ジュエリー REAL   作:ふたなり2

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相変わらず工房でアクセ作りに没頭する八幡、

そんな八幡の為にいろはは何かと世話をやきたいのだが。




先輩の為に

 

 

午後7時をまわりREALの閉店も近くなった頃あたしは

工房で夢中になって仕事をする先輩の横に座り出来上がる

綺麗なアクセをじっと眺めていた。

 

「何だよ、一色?」

 

「いえいえ、別にぃ~何でもありません。」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「え~い、鬱陶しいな話したいことがあれば言えよ。」

 

「ちゃんと聞いてくれますか?せ〜んぱい。」

 

「事によるが。」

 

「え~ちゃんと聞いてくれないと駄目です。」

 

「あ~分かったよ聞くから。」

 

「ふふ~ん、やっと聞く気になってくれましたね。」

 

「で、なに?」

 

「今日、お店終わったらご飯でも行きましょうよ。」

 

「駄目。」

 

「え~どうしてですか?」

 

「疲れてるから、それに面倒くさい。」

 

「じゃあ、今度の定休日の夜、ご飯食べに行きましょうよ!」

 

「展示会出品作品を後数点用意しないといけないから無理だ。

明日から徹夜続きになりそうだしな。」

 

「そんなに忙しいんだ…」

 

「すまん。」

 

「じゃあ、ご飯とかあたしが作りますから食べましょうよ。」

 

「いいよ、飯ぐらいカップ麺が何か食べるし何度も言ったが

一色に迷惑をかけれないし俺の仕事だから。」

 

「そんな…迷惑だなんて思わないしあたしだって先輩に色々と

迷惑かけましたからお互い様じゃないですか?」

 

「ダメだ、そんな事お前に頼めない。」

 

「じゃあ、先輩。」

 

「なんだ?」

 

「ご飯、行きましょうよ?約束したじゃあないですか。

いろはのお願い聞いて下さい。ダメですか…」

 

「…………あ~分かったよ!しかし行くのは勘弁してくれ。」

 

「はい!美味しい物一杯作りますから一杯食べて下さいね!」

 

「簡単に済ませていいからな、一色だって仕事あるんじゃないか?

負担をかけれないから。」

 

「大丈夫ですよ、心配しないで下さい。」

 

「じゃあ~何が食べたいですか先輩?リクエストありますか?」

 

「じゃあ、ハンバーグとか…」

 

「ぷっ、先輩子供みたい!了解です、腕によりをかけて作っちゃいますね先輩!」

 

「無理すんなよ一色、手間のかかる事は無しな。」

 

「了解です先輩~!じゃあ、買出しにちょっと行って来ますね先輩!」

 

「あっ、今日はいいからなって!もう行っちまった…」

 

 

先輩に頑張ってもらうためにも張り切っちゃいますね、先輩…

先輩の好きな卵焼きとお味噌汁も朝食に用意してと、献立も考えて…うん、よし!

 

・・・・・・・

 

「悪い、一色。」

 

「遠慮しないで下さい先輩。」

 

コンビニに駆け込んで取り敢えずすぐ作れそうな物をチョイスしてと…

いつものスクールのキッチンで出来るだけ待たせず早目に作った。

 

「こんな在り来たりな物しか作れなくてすいません。」

 

「バッカ、お前美味しいぞ。これなんか時間掛かったろ?」

 

「それ、お惣菜に一手間掛けただけで簡単に作れちゃうんですよ。」

 

「本当か?どうやるのよ、今度俺にも教えてくれよ。」

 

「ふふっ、あたしも実はお母さんからも教えてもらったんです。

一緒に作りましょうか先輩?」

 

「一色の母ちゃんは優しそうだな。」

 

「はい、あたしのワガママ始終聞いてもらってますもん。」

 

「そうか…。」

 

何時に無く穏やかな顔の先輩が言葉少なに答えた。

 

「先輩のお母さんはどんな感じの人なんですか?」

 

「そうだな…余りうるさくは言わない人だな。俺こんなだろ?

