!?

ひょっとして私普通に見れるかも…?

思い立った私は一度半霊を自分の所に呼び寄せるとお母さんに聞いたやり方をし始めました。

 

「確か最初は半霊に頭を当てて…」

 

慣れればこんなことをしなくても感覚の共有はできるようになるらしいですが、最初の内はこうした方がやりやすいらしいというお母さんの言通りに手順を踏んで行っていく。

すると何か頭の中に私自身の、でも私のものではない視覚、聴覚、触覚、嗅覚の情報が流れ込んできました。

おそらくこれが感覚の共有なんだろう、と意識すると私の肉体自身には瞳を閉じさせてそのままベッドに寝転ばせておきました。

すると心なしか半霊の感覚が敏感になり、自分が浮いているという実感がわいてきました。

 

(これが半霊の状態…ふむ、自分の意思で浮いたり降下したりできるのは少し楽しいですね。)

 

と、そこまで考えたところで声が出せないことに気付く。

流石に発声器官はないのか「あ」、とか「う」、みたいな声も出すことはできなかった。

やっぱり人の体とは違うんだなと再び実感して、動き方の練習だけするとそれじゃあ、と直ぐに4階右側の部屋へと向かいました。

部屋の中にはハーマイオニーの言った通り三面犬が横たわって眠っており、足元には扉が設置されていました。

成程、確かに何かを守っていると一目で考えてしまいますね。

本来であればこの三面犬と闘うか、出し抜くかしてこの扉を開けて入らないとならないのでしょうがそこは半霊、ただ一つの音も出すことはせずに扉を通り抜けて進むとそこには黒い蔦のようなものが大量にうごめいていた。

 

(…罠?けれどただの植物が罠とも思えないし、ただのクッション変わりかな?)

 

そう辺りをつけて先へと進む、鍵に羽が生えた生物が大量にいる部屋、大きなチェス盤の部屋、薬ビンが机の上に並べられた部屋、そのどれをもただ通りぬけて一番奥の部屋へと到達した。

そして最後の部屋には机が一つとその上に赤い、透き通ったルビーにも似ている石が置かれていた。

この幽霊の状態だからかこの石がなにか気配ともいえるような特殊な力が出てくるのがいつもより感じられました。

多分ファンタジーなんかでよくある魔石、とか霊石みたいなものなのでしょう。

…というよりこんな力を持っていて鉱石ならそれ以外の可能性がないですね。

なんて軽く一人ツッコミをすると今日の目的である何を隠しているのかは一応わかったので自分の部屋へと戻っていくのでした。

 

 

 

 

 

次の日の夕方、私はハリーと供にクィディッチ競技場に立っていました。

なんでも答えは後からでもいいので一度クィディッチの練習を受けてください、とマクゴナガル先生からの提案に私はそれもいいかもしれなと考え一先ず様子を見るためにハリーについて競技場へとやってきました。

…まぁ、二人と言ってもハリーは今朝誰かから送られてきた箒にのって飛び回っているので実際に立っているのは私だけですが。

それにしても楽しそうに飛んでいますね、と考えているといつのまに来たのかウッドさんとロンの双子のお兄さんが傍に来ていました。

 

「おーい、ポッター!降りてこい!!」

 

ウッドさんが空中を軽やかに、まるでもう何度も飛んでいるかのような動きで飛んでいたハリーを自分の所へと呼び戻すとハリーはこちらへと箒の先端を向け、ビュン!と急降下して降りてウッドさんの隣でピタリと止まりました。

その一連の動きを見ていたウッドさんは一瞬呆けたような顔をして、すぐに立ち直ると感動をこめた言葉をこぼしていました。

 

「すごいな…そりゃマクゴナガル先生が推薦するわけだ…君は生まれつきシーカーの才能があるんだな。これは教えがいがありそうだ、それじゃあ早速基本のルールを教えようか。」

 

そういうとウッドさんは小脇に抱えていた木製の鞄を地面に置くとパカッと開くと中には大きさの違うボールが4つほど入っていた。

 

「いいかい?クィディッチのルールはとても簡単だ。まず両チーム共に人の選手がいて、そのうち三人がチェイサーと呼ばれている。」

「三人のチェイサー」

「そうだ、そしてこのボールがクァッフル。チェイサーはこのクァッフルを投げ合って相手のゴールの輪っかに入れるんだ、そしたら10点の得点が手に入る。ここまではいいか?」

「ええ、大丈夫です。」

「うん、僕も多分大丈夫。」

 

私たちの言葉を確認すると満足したように頷き、また鞄から別のボールをとりだしました。

 

「そしてこれがブラッジャーだ。君、妖夢だったかい?ちょっとこれを持ってくれ。」

「え?あ、はい…」

 

私は言われるがままに短い棍棒を手に持つと、この棒の説明が続く。

 

「この棒はビーターが使う道具さ。ビーターの役割は簡単に言えばこのブラッジャーをその棒で打ち返すだけだ。」

「打ち返すだけ…ですか?もしかして球を打って相手のゴールに入れろということでしょうか?」

「面白い考え方をするね、けれど違う。ビーターはただブラッジャーを打ちかえすだけではなくその打ったボールを相手に打ち返して妨害するんだ。」

「あの速度で飛びまわって打ち返し、かつ相手に向けて打つコントロール力が必要なポジションですか…私にできるでしょうか。」

「君がマクゴナガル先生の言った通りのことができたなら大丈夫だ。君、思い出し玉を壊さずに打ち返してハリーの所に打ち返したんだろ?それに…」

「駄目だったとしても俺たちが」「しっかりと教えてやるから」『大丈夫だ。』

 

私が少しクィディッチのポジションについて心配していると、珍しく静かにしていたロンの双子のお兄さんたちがここぞと話に入りこみ、私に応援の言葉を発してくれました。

…そうですね、やる前から心配してても意味がないですよね。

 

「…わかりました、やってみます!」

「よし、その意気だ。それじゃあ二人ともこの子を頼む。僕はこっちでハリーにシーカーの事を詳しく教える。」

『まかされた。』

 

そう取り決めると私はハリーと別れ双子の兄弟たちとビーターの練習をはじめるのでした。




今回もお読みいただきありがとうございました。
妖夢のスキル、幽体離脱をアンロックしました。
スキル、ビーターをアンロック可能にしました。
マダム・フーチへの疑惑が10上がりました。
それでは次の投稿は来年に…皆さまよいお年を!

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