ジュエリー REAL   作:ふたなり2

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社会人となった一色いろは、毎日続く変わらない日々が
面白くないと思っていた。1人でアテもなくブラブラと
ウインドーショッピングをしていて見つけたお店が
高校時代の「先輩」こと八幡のお店だった!





あの先輩が〜!?

 

 

OLになって2年目、会社にもなれて若い営業の男どもはしょっちゅう飲み会とかデートに

誘いに来たり中には交際を申し込んでくるが浅はかであたしの体目当て… 上っ面の関係しか

求めない人ばかりでお付き合いなんかしたくない。差し障りがない程度の付き合いにすませ、

何時も距離を置いていた。

 

仕事がらみの事ばかりで毎日が同じことの繰り返し・・嫌になる。

 

大学時代の友達、『由香』とつるんでるけどいい人が出来たらしく最近はさっぱりだ・・

 

やっと貰えた賞与は雀の涙程……本当に景気が良いのかな?

 

「OLのボーナスなんてたかが知れてる、思い切って使っちゃおか…」

 

駅前通りを目的もなしにブラブラと眺め、物思いに眺めて歩いていた。

 

「服でも買おうか?あ~ん、この前のショップのまだ売ってるかな?でもシーズン終わるし

バーゲンでも買えるから…」

こんな時は中々決まらず結局買わない事が多いんだよね。買わなければ1日が潰れちゃう、

あ~貴重なあたしの休日が勿体ない無くなっちゃうよ!

 

たけど、そのお店が目に止まった。

 

間口が一間位の凄く小さなお店…今までそこはチケットショップだった。

新しく出来たらお店らしい、小さなアクセサリーショップみたい。店前のガラス越しに並んだ

シルバーアクセは感じがよく仕上げも丁寧で可愛らしい物が多かった。

 

「お店の名前は…えーとっ…『ジュエリー REAL』リアル?でいいのかな。

小さいお店だけどオシャレな感じがするし、気になったのがシルバーアクセ教室生徒募集中の

ステッカー、テレビで見て前から少し興味があるんだよな。

1度聞いてみようと思い切ってドアを開けた。

 

「いらっしゃい…」

 

店の奥から男の店員さんらしき人の声がした。中のショーケースにもシルバーを基本に色んな

小物があって目を楽しませてくれる。

 

「気に入った物があれば声を掛けて下さいね。」

 

さっきの店員さんらしき人からまた声を掛けられたけど余り気にしてないのか店前に出てこない。

 

気楽に見られるからお客の立場から言うと楽だけど商売熱心じゃないようだ。

 

教室の件を聞いてみようと奥の店員さんに声を掛けた。

 

「あの~すみません、お店の前に貼ってあるシルバーアクセ教室ってまだ募集してますか~。」

 

「あ~お客さん、今大事な仕上げの溶接をしてるところでほんの少し待ってくれませんか?

あと2~3分で終わるんで。」

 

随分と愛想が無い店員さんだなと思ったけど待つ事にした、だって暇なんだもん!

 

「構いませんよ〜可愛いの作って下さいね、後よかったら作りたても見てみたいな」

 

「ははっ、期待に答えたいけどこれは預かりものの手直しだからちょっと難しいな…出来たと、

どれお待たせしてすみません何でしょうか?」

 

店前に出て来た店員さんは先程までしてたジーンズ素材の

エプロンを簡単に畳み洗い立ての様な白いカジュアルシャツとスリムのジーンズにスニーカーを履いていた。

 

その人の顔を見てあたしは・・何だか嬉しく懐かしさがこみ上げた。

 

「あっ…えっ、先輩…?」

 

「あ?先輩って?一色…一色か?」

 

「え~~っ!何してんですか?こんな所で気でも狂ったんですか?もしかしたら人違いですか?

今からでも謝ります間違えましたごめんなさい!」

 

そう…あたしの知ってる先輩は目が腐っててボッチでこんな接客のいる仕事なんか

絶対出来ないから間違えたんだ… もっと、ビックリしちゃうのが少し大人っぽくなって…

胸元にさり気なくセンスの良いペンダントしてるし…それにカッコいいかも… やっぱり違うよね?

