「んー……スッキリしたぜぇ」
武田家流CQC『ロケット頭突き』。凄まじい勢いで相手に向かって跳び、そのまま頭突きするだけのシンプルな技だ。その技を受けた織斑一夏は白目になってK.Oしている。
「全国のニート達よ、仇はとったぞ…!」
「何をしているかぁ!!!」
「ハンブラビ!!!?」
織斑先生から強烈なドロップキックを後頭部にプレゼントされた。
「何って、織斑一夏のせいで私はここに来るはめになったんでっせ?本来なら私はニート生活を寿命が尽きるまで満喫し、あの世でも満喫する予定だったというのに…!こいつがッ!この男がッ!ISをッ!動かしたッ!許すまじッ!という訳でぇ!!!直ちにセプクせよ!織斑一夏ァ!!!しないなら私が貴様にハイクを詠ませるぅぅぅ!!!もしくはアイエエエエ!という悲鳴を上げさせてやぁるぅぅぅ!!!ですからイヤーッ!」
「グワーッ!」
「「「「「織斑くんんんん!?」」」」」
「だからやめろと言っているだろうがぁぁぁ!!!」
ドゴッキャ!
「アイエエエエ!」
***
「申し訳ありません。織斑一夏を見た途端、全ての理性が吹き飛びました。今更ながら自己紹介します。えー、名前は武田正樹。身長は250センチ。体重は137キロ。視力はマサイ族並み。座右の銘は『壁に耳あり障子にメアリー?だが私はありのままであり続ける』です。好きなものは色々。嫌いなものも色々。大嫌いなものは織斑一夏」
「え!?」
「ただし、弄ぶのならば織斑一夏が大好きです」
「ええ!?」
「将来の夢は『少女向け漫画やアニメのキャラって結構目ぇデカいよね?目潰ししたらどうなるんだろう?良し、目潰ししてみよう』なので少女向けの漫画、もしくはアニメのキャラの目潰ししてみたいです。というか、目が大きかったらとりあえず目潰ししてみたいです」
「えええ!?」
「さっきからうるせぇぞダメなバナージ!」
「え!?俺ぇ!?というかバナージって誰!?ってか誰がダメだ!」
「テメェだこんにゃろう!あと、目潰し対象に貴様も入っているということを忘れるな!」
「うええぇぇぇぇ!?」
本当は内臓攻撃したいが、それはISの模擬戦にでもくらわしてやる。絶対防御が貫けなきゃ地獄突きになるがな。にしても、さっきから皆様ポカーンとしてらっしゃるな。
「さて、私の席はどこですか織斑先生」
「ふんっ!」
ズドムッ!
「ぶうぅぅっ!!!?」
織斑先生から地獄突き貰いました!ちくせう!私が何をした!?
「武田、貴様には反省文100枚だ」
「ぎゃあああああああ!?」
くそう!私の自己紹介のどこがいけなかったのだ!?仕方ない、反省文の代わりに100ページに及ぶ官能小説を書いてやる。
私は織斑先生に言われた席に座った。横にいたのは…
(萌え袖…だと…!?)
萌え袖を装備した、のほほんとした女の子がいた。
「おー、近くで見るともっと大きいねぇ。初めまして、布仏本音だよ~」
「おや、こいつぁご丁寧に。武田正樹です。たっきーと呼んで下さい」
「らじゃー!」
あらやだいい子。しかし、胸には凄まじい凶器を二つ装備している。萌え袖でありながらこの凶器……。恐るべし、布仏本音もとい、のほほんさん!ちなみに胸を見たのは0.0001秒です。誰にも気付かれておりません。
ちなみに、私のせいで既に休み時間となっております。
「ところでたっきー、質問いい?」
「Come-on naw」
「おお、発音上手だね。それじゃあ質問1!」
「うぇい!」
「たっきーに彼女はいますか!」
クラスと廊下にいる生徒がこちらに凄まじい勢いで視線を送る。怖ぇよ。目ぇ血走っちまってるよ。しかしながら、あえて言わせてもらおう。織斑一夏?大和撫子な女の子に連れてかれたが?
