~転生者深海棲艦奮闘記~前世持ちの姫がチート鎮守府とか相手に頑張るお話~   作:R.H.N

22 / 24
やっとこさ第二編も本格的に動き出します、執筆速度は相変わらずですが地道に更新は続けていく予定です。


第2編第二話、開発工厰と虹色の鍵

 

「・・・・・・ここが話にあった開発工厰?」

 

 

「そういうことだ、ようこそ開発工厰へ、と言っておこう」

 

 

ラバウル鎮守府の部隊に捕らえられ、捕虜として連行されて何だかんだ一週間が過ぎ去った。

 

とは言えど、何故かラバウルの方針により殆ど

捕虜らしくない自由な状態で過ごしており、中間棲姫達や私の配下たちも鎮守府内を割りと自由に歩き、鎮守府を調べ回っていた。

 

 

鎮守府を取り敢えず調べたところ、前にレ級(ヲ級達共々誰が誰だかとなると紛らわしいので名付け予定)が潜入した時やその前後に偵察機を自ら飛ばして調べたときとは大きく変わり、たったの数日で恐ろしいまでの武装化&要塞化が進んでいた。

 

 

レーダーサイトの増設に始まり、地上に設置されていた砲台には増加装甲が施され、深海棲艦から鎮守府への空襲に備えた妖精さん主体の基地航空隊が急速に増設され、専用の滑走路の増設が行われてたり、初期はヘリ数機とE2、F4改修型とF2が一機ずつのみだった通常の航空機部隊も、空自の主力と言えるF15や数の関係で無理矢理引っ張り出されてきたのか、F2の前身であるF1等がここラバウルにやって来ていたのである。

 

 

また、試験配備なのか何なのか、鎮守府近くの港湾部には新たに大型の連装砲が2基ほど配備され、上空には多数のドローンが高頻度で飛び交うようになり、挙げ句の果ては鎮守府周辺に大規模な防潜網が追加で張られ始めるなど、到底この短期間で起こった変化とは思えない事が起こっていた。

 

 

 

 

・・・が、開発工厰、建造ドックの2つは訳あって現状の私たちでは見学不可能の状態になっていたのだ。

 

 

今回、開発工厰へと招待されたのはここの提督の一人である村ノ瀬 正成(むらのせ まさしげ)提督に頼んでみたところ、同提督同伴を条件に許可が降りた、と言う事情あっての事であった。

 

 

「まぁなんだ、まだまだ性能評価を終えてない代物が多いが、ゆっくり見学していってくれ」

 

 

「好意に感謝させてもらうわ、工厰内をざっと見回しただけで早速、いろいろ言及してみたい話が出来たから。」

 

 

(・・・突っ込みたい!ホントにいろいろ突っ込みたい!!!)

 

 

今回、先に話にあった通り彼、村ノ瀬正成がここを見学する許可を出したからこそであるのだが、招待した彼自身も彼で、半ば自身の住処と化していた此処に珍客とも言える深海棲艦達がやって来たことに対し、少し嬉しそうにしているのが偽航戦姫には見てとれた。

 

それは取り敢えずおいとくとして、彼女はざっと見ただけで工厰内がカオスを極めていると確信した訳なのだが、【深海棲艦の親玉の一角、偽航戦姫】としてではなく、【転生者、南丞絢香】として気になり、言及したくなる開発品と思われる装備群がところ狭しと並んでいた。

 

ついでに今補足しておけば、現在この場にいるのは絢香と正成を除けば、

 

空母棲鬼(描写に無いだけで、爆撃隊発艦直後に偽航戦姫達に合流するため一足先に北方棲姫の所から離脱、中間棲姫と同タイミングで合流し、やっぱり捕まっていた。)

 

ヲ級エリート(偽航)

 

タ級

 

戦艦棲姫

 

軽巡棲鬼

 

騎龍

 

夕張

 

明石

 

以上8名がこの工厰にはやって来ている事を先に伝えておくこととする。

 

 

 

 

「早速なんだけど・・・・・・私の目の前に映るコイツ、アルケオプテリクスよね?おもいっきり私のレーダーにノイズ発生してるし」

 

 

「その通りですね、博士が倉庫再建記念に開発祭り開催しようとしてたら、まーたいつのまにやら資材投入限界が拡張されてたからって限界まで資材を投げて無計画に開発しまくりまして・・・・・・そしたら警告音と共にって所ですね、パイロットの妖精さんも私が知ってる人にそっくりなもので・・・・・・」

 

 

「えぇ・・・・・・・・・」(その割には皆反応が薄いのだけれどもねぇ、特に正成提督は)

 

 

(始祖鳥のパイロット・・・南極独立国家軍との面識・・・アンダマン海で救助されるパイロットと考えると、もしかすると連合ルート?)

