半人半霊の魔法界生活   作:くるくる雛

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どうも皆さんくるくる雛です。
(お待ちしていただけてたかはわかりませんが)お待たせいたしましたァー!
何とか第4話完成いたしましたのでどうぞごらんくださいませ。
(多分これから大体このくらいの投稿感覚になります)
今回もどうぞ!



第4話 少女、魔法界の授業を体験する

翌日、皆より早めに起きた私はいつもそうしていたように刀の稽古をしようかと思っていたがそもそも校内でそんな事をしていい場所があるのかわからないので刀を振るうことは早々に諦めて寝室を抜け出して談話室で瞑想をすることにした。

瞑想はただリラックスするだけの行為ではなく武人に必要な集中力の上昇にもつながり、かつ睡眠による回復が早くなるので睡眠時間の減少にもつながるのです。

つまりそれだけ他の人より多く時間を使うことができ、その時間の使い方次第では他の事柄でも他者より一歩抜きん出ることができるのです。

…まぁ、今は時間が取れてもやれることがないのであまり意味はないのですが。

今日は無心で瞑想してその後にイメージトレーニングをしとこうかなと考えを手早くまとめて自身の呼吸に意識を向けていくのでした。

 

 

 

 

 

朝食の時間まであともう少しという頃合い、寮の皆がぞろぞろと談話室へと降りてきたので私は瞑想もイメージトレーニングも終了させて皆におはようと声をかけ始める。

皆まだ眠気が体から抜けていないのかどことなく気の抜けた声であいさつを返してくる。

…寝起きの人たちが集団で集まるとなんだかゾンビの集団みたいにも見えますね。

私はそのゾンビの集団の中からハリー達の姿を見つけ、少し談笑して朝食を食べるために食堂へと移動を始めた。

しかし大食堂にはいる瞬間、誰かの視線を感じて反射的にその視線のもとへ顔を向けて正体を確かめる。

その視線を飛ばしていた正体は昨日の…確かマルフォイさんと言いましたか。

とにかくそのブロンドの髪の少年がこちらをまるで品定めするかのように私を見つめていました。

…予想はしてましたがやはりスリザリンでしたか。

まぁ、危害は加えてこなそうですし別に彼の視線の事は気にすることもないでしょう。

そう決めると私はハリー達とともに大食堂へと入り、皆と近くの席に固まって座り、話をしながら食事をし始めた。

話の内容はここに来るまでに聞こえてきたハリーへの言葉だった。

 

「いくら有名だからって皆僕に集まりすぎだよ…僕は何もした覚えもないのに。」

「でも、あなたが覚えていないだけで本当はすごいことをしていた可能性があるわ。じゃないと貴方今ここにいるはずがないもの。」

 

他の生徒たちにまるで動物園のパンダを見るかのような目線でほかの生徒に見られ続けて辟易としていたハリーにハーマイオニーはそう告げる。

確かにハリーの母親はハリー自身をかばって死んだというし、自分自身でどうにかしなければ今を生きていることなどできないだろう。

私は一応理には適っているかと納得しながらバターをしっかり塗ったトーストをかじって咀嚼する。

けれどハリーは納得がいかない様子で言葉をまくしたてた。

 

「けれど僕は何もした覚えはないしその時の僕は赤ん坊だ、話すこともままならないのにどうやってなにかをするっていうんだ?それに仮の話としてその時できていたとしても今の僕にはできない、こんなに注目される筋合いはないんだ。」

「ふむ、確かにハリーの言うことはもっともです。ですが例のあの人に狙われて他に生きていたのもがいないのも事実ですから英雄視されるもの仕方ありませんよ。それにこういうのは文句を言ったりしたところで亡くなりません、我慢するしか…」

 

その私の言葉にハリーはいらだちながらもソーセージにフォークを力強く刺してこれ以上この話題を話すことをやめたのでした。

 

 

 

 

 