心配はしてたみたいだが自分の好きな事やれってな、後は

放ったらかしだ。」

 

珍しいな先輩が自分の事を言うなんて…

 

「優しい人なんですね、先輩のお母さんも。」

 

「そうだな…。」

 

スクールのキッチンで簡単に洗い物を済ませ先輩が

眠くならないように珈琲を煎れて飲んでもらった。

最近は、余り甘くなら無いように砂糖を少な目に入れてるから

ブツブツ言ってるかな。

 

「美味かった、一色。ありがとう。」

 

「はい、仕事…頑張って下さい先輩、じゃあ、そろそろ

帰りますね。」

 

「あぁ、遅くなるからな気を付けて。」

 

「はい…お休みなさい。」

 

「一色……。」

 

「その、なんだ…ありがとうな。」

 

「はい!」

 

 

 

・・・・・

 

 

翌日の夕方「ちりぃ~ん」と何時ものチャイムを鳴らしながら

REALに入ったら先客がいた、またまた懐かしい顔…が」

 

「おぉ~一色先輩?久しぶりですね~何年ぶりかなぁ~!」

 

「わぁー小町ちゃん~久しぶり~!」

 

「懐かしいなぁ~元気だった?」

 

「それはもう~元気が取り柄の小町ですから~って、あれ?あれれ?

何で一色先輩がここに?はは~ん、さては、ふ~ん、成る程~!

小町ピ~ンときちゃいましたよ!」

 

「あはっ、何を言っているのかな小町ちゃん?あたしは会社帰りに

先輩のお店のアクセスクールに通ってるのよ。」

 

「あのですね一色先輩?」

 

「へっ、なに?」

 

「今日はスクールお休みの日ですよ?」

 

「あははっ!あたしってウッカリして日にち間違えちゃったかな?」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ邪魔者は直ぐ退散しますから安心して下さい。

偶々、小町も仕事帰りにウチのゴミぃちゃんが生きてるかなって

覗きに来ただけですから。」

 

「あはっ、相変わらず仲が良いよね2人とも?」

 

「いえいえ、一色先輩とウチのお兄ちゃん程ではないですよ?」

 

「イヤだ、ちょっと誤解だってばぁ〜小町ちゃん!」

 

ちょうどその時先輩が店先を覗いた。

 

「ん~、なんだ一色かぁ~賑やかいから誰が来たのかと思ったぞ。

もう来たのか早いな。」

 

「ちょっとお兄ちゃん、一色先輩が折角来たのに『何だ?』はないでしょ!」

 

「いつも来てるからな。」

 

「ふ〜ん、いつもなんだ?へ〜来て何してるのかなぁ〜?」

 

「………………」

 

「別に一色はアクセスクールに来てるだけだよ。」

 

「ほぉ〜ぅ、確かスクールは週一のはず…いつも…ふ〜ん〜。」

 

「あははっ………」

 

「何だよ、小町?言いたい事があれば言えよ。」

 

「別にぃ〜、小町はこれで帰りますから後は若いお二人に

任せてと…。」

 

「なにお見合いの仲人さんみたいな事言ってんだ?」

 

「そうだよ小町ちゃん、誤解だよ!」

 

「あっ、そうそうお兄ちゃん。お母さんがね、

『偶には彼女を連れて帰っておいで』って言ってた。」

 

「『ほっとけ!』って伝えてくれ!」

 

「『もうすぐ連れてくから待ってろ』って伝えてるね!」

 

「バッカお前、何言ってんの?」

 

「じゃあ、お兄ちゃんまたね〜!あっ、それから一色先輩〜、

お兄ちゃんをヨロシクです〜!」

 

「あ〜小町ちゃん?!」

 

「ちりぃ〜ん」とドアを鳴らして元気良く小町ちゃんは帰って

行っちやった……

 

