男をナメるなよ?Re   作:ガイジ・ジーガ

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大ッッッッ変遅れましたぁ!
ごめんなさい!モンハンワールド楽しすぎるんですぅ!


武田家訪問その3

何とか脱出できた私達は、やっとこさ嫁の家に入る事ができた。そして、入ったら早々怒号が響いた。

 

『話んなるかボケが!んな機械に頼ってっから情けねぇ様ァ晒すんだよオイ!乗ったって大して強くねぇくせして口だけ達者かぁ!?笑えもしねぇぞ!おらうずくまってねぇで立てやゴラァ!!!』

「カチコミか!?」

「いや、我がママ上の怒号だなこれは」

「たっきーのお母さん怖いんだね~」

「喧嘩売らなきゃ平気だよ。 優しいし、そんでもって今度は『そろそろ女の子欲しいな』なんて言ってますし」

「へ~」

「しっかしまぁ誰だママ上に喧嘩売ったおバカちゃんは。それとも、あの子かな?」

「「あの子?」」

「オゥイエ」

 

嫁は「ぶるぁぁあああ!」と叫びながら門を開け、「ただいまプラス友達連れて来たよー」と言った。私と本音は大きめな声で「お邪魔します」と言って嫁のあとに続く。中は外見に負けず劣らず豪勢で、武家屋敷をかなり派手にすればこうなるのだろうか、と言った感じだ。

 

「兄弟ファーストおけーりー」

「たでーま兄弟セカンド。ママ上今何やってんだ?」

「例のヤツ」

「おk把握」

 

例のヤツ?

 

「あ、ラウリーとのほほんさんは気にすんなや。とりあえず、何か茶菓子用意してくんねぇか兄弟セカンド。私客室に二人案内すっから」

「任された。そんでもってお二方いーらっさい」

「お、お邪魔します」

「しま~す」

 

私と本音は嫁のあとを付いて行った。広く、そして長い廊下の壁には骨董品や絵が飾られている。

 

その絵の中でも、どうしてか分からないが、『忘れられた肖像』という、紫色の髪をした男性が描かれた絵画を見たら、とても悲しくなった。嫁に聞いたら、とある有名な画家の展覧会の中にあった、出処が一切不明の絵だったらしい。母親がそれを高額で買い取り、海外の友人の一人娘に近々譲るそうだ。『イヴ』という名前の可愛らしい女の子で、どうもこの絵に執心との事。

 

そのまま歩いていると、再び怒号が響いた。かなり近く、この両開きの多きな扉の奥からだ。

 

「あー……行きたかないだろうけど、一応私のママ上に挨拶してもらえる?喜ぶから」

「う、うむ。気を引き締めていくぞ本音」

「らじゃー!」

 

嫁は怒号が止んだタイミングで扉をノックする。

 

「ママ上たでーまー」

『お?正樹か、お帰り。ケガねぇか?』

「おーう。そんで友達連れて来たんよ」

『友達?ちょっと待ってな。テメェもいつまでど真ん中でノビてるつもりだ!端ッこでくたばれ!』

『ごっ…!?』

 

今、扉の向こうで人を蹴り飛ばさなかったか?結構な音がしたぞ?

 

「待たせた。あんたら二人が正樹の友達かい?」

 

扉から出てきたのは、身長2メートル以上ある女性だった。嫁の女性化を短髪にして、目付きを悪くしたらこうなるのだろうか。

 

とりあえず印象を悪くしないよう、ちゃんとした挨拶を。

 

「初めまして、私はラウラ・ボーデヴィッヒと申します」

「布仏本音です!」

「んな固くなんなよ。俺は武田明良。ま、こいつの母ちゃんだ」

 

そう言って手を伸ばして嫁の頭をわしゃわしゃと撫でる明良さん。ん?武田明良?聞いた事のある名前だな……。

 

「ところでママ上、クラちゃんは元気してる?」

「クラちゃん?…ああ、“クラリッサ”の事か」

 

…え?

 

「今期のアニメで…えぇっと、ポプテ何とかってのが人類には早すぎるーとか言ってたぞ?」

「そりゃそうだ」

「あ、あの!」

「ん?どしたラウラちゃん」

「クラリッサと知り合いなのですか!?」

「知り合いも何も、奴さんのとこの訓練担当だけど?」

 

そうだ思い出した!とてつもなく背の高い女性に、常に死と隣り合わせの訓練を今クラリッサ達は受けていると!

