京勇樹の予告短編集   作:京勇樹

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えー、これはD・C2なのは漆黒と桜花の剣士のINNOCENTバージョンです

聖騎士が裕也
魔導騎士が蓮華
桜天の主が義之
サイレントステルスが杉並です

この作品ですと、男女部門と総合部門に分かれているという設定です


魔法少女リリカルなのはINNOCENT 漆黒の聖騎士

20XX年 夏

 

混迷してるゲーム業界に、一筋の光明が差した

 

その名も《ブレイヴデュエル》

 

地方都市の研究者が開発した体感シミュレーションゲームである

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

ある初心者の三人の少女達が、そのブレイヴデュエルで遊んでいた時だった

 

上に<! CAUTION! HERE COME NEW DUELIST!!>

 

警報音と共に、その英文が表示された

 

「なっ、なになに!?」

 

突然の警報音にツインテールの少女、《高町なのは》が英文を見上げた

 

<このコールは…乱入者です>

 

なのはに教えたのは、彼女のデバイスである《レイジングハート》である

 

レイジングハートが言うと同時に、ゲートから一本の光がフィールドに落ちた

 

「乱入ですって!?」

 

レイジングハートの言葉に驚きの声を上げたのは、赤混じりの金髪少女《アリサ・バニングス》

 

「トレーニングモードだったはずだけど……」

 

そう首を傾げたのは、長い紫色の髪が特徴の《月村すずか》だ

 

彼女達三人は初心者のために、トレーニングモードで遊んでいたはずなのである

 

だから本来、乱入者は現れないはずなのである

 

だが、現実に乱入者が現れた

 

「…なんだぁ? 見ねー連中だ…お前らも、テストプレイ組か?」

 

現れた乱入者の姿は、赤いゴスロリ服を着ており、手にはハンマー

 

足元にはウサギが居た

 

「テストプレイ組? なんのことよ」

 

アリサはハンマー使いが言った《テストプレイ組》の意味が分からず、首を傾げた

 

「アリサちゃん、凄いよ…あの子」

 

すずかは手元のレーダーモードを見て、驚いていた

 

「所属のベルカ…っていうのはわからないけど、《R》クラスのカードの上に通り名まで持ってるみたい」

 

すずかの手元のレーダーモードには、ゴスロリ少女のデータが表示されており

 

カードランク R

 

所属 ベルカ

 

《鉄槌の騎士》

 

ヴィータ

 

と表示されていた

 

ヴィータと言うのが、ゴスロリ少女の名前なのだろう

 

「みたとこ、《N+》が3人…弱いもんイジメは趣味じゃねぇが、記録更新のためだ」

 

そう言うと、ゴスロリ少女ヴィータはハンマーを構えた

 

「全力でブチのめす!!」

 

言うと同時に、三人に向けて突撃してきた

 

「ど、どうしよう!? アリサちゃん! あの子、こっちに来るよ!?」

 

と、すずかが慌てているとアリサは鼻息荒く構えて

 

「対戦ゲームなんだから、乱入上等よ! 行くわよ、フレイムアイズ!」

 

〈ん? おぉっ、俺のことか!?〉

 

フレイムアイズと言うのは、どうやら彼女、アリサの剣型デバイスの名前らしい

 

「せぇ……のっ!」

 

気合とともにアリサは、自身の攻撃スキルである<フレイムウィップ>を発動して放った

 

炎の奔流は高速でヴィータに迫るが、ヴィータは止まることなくハンマーを後ろに引くと

 

「しゃらくせぇ!」

 

ハンマーで炎を叩いた

 

「ちょ…っ!? 反則じゃないあれぇっ!」

 

まさかそんな方法で防がれるとは思わなかったアリサは、驚きで眼を丸くした

 

「お か え し」

 

ヴィータがそう言うと、周囲に小さい鉄球が4個出現して

 

「だ!!」

 

ヴィータはそれを、アリサに向けて打ち出した

 

「やばっ!?」

 

アリサは慌てて剣を構えるが、間に合わず直撃

 

爆発が起きたが

 

「おいおい……ヴィータよぉ……お前はいつから弱い者イジメが趣味になった?」

 