私達は朝食を終えるとハリーに対する他生徒からの視線を受けながらもそそくさと移動して何種類かの授業を受けて変身術の教室へと向かった。

するとそこには私たちにこの学校のことなどを説明してくれた先生、マクゴナガル教頭先生が教室に入ってきた生徒の名前を手元の出席表?に書き込んでいた。

ただそれだけの事なのに今まで授業を受けた教室とは違い、皆友達同士で駄弁ることもせずただ静かに席に座ってマクゴナガル先生が何か指示を出すことを待っていた。

恐らくこの先生には逆らってはいけないということを皆本能的に悟ったのでしょう。

現に稽古等の時に御爺様の気迫を受けていてこういうものに慣れているはずの私でも萎縮せずにはいられないほどですから普通の人には耐えれるはずがないでしょう。

等と思っているとマクゴナガル先生はパタンと手に持っていた出席表を片手で閉じると席に座った私たちを見渡すとふむ、と言って口を開いた。

 

「どうやらいい加減な態度で授業を受けているものはいませんね。今の所は、かもしれませんが。さて、皆さんが気を引き締めている内に言っておきましょう。」

 

そう言ってマクゴナガル先生はもう一度全体を見て生徒が自身を見ていることを確認すると先ほど言いかけてやめた続きの言葉を告げた。

 

「変身術はホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです。故にいい加減な態度で私の授業を受ける生徒は部屋を出て行ってもらい、二度とクラスに入れることもありません。」

 

私たちに向けてそう告げるとマクゴナガル先生はおもむろに机を豚に変えてすぐさまもとの机に戻してみせた。

生徒たちは皆一様に感激して早く試したいとウズウズした心持ちのようだった。

けれどマクゴナガル先生が話すには家具を動物に変えるにはまだまだ時間がかかるらしく、まずは簡単なものからはじめましょうと私たちに一人一本ずつマッチを手渡して針に変化させる練習が始まった。

これならば形も似ているしそう難しくないものだろうと皆息巻くが私を含め、誰一人としてうまくいってる様子はなかった。

強いて言うならばハーマイオニーがマッチを曲がった針に変えたというところか。

 

「んー…なかなかうまく行かない。ハーマイオニーなにかコツとかあるのですか?」

「そうね、強いて言えばイメージ力かしらね。私は針だけのことを考えながらやったらここまでいけたらわ。」

「イメージですか…なるほど、わかりました。やってみます!」

 

ハーマイオニーの言ったことを便りに私は脳内で針のイメージを広がらせる。

先端は丸みを帯びたタイプ、マッチよりも細長く、そして銀色を全てにまとわせるイメージを練り上げる。

そして杖を振るうとマッチは見事に銀色の裁縫針へと変化した。

剣を振るうイメージトレーニングをしたりもするのでイメージする事は私の得意分野だ。

そして私とほぼ同時にハーマイオニーもマッチを針へと変えて見せ、二人合わせて10点をマクゴナガル先生からいただいたのだった。

 

 

 

 

 

さて、変身術の後も薬草学、魔法史、妖精の魔法、闇の魔術に対する防衛術等様々な授業がありましたがやはりこの一週間で一番印象的だったのは魔法薬学でしょうか。

魔法薬学のスネイプ先生はスリザリン贔屓で有名な先生で、特にハリーへの風当たりが強かったのです。

魔法薬学の部屋に入るなりハリーにむけて「ハリー・ポッター。我らが新しい―スターだね」という冷やかしを浴びせていた。

 

「このクラスでは魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。」

 

そんな呟くかのような静かな声で話始めると生徒たちは皆一斉に静かになり、誰もふざけようとはしなくなった。

どうやらこの先生も相当の人物のようだ。

「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そのせいで毎年数人は魔法かどうか疑う奴等がいるが…まあ諸君等に期待などしていない。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせて感覚を狂わせる魔力…諸君らにはこの見事さを真に理解できるとは思わん。我輩が教えるのは名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である。ただし我輩がこれまで教えてきたウスノロたちより諸君らがまだましであればの話だが。」

 

…まさか生徒に向かってウスノロと言うとは衝撃ですね。

横で何故かハーマイオニーがそわそわしていますがおそらく自分はそうではないと言いたいのでしょう。

どんな質問でもこい、と息巻くハーマイオニーに反してスネイプ先生はポッター‼と名指しで指名するといきなり問題を提示した。

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

…確か眠り薬だったでしょうか。

一応ここに来る前によんだ教科書の中に書いてあったような気がします。

流石に名前までは覚えていませんけど。

 

しかしハリーは教科書を開いてもいなかったのか自分の分かる言語なのかもわからないと言った様子で混乱におちいってた。

そしてわかりません、と答えると先生は

 

「有名なだけではどうにもならんらしいな。」

 

とイヤミをいって更に問題を出した。

今度はベゾアール石を探すならどこを探すと言う質問らしい。

えーと、山羊の体内…だったでしょうか?

