~転生者深海棲艦奮闘記~前世持ちの姫がチート鎮守府とか相手に頑張るお話~ 作:R.H.N
まさかの中編です、長くなりすぎた・・・・。
今回、一端視点を艦娘側にしています。
後編はいつも通りの深海棲艦側に戻ります
~前編ラスト同時刻~その頃~オーストラリア近海、ブリスベンからケアンズまでの航路上のとある地点。~
「後数時間でケアンズですか、このままだと何事もなく輸送船の護衛はすみそうですね。」
「最近近くに深海棲艦の新しい拠点が出来た可能性があるとから気を付けろと本国政府の高木さんから連絡があったから、この輸送船の防衛に私たちがこうして来たが・・・・正直必要なかったようだな。」
「まだ私たちの出番がないとは限らないけどね、索敵は疎かにしないようにしなくちゃ。」
「最後まで気を抜かないでくださいよ?、護衛してる輸送船にもしもの事があったらラバウルの鎮守府建設に支障が出かねないんですから。」
「この輸送船がラバウルへの資材を積んでいることを考えれば、ある意味僕たちを派遣したのは間違ってないと思うよ?」
オーストラリアのシドニーを出港し、ブリスベンとケアンズを経由して、最終目的地ラバウルへと向かうため、ブリスベンから、次の経由地ケアンズへと向かう輸送船を護衛する艦娘達、
日本からオーストラリア近海の制海権を確保するために日本から派遣された達の提督の一人が送り出したその艦隊は輸送船の護衛にしてはガチとしか言いようがなく。
大和改、武蔵改、利根改二、足柄改二、五十鈴改二、睦月改二、如月改二、時雨改二、雪風改、秋月改、とかなりの高練度の艦娘が揃っていたのである。
(この世界には、艦これのような出撃制限は基本存在していないため、こんな編成が可能なのだ。)
この輸送船、オーストラリアの工場で組み立て可能なレベルまで作られた新型のレーダーサイトのパーツ1式が揃って積載されており、深海棲艦に沈められたりでもしたら届け先のラバウルのレーダー施設建築が大幅に遅れること間違いなしの状況だったため、輸送には深海棲艦に積み荷が重要な物だとばれるの覚悟で精鋭が割り当てられたのである。
今回護衛に来ていた大和たちも同様で、深海棲艦の襲撃に対応できるように派遣元の中でも特に精鋭である艦娘たちが輸送船の護衛に来ていたのであった。
そして、輸送船がオーストラリア空軍と、同国陸軍の対艦兵器の射程圏まであと十数分というタイミングで、「それ」は襲い掛かってきた。
「大和!対空電探に感ありだ!、やけに大きいのが4時の方向から6機ほど近づいてくる!」
「たったの6機!?夜間なのに?偵察機にしては数がほんの少し多いですね・・・・大型ということは空母の鬼、姫クラスからの機体でしょうか?」
「こっちも捉えました!対空戦闘準備しときます。」
「!?大変じゃ!水上電探に7時の方向からこちらに接近してくる深海棲艦の反応多数あり、戦艦2、軽巡、駆逐、空母がそれぞれ1に・・・・・ダイソンの奴と空母棲鬼の反応じゃ!」
「戦艦棲姫が来ているの!?くっ、こちらの事情に感づかれたのかしら!?」
突如現れた大型機群の反応、わずか6機という哨戒にしては多いその数に、秋月達駆逐艦勢が対処のために輸送船進行方向東側に前進し、同時に戦艦棲姫を含めた艦隊の確認のため、足柄と利根、大和が南側に前進、大和と五十鈴は輸送船付近に残ることにする。
「まだ敵艦隊の全容はわからないの?・・・・ん?、!?いけないっ!駆逐隊はその場から離れてぇ!!」
「え?」(バシャァァァァァン!!)
駆逐隊が東側に突出したタイミングで、五十鈴は急速で浮上してくる深海棲艦の反応をソナーで捉え、射線上に時雨達がいるのに気づくと、時雨達を対比させようとするが、時既に遅し。
深深度にて待ち伏せをしていた潜水棲姫が急速浮上と同時に放った8つの酸素魚雷は一つは外れたものの、残りは真っ先に雪風を捉え、雪風は機関部近くに一発が直撃、激しい水柱を上げ、機関部が浸水し単独での航行が不可能になり。
時雨は2発直撃で、当たりどころが良かったのか、ギリギリで轟沈を回避したが、大破しその衝撃で気絶してしまった。
秋月に至っては4発も命中していたが、運良く 3発が不発に終わり中破に留まっていた、
しかし爆発の衝撃で対空兵装の一部が吹き飛び、まともな対空戦闘能力を失ってしまっていた。
「時雨さん!しっかりしてください!!」
「潜水棲姫!?普通は泊地の付近で待ち伏せしてるような艦なのに・・・・」
「ふぇぇぇ…何でこんなところに来てるんですかぁ!!」
「不味いっ!機関部が・・・・」
「!!、急がないと!」
「ちょっと待ってください!五十鈴さん!!」
潜水棲姫の突然の出現に慌てた五十鈴は睦月達の援護のため大和の制止も聞かず睦月達の方へと向かう、が、潜水棲姫は浮上し雪風達を一瞥すると、何をする訳でもなくそのまま急速に潜航していってしまう。
五十鈴と睦月達が爆雷を投下するが1発が当たり潜水棲姫にかすり傷を与えただけで潜水棲姫は悠々と海底にその姿を消してしまっていた。
(ザッパーン!!)
