あのあと、私は兄弟達と親に連絡を入れた。そして言われた事は
『おバカちゃんめ』
である。でもまぁ、笑いながら言ってくれたから、許してくれたのだろう。それよりも…
「ここがIS学園か。無駄にデカいな」
普通の高校なぞ比べ物にならないくらいにデカい。これは移動が大変だぞ……。探索したいものだが、千冬さんに「校門で待ってろ」と言われてるから、ここでキョロキョロする事しかできない。うごごご…!
ブラッドボーンの聖杯ダンジョンのように捜索したい。あわよくば、そのまま脱走してニート生活を
「すまん武田、少し遅れた」
「おくれませんでした」
「?、何を言っているんだ?」
「いえ、何でもごぜぇません。それよりも、早いとこ行きましょう」
タイミング悪いなちくせう。狙ってやったんじゃねぇだろうな?
「お前は1年1組だ。それと武田、今から私のことは織斑先生と呼べ」
「分かりました。ちっふー先生」
スパァァァァァンッ!
「へぶし!」
全身のあらゆる捻りと体重移動、そして見事なスナップにより、凄まじいパワーを乗せた出席簿。それを横面に受けた私はきりもみ回転しながら壁に衝突。頭が壁にめり込むどころか、そのまま突き抜けてしまった。
「喧嘩を売っているのか?売っているんだな?なら高値で買ってやるぞ。んん?」
「むぐんぐ、ぐもんぐぐご(冗談です、すんませんした)」
「ふん、また同じことを言ったら首から上が飛ぶと思え」
おー怖ぇ。私は頭を壁から引っこ抜き、首を回して関節を鳴らした。
「んじゃま、行きましょか織斑先生」
「ああ。付いて来てくれ」
私は織斑先生のあとを付いて行った。それにしても、こんな細い身体でどうしてあんなパァウァァーーーが出るのかねぇ?謎すぎて仕方ない。
***
長い廊下を歩いたあと、1年1組の教室へと辿り着いた。
「少し待っていろ」
「Sir yes sir」
「いい返事だ」
織斑先生が教室に入ると、出席簿の音のあとに、獣の咆哮もビックリな圧を持った黄色い悲鳴が私を襲った。ええい!IS学園の女子は化物か!お陰で壁に吹き飛ばされたわ!
織斑先生が戸を開けた。
「武田、入って自己紹介を……何をしている?」
「圧を持った黄色い悲鳴の咆哮に吹き飛ばされました。今回ばかりは私被害者です」
後頭部をさすりながら立ち上がった私は、いつでも戦えるよう心を切り替えた。それもそうだろう?相手は圧を持った咆哮を放つような女子だ。きっと身長は私よりもデカくて筋肉モリモリマッチョマンの変態だろう。正に
しかし、教室に入れば私の想像は裏切られることとなる。そこにいたのは美少女ばっかだった。ば、ばんなそかな!?まさかこのような美少女連中が獣の咆哮を!?私の常識が粉々になってゆくぅ~…!
「あっ……」
「うぶ?」
あらやだあの時のキョヌーちゃん。私を見た瞬間顔を真っ青にし、両腕で腹を押さえて小刻みに震える。サーテナゼデショウネェ?
「武田、自己紹介をしろ」
「…………うす」
それよりもこっちの相手だ。緊張をほぐすため、深呼吸するんだ。
「コーホー…コーホー…コーホー…コー、ぼっ!?」
「誰が暗黒卿の真似をしろと言った」
出席簿がみぞおちに!この人みぞおち狙うの好きだな。
「ドーモ=武田正樹=デス」
まずはアイサツ!
「「「「「…………」」」」」
しまった!非ニンジャだったか!
スパァァァァァン!
「ほむろ!?」
「真面目に挨拶もできんのかお前は」
「すいまそん。軽くパニクっとります」
「なら一回深呼吸でもしろ」
「うぇい。………………コーホー」
「ぬぅん!」
バガッシャアッ!
「ひぃでぇぶぅ!!!?」
「はうっ…!?」
「ちゃんとせんかぁ!」
股蹴り上げられました。それと同時に、あそこの男子から呻き声がした。…ん?男子?……。
「織斑一夏ァァァァァァァァァァ!!!見付けたぞコノヤロー!全国のニートの怒り!受けやがれぇぇぇ!」
「は?え、ちょ、ぶげらば!?」
「「「「「織斑くん!?」」」」」
自己紹介うんぬんの前に、私は織斑一夏にロケット頭突きをくらわしてやった。