流石にこの質問は確信をもてません。

そしてハリーも同じくわからなかったようでまたわかりませんと答えるとスネイプ先生はクラスに来る前に教科書を読まなかったのかね?と冷たい瞳でハリーをにらんだのでした。

しかしそれでもハリーへの出題はやめずにさらにモンクスフードとウルフベーンの違いを答えよという問題をだした。

…これはわかりません。

私ももう少ししっかり教科書を読もうかなと考えていると生きた教科書…もとい、勉強の虫であるハーマイオニーが立ちあがりながら天高くてを伸ばして自身を当てろと精一杯主張をしはじめた。

しかし無情にもスネイプ先生は座りなさいと冷たく言い放ってハリーへ出した問題の答えをいい始めた。

 

「アスフォデルとニガヨモギを会わせると眠り薬となる。あまりに強力なため『生ける屍の水薬』と言われている。ベゾアール石はたいていの薬に対する解毒剤となり、探す時はヤギの胃を探すのだ。モンクスフードとウルフスベーンは同じもので別名をアコナイト、つまりとりかぶとの事だ…諸君何故今のをノートに書きとらんのだ。」

 

そんな声が聞こえるが私はすでにノートに説明を書き終えており特に手を動かさずにいた。

そんな私の様子を見たスネイプ先生は私が注意を受けてもノートを書いていないということで怒ろうとしたところにニッコリと笑みとノートの1ページを見せて友人をいじられたことへの意趣返しをしたのでした。

 

 

 

 

 

一時間後、私は地下牢の教室から元気のないハリーとロンと一緒に会談を上っていました。

ハリーが元気がない理由は聞かずともわかった。

多分スネイプ先生にグリフィンドールの点数を二点減点されてしまったことを気に病んでいるのでしょう。

…いや、どちらかというと何故か二点を削られるまで目の敵にされていることを、でしょうか。

 

「ハリー、あまり気にしないほうがいいですよ。」

「うん…けど流石にあれは気にしないなんてできないよ。」

「まぁそうですよね…」

「あ、そうだハリー!ちょっと早いけどハグリッドに会いに行かないか?」

「そういえばハリー当てに朝から手紙が来ていましたね。でも私たちも一緒に行っていいのでしょうか?」

「もちろんだよ、今日は授業が始まってどうなってるかって聞きたいみたいだからむしろ君たちが来てくれたら友達ができたってハグリッドが安心するだろうし。あ、でも妖夢が用事があるならそっちを優先していいよ?」

「いいえ、そういうことでしたら是非一緒に行かせていただきます。この後少し剣を振ろうかと思ってましたがどこでやっていいのかは聞いてなかったのでついでにハグリッド先生に聞かせてもらいます。」

 

私がそういうとハリーは友達を知り合いに紹介できるからか少し笑顔になり、先頭に立って私たちをハグリッドの元へと案内をし始めた。

私は鞄を背負いなおしてハリーについていくとホグワーツ城の門を潜り抜け、少し坂道を降りたところにハグリッド先生の家…というより小屋というべきものを発見しました。

戸口には弓と長靴等がおいてあり、番人というより猟師と言われたほうがすぐに納得ができそうな感じであった。

ふむ…あまり上手くはありませんが一応弓の手入れはしているみたいですね。

等と少し余計な事を考えている間にハリーがハグリッド先生の小屋の扉をノックすると中から扉に爪をひっかける音、それと犬が吠える声が数回聞こえてきました。

…この装備に犬となると本当に猟師なのでしょうか?