気付けば、アリサの前に斧を持った中性的な少年が居た

 

「え!? だ、誰!?」

 

「だ、誰よ! アンタ!?」

 

アリサとすずかの二人が問い掛けても、少年は獰猛な笑みを浮かべるだけだった

 

その瞬間、すずかの背後にヴィータのウサギが現れたが

 

それは横から現れた左目に眼帯を着けた少年によって、蹴り飛ばされた

 

「え!? い、何時の間に!?」

 

すずかは、背後にウサギと少年が居ることに驚いていた

 

そして、現れた二人を見てヴィータが目を見開いて

 

「〈魔導騎士(ウィザード)〉に〈聖騎士(パラディオン)〉だと!?」

 

事態の推移に三人は追いつかず、ポカンとしていると

 

「はっ、ちょうどいい! 男性部門の一位と二位が居るなら!」

 

とヴィータは、二人の少年を攻撃しようとしたが

 

その体を、桜色の帯が縛った

 

「な!? バインドだと!?」

 

ヴィータはいつ縛られたのかわからず、驚いていた

 

すると

 

「二人だけな訳ないだろ」

 

新たな声が上から聞こえた

 

ヴィータとなのは達が上を見ると、そこには一冊の本を持ってる少年が居た

 

ヴィータはその少年を睨みつけ

 

「桜天の主まで居るのか……」

 

そう呟くと、ハッとして

 

「ってことは……アイツも居るのか?」

 

と首を傾げた

 

その時

 

「その通り!」

 

ヴィータの背後に、胡散臭そうな男子が現れた

 

「やっぱり居やがったな! 〈サイレントステルス〉!」

 

気づけば、ヴィータは四人の少年に包囲される形になっていた

 

その時だった

 

『そこのツインテールの女の子』

 

なのはの横に通信画面が開き、女の子の声がした

 

『〈ストライカーチェンジ〉を使って』

 

「ストライカー…チェンジ?」

 

なのはは少女が言った言葉の意味が分からず、首を傾げた

 

『君のデッキには〈N+〉のカードが2枚入ってるはず。その2枚を出して…あとは、君のデバイスが補助してくれるっ!』

 

少女がそうアドバイスした瞬間

 

「させるかよっ!!」

 

ヴィータは自身を拘束していたバインドを外すと同時に、鉄球を叩いた

 

ヴィータの叩いた鉄球はなのはに直撃して、爆発を起こした

 

「なのは!」

 

「なのはちゃん!」

 

アリサとすずかは、なのはを心配して声を張り上げた

 

「しまった!」

 

「ヴィータ!」

 

「お前は!」

 

「ちぃっ!」

 

四人の少年達は、なのはをそれぞれ違った反応をした

 

その時

 

爆発で起きた煙の中から、なのはが飛び出した

 

「なっ!?」

 

まさか無事とは思わなかったようで、ヴィータは驚愕していた

 

すると、なのはは両手を広げて

 

「カードリリース! ノーマル2枚!」

 

なのはの両手元にカードが1枚ずつ現れて

 

「カード、フュージョンっ!」

 

その2枚を合わせることで、1枚の新しいカードが生まれた

 

そして、新しいカードを左手で、カードホルダーを右手で持つと

 

「ストライカー…チェンジッ!!」

 

〈ドライブ・レディ!〉

 

レイジングハートの返答を聞いたなのはは、カードをカードホルダーに通して

 

「リライズ・アップ!!」

 

そのキーワードを唱えた

 

すると、なのはが着ていた制服が分解され、新たに現れたのは白を基調としたバリアジャケットだった

 

それを見たヴィータは、目を丸くして

 

「んげっ…あいつ、セイクリッドタイプだったのかよ!? どうりでバカかてぇと思った…しかも〈白〉とか、超がつくレアカラーじゃねぇか!?」

 

ヴィータはなのはのバリアジャケットを見て、驚いていた

 

「ほう、セイクリッドとはな……」

 

「三人目のセイクリッドか……」

 

「しかも白……初めて見た」

 

「……」

 

四人の少年達はそれぞれ違った反応を見せるが…ただ一人、眼帯を着けた少年だけは違った

 

