京勇樹の予告短編集   作:京勇樹

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作者がずいぶん昔に書いたオリジナル作品です


重機甲戦記

HQ(ヘッドクォーター)より、イカロス1。もうすぐ、降下ポイントです。準備はいいですか?』

 

基地本部通信将校(コマンドポストオフィサー)皐月美智子(さつきみちこ)中尉から通信が来た

どうやら、作戦地域らしい

 

「こちら、イカロス1。感度良好、準備は万端だ。何時でもいける」

 

俺、高原幹継(たかはらみきつぐ)は、何時もどおりに簡潔に答えた

 

『では、作戦を説明します。イカロス中隊はこれより、孤立した友軍部隊の撤退支援行動を行います。なお、敵群は広範囲に散開しているため詳しい数は不明。しかし、最低でも大隊規模が確認されています』

 

「了解」

 

俺達、イカロス中隊が搭乗しているのは、現在世界中で普及している多脚戦闘兵器の通称アームドドロイドである

このアームドドロイドは汎用性を重視して開発されており、対空装備や対地装備、対潜装備など多岐に(わた)る装備が開発されていて、装備を換装することであらゆる戦況に対応できる

 

<降下ポイント到着! 繰り返す、降下ポイント到着! 部隊は降下態勢に移行せよ! 繰り返す、降下態勢に移行せよ!>

 

「全機聞いたな? これより、イカロス中隊は作戦行動に入る! 全機モードを待機モードから戦闘モードに切り替えろ!!」

 

俺は手元のパネルを操作しながら命令した

 

『『『『『了解!』』』』』

 

部下からの了解の声が、連続して聞こえた

 

『隊長、目的は友軍の撤退支援でしたね?』

 

HUD(ヘッドアップディスプレイ)に副官の姫川愛穂(ひめかわあいほ)の顔が映った

 

「そうだ。先の作戦ではぐれてしまった友軍の撤退支援だ」

 

『それならば、可能な限り交戦は避けるべきですね』

 

「そうだな。だが、そんな贅沢は言ってられん。ここは最前線なんだ」

 

『そうでしたね』

 

俺達が向かっているのは、日本は旧石川県の山間だ

すると

 

<全機降下開始!!>

 

と、床が開き、肩を掴んでいたアームが開いた

 

「現在、高度6000m。高度3000になったらパラシュートが開くぞ!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

そして、一気に高度が下がる

 

『どうやら<龍>や<キマイラ>は居ないみたいですね』

 

「そうだな。それが救いか」

 

龍そして、キマイラとは何か

まず、俺達が戦っている敵を教えよう

それは<幻獣(げんじゅう)>である

幻獣とはなにか

名前からわかると思うが、空想や想像の世界もしくは、神々の神話でしか描かれていない獣である

その幻獣が、今から約30年ほど前から現れ始めた

そして、幻獣達は突如として人類に対して牙を向けた

そして。2065年現在、ユーラシア大陸の9割が奴らの占領下になっている

そして、日本は最前線なのだ

 

「高度3000! パラシュート開く!!」

 

目標の高度に達して、背中のラックに積載されていたパラシュートが開いた

それにより発生するGを俺達は、歯を食いしばって耐える

そして、地面スレスレで追加スラスターを噴かして着地する

 

「イカロス1より中隊各機。友軍はここより南西の方角に居るようだ、移動開始! 索敵は厳に!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

部下達の斉唱を聞いてから、脚部スラスターを噴かして移動を開始した

これは、俺達の幻獣戦争の歴史である


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