「八尺様である!」
「「「「「…?」」」」」
「「「「「何ですとぉ!?」」」」」
二つに分かれました。八尺様を知っている人と知らない人。
「ついでに、姦姦蛇螺と口裂け女、ひきこさんとメリーさん、最後にスレンダーマンが友達にいます」
「「「「「ファッ!?」」」」」
「写真あんだけど見る?」
「「「「「見ます!」」」」」
食い付いた女子はオカルトが大好きなんだな。私は嬉しいよ。
「それじゃあ次の質問!」
「トゥ!トゥ!ヘアー!」
「たっきーは何故そこまで強いのか!何かに憧れているの?」
「強さは目指せ黄金バット!」
「それは正義!」
「知っているのかのほほんさん!」
「かんちゃんに教えてもらったんだ~」
「ぬぅむ、そのかんちゃんとやらに会いたいものだ」
間違いなく仲良くなれる。
「ではでは、もっと行ってみよー!」
「「「「「行ってみよー!」」」」」
「おぉっと、いつの間にかギャラリー沢山!お兄ちゃん燃えてきやしたぜー!」
他クラスもいるが、まぁ気にしない!
「好きな女の子のタイプは!」
「あえて言わせてもらおう!今まで養ってくれたMy motherであると!」
「マザコン!」
「お母さん強し!」
「武田くんをもらうには、武田ママを越えるしかないというのか!?」
「武田くんがこれだけ強いならお母さんも強い(確信)」
あれ?何で私狙ってる人がいらっしゃるの?女尊男劣のこの世の中ってレズばっかじゃなかったか?いや、それは私がいた環境のせいか。女尊男卑になったせいでレズ本が増えたからな。いやはや、ありがとうございます。夜のお世話になりました。しかし現実はそうでもない、と。残念!
「ではでは、もっと質も「ちょっと、よろしくて?」…ほえ?」
「むむ?」
突然のほほんさんを遮るように、お嬢様口調の声が聞こえた。そちらに視線を向ければ…ど、ドリルヘアーだとぉ!?
「何ですかそのお返事は!?このわたくし、イギリス代表候補生であるセシリア・オルコットに話しかけてもらえるだけありがたいことですのよ?全く、これだから男は。…って、何をしてなさいますの?」
「お願いします寛大なオルコット様、しばらく拝ませて下さい」
しかもセシリーだと?ビギナ・ギナのパイロットと同名じゃねぇか。口調こそ違うが、この子も立ち振舞いからして貴族に違いない。ありがたやー、ありがたやー。
「して、オルコット女王陛下が私のようなうどの大木に何用で?」
「わたくしは女王陛下ではなく貴族ですわ!」
「これは失礼しました。して、このような埃以下の存在に何用でございましょうか?」
「そこまで言っておりませんわ!」
「おっと、埃どころか埃のカス以下の存在でした」
「たっきー、それって存在する価値あるの?」
「ないね。ではオルコットお嬢様、用件を」
「何なのですの貴方は……。んん!貴方は背ばかり大きいIS初心者ですわ。ですから、どうしてもと言うのなら、このセシリア・オルコットがISについて教えてあげてもよくってよ?」
「…………。代価は世界三大珍味でよろしいでしょうか?」
「いや代価なんていりませんわよ!?というか世界三大珍味なんて買えるんですの!?」
「武田家の財力をもってすれば、容易なことでございます。なんでしたら、世界一週の旅もご提供致します」
「……すみません、もういいですわ」
「ヴェ!?」
こちらに背を向けて退場するオルコットお嬢様。いやいやいや!
「お待ち下さい!ISについては!?」
「…ご自分でどうにかして下さいまし」
「ほあああああああ!!!?」
多分私は今、かなりもったいないことをしたに違いない。何が、何がいけなかったのか!私には…おバカちゃんな私には理解できないのであーる!
「のほほんさん、癒しプリーズ」
「おー、よしよし」
のほほんさんに撫で撫でしてもらいました。ついでに他の人にも撫で撫でしてもらいました。ちょっとだけ元気が出ました。