なのはに期待を込めた視線を向けていた

 

〈なのは、最後のスキルカードをスラッシュしてください〉

 

「うん!」

 

レイジングハートの言葉に、なのはが返答すると

 

「やっべ!?」

 

ヴィータは直感的に危険を感じ取ったのか、障壁を展開した

 

その直後

 

「ディバイン…バスター!!」

 

なのはの放った極太の砲撃が、ヴィータを飲み込んだ

 

そして、煙が経ち上がると

 

「勝った…の?」

 

と、なのはは構えを解いた

 

その直後

 

「てめぇぇぇっ!」

 

ほぼ無傷のヴィータが、煙を突き破って現れた

 

「うそっ! まだ…っ!?」

 

なのはは、ヴィータがまだ動けるとは思わなかったようで、反応が遅れた

 

ヴィータはあっという間に間合いを詰めて、ハンマーをなのは目掛けて振り下ろした

 

その時

 

金属音が響き、ハンマーを二本の刃が止めていた

 

「ロケテスト時、女性部門ランキング6位。ベルカスタイル《鉄槌の騎士》八神ヴィータ」

 

「お前みたいな熟練者が初心者に襲い掛かるのは、感心出来ないな」

 

片方は金髪ツインテールの少女でその声は、通信画面から聞こえた声だった

 

もう一人は眼帯を着けた少年だったが、服が変わっていた

 

先ほどまで着ていた制服ではなく、黒を基調としたバリアジャケットだった

 

「へっ…女性部門2位様と男性部門1位様のお出ましか。上等だ! そっちの初心者ヤローとまとめて…」

 

ヴィータはそこまで言うと固まり

 

「初心者ぁ!?」

 

本気で驚いていた

 

そのタイミングで通信画面が開き

 

『ごめんなさーい』

 

と、金髪少女と茶髪の女性が両手を合わせて、謝ってきた

 

『ゲーム設定の最後のボタン。教えるの忘れてたよ~』

 

『《対戦相手求む・腕に覚えあり・全力勝負希望》になってたみたい…』

 

それを聞いたなのはは冷や汗をかき、金髪少女は嘆息した

 

そしてなのはは、金髪少女と眼帯少年の後ろからヴィータを見て

 

「え~と、その…」

 

と、言葉を濁していると

 

「油断していたとはいえ、あたしに一撃入れたんだ。次は手加減しねぇかんな」

 

とハンマーを向けて言うと、消えた

 

「あ……」

 

なにか言いたかったのか、なのはが手をさ迷わせていると

 

「ヴィータも、勝負にこだわりすぎちゃうところがあるんだけど、いい子なんだ」

 

「まあ、それが玉に瑕なんだが、許してやってくれるか?」

 

「う、うん。えっと……」

 

二人の言葉になのはは頷くと、なにを言おうと考え始めた

 

すると

 

「初めての〈デュエル〉はどうだった?」

 

と金髪少女が訪ねた

 

「デュエル?」

 

「ああ。BDでは、プレイヤーのことを〈デュエリスト〉。デュエリスト同士の戦いを〈デュエル〉と言うんだ」

 

「デュエリスト…」

 

眼帯少年の言葉を復唱すると、なのははゲームを始めてからを振り返った

 

(初めてのデュエル…びっくりして、戸惑って……少し悔しくて…でもっ!)

 

「楽しかった。すごくすごく楽しかったよ!」

 

なのはは満面の笑みで、素直な気持ちを言った

 

それを聞いた二人は満足そうに頷いた

 

「わたし…なのはっ! 高町なのはだよ!」

 

二人はなのはがいきなり名前を言ったことに、一瞬キョトンとしたが

 

「フェイト…フェイト・テスタロッサ」

 

「防人、防人裕也(さきもりゆうや)だ」

 

なのはと同じように、名前を名乗った

 

 

 

この出会いが、全ての始まり

 

「よろしくね、フェイトちゃんっ! 裕也くん!」

 

「ああ、よろしくな。なのは」

 

純粋な思いで駆け抜けた少年少女たちの物語

 

この物語は、ifの物語

 

ありえたかもしれない未来

 

どういう物語になるかは、まだわからない

 


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