 

私の目に映って思わず突っ込みを入れたくなったのは、ゲーム【鋼鉄の咆哮】シリーズに出てくる飛行機型の超兵器、【始祖鳥】アルケオプテリクスであった、作品別に武装仕様の違う赤と迷彩柄の二種類の機体があるのだが、両方ともあると言う充実っぷりである。

 

私自身が始祖鳥に関して鋼鉄プレイヤーしか解らないような考察を続けるなか、騎龍は話を続ける。

 

 

「あの戦争の後年、ソビエトがドイツから技術をパクった陸上戦艦と、自前の衛星型超兵器で南下を始めた時に【あの艦隊】の援護を受けつつ衛星攻撃用の対宙レールガン引っ提げて出動したときも、【返せなかった借りを返す】なんて言って二隻の陸上戦艦と交戦した陸上部隊の援護に本機で駆けつけてくれまして・・・」

 

 

とんでもない事がわかった、この騎龍って子、原作の通常エリアにいないだけでおまけエリアに参戦してるっぽいわコレ、ってかアダマン海のパイロットよりにもよってスレイプニル×2と戦ったのね・・・・・・アレ固すぎて一両相手するのもやっとなのに・・・ん?おまけエリアと言えば・・・・・・

 

 

「・・・・・・・・・あひる艦隊(ボソッ)」

 

「やめてください・・・アレは私のトラウマなんですから・・・ってか何で深海棲艦がその事を!?」

 

 

「いえ何、この世界にスレイブニルとその衛星らしき超兵器が出てくるゲームがあってね、そこにアホみたいな重武装してる生物が出てるのを覚えててね、こう見えて私持ち合わせる情報は幅広いのよ?」

 

 

「そうなんですか・・・・・・今でも覚えてるんですよ?あの光景、見た目可愛いあひるちゃん達が壮絶に物騒な兵器をこっちに向けてきたあのときの光景は・・・・・・」

 

「ってかあの、気がつけば海面はえげつない武装のあひるとすわん、まがもに包囲されるわ、空中は空中でジェット戦闘機真っ青の超高速で飛んでるあひるの口から荷電粒子砲がヌッと出てきたり・・・・・・白旗上げなかったらどんな悲劇になっていたやら、」

 

 

 

 

 

 

 

騎龍が遠い目で自身の体験談を語る。

 

 

軽く聞くだけでもわかることが多いがどうやらあっちの世界のあひる達は航空機までアヒルで統一されていたらしい。

 

不規則な機動性を別としたその他のスペックなら、鋼鉄世界最強航空機の一角ハウニブーすら軽く越えるのがアヒル航空機群である。

 

PSP版のゲームに出てきたこの航空機群は、見た目がアヒルの癖に最高速はF22の倍近く、種類によってはパルスレーザーやら荷電粒子砲やらの光学兵装を持っていて、一機単独が下手な戦艦並の耐久を持っている化け物であり、船の方もレーザーで武装してるし、すわんに至っては波動砲をブッパしてくる種類もいるもんなので、攻撃前の単純に包囲されただけのタイミングで白旗を上げる判断は正しいと言わざるを得ない。

 

「あの後多数のすわんに同行艦艇共々拘禁されて・・・・・・第零遊撃艦隊が来てくれなかったらどうなっていた事やら・・・・・・まぁどっちにしても、あの後の私には常に【アヒル相手に白旗振った超兵器】と言うアレな称号と、【武装衛星を打ち落としたただ唯一の軍艦】といった称号とが併存することになったわけです・・・・・・おまけに、最終的には遊撃艦隊と共同ですわんとあひるの大群を護衛することになりましたし・・・・・・(チョウヘイキゲキチンキロクヲソノゴエイイライデキロクシタノハナイショニ…)」

 

 

「うっわぁ・・・・・・騎龍も波乱の艦生過ごしていたのね・・・・・・ん?【第零遊撃艦隊】!!?」

 

 

「姫様?何か心当たりが?」

 

「遊撃艦隊は多数の超兵器を沈め、我が南極独立国家、【ウィルキア共和国】の独立にもっとも大きく貢献した英雄で、私の前身である播磨と近江を沈めたのもこの艦隊ですけど・・・・・・ご存知なので?」

 

 