 

訓練内容は一切合切何も持ち込みできず、全て現地調達のサバイバル。しかもただのサバイバルではなく、環境が劣悪だったり危険な生物が此処彼処にいる場所に、身一つで放り出される。一ヶ月そこで生き残る事が目標となっている。

 

ちなみに、脱落した者はISを着用してからの明良教官による一方的なリンチが待っている。ISを用いても明良教官には誰一人として勝てず、しかも重軽傷を負う始末だ。

 

最初は信じていなかった私だが、嫁の母親といえば納得がいく。という事は、今さっき誰かしごかれていたのだろうか?扉の隙間から覗くと、長い茶髪の美女が「ぐぉぉ…!」と呻きながら、これまた金髪の美女に手当てされていた。嫁も覗くと、またか~、と言わんばかりな顔をした。

 

「まぁたやってんすかオータムさん。いい加減諦めたらどっすか?」

「うるせぇ…!次は…次こそははアタシが絶対ぇ勝つ…!あの女を床に沈めねぇと…気が済まねぇ…!」

「だったらまずは俺を本気にさせるこったな。一切何も言わなくなったら、それが俺の本気だ。ほれ、さっさと立て。前回よりか30秒も持ったんだ。菓子くれぇ作ってやるよ」

 

そう言いながら明良教官は部屋に戻り、オータムという茶髪の女性の頭を撫でた。ぶすっ、とした表情をしているが振り払おうとせず、少し頬を赤く染める。なるほど、満更でもない、といつヤツか。

 

「あら、私からオータムを取らないで下さる?」

「な″っ!?」

「おっとこいつは悪ぃね」

 

金髪の美女がニヤリと笑うと、そんな事を言い出した。そして、明良教官もニヤリと笑ってそう返す。間違いない。からかってる。

 

「そ、そんなんじゃねぇから!スコール違うから!て、てめぇもいつまで頭撫でてやがんだ!やめ、グハッ!?…い、今骨が…!」

「あらごめんなさいねオータム。明良さん、医務室に運んでもいいかしら?」

「おう」

 

スコールという女性はオータムを軽々と横抱きにし、部屋から出て行った。

 

「じゃ、客室で待ってな。暇潰しくらいにはなる物持ってってやる」

「あいよー。ほんじゃまぁ行こうかラウリー、のほほんさん」

 

 

***

 

 

 

客室の中は畳部屋であり、中々の広さがある。中では嫁の弟が座布団と大きなちゃぶ台が用意しており、茶菓子を出していた。

 

「んじゃ、ごゆっくり~」

 

嫁の弟は客室から出て行った。ではお言葉に甘えてゆっくりしようではないか。座布団の上に座り、黒い長方形の茶菓子を口に運ぶ。ふむ、甘いな。こし餡に味が似ている。本音に至っては手当たり次第食べており、平常運行だった。嫁も私の隣に座り、茶菓子に手を出す。特に会話も何もない、淡々としているのだが、特に気まずいというのはない。むしろ、こうにまったりするのがあまりなかったためか、心地よかったりする。もしも縁側だったら眠っていたかもしれん。

 

しばらくそうしていると、明良教官と美女二人が部屋に入ってきた。茶髪の女性は顔を赤くしており、明良教官と金髪の女性の頬には赤い手形が付いていた。

 

「どったの?」

「からかいすぎた。中々スナップのきいたビンタだった」

「流石の私もガクッときたわ」

「て、てめぇらが悪ぃんだからな!」

「まぁその分オータムいじれたし、いいか」

「そうね」

「そこに直れぇ!もう一発食らわしてやる!」

 

うがーっ!、と吼える茶髪の女性を、またニヤニヤした表情で見る明良教官と金髪の女性。なるほど、茶髪の女性は苦労人のようである。

 

「ったく、ふざけやがって……」

「まぁ機嫌直せって。ほら、これでも噛っとけ」

 

本音の隣に明良教官が座り、その隣に茶髪の女性、そして更にその隣に金髪の女性が座る。丁度ちゃぶ台を囲える。

 

「…今気付いたら私以外全員おにゃの子じゃねぇか。ちょっとこれ気まずいですから変身してきます」

 

そう言って、嫁は部屋の外に出る。そしていつぞやの雄叫びが聞こえる。

 

「コオオオォォォォォォォォォ…!オオオオオォォォォォォォォ…!!!ブルァァアアアアアアアアアアアアア!!!カアアアアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

「お、おい、長男は何やってんだ?」

「ん?ああ、あれ?合法的に女湯に入れる為にあみ出した、性別変えちまう奥義だ」

「はぁぁぁぁぁ!?」

「ちょっとさりげなくとんでもない事言わなかった!?そんな技あったら潜入とかすっごい楽になるんだけど!?いちいち変装する必要ないんだけど!?」

「別にいいだろ。もうお前らそういう事する必要ねぇんだし」

「そうだけど!そうだけどぉ!」

「そんなのあったらアタシも色々と楽だったのにぃぃぃ!」

 

嘆く二人を呆れた視線を向ける明良教官。そして、部屋の外から「うおおぉ!?失敗したぁ!」と、可愛らしい女の子の叫び声が聞こえた。しばらくすると、幼い少女が部屋に入ってきた。…………。

 

「嫁か?」

「オゥイェ」

「別人どころか若返ってるじゃねぇかふざけんな!」

「正樹くんその技教えて!若返るところ最重要で!」

「ん?いやその前にラウラちゃん、今正樹の事嫁って言った?」

「……あ」

 

し、しまったぁぁぁ!ついいつものように呼んでしまった!

 

「おう。私を養ってくれるそうでして」

 

嫁ぇぇぇぇぇぇぇぇ!?


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