私が先ほど感じた事は当たっているのかもしれないと無駄に考え込んだところで小屋の扉が少し開いてもじゃもじゃ…もとい、先生の大きな顔が現れて片手で犬を抑えるのに苦労しながら私たちを部屋の中へと招き入れました。

部屋の中はハムやきじ鳥が天井からぶら下がっていて暖炉には火がくべられ、そこに置かれた銅製のやかんにはお湯が沸いている。

部屋の隅には私なら四人は寝れそうなくらいのとてつもなく大きなベッドが置いてあり、様々な布を繋げてつくったカバーがかけられていた。

…小屋に対してベッドが大きくないでしょうか?

等と考える物のもともと小屋に対して先生が大きいため、今更ですかと思考を打ち切ってソファへと座ると先ほどから幾度も飛びかかってきている犬を片手でうけとめてそらす。

…そろそろ先生も止めてくれませんかね。

そんな私の願いが通じたのか、黒い犬は対象を変えて私からロンへと飛びつき、人懐っこい犬なのかそのままロンの耳をなめ始めました。

とりあえず狙われなくなったことに一息をついていると先生はその様子をニコニコと見ながらこれまた先生の大きさに見合ったティーポットへとお湯を注ぐとハリーの友人を待っていたと言わんばかりの声でまずロンへと話しかけました。

 

「ほいじゃあおまいさんの名前はなんて言うんだい?」

 

先生にそう問われるとロンはなんとか顔から黒い犬を引きはがしてロンとだけ名前を名乗りました。

そして名前を聞いた先生はロンのそばかすをちらりと見て

 

「ウィーズリー家の子かい?」

 

とロンの名字を当てて見せました。

…列車の中でマルフォイさんはあまりよくないと言ってはいましたが実際は有名な家柄なのでしょうか?

実はマルフォイさんが嫌っているだけで本当は凄い家柄とか…

 

「おまえさんの双子の兄貴達を森から追っ払うのに俺は人生の半分を費やしているようなものだ。」

 

前言撤回、それどころがマルフォイさんが言っていたのが合っているという可能性が浮上してきました。

いや、冷静に考えればさらに上のお兄さんは寮監ですし多分その双子のお兄さんが特別なだけ…ですよね?

そんなことを考えている私の前に先生はロックケーキを差し出して先生も対面の椅子に座ると今度は私に名前を聞いてきたので私は少しだけたたずまいを直し、先生に向かい合うとはっきりと話しはじめた。

 

「私の名前は魂魄妖夢です。所属はグリフィンドールになりました。」

 

その私の名前を聞くと先生はまさに驚愕といった表情を見せ、何とか絞り出したかのような私へと言葉を返す。

 

「魂魄ってことは…お前さんひょっとして連絡のあった妖忌の孫かい?」

「ええ、その通りです先生。私はそのお爺様を探してこちらの世界までやってきましたので。ところでお爺様をご存知ならばいまどこにいるか心当たりなどはございませんか?」

「いんや、すまんが俺もアイツがどこにいったのかさっぱりなんだ。それでおまいさんなら知ってるかと思ったんだが…その様子ではしらんようだな。」

「ええ、ですがあのお爺様のことですから恐らく存命してるとは思います。」

「ああ、多分そうだろうな。きっとアイツは生きちょるに違いない。さあ、暗い話はこれくらいにしてこの一週間はどうだったハリー?」

 

ハグリッドが明るくハリーに話しかけるとハリーもその事を話したくてうずうずしていたのか、関をきったように矢継ぎ早に話し、当初聞こうとしていた刀はどこで振っていいのかという話を切り出すのに少し時間がかかってしまいました。

けれど、ハリーにとってここの環境はそれほどに楽しいものという事なのでしょう。

なので私は少し話が落ち着いたところで話を切り出して、どこで行っていいのかを聞き始めました。

 

「ところで先生、聞きそびれてたのですが前に申請を出していた刀を持ってきているのですが。どこか修練場、あるいは剣を振るっていい場所はないのでしょうか?」

「おうおう、ちゃんとその話は聞いてるよ。門の外かこの小屋の前でならふって構わんそうだ。ただし夕方以降はちゃんと一人教師か俺に見てもらいながらしてもらうことが条件だがな。あとお前さん、俺の事を先生と呼んでいるが俺は教師ではないからハグリッドで読んでくれい。」