って…あれ?さっき、あたしの名前を呼んだけど、じゃあそこにいるのは先輩本人って事?どうなってんの?

 

「勘違いすんなよ、久しぶりだな一色。おっと今はお客様だったな、今日は何か欲しいものがあるのかな?」

 

「どうしちゃったんです一体?」

 

「あ~このお店の事か?大学出てから社畜になるのが嫌で、だから1人で出来る仕事を

やりだしたのが此れだ。修行先のオーナーから駅前通りにお店をオープンするから頑張れと

無理矢理任させられたんだよ、全く。」

 

「凄いじゃないですか!先輩、店長さんだなんて信じられません!」

 

「あーそのお客さん?今日は何をお求めで?」

 

「あの先輩がですよ?高校時代には考えられないじゃないですか!先輩が接客してるんですよ?

これは事件です!」

 

「あのね、俺も世間の荒波に飲まれて生きてるの。お客さんも気に入れば買ってくれるし

此方からは声を余り賭けずに済むがお前さんみたいに聞いて来るお客だけ相手してれば

いいから楽なのよ。それで今日は何?」

 

「はっ、余りの驚きで忘れていました。先輩がお店のアクセ作ったんですか?」

 

「まあ仕事だからな。」

 

「凄いです、感動しました。」

 

「あっそう…で、今日は何?」

 

「もぉ~~人が凄いって誉めてんのにもう少し照れたりリアクションくれなきゃ駄目じゃない

ですか本当に!」

 

「はいはい、ありがとうございますお客様。」

 

「先輩、お店のアクセも素敵ですけど表にアクセ教室の生徒募集中って貼ってあるじゃないですか、

あれまだ大丈夫ですか?」

 

「一応してるが…まさか、一色が入会したいとかじゃあないだろうな?」

 

「え~どうしてですか?あたしがアクセ教室に入りたいのおかしいですか?前から興味あったし

システムを聞いてみようと思いまして。」

 

「うちのシステムはこのパンフに書いてあるから読んで見てよ、あ~それから本当にやりたいの一色?」

 

「何ですか、その嫌そうな顔は。」

 

「別に、面倒だなってね。これ以上生徒が増えるのは面倒だから締め切ろうと思ってたところだ。」

 

「そんなに生徒さんって多いの先輩?」

 

「あ~今んとこ10人位かな~」

 

「そんなに居ないじゃないですか、あたしも教室に入りたいので宜しくお願いします。」

 

「えっ?入るの?面倒だから買うだけにした方がいい…うん、これなんか一色に似合いそうだ。」

 

「何で急に嫌がるんですか、あっ、それ後で見せて下さいね ♪ ってか、あたしが入会すると何で

面倒何ですか?もう決めましたから、何時から教室にくればいいんですか?」

 

あのね、生徒さんが増えるとやる事が多くなるし他のアクセ作る時間もあるんだから大変なの。

特に一色の性格だとまた面倒な所は俺に頼るに決まってる、だからだよ。

じゃあ~教室の事は無かったと言う事で…。」

 

「う~、違~う!あたしそんなに不器用な方じゃないの先輩知ってるでしょ?

それに綺麗な物作るの女の子方が得意なんですよ先輩!」

 

全然、商売熱心じゃあないんだから〜昔とあんまり変わってないかも。

 

「ふ~む、一理ありだな。まあ生徒さんも女子ばっかだし友達も出来るだろう。

……あ~アイツもいるし。」

 

「えっ、誰ですか?あたしの知ってる人がいるの?」

 

「まあ、教室にくれば分かるから安心しろよ一色。じゃあ、これが申込用紙だ分からなかったら

教えるから記入してくれ毎週水曜日と金曜日夕方 6時30分からやってるからどちらでもいい日に

通ってくれ。」

 

「はい、ありがとうございます、やった~嬉しいな。よ~し素敵なアクセどんどん作っちゃうぞ!」

 

「やれやれ、厄介者がまた増えたか。」

 

「何ですかそれ?6年ぶりの可愛い後輩に再会できて先輩は嬉しくないんですか?

あたしは少しだけ嬉しかったのに!」

 

 

 






少しいろはメインで書ければと思い書いてみました。
欲張り過ぎかもしれませんがやってみます。



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