「ちょちょちょまった!!?ウィルキア!?今ウィルキアって言ったわよね!?」

 

 

「どうされました?そんなに急に慌てて・・・・・・」

 

 

「・・・・・・騎龍、スマンコレ情報の再交換必須だわ、夕張、後で鎮守府の人員大方集めるから協力してくれ」

 

「了解です!あまり話になかった騎龍さん達の話、楽しみにしてますね!」

 

「え?、私何か変なこと言いました?」

 

「言ってないわよ?、ただ、名前に聞き覚えがあるのが多すぎるのよ、貴方の出身世界でない世界でのね」

 

「はぁ・・・・・・?」

 

この鎮守府、存外に身内同士の身の上話をしないらしい、第零遊撃艦隊にしろウィルキアにしろ、鋼鉄の咆哮をプレイしてたりその辺を調べてたりすると出てくるキーワードなのに・・・・・・、正成さんも騎龍から飛び出した情報に反応して夕張に指示を通した、この鎮守府の所属艦娘に関する重要情報の入手チャンスがやって来たかもしれない。

 

「・・・・・・何です?このやけに仰角の高い大砲は?」

 

「対宙レールガン、宇宙空間の軍事衛星攻撃用です、ウィルキア共和国軍が超兵器衛星、【ソビエツキー・ソユーズ】を撃破するために話にあった遊撃艦隊の艦艇に装備しようとして余った奴を改造する形で急造されたそうで、2つだけ生産されて騎龍さんに搭載、ソ連軍事衛星と戦える貴重な攻撃武装として機能したんだそうです」

 

「何でも、その時は陸上戦艦とかも同時に相手にしながらだったらしいんですけども、遊撃艦隊の援護もあって騎龍さんはその衛星を落とせたのだとか、コレがなかったら今頃騎龍さんのいた世界はどうなっていたんでしょうね?」

 

 

「対宙・・・・・・道理でこんな高角で・・・・・・コレがあれば宇宙空間の人工衛星に対応出来たのに」

 

「数日前、試しにラティメリアへ向けて放ったことがあるんですけど、博士謹製のあの衛星、コイツの弾弾き返してましたからねえ・・・正直無理じゃないかと思いますよ?ってか博士あの衛星なんなんです!?魚の形してるわやけに重武装だわ観測衛星の真似事も可能だわ、どんだけ万能なんですか!?」

 

 

「ハッハッハッハッハッ、ラティメリアはそれまでの同型衛星とはほぼ別物だからな、何しろ衛星軌道上での武装衛星艦隊の旗艦になることを予定して建造してた代物だ、妖精さん向けに改装されたとは言え、話していないだけで戦術、戦略単位の兵器を多数収蔵してるんだぞ~あの衛星は」

 

「装甲材として使ってる【マイロニウム統合合金】はペラ紙並の薄さで30mm機関砲の攻撃を楽々弾く対実弾用鬼畜装甲だ、ラティメリアに施されたマイロニウムの重装甲なら、高出力のレーザーだって長時間耐えられる程だぞ?」

 

 

「なんですかその化け物、騎龍さんの話してた衛星型の超兵器よりも強そうじゃないですか・・・・・」

 

 

「量産性皆無とか言うクソ致命的な弱点があるけどな!、ついでに言うと、製法も特殊すぎるから、マイロニウム使ってる衛星はラティメリアだけだし・・・・・・」

 

 

「つまり、ラティメリアを沈めれば他の衛星群への対処は格段に楽と・・・・・・覚えておきましょう」

 

話が逸れていた間に、ヲ級と明石が対宙レールガンと例の武装衛星の話で盛り上がり始める。

 

正成もそれに加わるが、さりげな~くとんでもない情報が飛び交う辺り、この鎮守府がいかに特異なのかを思い知らされる。

 

騎龍がさりげなく超兵器撃破記録を持つ貴重な超兵器だったり(他例はアメリカ製サルベージ超兵器ワールウインドを沈めたフォーゲルシュメーラしかいない)、例の武装衛星が鋼鉄の咆哮に出てきた超兵器武装衛星よりも格上だったり・・・・・・正直突っ込みどころが多すぎて頭がパンクしそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだそうだ、偽航戦姫、君に聞きたいことがあるんだった」

 

「聞きたいこと?」

 

「そう、あまり他言したくないからね、」

 

「・・・・・・同伴を条件とした立ち入り許可はそのためか」

 

「そう言うこと、次いでだし他の深海棲艦諸氏にも聞いてみるとしようか」

 

正成提督が急に何かを思い出したらしく、私に対して質問を投げ掛けてくる。

 