「わかりましたハグリッド、それじゃあ早速剣を振ってきてもいいですか?こっちに来てから特訓をしていないので腕がなまっているでしょうから。」

「あぁ、構わんよ。だけど森にははいるんじゃないぞ。」

「わかりましたそれでは失礼します。」

 

そう言い残すと私はハグリッドの家を飛び出すと袋からすぐさま刀を抜いてまずは素振りから始めた。

素早く全てを断ち切るような速さではなく、円を描くようにゆっくりと振っているとは言えないような遅さで、けれど意識は全力で注いで。

端からみればイメージとは全然違って、なにをしているのかと思うかもしれませんが稽古というものは往々にして地味なものの積み重ねなのです。

 

 

 

 

 

「…ふぅ、今日はここまでにしとこうかな…って、おやハリー。もうハグリッドと話すのはいいのですか?」

「うん、今日はもういいから城に戻ろうと思って。妖夢こそもういいのかい?」

「はい、ちょうど稽古をやめようと思っていたところでしたので私も一緒に帰ります。」

「そうかい、なら一緒に戻ろう。」

 

そういうとハリーは城の方へと私たちを先導するように歩き始めるが、何処か考え事をしているような感じでもあった…

 

 

 

 

 

そして幾日かすぎて皆が首を長くしてまっていた授業、飛行訓練の日となりました。

けれど今朝グリフィンドールの談話室に設置されている掲示板をみると皆その笑顔が一変、まるで好物のものを食べるときに横から余計な事を言われてしまったような表情になってしまいました。

その理由は飛行訓練がスリザリンとの合同になったからでした…

 

 

 

 

 

午後3時半私は飛行訓練を受けるために校庭に立っていました。

今日は少し風が吹いてサワサワと足元の芝生が音をたててはいるものの良く晴れた、まさに空に飛びたいと思うには理想的なシチュエーションでした。

けれど先生がまだ来てないようで私は目を瞑り、緑の香りを胸へと吸い込んでみる。

すると少しだけすっとするようなさわやかな気分になり、この授業も頑張ろうと思う気力がわいてきました。

そしてそれと時を同じくして飛行訓練の先生、マダム・フーチ先生が到着し「なにをボヤボヤしているんですか!」などと開口一番ガミガミと怒っていた。

…とりあえず短気な性格の先生みたいですね。

等と考えていると全員に向かって箒のそばに立てという指示がだされたのですぐに箒の脇へと直立する。

まずは飛ぶことより先に箒を取ること…地上から自分の手へと浮かばせることから授業は始まった。

先生は箒に手をかざして上がれ!というだけの説明をしたが多分そうではないのだろう。

物というものは使い手の意志が考えている以上に伝わる。

刀であれば自分にそのつもりがなくとも迷いがあれば剣筋が悪くなるし、また怒りが混じれば一撃は早くなるものの振った後の隙は大きくなるし、鋭さも落ちる。

だからこの箒の場合は迷いなく、必ず上がるという念を込めながら言ったら上がるのでしょう。

そう考えを纏めて箒へと意識を傾け…いざ実行にうつす。

 

「上が…って、え!?」

 

すると私が言葉をいい終える前に箒は待っていたかのようにピュン!と地面から飛びあがり私の手へと収まりました。

その様子を隣で見ていたハーマイオニーは何か信じられないような顔でこちらを見ていますが…正直、タイミングがずれたせいで手のひらを箒に叩かれたみたいになってしまったので少しだけ痛いです。

というかこの箒を上げる作業は別に言葉を必要とはしていないんですね。

 

「妖夢、私少しも上げられないのだけどそれどうやったの?」

「え?こう…言葉よりも箒が浮かび上がるイメージに集中してみたのですが…」

「成る程、言葉よりも言葉を掛ける対象の方が大事なのね…上がれ!」

 