「ははっ、小町ちゃんたらもう!」

 

先輩は頭をクシャクシャって手でかき回し何やら

ブツブツと言って工房に入り込んでしまった。

 

小町の後に可愛い女子高生の2人組がお店に「ちりぃ〜ん」と

入って来た。

 

「いらっしゃいませ〜良かったら試して下さいね〜!」

 

楽しそうにアクセを試す女の子を見て小町ちゃんや結衣先輩達との思い出を

懐かしく思うのであった。

 

 

 






大勢の方に読んで頂き感謝にたえません、ありがとうございます。
お詫びと補足説明をさせて頂きます。

この度、私の拙い2次小説を読んで大変不快な思いを
大勢の方にさせてしまった事を深くお詫び申し上げます。
申し訳ありませんでした。

補足説明として

雪乃の場合、原作の高校卒業設定から7年後の設定で
両家の大人の事情等を理解出来る年齢と重ねて原作で子供の頃の
蟠りをお互い認め和解しました。もともと幼馴染で幼少の頃仲良く遊び
お互いをよく知っていれば一緒になってもおかしくはないと思います。
両家の両親が望む子供の幸せを二人がどのように感じ対応したまでは
書ききれていませんので申し訳ないのですが。
6話でいろはと結衣の会話中、2人が好きどうしなのに結衣に遠慮して
付き合いを躊躇ううちに、とうとう結婚間際になり雪乃が一緒に
逃げてと嘆願します。
しかし八幡は行かなかった…いや、八幡は雪乃の将来の事も考え
行かなかったのかもしれません。
相手を思いやり自身の心を抑え身を引いたのかもしれません。
反対に雪乃は迎えに来なかった八幡を恨む事無く、潔く恋心を
忘れる事にしたのでしょう。
この辺は読者のご想像にお任せします。
更に、婚姻し3年の年月が経過して互いに夫婦の愛情が芽生えても
不思議ではありません。また子供を授かり妻から母親としての自覚、
夫から父親としての自覚が同様に増します。幸せな感じを表現
したかったので敢えてあの様な表現をしました。

結衣の場合、2年間の空白が?との事ですがやはり
内に篭った八幡を慰めたと思います。が、八幡の性格上拒んだ
設定で進めました。
いくら慰めても心を開かない主人公に疲れ、結衣が逆に寂しい思いを
ずっとしていれば少しづつ優しく接してくれる男性に好意を持っても
おかしくはないし寧ろ自然です。
また、大学で数多くの出会いや社会人としてのお付き合いの
中で恋心が芽生えても不思議ではありません。
ましてや適齢期の女性なら今後の事も十分に考えてもいい年齢設定です。
八幡のスクールに恋人が出来ても通うのは複雑な女心と既に仲間と言う
概念に切り替わっていった関係を表現しています。「あたしだって女だもん、
綺麗な物とかアクセ好きだから・・」と結衣の複雑な心理を表現したつもりです。
作中、諦めたと言う言葉を拙く使い結衣自身が新たな人生を切り開く感じを
表現したかったのですが残念ながら力不足により出来ていないようでした。
私自身、結衣はいろはの次に好きなヒロインですが決してモブとか
汚れ役をやってもらう気で排除するつもりもありません。
もっと動くよう考えなきゃあと思っています。
しかし、能力不足と時間とかの制限がありクオリティーを
あげる事が出来ないので申し訳ない気持で一杯です。

今回、タイトル中にREALと言う言葉を付けましたが
言葉通り多少リアリティーのある物語にして進行するつもりです。

原作が大変人気の二次小説なのでお気に入りのヒロインが
思わぬ方向にとか「イヤこれは違うだろ?」と思われますが
多少は大目に見て頂ければと思います。

実際、私自身も他の作者のを読んで???と思う事も
ありますが「こう言うのも有りね」と笑っています。

さて、次回から新展開を検討中です。無い頭を絞って
頑張ってみようと思います。


ふたなり2



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