戦艦棲姫は正成の本来の意図を察知したらしいが、気にするでもなく正成は懐から小さな箱を取り出すと、簡単に質問し始めた。

 

 

「君達深海棲艦は提督になるのに【適正】が必要なことは知っていたかね?」

 

「・・・・・・へ?私は知らなかったわ」

 

「初耳ですね、単純に海軍がテキトーに人選してると考えてましたが・・・・・・」

 

「え?、そんなのあったの!?」

 

 

「少なくとも全体の常識ではないようだな・・・・・・この箱の中の鍵がその適正を図る代物なんだが・・・・・・」

 

「ふーん、そうなんだどれどれ……」

 

 

「あっ!不用意にさわる(ペカー)うおっ、まぶしっ!」

「えっちょまっ、」

 

「姫様!?」

 

正成から聞いたのは提督に適正が必要であったことを知ってたか否かと言うもの、可能性は想定してたが事実として知ってるわけではなかったのでいい情報が聞けたなとか思いつつ(ヲ級達も知らなかった様子なのには心の内で安堵したのは内緒)、正成に見せられた鍵を詳しく調べようと手にとって見たところ、突然として鍵が輝き、閃光が辺りを包んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして。

 

 

 

 

 

「・・・・・・今の閃光は一体……!!?」

 

「姫様・・・?」

 

「姫様、その鍵は一体?」

 

「姫様ェ・・・・・・」

 

「・・・・・・正成提督、」

 

「・・・・・・緊急会議開くぞ、必要人員全員集めろ!、捕虜も含めて全員だ!」

 

「了解しました、鎮守府内各艦娘に伝達します。」

 

「あ、もしもし、開発統括の正成です、陸の日輪中佐と本土の槇田首相に連絡繋げて頂けませんか?、控えめに言って大事件なんで。」

 

「これはこれは面白いことになってきましたね!」

 

()()()()ワンチャンありそうですねぇクォレハ・・・・・・」

 

 

 

 

 

光が収まったとき、私の手には()()()()()先程の鍵があった。

 

どうやら提督適正を図る代物だったらしいが、この結果は予想外だったらしく、騎龍の一言を起点とし正成提督の判断ですぐさま全体会議の開催が決定する。

 

正成提督はその場にあったケータイで大慌てで関係各所に電話を始め、騎龍は正成提督を促した後は鍵を見つめて動かない。

 

明石、夕張はコレから起こるであろう出来事に期待を寄せ、ヲ級達は困惑しながら鍵を持った私を見つめる。

 

(空母棲鬼に至っては口を開けたままである。)

 

 

 

「それにしても虹色ねぇ・・・・・・こんな変則的な鍵見たことも聞いたこともないわね~」

 

「コレが提督適正の証でしょうか?」

 

「そうじゃないかしら?仮にも深海棲艦に提督適正あるなんて前代未聞だろうし・・・・」

 

「色以外は何の変哲もない鍵かぁ、何で私がもったらこんなことになったのかしらねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?

 

 

「姫様?どうされました?そんなに顔を青くして、」

 

 

「・・・・・・何でもないわ、気にしないで」

 

 

「はぁ・・・?」

 

 

 

提督適正を示すと思われる鍵について語り合う私達。

 

 

話の最後、私は鍵を見つめていく中で、自身にも形容しがたい物体を見かけることとなってしまった。

 

 

 

それは、目の前の提督が【いかに恐ろしい存在なのかを確信させる】に足るものであったのだが、幸か不幸か、私が鍵を通してとある物を見かけたのはヲ級達に気づかれなかったようであった。

 

 

 

 

「すまんがここの鎮守府要員間で緊急に話さなければならない事が出来た、私はここで取り敢えず装備の整理をさっさと済ませちゃうから、他の皆は先に会議室の方に向かっておいてくれないか?」

 

 

「了解しました」

 

「仕方ないわね、私達も先に向かうわよ」

 

「わかりました」

 

「提督、私達も先に行って待ってますね」

 

「すまんな」

 

電話をしていたからか、私が【ソレ】を見て顔を青くしたことに気づかなかったらしい正成提督が、急ぎの会議への出席を促してきた。

 

虹色の鍵の件が話に上がるのは目に見えていたので、当事者である私も出ざるを得ないと考え、他の艦娘達やヲ級達と一緒に、提督一人を置いて会議室の方へと向かうのであった・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工厰に残った正成が一人、不穏な雰囲気を残していたことに気づかずに・・・

 

 

~続く~

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。