ハーマイオニーが私の話を聞いて直ぐ様実戦にうつすと今度はハーマイオニーの呼び声に箒は応え、するりとてのなかに収まりました。

 

「お見事。」

「ありがとう!うまくできたわ!」

「ええ、しっかり見ておきましたよ。」

 

と、ハーマイオニーが箒を浮かばせて喜んでいるとマダム・フーチが今度は箒から滑り落ちない方法を私たちに教え始めました。

私はとりあえず自分で思ったように箒に股がると大体の基本はあっているみたいで、細かいところを数点注意されただけですみましたが朝食の場でずっと箒に乗るのは得意だと豪語していたマルフォイさんが握り方から間違っていたみたいで、それをフーチ先生に注意されてるのをみたハリーとロンが笑っていました。

私は剣術などでも独学では持ち方が間違うことなどもあるのでそういうこともあるだろうと流し、次の先生の指示をまちます。

そして全員の箒の持ち方を確認し終え、皆の真ん中辺りに立たれると

 

「それじゃあみなさん私が合図を出したら軽く地面を蹴りなさい!ただし、二メートル位で留まるように!では…1、2の…」

 

と、皆が一斉に飛び立とうとした瞬間、焦ってしまったのかネビルが飛び始めてそのまま飛びさってしまいました。

先生の戻りなさいという声が響くものの、ネビルは聞こえていないのか、聞こえていても操作ができないのかそのまま箒に振り回されるがままに宙を飛んで城の上の付近で箒から手を放して落下してしまいました。

その光景に私を含めた多数の人が息をのみ、固まるもなんとか城の壁に設置されてある松明台の針にネビルはひっかかり、ホッと皆一息をつく。

けれどそれもつかの間、直ぐ様ネビルの服からビリッ、ビリッという嫌な音が聞こえ彼の体が徐々に落ちてきている。

私は音がすると共に直ぐ様彼の落下するであろう地点に駆け抜けた。

そして私が間に合うか間に合わないかギリギリの地点でネビルの服はついに限界を迎え、ネビル自信が重力に引かれて落下した。

まずい、このままでは間に合わない。ならば…

 

「一か八か‼」

 

そう言いつつ右手に持っていた箒に魔力を流し、箒を動かしてその推進力を利用してネビルの方向にスライディングを繰り出した。

そしてスライディングの体勢でネビルをキャッチするとそのまま少し前に滑ったところで停止する。

箒が動いてくれるかは賭けであったがなんとかなったようだ。

 

「ふぅ、なんとかキャッチできましたか…大丈夫ですかネビル?」

 

私がそう聞くとネビルは恐怖が抜けない様子で、何も話すことができずに少し痙攣してしまってました。

…無理もないですよね、本来死んでいてもおかしくはないでしょうし、針に引っかかったのも少しずれていれば体に刺さっていましたし。

 

「妖夢、ネビル!大丈夫なの!?」

 

マダム・フーチが私とネビルの元へと近づくとすぐさまひざまずいて私とネビルの腕、足などを確認して骨折などがないかの確認をし始める。

けど私は体になんの違和感も痛みもないので多分折れたりなどはしていないでしょう。

 

「ええ、私は大丈夫です。ネビルはさすがに腕までは抱えれなかったのでもしかしたら手等が折れているかもしれません。それと少し落ち着けたほうがいいと思います。」

「ええ、あなたの言う通りね。さあ、ネビル立って…私はこの子を連れていきますが誰も飛んでは行けませんよ!もしそんなことをすればクィディッチのクの字を言う前にホグワーツから出て行ってもらいますからね!!」

 

と、厳重に注意するとネビルを連れて先生は城の方へと歩いていきました。

あまりひどくないとよいのですが…

私がネビルの心配をしているとスリザリンの生徒から聞き捨てならない言葉が響いてきました。

 

「お前ら見たか?あの笑える間抜け面を!」




今回もお読みいただきありがとうございました。
変な切り方かもしれませんが文字数的にこのくらいに…投稿間隔の関係もありましたのでこういう形にいたしました。
ようやく妖夢の念願の刀が振れるようになりました。
これで妖夢の腕がなまらずに済みます、よかったよかった。

それではまた次回!

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