~転生者深海棲艦奮闘記~前世持ちの姫がチート鎮守府とか相手に頑張るお話~   作:R.H.N

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約一年ちょいぶりの次話投稿です、
覚えてくれてる人いるかなぁ?


~第10話~合流と遭遇~

「・・・・・・北方棲姫様、富士航空隊、帰投致しました」

 

 

「成果はどう?」

 

 

「作戦は成功、ラバウル基地の燃料倉庫は爆散、これであの鎮守府は大規模な艦隊行動を行いづらくなりました。」

 

「なお、こちらが送った富士はぼろぼろの3機のみの帰還です」

 

「やった!これで当座は凌げるかな?、でも富士はもう暫くは出せないね・・・」

 

「流石にそれは仕方ないかと」

 

ラバウルへと爆撃機を飛ばしてから数時間後、オーストラリア近海からラバウルを迂回して移動し、ギルバート諸島近海にて配下と共に富士を回収、回収された富士からの情報を纏めた副官のツ級からの報告を受け、北方棲姫は取り敢えず作戦が成功したことに安堵していた。

 

 

 

 

 

「ですがいくつか気になることが」

 

「何々?」

 

「まず、ラバウル爆撃を行った帰還機からの報告によりますと、こちらが傍受し解読した暗号と食い違い、ラバウルに例の超武装潜水艦と双胴戦艦、謎のアメリカ艦とが展開していたとの報告がありました」

 

 

「え?解読した暗号が正しいと、超武装潜水艦と双胴戦艦って今は大西洋のはずだよね?」

 

 

「恐らく偽物を掴まされたのかと思われます、謎のアメリカ艦に関しては正確な位置を割り出せていたことを考えると、作戦進行に支障が出るのを覚悟で意図的に偽の情報を流布し、ラバウル主力の配備位置を誤認させたのかと。」

 

 

「だとしたら作戦関係の暗号が出回る前に何かしらの方法で口裏合わせていた可能性が高いね、と、すると此方が予想したラバウルの方面戦力配備位置は完全に当てに出来ない・・・かな?」

 

 

「いえ、恐らくラバウルの超武装艦群が、ラバウル及びトラックの防衛、ニューカレドニア攻略、統合本拠地方面陽動、大西洋方面配備の5方面に戦力を分散した事はほぼ間違いないかと」

 

 

作戦成功に安堵する北方棲姫だが、報告を聞いている副官のツ級の分析は高い精度でもって現状の不安点を指摘していた。

 

 

「ん?報告?ちょっと待って・・・・・・ツ級、もしかしたら今言った予測、半分合ってて半分間違ってるかもしれない」

「・・・と言うと?」

 

 

他の方面から北方棲姫の所に到達した連絡用の機体が北方棲姫に何かを報告する。

 

それを受けた北方棲姫は、何かに気づき、ツ級の予測に報告を元にした自身の新たな予想を被せてみる。

 

 

「今さっきニューカレドニア守備艦隊と本拠地から連絡があったんだけど、まず一つにニューカレドニア守備艦隊は上総、下総と大和以下、ラバウル鎮守府の主力()()と交戦していたみたい・・・さっき壊滅して今は残存艦が敗走してるらしいけど」

 

「ラバウル鎮守府の主力のみ・・・なるほど、例の巨大戦艦を主力とする少数精鋭での突破作戦で来ましたか」

 

「それと、本拠地からは、トラックに向かった中間棲姫のレ級艦隊と、統括してた偽航戦姫のエリートレ級との連絡が途絶えたって連絡があったんだ」

 

「んなっ!奇襲開始からまだ時間が・・・!まさか!」

 

 

ニューカレドニアの防衛艦隊敗走(ミッドウェー方面部隊には玉砕したと誤報が流れた)と、トラック奇襲部隊からの通信途絶と言う二つの報告は戦況が良くないことを端的に示すものであったが、北方棲姫は冷静に話を続ける。

 

 

「うん、私達が警戒していた超武装艦群、【りゅうおう】【上総】【下総】【近江】【ヴァツーチン】と不安要素だったラバウルの主力大型艦隊、そして謎のアメリカ艦、この内ヴァツーチンを除いたほぼ全ての艦がニューカレドニア攻略とラバウル防衛のどっちかに当てられているよね?、そして・・・」

 

 

「トラック奇襲艦隊が速攻で通信途絶・・・となると、ヴァツーチンがいるのはトラック島・・・と言うことになりますな」

 

 

