Glory of battery   作:グレイスターリング

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※パワプロとMAJORのクロスオーバー小説です。これらが好まない方はご注意ください。出てくるキャラは基本的に全員同じ世代ですが、一部は違ってたりします。


リトルリーグ編
第一話 彼女との出会い


「…ここかな」

 

 リトルチームの練習場とは思えないほどの広いグラウンド。高性能に作られた様々な練習器材。そして何より、ハイレベルに展開される練習風景。…まさに噂通りの強豪チームだ。

 

「今日からここで野球をするんだよね、俺は」

 

 おっと、自己紹介がまだだったか。俺の名前は『一ノ瀬大地』。物心ついた頃から野球が大好きな純粋野球少年だ。

 ポジションはキャッチャーを守り、ここへ来るまでも暁リトルというチームのエース『猪狩守』とバッテリーを組んでいた。が、仕事の都合で引っ越しとなり、『横浜リトル』というチームでプレーすることになった。

 

「しっかしレベル高いな~。暁のときと同じぐらいかそれ以上だよ」

 

 横浜リトルは近年、リトルの全国大会に4連続で出場をし、優勝経験も積んである名門中の名門。昨年の大会でも準決勝でぶつかり、なんとか一点差で逃げ切ることができていた。あの猪狩を一番苦しめた、数少ない相手でもあったな。

 

「さてと、樫本監督はどこだ…?」

 

 少し離れた場所からフェンス越しに辺りを見渡すと、メガホンを片手にイスへ座り、実戦練習をしている選手にアドバイスや指示をしている大人が目に入った。

 

「あの人っぽいな。でもどこから声をかけるか……」

 

 

 ──スバーン!!

 

 

「っ、ん?」

 

 グラウンド横のマウンドで、キレの良いミット音が鳴り響いた。反射的に覗いてみると、可愛らしいお下げが揺れながらも、コンスタントにキャッチャーが指示したゾーンへ的確に投げ込んでいた。

 

「あの子って女子……だよな?」

 

 球威も女の子ながらそこそこあるし、時折魅せるカーブもいい落差を誇ってる。そこらの男子顔負けの投球だぜ、これは。

 

「よし、あの人に頼んでみよう」

 

 マウンド横のフェンスに近づき、軽くフェンスを揺らしながら喋った。

 

「ごめん、ちょっといいかな?」

「ん…どうしたの?」

「あのさ、実は俺今日からここに入部することになってるんだけど、今監督忙しそうな感じで声かけにくいから代わりに呼んできてくれる?」

「あら、あなた入部希望なの。ちょっと待ってて、監督を呼んでくるわね」

 

 そう言うと、捕球をしていたキャッチャーの元へ行って訳を話し、直ぐに監督へ駆け寄ってくれた。30秒後、監督はイスから立ち上がり、こちらへ歩いて来た。

 

「君が一ノ瀬大地君だね?」

「あっ、はい」

「話は既に聞いている。早速で申し訳ないが、君の実力を少し見させてもらいたい、いいか?」

 

 いきなり実力を見られるのかよ…。でもなんか面白そうだし、やってはみるか。

 

「…はい、全然構いませんよ」

「いい返事だ。では荷物を置いて準備が出来たら早速テストする。そうだな……川瀬、一ノ瀬に案内をしてやってくれ」

「分かりました」

「ん、では頼む」

 

 すっと後ろを振り向き、監督は指導へと戻っていった。サングラスの奥底にある目が少し怖かったよ。

 

「…えっ、と………」

「あー、俺の名前は一ノ瀬大地。確か川瀬さん…だよね?」

「うん。私は川瀬涼子よ。これからよろしくね」

「おうっ、こちらこそよろしく」

 

 涼子ちゃんはニコッと可愛く笑いながら手を優しく前へ出し、俺も合わせて彼女の右手を握った。

 

 

  これが彼女との最初の出会いであった──

 

 

 

 




 すいません、かなり短くなってしまいました。次回はもう少し長くしようと思います。


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