「待ちなさい!!・・・・逃がしちゃったか・・・・ん?あれは?しまった!こっちが本命か!」
「何・・・・あれ・・・・」
(ブロロロロロ、ブロロロロロ)
そのタイミングでやって来たのは6機の非常に大きな航空機。
そう、先程武蔵達が電探で関知した6機の航空機であり、防空のために備えていた秋月達が、潜水棲姫の雷撃で混乱してる間に近くにまで飛来していたのである。
妖精さんの視点からすれば大型の鯨と勘違いしそうなほどの巨体(全長の時点で戦艦艦娘の身長と大差ないレベル、)を成したその6機の深海棲艦の爆撃機と思われる
(ブオォォォン!)
「!?そっちはまさか!やらせない!!」
「まさか私たちで対空戦闘になるなんて!」
「くっ…武装が破損してなければ・・・・っ!」
目の前の五十鈴達を
五十鈴、睦月、如月、秋月、雪風が迎撃するが秋月は雷撃の影響で本領を発揮できず、五十鈴は気絶した時雨を抱え、雪風は航行不能で動きにくい状態で攻撃したため、6機中1機を撃墜することが精一杯であった。
そして・・・・・・、
(スガガガガ!ドドドドトォン!!)
(シュゴォ!シュゴシュゴォ!!)
「いかん!何じゃこの弾幕は!ってへぶうっ!?」
「きゃああああああ!」
「ぐあっ…ああああああああああ!!」
「足柄さん!利根さん!武蔵!くっ…このぉ!」
武蔵達はロケット砲の砲火と攻撃の最中に撃墜された機体から放たれた煙幕のようなものに飲み込まれ、視界から消えていく。
しばらくして、煙幕の煙が収まり、大和達は武蔵達を確認するも、
足柄は主砲を中心に弾幕を食らい大破、10門もの主砲がほぼ全部使い物にならなくなり、
利根はカタパルトと顔面にロケット弾が直撃、搭載水上機に誘爆して大破&気絶。
武蔵も3機の集中砲火を受け、大和が途中で1機落としたからか、損傷自体は中破に収まるも、主砲1基を残して兵装が全部使用不可と言うほぼ置物状態になり、無傷なのは大和、五十鈴、睦月、如月の4隻のみと言う非常に大変な事態となっていた。
因みに武蔵達に大損害を与えた5機のうち、2機が大和の対空砲火で撃墜されたが、残り3機はまるで大和達を嘲笑うかのように高高度へと逃げていってしまった。
「ちっくしょう…この私が、ここまでやられるなんて… 」
「まだだ…まだこの程度で、この武蔵は…沈まんぞ!」
「ソリャソウダロウナァ、
「!?、武蔵っ!その場から離れて!!」
「んなっ!?」「トリアエズ、オネンネシテテナ?」(ドゴッ)「うがっ・・・・……」
空襲が一段落し、態勢を建て直そうとした武蔵
に煙幕に紛れ、どさくさに武蔵に接近していた
レ級が中破状態の武蔵の鳩尾を殴り、奇襲の一撃を受けた武蔵は呆気なく意識を手放す……。
「武蔵ぃっ!!」
「嘘……あれって・・・・。」
「レ級エリート・・・それに・・・・駆逐棲姫に軽巡棲姫・・・・……。」
「あっ・・・・ああ…………。」
そこに現れたのは、先程、水上電探で捉えた艦隊だったのだが、種別を確認出来なかった残りの敵のラインナップ、及び敵艦隊の全貌を見て、睦月達は絶望するかのようにその場に固まる。
戦艦棲姫、空母棲鬼、駆逐棲姫、軽巡棲姫、空母ヲ級、戦艦タ級、
ヲ級の周辺には新型と思われるエイのような形をした艦載機、空母棲鬼の周辺には先程武蔵達を襲った航空機が大回りで展開しているのが良く見てとれた。
只でさえと言える姫クラスが3隻、武蔵を襲った機体を飛ばしてくる空母棲鬼、新型と思われる機体を展開しているのがヲ級、そして、よりにもよってチートと名高い戦艦レ級のエリート。
先程の潜水棲姫がまた浮上してくる可能性を考えると、一部除いてボロボロの大和達ではどうしようも無いのが目に見えていた。
「あ・・・・・・ぁ・・・・・・・・」
「ヲ級、武蔵ヲ盾二シテオケ、」
「~~(深海棲艦の言葉で何かやり取りしている。)」
「どうすれば・・・・いいの?」
「・・・詰んでるようにしか見えない……。」
気絶した武蔵を肉壁として受けとるヲ級、
「サァテ、ット、
「嘘………でしょ?」
「ここまでなの・・・・?」
「まだ・・・・やられるわけにはいかないのに・・・・っ!」
大和達の目の前には、これから起こる惨劇のことしか、もう、見えていなかった・・・・
~後編へ続く~