北方棲姫の言葉にツ級が悟る、その顔には自然と笑みが溢れていた。

 

 

「このまま推移すれば、作戦成功はほぼ確実だね」

 

「それどころか、半ばバクチだった副目標も達成できそうですな」

 

「ニューカレドニアは囮、持ち合わせの戦力の殆どを超武装艦が投入される(と予測されていた)本拠地周辺の防衛に回し、その間にラバウルの燃料倉庫を吹き飛ばして超武装艦の補給線にダメージを与え、トラック奇襲による混乱で作戦中止に追い込むプランから、超武装艦が本命の防衛線に出張らないのを良いことにした反攻プランに早変わり・・・だね!」

 

「防衛線に自ら出陣なされた港湾、戦艦両水鬼様がドヤ顔で戦果自慢する姿が今からでも見えそうですな」

 

「だね、それじゃあこっちはやることやったし、取り敢えず退却しようよ」

 

「御意に」

 

自分達の仕事は終わった、予定通りに部隊を引き上げる予定だった北方棲姫は、このタイミングにて、何処からかやって来た非常に強い悪寒に襲われることとなる。

 

 

 

 

 

「・・・・・・ッツ!(なに・・・これ、)」

 

「姫様?」

 

「・・・ツ級、あなたは部隊を纏めて先に引き上げてて、ほっぽはちょっと気になることが出来たから。」

 

「・・・見たところ姫様のそのご様子では我々も同行した方が良さげですが?」

 

「それはやめて、多分無駄死にするだけだと思う、」

 

「!?、・・・わかりました、姫様、後武運を」

 

「うん、じゃあツ級、後お願いね?」

 

何かを感じ取った北方棲姫は、自身の感じ取った悪寒のする方向に見当をつけると、隠匿していた緑色のオーラをあえて纏いながら、ホバークラフトと見紛う程の高速でその方向へと全速力をもってして急ぐ・・・

 

 

「この方向・・・偽航さんと中間さんの合流位置の・・・間に合って!」

 

 

全力で疾走する北方棲姫の脳裏には、ニューカレドニアに工作を行った偽航戦姫と、それを迎える予定の中間棲姫の姿が写っていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~一方、マーシャル諸島、偽航戦姫、中間棲姫合流地点~

 

 

 

「偽航戦姫、お疲れ様、うまく仕込み終わったようね」

 

「ええ、なんとか、それにしてもあの守備隊はラバウル、トラック付近方面からの戦力に耐えきれるでしょうか・・・」

 

 

北方棲姫が全力で駆け出した頃、元本拠地であるニューカレドニア島に()()()を施した偽航戦姫と直属の部隊はニューカレドニア島が予定よりも早くに占領された場合のことを考え、艦娘の戦力が及んでいない東側の諸島群れを避け、相手の虚を付く想定であえて北上し現在はマーシャル諸島へと到着していた。

 

トラック諸島に多少近いこの地で迎えである中間棲姫の部隊と合流し、ここから東進しつつハワイまで退却する手はずとなっており、道中敵の主力が進軍してくるであろうミッドウェーに近づくため、そしてミッドウェーの守備隊が聞きに陥ってるのならばその場で駆けつけるために中間棲姫の部隊が護衛の役目を担っていた。

 

 

「事前に此方が入手した情報が嘘で、ラバウルの超武装艦が一隻でもニューカレドニアに投入されていたら、敗走は確実でしょうね」

 

 

「その時のために時間をかけてニューカレドニアに工作を仕掛けたわけですけど・・・どうなることやら・・・作戦はどうなってます?」

 

 

「ごめんなさい・・・こっち方面は厳重な無線封鎖中で良くは・・・取り敢えずラバウル爆撃が成功したのはわかったんだけど・・・」

 

 

「それなら最低限、超武装艦の足を止めることは出来たかな・・・?」

 

偽航戦姫が心配しているのは後詰めとして残ったニューカレドニア島防衛部隊の事であった。

 

彼女達が用意した仕掛けが発動した場合、それは防衛艦隊の敗走を意味していたが故の発言だったが、この時、撤退において無線傍受による位置バレを避けるため偽航戦姫も中間棲姫も通信を封鎖していたのが仇となり、この時、とっくのとうにニューカレドニア防衛艦隊が敗走していたことに気づくことが出来なかった事が、彼女達のその後の展開に大きな影響を与えてしまう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ッツ!」

 

「・・・姫様?、それに中間棲姫様も・・・?」

 

