「まさかありとあらゆる操作をやらされるとは思わなかった…!」
「カウンター返しなんつー技までやらされたしな」
「ラウラちゃん大丈夫?音ゲーみたいに指つってない?」
「正直つりそうだった…!」
敵の拘束攻撃を振りほどく訓練は本当に指が危なかった!スティックを回し、ボタンを連打し、もう私の指は限界だ!失敗したら間違いなく指が死んでいた!
「でもこっから本番みてぇだぞ」
「頑張ってラウラちゃん」
「う、うむ……」
場面は変わって教官ことマギア視点のイベントシーンに切り替わる。
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「ふーん。面白そうだとは思ったが、本当に面白いのが来たじゃねぇの」
訓練結果の書かれた資料を見て、マギアはニヤリと笑みを浮かべる。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ。訓練の成績は最高のオールS。とんだ逸材が来たもんだなぁ。サイボーグだけの部隊に入れんのは勿体ねぇし、混同部隊に入れっか。チームは……そうだな、あいつがいるとこなら問題ねぇな。ちと連絡すっか」
マギアは電話の機能しかない携帯電話を手に取り、番号を入れて電話をかける。数回のコール音のあと、相手側が電話に出る。
『どうしたんだマギア。また面倒事かい?』
「僕ちゃんイコール面倒事はいくら何でもひでぇぞ。まぁ面倒事押し付け気味なんは確かだが……」
『ふん、まぁいいさ。で、一体何の用だい』
「いや何、一人お前さんに面倒見てほしくてな。ちょいと電話した」
『アタシが?』
「おう。名前はラウラ・ボーデヴィッヒ。中々に面白い小娘でな。まず新人にはやらせねぇ訓練やらせたんだよ。内容はテメェもご存知のあれだ」
『ちょっ、新人にそれやらせたのか?平気なのかいその子?』
「ぴんぴんしてる。むしろオールSとかいうとんでも記録叩き出しやがったよ」
『はぁ!?』
「僕ちゃんでも流石にビビったよ。僕ちゃんの部隊に欲しいくらいだったぜ」
『…………。暴走するような奴じゃないだろうね?』
「むしろ暴走する奴を抑える側だろうよ。テメェさんの苦労が減るぜ?ドーラちゃん」
『ちゃん付けすんな。ぶっ飛ばすよ?』
「おー怖ぇ怖ぇ。…で、チームの加入は許可してくれんのか?」
『ああ、もちろんいいさ。あんたの保証付きなら大歓迎だよ』
「嬉しい事言うじゃねぇか。じゃあお前の部隊にラウラを組み込むから、あとは色々頼んだ」
『はいはい』
通話が終わり、マギアは携帯電話をしまうと、報告書をまとめる。
「ま、成績良くても死ぬ時は死ぬし、適度に期待させてもらうか」
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イベントシーンが終わると、自分のキャラクターが映し出された。訓練所から出た所から始まったのだが、直ぐにイベントが流れる。
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『あー、あー、聞こえっかー?マギたんだよー』
「マギア教官?」
耳に装着しているインカムに手を当て、マギアと通信するラウラ。
『今さっきテメェの配属先が決まった。混同部隊だ』
「混同ですか?」
『おう。嫌でも決まっちまったもんは決まっちまったんだ。拒否権ねぇぞ』
「いえ、拒否などしません!」
『ならばよし。つー訳で、お前さんが次行くのは混同部隊のβチームの寮だ。出入口にイケメン姉貴が待ってるから、そいつに声かけな。道迷ったらタブレットに記載されてるマップ開け。んじゃな』
無線が切られ、混同部隊のβチームの寮と言われたラウラは、先程支給された小型タブレットを起動させ、マップを開く。
「…ここか」
寮の場所を確認し、ラウラは小型タブレットをしまった。
「しかしイケメン姉貴とは誰だ?」
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「…混同部隊?」
「人間、サイボーグ、機械の区別がない部隊でしょうね」
混同だからそうなのだろうな。しかしこれから色々と大変そうだ。
「まずは寮目指して、そんでドーラっていう奴のとこ行こうぜ」
「了解」
訓練所と寮は然程離れてはおらず、すぐに到着した。βチームの寮の前には確かにイケメン姉貴らしき人物が立っている。多分あの女性がドーラという人物なのだろう。
「よし、では早速話しかけて「待ってラウラちゃん」…ん?」
「多分あの人に話しかけた時点でイベントが発生するわ。だからその前に色々と探索しましょう」
「やけに詳しいなスコール」
「エムに教えてもらったわ」
「あいつにか?てか、あいつ今何してんだ?長男知ってるか?」
「兄弟サードとバイオハザード:コードベロニカやってる」
「ああ、バイオの中でも難易度高めでストーリー長いヤツか」
「うす。Sランク目指して奮闘中なんですけども、さてはてどうなるか」
『あああぁぁぁ!!!』
『おのれハンタァァァ!』
「…失敗したみたいですね」
「死んだっぽいな」
バイオハザードは苦手だ。それよりも私はスコールさんに言われた通り、イベントを進める前に周りを探索する事にした。のだが…
「あ、イベント始まっちゃったわね」
「一定の距離近付くと自動的にイベントに進むヤツだったか」
「何と……」
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「ん?あんたか、ラウラってのは」
「あ、はい。ラウラ・ボーデヴィッヒです」
女性としては高めの身長。ボブカットの黒髪に、やや切れ目をしている。
「アタシはドーラ・ブットゲライト。マギアからあんたの事を頼まれたんだ」
「マギア教官が?」
「ああ、面倒見てやってくれってね。付いてきな」
ラウラはドーラの後ろをぴたりと付いて行く。ドーラはそれを見て「何だか子兎みたいだね」と思ってしまったのは内緒である。
「あの、βチームは主に何をしているのですか?」
「βチームは主に敵の殲滅を担当してる。だから必然的に腕っぷしが強くないと入れない。その分、頭が残念なのが多いんだけどね……」
重い溜め息をつくドーラを見て、ラウラは「苦労しているんだな。足を引っ張らないよう頑張っていこう」と心の中で誓った。
βチームの寮に到着すると、中では大騒ぎでもしているのか、外にも声が聞こえている。早速ドーラが眉間を手で押さえて重~い溜め息をつく。
「あのバカ共、酒飲みやがったな」
「…えーっと」
「ラウラ、悪いけどちょっと待っててくれるかい」
「あっ、はい」
ドーラはドアを開けて中に入った。そして、βチームの隊員達のものであろう断末魔の叫びが聞こえる。ついでにドーラの怒鳴り声もだ。
「…この先大丈夫だろうか」
ラウラは心底不安になった。
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「姉御キャラか」
「姉御キャラは頼りになるけど、必ずどっかに弱点があるのよねぇ」
「多分ゴキブリ苦手だぜ」
その後、ゴキブリやムカデ、ゲジゲジを平然と鷲掴みしてトイレに流すドーラを見て、戦慄した3人であった。
gesyoさん
キャラクターありがとうございます!早速使わせていただきました!そして申し訳ないです。姉御口調がどうしてもラピュタのドーラさんと若干似た感じになってしまいました。(あれ?名前が同じ。これなんて偶然?)
キャラクターはまだまだ募集中です!詳しくは活動報告より!