「・・・・・・・・・ねえ偽航戦姫、あなたも感じた?」

 

「・・・・・・はい、とても嫌な【何か】を感じましたね」

 

「そう、じゃあ、嫌な「姫様!偽航戦姫様!、何かが猛スピードで接近してきます!」・・・!?」

 

 

二人の姫が突如感じた謎の嫌な予感、偽航戦姫の副官であるヲ級eliteが心配そうに二人を見つめるが、それとほぼ同時に中間棲姫の副官であるヲ級eliteが【何か】に気づき、報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、彼女達のすぐ近くで起こる、あまりにも大きすぎる水しぶき。

 

そして・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・こちらヴァツーチン、ラティメリア、聞こえていますか?・・・・・・そちらが観測した謎の深海棲艦のいる地点に到着、蒼井提督、騎龍さん、上総さんの到着も確認致しました、後、今回は緊急の要件なので仕方無いのですが、次からはもう少し穏便な輸送方法にしていただけませんか?私、割りと必死でいきゅうちゃん抱えてたんですからね?」

 

「両提督もとんでもない無茶苦茶をなさいますね、それにしても正成提督と共同で動くとこのような芸当も可能だなんて・・・・・・あ、ヴァツーチンさん、ニューカレドニアに残したいきゅうちゃんに何かあったらすぐ報告するようお願いしとくようお願いいたします」

 

「あいたたた、蒼井提督のお手伝いの為とは言え、あんな無茶苦茶をすることになるなんて・・・あ、提督申し訳ありません、着水の衝撃で機関が不調になってしまった模様です。」

 

「ぽよ~、ぽよぽよ~~」

 

「あのヴァカみたいな方法で無事な方が基本的にはおかしいからへーきへーき、あんまり無理はするなよ?」

 

「了解致しました」

 

 

 

 

巨大な水しぶきの中から現れたのは、黒髪ロングで長身、かつ肩に真ん丸い猫をのせた艦娘。

 

同様に高身長で、肩に赤い何かを乗せた白髪ロングの艦娘。

 

前者二人に比べると多少劣るも、それでも日本人女性の平均と比べると明らかに長身で、黒髪ポニーテールでどことなく不知火に似た顔つきのメイド艦娘。

 

そして、透き通った水色の瞳をし、膝まで届くんじゃないのかというレベルの長髪である画家のような格好をした男・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ偽航戦姫、彼女たちってもしかしなくてもってやつ?」

 

「・・・・・・じゃないかしら?」

 

「ヒッ!、姫様っ!スミマセンっ!」

 

「大丈夫よヲ級、あなたは私が守るからね、」

 

「まずいことになりましたね姫様、偽航戦姫様との合流のタイミングでの遭遇とは・・・」

 

「クソッ!戦闘準備だ!姫様達を守り通すぞ!」

 

大慌てで偽航戦姫に付いていた戦艦棲姫達が来訪者達の前に立ちふさがる。

 

 

 

 

「敵戦力を確認・・・例の謎の深海棲艦と中間棲姫、戦艦棲姫を中心とした艦隊のようです、蒼井提督、ご指示を」

 

「と、その前に少し良いか?」

 

「御意に」

 

 

 

 

 

 

よりにもよってやって来たのはあれほど自分達が警戒していたラバウル鎮守府の超武装艦3隻とおもいっきり宙に浮いているラバウルで補給関係を握っていたと思わしき人物。

 

男はともかくとして他の艦娘3体には到底勝てそうにない、といえるほどの過剰戦力がこの場にやって来たのだ。

 

そして、宙に浮く男はメイド服の艦娘と短くやり取りすると自ら宙を歩いて偽航戦姫たちに近づいてくる。

 

 

メイド服の艦娘は此方の様子と彼の行動を逐一見守っていて隙は無さげだし、残りの二人も白髪の方の通信で何かしらのやり取りをしているが、その実何か起きたらすぐ対応できるように全く隙のない状態だと言うことが直ぐに理解できた。

 

 

「っ!撃てぇー!」

 

「・・・待ちなさい!!!」

 

焦った戦艦棲姫の号令により護衛たちの砲が、男に向かって一斉に火を吹く。

 

中間棲姫が遮ろうとするが時既に遅し、男はマトモに砲火を受けることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景をみた艦娘たちは、その様子を見つめるも、表情に特に変化は起きていない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの後、砲火の中からは()()()男が姿をゆっくりと表していた・・・・・・。

 

 

~続く~

 

 

 

 

 

 

 

 


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